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地方分権化の中での暫定税率

第169回通常国会は、「ガソリン国会」になると言われている。「暫定税率」の問題が、その所以ではあるが、いつ爆発するかわからない(つまり、解散・総選挙になるか、誰も予測できないし、コントロールできない)、そのための「油」は、じゅうぶん過ぎるほど、注がれたというのが、本当のところであろう。

マスコミでは、サミット後の解散が有力と言われている。これは、根拠が無いわけでもなく、諸事情を勘案すると、ここが解散をするには、良い状況であるとは言える。ただし、それは、与党が解散しても勝てるという環境においてである。解散すれば、与党は負けないまでも、3分の2条項は使えなくなる。そうすれば、「ねじれ国会」の状況は、さらに悪くなる可能性がある。現在の国会の枠組みが続くのであれば、任期満了まで待つというのが合理的な選択だろう。

さて、福田総理の施政方針演説の中で、「地方と都市の「共生」の考え方の下、法人事業税を見直し、地域間の税源の偏在をより小さくする暫定措置を講じ、特に財政の厳しい市町村に重点的に配分します。今後、税体系の抜本的改革に結び付けていきたいと思います。地方自治体に一層の権限移譲を行う地方分権改革の議論を加速し、分権後の姿とあり方を国民の皆様にお示ししていくとともに、道州制の導入について、国民的な議論を更に深めてまいります」とあるが、これは矛盾を抱えているのではないかと思われる。

よく読むと、法人事業税に関しては、暫定措置ではあるが、再分配機能を高めるということである。これは、中央集権的な発想である。一方で、権限移譲は進めるという。権限については分権化を進め、財源については、集権化に戻すというように捉えられている。つまり、ベクトルの向きが真逆である。これは、財源の担保の無い権限だけが自治体に渡されていくということになり、財政の比較的に豊かな自治体を苦しめることになる。これは、政策の誤謬の問題で、全体的に、パレート改悪に行く可能性が考えられる。税制の総合的な体系の中で、税収の偏在問題は考えるべきであろう。

もうひとつ、道路特定財源について、「道路特定財源については、厳しい財政事情の下、地域の自立、活性化に役立つ道路の整備事業は、真に必要なものを、効率化を徹底しつつ行います。道路の維持・補修や、救急病院への交通の利便性の確保、都市部の渋滞対策、開かずの踏切の解消など、国民生活に欠かすことのできない対策は実施しなければなりません。さらに、地球温暖化問題への対応を行うためにも、現行の税率を維持する必要があります。これまでの特定財源の仕組みを見直し、納税者の理解を得ながら一般財源を確保してまいります」と述べている。

暫定税率の問題には、いくつかの出口が考えられる。ひとつは、一般財源化の方向の改革である。それに、道路建設の他に、環境対策、社会保障対策などの目的も加え、さらに一部を一般財源化という方向である。環境や社会保障への使用に関しては、道路の外部性を考慮すれば、説明は可能であろう。そして、地方分権改革の流れで捉えるならば、暫定税率の地方税分を拡充し、地方の道路建設事業に関する独自財源を拡充させるという方法もあるだろう。現実性を考えれば、第2案が有力な案として、民主党と対話ができるのではないかと考えられるが、地方分権改革の文脈の中で、暫定税率の問題を考えるのも面白いのではないか。

<追伸1>
と書いた後に、このような記事を見つけました。
北海道の578億円減が最大=暫定税率廃止の影響-総務省試算」(時事通信)

都道府県別減収額の一覧表」(岩手日報)

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