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講演内容が、中央大学父母連絡会「草のみどり」に掲載されました

昨年の12月に中央大学総合政策学部で講演をした内容が、中央大学父母連絡会の発行する雑誌「草のみどり」(2008年5月号、通巻第215号)に掲載されました。(原稿は、高橋優花さんが寄稿してくださいました)

矢尾板俊平氏(講演当時は、中央大学大学院総合政策研究科博士後期課程、現在は、三重中京大学現代法経学部講師)

日本経済が抱えるリスクと構造改革ー政策の研究とフロントのはざまで・12月12日

 矢尾板氏は、講演当時、独立行政法人経済産業研究所リサーチアシスタント、政策創見ネット21の事務局長も務め、2006年6月、政策創見ネット21の分担執筆として『「小泉改革」とは何だったのか―政策イノベーションへの次なる指針』(上村敏之・田中宏樹編著、日本評論社)を出版した。今回の講演では、この経験の基となったポリシーウォッチを実践し、政策を見つめることでこれからの日本経済について学生に考えるきっかけを与えた。

より複数の人の意見を

 「日本の政策過程には、ポリシープラットフォームが必要である」。矢尾板氏が最も問題意識を強く感じる点だそうだ。「回転ドア」と称されるように、政権交代に伴い、大幅な政権スタッフの入れ替えがあるアメリカと比べ、日本は、政治的任用による政権スタッフの登用が少ないために、どうしても政策競争が起きにくくなっているというのだ。より成熟した民主主義を作り上げるには、政策人材の流動性を高めるとともに、政策人材の受け皿となるようなシンクタンクの充実、幅広く政策に対する意見や提案を取り入れ、永田町、霞が関、大学、シンクタンク、マスコミ、NPOなど、人々が自由に建設的な議論を行ったり、将来の政権を支えるチーム間で競争を行ったりすることが出来る場であるプラットフォームが必要であると言う。

 また、政策にはその裏付けとなる「なぜその政策が必要なのか」や「どのような効果があるのか」、という理論的な根拠、更には予算や法律といった制度的な根拠が不可欠であり、政策立案や評価をする際には、これらの点を、総合的に理解することが出来る能力も求められる。そのため、政策系学部では、このような総合的な政策分析能力を育成することも課題となる。
 
 実際に矢尾板氏は、講演の中で、日本経済を分析するために自ら作成した数多くのグラフをスクリーンに映し出し、一つ一つ丁寧に説明した。経済成長率やGDPに関するグラフ、また企業や金融機関の経営戦略等あらゆる分析を一度に全て総合的に理解することは難しかったが、その分析の精巧さから、専門分野に対する強い気迫を感じた。

検証、そして政策
 
 日本経済の今後は、経済・財政・社会の持続可能性を人々がどのように評価し行動するのかに依存する。日本の将来に不安を感じる人が多くいる現在の日本において、人々のリスクに対する評価の仕方を明確化し、対応していくことが重要である、と矢尾板氏は言う。
 
 最後に学生に対し、「さまざまなデータを検証し政策を提言して、それを評価してもらうことを積み重ねていく」ことで日本が変わることを伝え、授業を締めくくった。

総合政策

 客観的な視点から物事を分析し、政策を立案していく姿勢を持ち続ける矢尾板氏の姿が印象的であった。そしてその姿こそが、矢尾板氏の作り上げた総合政策であり、現在の幅広い活躍の根本となっているように感じた。

(一部、講演者が加筆・修正しました。)

矢尾板俊平(Dr. Shumpei Yaoita)略歴
三重中京大学現代法経学部講師、中央大学総合政策学部兼任講師。博士(総合政策)
中央大学経済研究所客員研究員、独立行政法人経済産業研究所コーポレートガバナンス研究会委員および研究協力者、松阪市環境保全審議会委員、政策創見ネット21事務局長等。
専門は、公共選択論、総合政策論。主な著書に、『「小泉改革」とは何だったのか-政策イノベーションへの次なる指針』(上村敏之・田中宏樹編著、日本評論社)。

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