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研究・教育にとって重要なこと

土曜日の昼に、横山先生と石先生と、博士課程のゼミのメンバーで、ゼミの後、釜めしを食べに行きました。

さて、本日、日本経済新聞を読んでいると、石先生が「インタビュー領空侵犯」に出ておられました。タイトルは、「用具頼みのスポーツに異議」。

このインタビューでは、スキーの話をされているのですが、研究や人間教育の観点からも、重要だと心に残る言葉があったので、メモをしておこうと思います。

物事には省いてはいけない過程があると思います。厳しさに立ち向かい、鍛錬するという部分がないとスポーツではありません。スポーツを志す人はそこを心がけてほしいのです

ここで、「スポーツ」という言葉を、「研究」、「勉強」、「仕事」、「教育」という言葉に置き換えても、同じことが言えると思います。夢というのは、語ることは簡単だけれども、実現するのは難しい。だからこそ、やりがいもあるのですが。

たとえば、将来、会社の社長になりたい政治家になりたい研究者になりたい弁護士になりたい、などなど、さまざまな夢があると思います。こういう仕事をしたい、という夢もあると思います。それを、口にすることは簡単だけれども、夢とは努力をして始めて近づくことができるのであると思います。そして、そういう努力をする人を、ぼくは、とても応援をしたいと思うし、協力をしたいと思っています。

ぼくは、教育にあたっては、まずは、基礎固めが重要だと思っています。どんなに立派な建物を建てたいと思っても、砂の上には建物は建ちません建っても砂上の楼閣になってしまう。だから、基礎工事をしっかりするということが重要です。しかし、基礎固めというのは、地道な作業ですから、つまらないと感じるかもしれないし、大変だと感じるかもしれません。だから、これまでも、ゼミの後輩某学生団体の学部生の人に、これを言い続けてきたのですが、なかなか難しいですね。しかし、それをしっかりするということが、夢を実現するための近道であるわけです。

だから、ぼくは、「すべての行動・選択・判断に、意味を持て」ということを言っています。無駄なことをするな、ということではありません。時に、人間や社会には、余裕なり無駄というものが必要な時があります。しかし、その無駄や余裕も、意味があるということが重要なのだと思います。だから、大切なのは、常に、「シンキング・アクション」を心掛けることなのです。そして、いま、自分の行っている行動、判断は、長期的な自分の人生の中で、どのような意味を持っているのか、ということを、自問自答するということが重要で、それが、日々の鍛練、筋力トレーニングになるのです。

ピアニストは、毎日何時間もピアノの訓練をすることが大切です。作曲家の久石譲さんは、あれだけの作曲家になっても、海外の出張先であっても、毎日、ピアノに触れ、その鍛練に集中する時間を持つそうです。

作家も同じです。これは、村上春樹さんは、『走ることについて語るときに僕の語ること』の中で、レイモンド・チャンドラー氏の「たとえ何も書くことがなかったとしても、私は一日に何時間かは必ず机の前に座って、一人で意識を集中することにしている」という言葉を紹介しています。

そして、研究者も同じだと思います。研究者も、論文を書くということについて、思考を行うことについて、筋力トレーニングをしていないと、(頭の)筋力が落ちてしまう。だから、毎日、少しずつでも、筋力を落とさないためのトレーニングを行う時間が必要です。それは、文章を書くことであり、一定時間集中をすることであり、思考をするということ

これは、ぼく自身も、身を持って感じたことです。もう数年前のことになりますが、雑務に追われて、トレーニングをさぼったりすると、その後に、筋力低下を、かなり感じるということがありました。だから、いまは、とにかく、毎日、どんなに仕事の予定が入っていたとしても、数時間は、欠かさず、(頭の)筋力トレーニングをする時間を持つようにしています。そうすることで、頭の中を、常に、ready for goの状態にしていくと、論文などの生産性が飛躍的に上がると思います。

村上春樹さんは、さきほどの著書の中で、小説家にとって重要な素質として、(1)才能、(2)集中力、(3)持続力だと言っています。これは、小説家だけではなく、どんな仕事にも求められる素質であると思います。

さて、「領空侵犯」のインタビューでは、次のような発言もされていました。

「(カービングスキーについて)楽なので年寄には向いているかもしれないが、若いうちから使うと技術が身に付かないのでは

地道に勉強するんでなく、最初から合格点のところで待ちかまえている。私が妙高山ろくのスキー場で始めたころは、下からてくてく登ったもんです。五・六本も滑れば日が暮れる。その代わり基礎が身に付きました。フード付きのリフトでぬくぬくとやってちゃね。冷たい風に当たることで自然と戯れ、自然と一緒になるんじゃないかなぁ

棒高跳びで五メートルも六メートルも跳べるようになったのは竹のポールからハイテク素材になったからといいます。陸上記録の伸びもフィールドの素材が良くなったからですが、道具に頼ると、より速く、高くという努力の部分がみえにくくなる。奥義を極めることが少なくなったのは世間一般に通じる風潮にも思えます

4月から、「先生」として、教育者としての生活がスタートします。ぼくも、常に、初心を忘れず、教育者としての鍛練を、日々、努力していかなければいけないと思いました。

(追記)
さて、石先生の著書が発売されます。ずっと、ライフワークとして、おまとめになられていたご研究の成果の一部。

現代税制改革史―終戦からバブル崩壊まで

税制改革の渦中にあって

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