[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 6 : スパイ(10)
「このリスト、解雇整理すると、3000万円ぐらいの人件費が確保できる。いま、未来創造研究機構の神崎の報酬は、2500万円。これに500万円上乗せして、神崎の年棒分の3000万円と一致させるようにした。これは、神崎の移籍というのをでっち上げ、真実味をもたせるためだけに、麻衣に作らせたリストだ」と福沢は、リストを佑奈と植村に渡した。佑奈は、「見事ね」と感心し、植村は、「僕も騙された」と、呟いた。
「よっつ。神崎の移籍の件。あんなのは、でっち上げだ。もちろん、神崎は欲しい。でもな、あいつの性格考えれば、お金だけでは動かんよ。上田も、もっと、神崎のことを信用してやれよ、と思う。ただ、この件については、上田も慎重になるだろう。だから、お前に確認させるだろうと思って、もうひとつ仕込んでおいた。解雇整理リストに諏訪の名前を入れておいた。お前の仲良しのな。そこで、お前は、リストに諏訪の名前が掲載されていることを利用して、諏訪に、植村に確認させたんだ」
「そうか、そうだったのか」と植村は言った。
「すべて、それは想像だな。確かな物証があるのか」と言って、安部は、麻衣を睨んだ。
福沢は、笑いながら、「五つ。お前、麻衣に接近しただろう」と言った。安部は、「石川、最初から、福沢と相談の上だったのか」と言うと、麻衣は、「相談なんかしないわよ。あなたが勝手に近づいてきたから、私の判断で対応しただけよ。俊ちゃんに聞かなくても、俊ちゃんが考えていることはわかるわ。私が作っていたリストの意味も。飛んで火に入る夏の虫とは、あんたのことよ」と言い、カセットレコーダーを取り出し、スイッチを押した。すると、昨晩の会話の内容が流れてきた。
「これが、人事異動対象者のリストよ」
「ありがとう、助かったよ」
「あなたが上田のスパイだったとはね」
「そうだよ」
「このリストを手に入ったところで、何をするつもりなの?」
「さあ、俺にはわからないな。全て、上田さんが考えてくれる」
「ふーん」
「福沢のこと、どう思っているんだ?」
「憎んでいるに決まっているじゃない。あの人が落ちぶれていた時、面倒を見ていたのは、私なのよ。いわば、福沢は、ヒモだったの。それが、仕事が見つかった途端、スタッフとは寝ない、と言い出して、私を捨てたのよ。本当に、ひどい男。私は、彼の財布でしかなかったわけ。利用するだけ、利用したのよ」
「俺が抱いてやろうか」
「馬鹿じゃない?何、その気になっているのよ。私は、私のことをいいように利用した福沢に復讐がしたいだけなのよ」
「あとね、上田さんのところの神崎さん、今度、うちのチームに移籍することを了承したみたいよ。それも、上田さんに報告をしておいた方がいいんじゃないかしら」
「ありがとう。助かるよ」
ここで、テープは終わった。
<登場人物>



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