「村上春樹」を聴く

 小西慶太著『「村上春樹」を聴く』を購入しました。ハルキ小説のひとつの醍醐味は、小説が奏でる音感です。その音感を本当に楽しもうとする、一風変わった本なのである。

 しかも、代表作の印象深い12曲入りのCDまで付録で付いており、かなりお得である。

 このように書いてみると、なんだか、本の宣伝をしているようである。でも、ぼくは、いま、ここで、とくに、本の宣伝をしようとは思っていない。でも、なぜか、本の宣伝になってしまう、変なものである。

 そこで、本のタイトルからamazonへのリンクを貼るのをやめておこう、ということで、特にリンクを貼りませんでした。でも、それだと、もっと詳しく知りたい人には、不便なので、ここにリンクを貼っておこう。

 なんとも、へそ曲がりな、文章である。

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ノーベル賞残念でした

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 今年のノーベル文学賞の受賞は残念でした。ぼくも含めて、かなり飛ばし記事で、3月ぐらいから受賞するのではないか、といろいろなところで書かれていました。ぼくも、『「小泉改革」とは何だったのか』の中で、受賞するのではないか、ということを書いていました。

 ただ、今年に受賞できなくとも、来年以降、毎年がチャンスでしょう。これだけ世界が待っている日本人作家も多くない。次に日本人でノーベル文学賞を受賞する確率が高いのは、やはり、村上春樹さんでしょう。

 サイクル的には、来年か再来年あたりに、長編が出るのではないかと思いますが、どうでしょうか?

 楽しみにしています。

 日本人が受賞していないノーベル賞は、あとは、経済学賞ですね。

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村上春樹とノーベル文学賞

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 さて、今年のノーベル文学賞の候補に、村上春樹氏が挙げられている。
 本年度のフランツ・カフカ賞を受賞することが決定したことがその根拠だ。この2年間、フランツ・カフカ賞を受賞した作家がノーベル文学賞も受賞している。さて、村上春樹氏は、その快挙に続くのか。

 フランツ・カフカ賞に続き、本年度はフランク・オコナー国際短編賞も受賞した。米国、欧州、ロシア、中国など世界各国で村上作品が評価を受けている。訳書もさまざまな言語で出版されている。

 村上作品が受け容れられる理由の、ひとつに「同時代性」という説がある。主人公が「やれやれ」と、冷ややかに社会を見つめている。主人公は、その世界にあまりかかわりをもちたくないのだが、いつのまにか、巻き込まれ、コミットメントをしている。それが村上作品の特徴だと思う。そして、「僕」の隣にある「深い闇」の存在だ。その「深い闇」の正体はわからないのだが、これは誰しもが抱えている「心の闇」なのだろう。常に、ハッピーではなく、何かしらに囚われている現代社会そのものなのだ。

 『アフターダーク』が最近文庫化した。読者のひとりとして、村上春樹氏は、次の段階に行こうとしている気がする。そう、井戸の中の壁を超えたように。カフカ少年が森の中に入ったように。
 本人が述べるように、アフォリズム、デタッチメント、次にストーリーテーリングがあって、そしてコミットメントの段階に来ている。これが『ねじまき鳥クロニクル』に来るまでの過程だ。その後、『海辺のカフカ』があって、『アフターダーク』で、さらに次の段階に行こうとしている。

 ぼくは、村上春樹氏に対し、ノーベル文学賞という最大の権威と、どのように立ち会うのかが楽しみだ。そこから、新しい村上春樹作品が生まれるのではないかと思っている。

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村上春樹のこと

 日曜日の日本経済新聞朝刊2面の風見鶏は、「村上春樹現象をどう読む」でした。
 今年のノーベル文学賞は村上春樹氏ではないかと言われている。それは、村上春樹氏は、今年の10月にフランツ・カフカ賞を受賞するのであるが、実は、2004年、2005年のカフカ賞の受賞者は、その年のノーベル賞も受賞しているからだ。そうすると、川端康成、大江健三郎に続く、日本人で3人目のノーベル文学賞受賞者となる。

 日経新聞によれば、村上作品は30カ国以上で翻訳されており、欧米・アジアでも多くの支持者がいるという。確かに、「象の消滅」、「海辺のカフカ」は米国で大ヒットしたというし、日経によれば「海辺のカフカ」仏語版が既に4万8千部売れているらしい。

 さて、村上作品と言えば、社会に対して、どちらかというと批判的である。『ダンスダンスダンス』は、大量消費社会に対するアンチテーゼのようなものだし、『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』の「鼠」や「僕」は、どこか世の中に対して冷めている。『ノルウェイの森』の『僕』は、確実に「ノンポリ」で、学生運動などの熱狂を冷ややかな目で眺めている。

 それは、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』でも『ねじまき鳥クロニクル』でも『海辺のカフカ』でも、『僕』なり『私』なり『カフカ少年』は、世の中と一線を画している。いや、画そうとしている。

 これは、村上春樹氏自身が「アフォリズム、デタッチメントがあって、次に物語を語るという段階があって、それでも何か足りないというのが自分でわかってきたんです。そこの部分で、コミットメントということが関わってくるんでしょうね」(『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』)と述べているが、たぶん、『僕』はデタッチメントしていくベクトルの中にいるのだけど、社会が放っておいてくれず、やがて、「「井戸」を掘って掘って掘っていくと、そこでまったくつながるはずのない壁を越えてつながる、というコミットのありように、ぼくは非常に惹かれたのだと思うのです」という形で、コミットメントしていくのである。それが、『ねじまき鳥クロニクル』の過程であろう。

 『ねじまき鳥クロニクル』では、「僕」は社会からデタッチメントしていこうとするのだけど、加納マルタやクレタ、綿谷ノボル、笠原メイ、シナモン、ナツメグ、牛河、間宮中尉などが、「僕」を放っておいてくれず、「僕」は意識の井戸の壁を越えるために、コミットメントすることになるということであろう。

 日経の記事では、「中国で「ノルウェイの森」が読まれるのは政治的意味がある。金持ちではないし、金もうけしようとも思わず、束縛を嫌い、上昇志向とは縁遠い、非政治的な若者たちの生活の前提にあるものは、日本の民主主義や消費社会である。30年以上も前からこんな若者たちがいる日本が軍国主義化するとは普通なら思わない。中国当局にとって自国の若者がそんな生活にあこがれるのは痛しかゆしだろう」と言う。でも、この指摘は少し違う。

 たぶん、村上流のデタッチメントに共感できるようになったということではないだろうか。そして、少しずつ、新たな形のコミットメントに向かいつつあるということなのではないだろうか?

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ねじまき鳥クロニクル

 ねじまき鳥クロニクルを読み終えました。村上春樹自身、第2部の発表後、1年が経って、第3部を発表。僕も、第2部を読んでから、半年ぐらい経ってから、第3部を読みました。

 『村上春樹、河合隼男に会いに行く』で、河合先生は、「第三部が出てくることによって『ねじまき鳥クロニクル』の物語が完成した、とも言えるのではないでしょうか。若い人たちに聞いていると、第三部が出てホッとしたとか、あれで救われたとか言う人がだいぶいますよ」と言っています。

 たぶん、その感想は、そうなのではないかと思う。ただ、本当に「ホッ」とするものだろうか。確かに、そういう部分もあることはあるけど、どうしても村上春樹独特のメランコリーは、心の中に残る。

 ただ、最後の場面は、とても綺麗だったなと思います。たぶん、このあとの長い小説が『海辺のカフカ』(その前に、長い小説を書く準備として書かれたという『スプトーニクの恋人』はあるけど)になるのだけど、『アフターダーク』までの村上作品の中で、もっとも綺麗な憧憬がラストに広がったのではないかと思います。

 『ダンスダンスダンス』でも、物語は完結した感じだったケド。

 もっともっと、「井戸」を掘らねば。

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