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「いつか君にふたたび出逢うときまでに」-筆者インタビュー

ー「いつか君にふたたび出逢うときまでに」も、いよいよ、クライマックスに向かっていっています

矢尾板:この物語は、「初恋神話」からの脱却をテーマに、人間の弱さについて書きたいと思っていました。そして、メランコリーですね。そして、愛とはどのようなものか、ということを、考えてみたかったというのもあります。ハジメにとって、また、山川容子さんにとって、愛とは、なんとなく、できれば、何かしらの形になっているものだと思っていると思います。しかし、本当に、愛とは、それだけのものなのか、これをテーマにしたいと考えてきました。

主人公のハジメは、常に、相手に、愛情を求めているわけです。それも、自分が満足できるような形の愛情を求めているわけですね。これは、山川さんも同じなのだと思います。しかし、決して、それが満たされることはないのです。なぜなら、きっと、愛とは無限のものだから。それを理解しないと、ハジメのように、相手に、過度に愛情を求めすぎて、相手を疲れさせて、最後には傷つけてしまう。これは、山川さんも同じタイプなのだと思います。

たぶん、ハジメと山川さんが付き合ったとしても、二人は幸せにはなれないですね。お互いに、愛情を求めあって、お互いに満ち足りず、最後には、お互いを堕落させてしまうか、もしくは、傷つけあってしまう。その意味では、ハジメは、土本美友里のような女性の方がいいのだと思います。

ハジメは、山川さんに始まり、竹内ミズキ、吉田結衣、吉田弥生、そして、何人かの女性がいて、美友里にたどりつく。すべて、彼は、同じ失敗を繰り返している。しかし、その失敗の本質を理解していないんです。

ーこれまで、ハジメの恋愛対象として、何人かの女性が登場しましたが、それぞれの女性は、どのような役割を果たしているのですか?

矢尾板:山川さんは、ハジメにとって、初恋の思い出であり、永遠のマドンナなんだと思いますね。変な意味ではなくて、初めて、異性を感じたのは、山川さんだった。初恋が神話化する男性は多いと思うのですが、思春期において、どのような形で、異性という存在を認識したのか、というのは、人間形成の上で、重要だと思います。

彼女は、いつまでも、ハジメのことを悩ますのです。基本的に、ハジメは、彼女に、いつも振り回されてしまう。ハジメが、強い気持ちを持てば、振り回されないわけですが、そこが、ハジメの人間的な弱さと「初恋神話」が相乗効果を発揮して、振り回されてしまうわけです。

ミズキは、ハジメをある程度、理解しようとしていたと思います。もし、ミズキとハジメが出会ったのが、大人になってからであれば、ハジメと美友里との関係のようになっていた可能性もあると思います。ミズキと美友里は、同じタイプだと思います。この人は、実はハジメに傷つけられていなくて、ハジメが馬鹿なことを言った時に、ハジメのことを見捨てたというのが真実だと思います。

結衣は、ミズキ・美友里タイプなのかなと思うのですが、実は、献身的に、愛情を捧げるタイプです。週刊誌の「SPA!」という雑誌で、倉田真由美さんが「だめんずウォーカー」という連載をしていますが、たぶん、その漫画に出てくる女性のタイプ。だから、ハジメは、調子に乗って、愛情の要求水準を上げていくわけです。それで、結衣自身も無理し過ぎて、疲れてしまう。そして、傷つけられてしまうわけです。

山川さんとの違いは、過度に、山川さんが愛情を求める側であり、結衣が愛情を提供する側であるということでしょう。

弥生は、人間の弱さを持っているという点で、山川さんやハジメと同じタイプだと思います。弥生は、ハジメが本質的に、自分と同じタイプだということを見抜くわけです。今回の話では、弥生の過去については、触れていませんが、やはり、愛情を形で求めるタイプ。だから、愛情の不足分を、ハジメで補おうとしたわけです。これは、ハジメも一緒で、結衣の努力に満足できず、弥生と寝てしまうわけです。つまり、仮に、ハジメと山川さんが付き合ったら、このようになるということですね。

美友里は、強い人間であり、自分をしっかりと持っていますね。つまり、しっかりと、my wayがありますから、ハジメに、あまり影響されない。そして、ハジメの内面性を的確に判断している。それが、今一歩、ハジメのことを信じることができない理由なんだと思います。ハジメは気が付いていませんが、本当に、ハジメのことを愛し、ハジメのことを考えているのは、美友里なんだと思います。ハジメが、それに気が付くのが先か、美友里がミズキのように見放すのが先か、ということだと思います。

ーハジメにとって、最も大切にしなければいけない女性とは?

矢尾板:それは、美友里ですね。美友里は、ハジメの本質をすでに見抜いている。その上で、無理のない範囲で、適切な愛情を注ごうとしている。これが理想だと思います。ハジメにとって重要なのは、適切な距離関係だと思います。時に、放置されることも重要なんです。それによって、自分が、どれだけの愛情を注いでもらってきたのかということを考えますから

ーこの物語は、村上春樹作品(「国境の南、太陽の西」)がモチーフになっているとか?

矢尾板:そうですね。「国境の南、太陽の西」は、僕にとって、最も好きな作品のひとつです。村上春樹氏は、「ねじまき鳥クロニクル」の準備運動的に、「国境の南、太陽の西」を書かれたということなのですが、作品の完成度は高いと思います。

ー「今夜、君に夢の中で出逢う」や「半島のさき」とは、作風が、少し変化しています。

矢尾板:最初は、渡辺淳一作品的な要素を入れようと思ったのですが、そのあたりは、諸事情により、今回は避けました。そのあたりを書き込めれば、この作品は、もっと情緒的な深みが出るとは思っています。たぶん、全く違った作品になると思いますよ。

ークライマックスに向けての見どころは?

矢尾板:ハジメと山川さんの関係ハジメと美友里の関係が、どのようになるのか、ということですね。そして、「いつか君にふたたび出逢うときまでに」というメッセージは、誰に向けてのものなのか、ということでしょうか。

ー今後の執筆スケジュールは?

矢尾板:この作品が終わったら、少し、読者側に回りたいと思っています。最近、あまり小説や文学作品を読んでいなかったので、なんとなく、創造力が貧しくなっている感じがしていました。少し、吸収をして、次は、長編に挑もうかと思います。実は、ひとつ、面白いテーマを考えてはいます

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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