シラバス(経済と法Ⅱ)

法律や判例が、経済活動にどのような影響を及ぼすのか、という問題意識に立ち、最近の時事問題(例えば、消費者問題、コーポレートガバナンス、M&A、雇用問題など)を取り上げながら、経済活動と法制度の関係、法制度の役割について、理解することを目標とする。

[講義スケジュール]
09/23 イントロダクション:法と市場の役割
09/30 基礎概念
10/07 契約法の経済分析(金利規制問題)
10/14 完備契約と不完備契約(解雇規制問題)
10/21 その土地は誰のものか(所有権法)
10/28 構造計算偽造事件(損害賠償法)
11/04 犯罪抑制と刑罰(刑法)
11/11 コーポレートガバナンスとM&A
11/18 知的財産権
11/25 独占禁止法
12/02 環境問題
12/09 通商問題
12/16 1980年代以降の制度改革と構造改革
01/13 予備
01/20 試験

[教科書]
福井秀夫(2007),『ケースからはじめよう法と経済学』,日本評論社

〔サブテキスト〕 
宍戸善一・常木淳(2004),『法と経済学』,有斐閣
矢野誠(2007),『法と経済学-市場の質と日本経済-』,東京大学出版会
チームJ(2008),『日本をダメにした10の裁判』,日経プレミアシリーズ

[参考文献]
Barzel, Yoram. (1997), Economic Analysis of Property Rights, Cambridge University Press [丹沢安治訳(2003),『財産権・所有権の経済分析-プロパティー・ライツへの新制度派的アプローチ』,白桃書房]
Coase, R. H. (1990), The Firm, the Market, and the Law, University of Chicago Press [宮沢健一・藤垣芳文・後藤晃訳 (1992),『企業・市場・法』,東経]
Demsetz, Harold. (1967), “Toward a Theory of Property Rights,” The American Economic Review 57: pp.347-359
Dixit, Avinash K. (1996), The Making of Economic Policy-A Transaction-Cost Politics Perspective-,The MIT Press, 1996[北村行伸訳『経済政策の政治経済学-取引費用政治学アプローチ-』,2000年,日本経済新聞社]
Grossman, Staford J. and Hart, Oliver D. (1986),“The Costs and Benefits of Ownership: A Theory of Vertical and Lateral Integration,” The Journal of Political Economy 94: pp.691-719
Hart, Oliver. and Moor, John. (1990)“Property Rights and the Nature of the Firm,” The Journal of Political Economy 98: pp.1119-1158
Hart, Oliver. (1995), Firms, Contracts, and Financial Structure, Oxford University Press
Hardin, Garrett (1968), “The Tragedy of the Commons.” Science ,162, February 1968, pp124-48.
Heller, Michael A. (1998), “The Tragedy of the Anticommons: Property in the Transition from Marx to Markets,”Harvard Law Review 621: pp.622-88
Heller, Michael A. and Eisenberg, Rebecca. (1998), “Can Patents Deter Innovation? The Anticommons in Biomedical Research,”Science 280: pp. 698-701
Krueger, Anne, (1998), The WTO as an International Organization, The University Chicago Press, 1998.
Maskus, Keith E., (2000), Intellectual property rights in the global economy, Institute for International Economics, August 2000, Washington, DC, USA.

青木昌彦(2006),「経済学は制度をどう見るか」, 伊丹敬之,藤本隆宏,岡崎哲二,伊藤秀史,沼上幹編,『企業と環境 リーディングス日本の企業システム 第2期 第5巻』,有斐閣,pp.184-210.
伊藤秀史(2005),「企業の境界と経済理論」,伊丹敬之,藤本隆宏,岡崎哲二,伊藤秀史,沼上幹編,『企業とガバナンス リーディングス日本の企業システム 第2期 第2巻』,有斐閣,pp.65-81.
岩田一政・深尾光洋編(1995),『経済制度の国際的調整』,日本経済新聞社
岡本薫(2003),『著作権の考え方』,岩波新書
川本明(1998),『規制改革-競争と協調-』,中公新書
小寺彰編著『転換期のWTO』,東洋経済新報社
浜田宏一(1996),「特許権による並行輸入差止めの是非について-経済学的考察」、『ジュリスト』No.1094, pp.73-79.
浜田宏一(1977),『損害賠償の経済分析』,東京大学出版会
宮島英昭編(2007),『日本のM&A―企業統治・組織効率・企業価値へのインパクト 』,東洋経済新報社
横山彰(2005),「経済政策と公共選択の新展開-政策の国際的な競争と協調-」,『経済政策ジャーナル』,第3巻第1号,pp.3-17
若杉隆平(2007),「知的財産権の保護と貿易ルール」,『世界経済評論』,2007年7月号

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経済活動をどのようにガバナンスするべきか

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写真は、ハンムラビ法典です。ハンムラビ法典は、完全な形で残る世界で2番目に古い法典です。「経済と法Ⅱ」の旅は、このハンムラビ法典のお話から始まります。

ハンムラビ法典、有名なのは、「目には目を 歯には歯を」という言葉です。
つまり、他者の目を傷めつけたら、目を傷めつけられる刑を受ける。歯を傷めつけたら、歯を傷めつけられる刑を受ける。他者から1000万円をだまし取ったら、1000万円分の刑を受ける。この法典では、犯した罪と同等の刑罰を与えることを規定し、それ以上の刑罰を禁止するということにもなります。つまり、刑罰の限界を法律で決めておく「罪刑法定主義」の考え方です。これは、いわゆる「公平性」につながるでしょう。刑罰の前に、差別はない。つまり、どのような人であっても同じ罪を犯せば、同じ刑罰を受けるということにもなります。

では、なぜ、古代バビロニア帝国では、罪刑法定主義の考え方に基づく法典が作られたのでしょうか。

話は少し変わります。

たとえば、最近、企業の不祥事などの問題がでてきています。この問題を解決するためには、どのような工夫が必要でしょうか。ひとつは、市場に任せてしまうという方法があります。もうひとつは、政府がしっかりと規制をしたり行政指導したりする。そして、司法的な解決の方法もあります。どれが良いのでしょうか。

そもそも、法律・ルールとは何なのでしょうか。もしくは、制度とは何なのでしょうか。この問題について、経済の問題に重ね合わせながら考えていきたいと思います。

なぜ、後部座席でシートベルトをしなければならないように法律改正がなされたのでしょうか。

もうひとつ。

市場で売買してはいけないものは、法律で決まっていますね。でも、日本では売買してはいけないのに、海外では売買しても良いというものがあります。昔、「チャタレー婦人の恋人」という本が話題になりました。

何を売っていいのか、という問題は、まさに社会のモラルが影響してきます。

法律・ルールの問題は、身近な問題です。家庭内でもルールがあるでしょう。大学にも、もちろんルールがある。
皆さんの家に、門限があるという家も多いでしょう。これもひとつの法でありルールですね。

この講義の旅は、経済活動における法の役割を学び、さらには、それを通じて、経済の構造・システムを知るたびです。

毎週火曜日の10時40分から12時10分のツアーでお会いしましょう。

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日本をダメにした10の裁判(チームJ著・日経プレミア・シリーズ)

チームJ著の『日本をダメにした10の裁判』(日経プレミア・シリーズ)は、とても読みやすく、一気に読み切ってしまいました。「法と経済学」の主要テーマに関する判例も、わかりやすく、解説されていて、法と経済学を勉強したいと思う導入書としても最適だと思います。

そこで、できれば、この書籍を講義で使用したいなぁと思っております。
たとえば、紹介されている判例について、経済学の観点から考えてみると、どのようなことが言えるか、などをレポート課題にする、というようなこともできるかな、と思っています。

法と経済学の講義では、「これだっ!」というテキストを見つけるのに、なかなか苦労をしておりますが、目から鱗の書籍が発売されて、とても嬉しいです。

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