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「政治」はおもちゃではない

日本銀行総裁について、武藤敏郎氏を新総裁に、伊藤隆敏氏を副総裁に起用する人事案が、参議院で不同意という結果になった。白川方明氏を副総裁に起用する人事案は、参議院で同意された。

今回の国会同意人事について、民主党の対応を、読売新聞以外の新聞各紙は社説で批判している。

・日本経済新聞:「不同意ありき」の民主党は無責任だ
・朝日新聞:日銀総裁人事―腑に落ちぬ不同意の理由
・産経新聞:日銀総裁人事 政治不況の引き金引くな
・毎日新聞:武藤氏不同意 空席回避へ知恵をしぼれ

私は、日本経済新聞とは、特に成長戦略に関しては、意見が異なるのであるが、今回は、各紙の社説に賛同している。「政治」は、おもちゃではない

そもそも、3月11日に国会で行われた所信聴取以前から、民主党は、武藤氏の総裁昇格の人事案に不同意する方向性であった。それならば、なぜ、所信聴取という新しいルールの手続きを踏んだのだろうか。

国会同意人事で、所信聴取というルールが出来たことは歓迎である。今後も、国会同意人事に関しては、実施すべきである。しかし、所信聴取とは、候補者の所信を聴き、その上で、同意するかどうかを決めるための手続きであって、不同意を正当化するための道具ではない。民主党は、自ら作ったルールを骨抜きにし、新しい良いルールを形骸化させてしまったのである。その責任は、民主党がしっかりと背負うべきである

また、民主党が武藤氏の総裁昇格に反対する理由も、「武藤氏が財務省出身だから」ということだけである。しかし、これは、民主党自身が日銀法を軽視しているということを公然と述べているに等しい。武藤氏は、所信聴取の中で、日本銀行の独立性を守ることを明言している。国会の参考人の立場で発言をしている以上、その発言は政治的にも極めて重要な意味を持ち、今後の職務に大きな拘束力を持つ。しかしながら、民主党の反応は、それでも武藤氏には嫌疑が生ずるという。これは、民主党が国会での発言の重みを軽視しているように感じられる。民主党の幹部は、所信聴取を通じて、何を聞いていたのか。

そして、いよいよ、日本銀行総裁が空席となる可能性が高まってきている。19日までに、新総裁が決まらない場合、白川新副総裁が総裁の職務を代行することになる。14日に再提示が行われた場合、再度、所信聴取は、急いでも17日で、同意に関する採決は18日となる。タイムリミットぎりぎりである。

日本銀行総裁が空席というのは、国益の観点からして、大きな損失である。この責任を民主党は、政府のせいにしようとしているが、それは許されない。

民主党には、少なくとも、国会における発言の重みを軽視するということ、国会の新しいルールを形骸化させたという責任がのしかかる。その責任は、極めて重い

事態打開のため、早急に、党首会談を行うべきである。

いま、日本にとって必要なのは、政局ではなく、何が日本の未来にとって良い選択なのかということを議論する政策論争である。

「反対をするための理由」ではなく、しっかりとした政策プランを示してほしい。現在、政府は、21世紀版の前川レポートの作成を進めているが、民主党にも、中長期的なプランを作り、政府案との政策競争をしてほしいと願っている。それが、参議院で第1党となった政党の責任である。

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