TBS系列で放送されているドラマ日曜劇場「官僚たちの夏」。
城山三郎原作のこの小説は、佐橋滋氏をモデルとした小説であり、ある種のバイブルでもあります。
民主党参議院議員の松井孝治氏は、月刊論座の2000年11月号に、「学生時代に城山三郎氏の小説「官僚たちの夏」に感動し、通産省の門を叩いた想い出は今でもまるで昨日のことのように脳裏をよぎるが、あれから早十八年の歳月が流れた」と書いています。(出典:松井氏の論考「霞ヶ関からピラミッドの解体を 脱ヒエラルキー型の政策創出システムへ」)
小説では、特定産業振興臨時措置法(小説の中では、確か、指定産業振興法だった気がします)の法案作成が中心になります。(←この時期が、「夏」になるわけです。)
ここでの特定産業とは、「特殊鋼業(合金鉄製造業を含む。)」、「四輪自動車製造業(自動車のタイヤ又はチューブの製造業を含む。)」、「有機化学工業製品製造業」、「その他侯補業種」といった製造業に関して、官民協調体制で産業政策を実施していこうというものでした。
ドラマでも、この法案作成がメインになってくるだろうと思います。そこで、自動車だったり、テレビ、情報通信機器、そして日米繊維交渉、さらにはGATT問題がプロローグとして語られている段階であると思います。
再来週には、片山が須藤大臣の秘書官となり、ゴルフで意気投合したり、風越が企業局長になり、牧がパリから帰国し、企業第一課長、庭野が産業資金課長になるところまで行くのではないかと思われます。
ちなみに、小説・ドラマのモデルは、wikipediaに書いてあります。
学生の頃、wikipediaは無かったので、経済産業省の職員録の最後のページの方に、歴代大臣、次官、局長が書いてあるので、それを見ながら、付き合わせたものです。
「俺たちは、大臣に雇われているわけではない。国家に雇われているんだ」という言葉は、胸にキューンと来てしまう言葉です。
さて、ここで、TBSは、なぜ、いま「官僚たちの夏」をチョイスしたのか。そこが興味深いところです。
いわゆる昭和30年代の回顧もの(3丁目の夕日的)としてだけの意味なのか、はたまた、何かしらのメッセージがあるのか。
「華麗なる一族」で視聴率が良かったから、ということであれば、同じ山崎豊子の「運命の人」でも良かったのではないかと思います。山崎豊子作品を調べてみたら、「不毛地帯」は唐沢寿明でドラマ化、「沈まぬ太陽」は渡辺謙で映画化するんですね。
なんとなく、2009年は、昭和の激動ドラマブームという感じでしょうか。
ちなみに、いま、ひとつドラマ化して欲しい原作があります。
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