【連載小説】[君は 僕の わがままな 小悪魔? or 天使?] Vol.1:ラブストーリーは突然に始まるの?(4)
僕は、ほのかの顔をじっくりと眺めた。ほのかは、二重で目がクリっとしていた。そして、顔全体は、ふっくらとしている感じであった。ほのかは、「あんまり、ジロジロと見られると恥ずかしいんだけど」と言った。僕は、「君が、とっても、かわいいから」と答えた。僕は、ほのかを眺めながら、全体の感覚として、これまで、僕が好きになってきた全ての女性の外形的な要素を合わせ持っているのではないかというような錯覚に陥った。「好き」になるというのは、やはり、どこかで共通性なり癖というものがあるのだろうか。ほのかを眺めながら、その共通性こそが、ほのか、そのものなのではないかと思ったのであった。
僕は、東京に戻ると、時間もごく普通の日常生活の時間に戻った。僕は、アルバイトで結婚情報誌にコラムを書いていた。コラムの内容は、僕が研究で歩いてきたときに感じたことをエッセイ風にまとめるということだ。僕は、結婚情報誌の編集部に、行くと、砂羽が待っていた。砂羽は、僕のひとつ年下の女性で、結婚情報誌の編集部で編集者をしていて、僕のコラムの担当であった。そして、僕が、好きな女性でもあった。
「ねえ、吉本先生。こんどのコラムは、どこのお話になるの?」と砂羽は訊ねた。
「杉崎さん、こんどはね、京都の話にしようと思っているんだ」と答えた。
「そういえば、先生、先日、京都に行って来たんでしたよね。何か、面白いことがあったんですか?」と砂羽が訊ねた。僕は、ふと、「偶然というか運命というか、自分の好きな人と同じ顔をしていて、同じ体型をしている女性に会うことがあるなんて信じられる?」と、つい言い出しそうになった。しかし、それを、特に、砂羽にだけは言ってはならないと思った。これと言った理由は、特に思い当たるわけではないが、とにかく、京都で、ほのかに出逢ったことは、絶対に、知られてはならないと思ったのであった。
僕は、とぼけたふりをして、「今回は、あまり新しいところには行かなかったから、祇園の風習の話でも書こうかなと思っているんだ」と答えた。
すると、砂羽は、「祇園ですか。いいわね。私も、一度、行ってみたいわ」と言った。
「それなら、一度、京都に出張する用事を作るといい。僕の馴染みの店を紹介するよ」と言った瞬間に、なんとなく違和感を覚えた。はっきりとしたことは、全く言えないが、違和感という言葉がぴったりであろう感覚を覚えたのであった。砂羽は、「それは楽しみにしているわ」と言った。僕は、「うん」と答えるだけであった。
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