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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 4 : 信念 (1)

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首相官邸の会見室。

「このたび、総理大臣を拝命いたしました温水康一郎です。本日、組閣を実施いたしました。安土前総理の突然の退陣に伴い、政治空白を作ってしまったこと、まずは、与党の責任者として、国民の皆さんにお詫びを申し上げます。私の内閣は、構造改革推進内閣であります。我が国の将来のために、粉骨砕身、構造改革に取り組んでいくつもりであります。なにとぞ、よろしくお願い申し上げます」

「総理。毎朝新聞の吉井です。まずは、年金問題について、安土総理は、年金制度の安定のため、政治生命を賭けるとまでおっしゃられていた。総理は、どのような意気込みをお持ちでしょうか。」

「年金問題についてですが、できうる限りの努力をいたしたいと思います。政治生命を賭けると言えば、格好が良いのでしょうが、それを言って喜ぶのは、マスコミの皆さんと野党の皆さんだけでしょう。私は、皆さんを喜ばせるために総理になったわけではないし、総理の職責も、私の政治生命も、年金問題だけに賭けるわけにはいかない。問題は山積しているのです。私は、そこまで自信家ではありませんよ」

「総理。読産新聞の田丸です。先日の参議院選挙で与党が大敗し、衆議院では与党が多数、参議院では野党が多数と、いわゆるねじれ現象が起きており、民政党は、政府の法案について、納得した法案でない限り、参議院を通さないと言っています。この点について、どのようにお考えですか」

「民政党さんは、これから参議院に法案を出してくることでしょう。しかし、私ども与党は、参議院では過半数を持っていないけれど、衆議院では過半数を持っている。民政党さんの法案が、仮に、参議院を通ったとしても、衆議院では、我々が納得しない限り、その法案は通過しない。すなわち、法案は成立しないのです。ゲーム理論で言えば、非協力ゲームである限り、法律がひとつも成立しない可能性がある。それが、本当に、あるべき政治家の姿なんですか、と、私は、民政党にお訊ねしたい。私は、そうではないでしょう、と。協力できることは協力しなければいけないでしょう、と。私たちは、何のために、政治家であり、政治の世界で仕事をしているのか、と言えば、日本のために、国民の皆さんのために仕事をしているわけですから、そのあたりは、しっかりとご理解をいただかなければ困る、そうでなければ、現在の国会の状況は、子供に危険なおもちゃを与えてしまっただけに過ぎないと危惧しています」

この記者会見の模様を、福沢は、公共政策研究所の自室で、佑奈、麻衣、植村、吉沢とともにテレビで見ていた。吉沢は、これまで政策秘書を務めていたが、新たにチームに加わったのであった。

「温水という男、なかなか、したたかな男だな」と福沢は言った。

佑奈は、「安土総理の突然の退陣も驚いたけど、さすが、民自党ね。2週間ほどで、さほど、混乱もなく、新しい総理を選出してくるなんて」と腕を組みながら言った。

「温水という男、民自党の最後の切り札ですよ」と吉沢は言った。「彼を総理にするということは、それだけ、民自党は追い込まれている。ここで一か八かの勝負だということでしょう」と、吉沢は続けた。

佑奈は、「これで、解散・総選挙は近くなったかしら」と言うと、福沢は、「いや、遠くなっただろうな」と言った。
テレビ画面の中では、ちょうど、解散・総選挙に関する質問が出て、温水総理が答えようとしていた。

登場人物

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (10)

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「関西の経済界の重鎮は、そのNPOに激怒したわ。しかし、福沢の解雇は取り消されなく、職を追われた。関西の経済界の重鎮は、福沢のために、祇園の季節というお茶屋さんで、新しいグループを作ることにした」と麻衣は言うと、佑奈は、「だから、彼は、祇園に入り浸っていたのね」と言った。

「この研究所に来たとき、福沢は、季節のツケは、すべて研究所に回すようにしたって、冗談で言っていたでしょう。でも、実際には、請求は来なかったはず」

「確かに、経理からも細川常務理事からも、何も聞いていないわ」

「クリスマスイブの日、私と福沢は、部屋の中で、二人だけのクリスマスパーティーをした。特別な料理とかは用意しなくて、いつも通りの夕食だったけど、シャンパンを開けた。福沢は、恥ずかしそうに、私に包装紙に包まれた小さな箱をくれたわ。箱の中を見ると、指輪が入っていた」

「確か、9号で良かったよな」と福沢は言った。「この前はごめん。変なことを言って。今は、稼ぎがそんなにないから、安い指輪しかあげられないんだけど、いつの日かは、ちゃんとした指輪を買うから。これから、苦労をかけつづけるかもしれないけど、一緒に、これからもいて欲しい。言っている意味わかるよな?」と、福沢は恥ずかしそうに言った。

麻衣は、指輪を見ながら、涙をこぼした。そして、涙が指輪の上に落ちた。

「ごめん。何か悲しませること言ったかな。何と言えばいいのかな。つまりだ、もう少し、ちゃんとした職に就いたら、結婚しよう」と、福沢は頭をかきながら言った。

麻衣は、指輪を抱えながら、泣いた。そして、「ありがとう」とつぶやいた。そして、福沢は、麻衣の左手を取って、薬指に指輪をはめた。麻衣は、もう一度、「ありがとう」と言った。

「必ず、あなたたちの物語は、ハッピーエンドにしなければね」と佑奈は、涙を溜めていった。佑奈が、麻衣の左薬指を見ると、指輪が輝いていた。それを確認すると、佑奈は、強い決意を固めたように、「私には、それができなかったから、だから、あなたたちは、絶対に」と言った。

そこに、植村がドアをノックし、部屋に飛び込んできた。「今井先生、大変です。安土総理が辞任をするというニュースが速報で出ています」と焦りながら言った。佑奈は、涙を気付かれないように拭くと、急いで、部屋の中にあるテレビの電源をオンにした。すると、テレビでは、「安土総理、退陣表明」という速報が表示されていた。佑奈は、麻衣に、「すぐに、福沢くんを呼び出して。いよいよ、政局が動き出すわ」と言った。

そのニュースを、未来創造研究機構でも見ていた男たちがいた。
上田は、「いよいよ、動きだしたね。これで、解散・総選挙になれば、一気に、民政党政権の誕生だよ。僕たちが、政権を作れるんだよ。ぐふぐふ」と言った。

「その前に、やらなければいけないことがあるね」と言って、電話の受話器を押して、丁寧にひとつずつボタンをプッシュし始めた。電話がかかり、相手がでると、「未来創造研究機構の上田ですが、このたびは、どうも。さて、先日、お話した研究助成金をそちらの研究所に交付する件なのですが」と話し始めた。

登場人物

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (9)

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「彼は、NPOで、週2日ほど、日本の政治経済のニュースの解説を行う市民講座の講師をやって、また、そのNPOのアドバイザーをするという仕事をしていたわ。私も、大学の助手の仕事を紹介してもらって、仕事に就いた。そうして、慎ましいけれど、二人で大切な時間を過ごしていたわ。だけど、ある年のクリスマス前の時期、私の仕事が忙しくなって、彼が家に一人でいる時間が多くなった」

麻衣が自宅のドアを開けると、部屋の中は、空のワインボトルやウイスキーボトルが散乱していた。奥の方で、福沢は、だらしなく、ウイスキーボトルに直接、口を付けて、飲んでいた。

「ねえ!俊ちゃん、何をしているのよ」

「あー、帰ったのか」と、福沢は、酩酊状態で、片手を挙げた。

「飲み過ぎよ。どうしたのよ。こんなにお酒を飲んじゃって」と、空のボトルを片付けながら、麻衣が言うと、福沢は、鼻で溜息を付いて、窓の外を見ながら、「クビになった」と言った。

麻衣は、持っていたボトルを落とすと、「えっ?」と言って、言葉に詰まった。

「上田が圧力をかけてきた。こんど、未来創造研究機構がNPOに助成金を出すんだってさ。年間1億円の助成金。その条件が、俺を解雇することだと言うんだ。そら、年間1億円だぜ。NPOにとっては、活動資金は喉から手が出るほど欲しい。結果は日を見るより明らかだよな」と言って、福沢は苦笑した。

「なあ、なんで、お前は、俺と一緒にいるんだ。こんな落ち目の俺と一緒にいたって、幸せにはなれないぜ。もっと、お前のことを幸せにできるいい男を探した方がいいんじゃないか」

福沢は、ウイスキーを飲み干すと、

「麻衣、別れよう」と言った。

麻衣は、言葉を失い、呆然と福沢を見つめるだけだった。その眼には、力がなく、麻衣は、福沢が言った言葉の意味を、すぐには理解できなかった。

「何を言っているのよ」と、麻衣は、つぶやいた。

「やっぱり、俺は、もう現場には戻れないみたいだ。俺は、夢を諦めるしかないみたいだ。上田の狙いは、俺だけだ。今回の件を見れば、上田は、本気で、俺をパージしようとしている。だから、俺と一緒にいれば、お前も苦労することになるし、たぶん、まともな職には就けないだろう。俺の夢、お前に委ねるよ」と言った。

「ねえ、俊ちゃん。何を言い出しているのよ」と、麻衣は、涙を流しながら、つぶやいた。

「あなたが一緒にいなければ、何も意味はないのよ。あなたの夢は、私の夢でもあるけど、それは、あなたと一緒でなければ意味がないの。あなたと一緒なら、苦労をしたって、ちゃんとした職に就けなくてもいい。贅沢をしなければ、暫くは、生きていくこともできる。別にいいじゃない。上田なんか、関係ないわよ。何を失ってもいい。あなたと一緒にいられるのであれば、それだけで幸せなの」と、麻衣が言うと、福沢は、黙って、天井を見上げた。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(20)

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「あなたは、一人っ子でしょう。もしかすると、あなたは愛されることに慣れ過ぎていて、自分のことも、他者のことも愛することに慣れていないのかもしれないわね」

僕は、一週間前の早朝の新宿で、山川さんと話したことを思い出していた。山川さんは、「私は、他者依存症なのよ」と言った。「いつも誰かに頼っていたいのよ」と言った。その言葉は、山川さんだけのことではなく、僕自身にも当てはまることなのではないかと、美友里の話を聞きながら思った。

「私は、自分自身のこと好きだし、愛しているわよ。だから、自分の価値とか哲学とか、感じたこととかを大切にしたいと思うし、それは誰にも邪魔はされたくない。その点については、私は、誰にも支配されたくない。」

「わかるよ」と、僕は言った。

「あなたにとって、重要なことは、自分を愛する指標を、自分以外の他者に求めないということなのではないかしら。他者からの評価、立場、さまざまな外見性、そうしたもので、自分への自信を推し量ろうとするから、あなたは、いつまで経っても、自分のことを愛せないのよ。あなたは、他者を好きになるときには、相手の内面性を、しっかりと見つめられるのに、自分のことは、自分の内面性を、うまく捉えられないのではないかしら」
美友里の話を聞きながら、僕は、山川さんと僕は似ているのではないかと思った。僕にとって、山川さんは、僕自身を映し出す鏡なのかもしれない。僕は、山川さんの中に、僕自身を見ようとしているのではないかと思った。

「ねえ、美友里。僕は、僕について君の言っていることは、たぶん、当たっていると思うよ。僕は、他者を愛するふりをして、実は、自分のことを愛そうとしていただけに過ぎないのかもしれない。だから、相手のことを、尊重して、信じて、本当に愛していなくて、ただ、自分勝手に、自分を愛そうという気持ちを、相手に押し付けようとしていただけなのかもしれない。」

「もちろん、僕は、君にもっと逢いたいと思うし、一緒に、いろいろなことを感じていきたいと思う。二人で共有する思い出を増やしていきたいと思っている。」

「それは、私も、そう思っているわよ」

「僕は、これまで、他者を信じられないのは、自分に自信がないからだと思った。でも、それは、多くの中のひとつの要因に過ぎなくて、自分に自信がないのは、他者を信じられないから、ということもあるのかもしれない」

「それは、にわとりが先か卵が先かという感じね」、と美友里は言った。

「だから、僕が、いま、できることはひとつだと思う。君のことを、心から信じたい。」

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (8)

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「本当に、彼のことを愛しているのね」と佑奈は言った。「私は、一緒にいられることで幸せだったけど、やはり、彼には、日のあたる舞台で輝いて欲しかった。でも、あのとき、それを求めたら、彼は、もっとひどくなっていたと思うの。もしかすると、死を選んでしまっていたかもしれない。それほど、彼は追い詰められていたわ。だから、あのときは、ただ、彼が生きていて、そして、私の傍にいることだけで良かった」と麻衣は、言った。

「その後、関西の経済界の重鎮の一人から誘いがあったわ。地域のNPOの政策アドバイザー的な仕事をしてみないかって」と麻衣が言うと、「それで、京都に住むことになったのね」と言った。
「最初は、彼は仕事を引き受けたくないと言ったわ。政策とかに関わる仕事はしたくないって。最後は、必ず、裏切られるって。裏切られるぐらいだったら、最初からかかわりたくないって。でも、私は、とにかく、やってみなさいって言ったわ」

テーブルをはさんで、福沢と麻衣は座っていた。麻衣は、お茶を入れていた。

「裏切られたっていいじゃない。私たちには、どうせ失うものは何もないんだから、裏切られたって、何も失わないわよ」と、麻衣は言った。

「でも、精神的なショックは受けるだろ」と福沢は言った。

「それは、そのときよ。そのときは、私が、いつでも癒してあげるんだから、とにかく、少しずつでも仕事を始めなきゃ。仕事をしなければ、お小遣いはあげないわよ」と、麻衣は、諭すように言った。

「俺の金を全部、お前に任せなければ良かった」と、少し悔やむように福沢は言った。

「ほら、話は決まりよ。京都に引っ越しよ」と麻衣は言うと、「なんだか、知らない間に立場が逆転して、尻にしかれているような気が」と福沢がつぶやくと、「なんか、言った?」と少し怖そうに、麻衣は言った。福沢は、「何も言ってませんよ」と言って、お茶を飲んだ。そして、福沢と麻衣は、お互いの顔を見つめあいながら笑った。

登場人物

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独立行政法人改革と市場化テストと安倍内閣の負の遺産

本日は、独立行政法人改革と市場化テストに関する議論の状況についてお話を伺った。
お話を伺って、考えたことをメモしておくことにしたいと思う。(少し、ゆっくりと考えて、いずれ文章にはまとめたいと思う)

・独立行政法人改革の意義は、何か?
事務事業の見直し、すなわち、広い意味での政府の政策の見直し、なのか、それとも、政治的なパフォーマンス、つまり、単なる数合わせなのか

・監事の任命、事後評価を内閣に一元化した場合の実効性は担保できるのか?
誰がどのようにどのような基準評価するのか。

・どのような評価をしていくべきか。
私は、やはり、(1)実施法人(2)研究法人は、分けて考えるべきであると思う。
(1)実施法人については、事業そのものの見直しが重要であるので、その点を、定期的に、「なぜその事業は必要なのか」という点からの見直しをしていくことが重要だろう。

(2)研究法人については、事業の見直しではなく、予算の適正使用研究活動がしっかりと行われているかなどのガバナンス面のチェックが重要であり、研究成果の評価については中長期的に見ていくべきであろう。
また、研究活動についての優位性としては、「研究成果の政策立案・形成への貢献」というところにあり、政策現場と研究を結ぶプラットフォーム的な研究機関であることが望ましいので、その点の評価を積極的に行っていくべきであろう。

今回の独法改革は、安倍内閣の負の遺産のひとつであると感じている。もちろん、改革を行っていくことは重要である。しかし、8月の閣議決定で、年内に全ての独立行政法人を見直すということになったのだが、それは言うまでもなく無理な話である。有識者会議では、2か月程度の間に、1回の会議で3つの法人のヒアリングなどを行ってきたが、それで、適正な見直し作業はできないだろう。
事務事業を見直していくのであれば、3年間ぐらいは使って、じっくりと評価をしていくべきである。安倍総理からの指示を受けて、渡辺大臣自身が目を丸くしたというのは、当然である。

このように考えると、安倍内閣の負の遺産は多い年金記録問題も、蓋然性が低いのに、2008年3月までにすべての照合を終えると言ってしまったから、それが、いま、福田内閣に重くのしかかっている

この他に、財政健全化や税制改革もそうである。もし、昨年から、しっかりと議論をしておけば、景気の良い間に、何らかの対策ができていたかもしれない。その好機を逃してしまった感がある。これから景気が悪くなれば、財政健全化も税制改革もできなくなる

昨年から、私は、財政再建、税制改革の必要性を訴えてきた。もちろん、歳出削減(5年で17兆円程度)を先に行った上で、抜本的税制改革(消費税増税、法人税減税、所得税減税、資産税増税)である。しかし、景気が悪くなる中で、増税はできないだろう。

安倍内閣の失敗は、すでに昨年から始まっていた。このツケは、いま、さまざまな形で、重くのしかかっている

新しい経済成長戦略財政再建戦略が必要だ。
そのために、現在、「日本の進路と選択(通称:矢尾板構造改革プラン)2008」を策定中である。1月上旬には、次世代キャビネットで閣議決定をしたい。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(19)

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「そんなことはないよ」と、僕が言うと、「本当かしら」と、美友里は答えた。

「別に、あなたに、他に好きな人がいてもいいのよ。それは、あなたの自由だし、あなたの価値観を否定するつもりはない。でも、私は嫌なの。私は、私が付き合っている相手に、私以外に好きな人がいるというのは嫌なの。それは、私の価値観なのよ。私の言っている意味、わかる?」

「わかるよ」と、僕は答えた。

「もし、あなたに、他に好きな人がいるのであれば、私は、あなたと付き合えないということよ。たぶん、あなたって、異性として好きになるのではなく、人間として好きになるタイプなんだと思う。性欲とか、外見的なこととか、そういうことではなく、もっと内面的な部分を好きになるのだと思う。そして、フィーリング。ファーストコンタクトのときに、何か、心の中で走る電気のようなものを信じるタイプ。だからこそ、異性としてではなく、人間を愛せる人なんだと思うの」

「そうかもしれないね」

「あなたは、他者から愛されていないと生きていけない人。自分に、自信が持てず、自分のことを愛そうと努力をしているのだけど、なかなか自分のことを愛せない。あなたにとって、自分のことをどれだけ愛しているのかということを量る指標は、他者からどれだけ愛されているのかということ。だから、いつも、あなたは、他者から愛されていないと、自分に自信を持てない。だから、他者から愛されることで、自分を愛そうと、自分を他者に愛してもらおうとするのだけど、それは、他者にとって迷惑な表現であったりするから、ますます、他者から愛されない、それゆえに、自分への自信をますます失ってしまうという悪循環が起きてしまう」

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (7)

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「その後、私たちは、旅に出ました。職を探すというより、負け犬同士、行き先もなく、ただ彷徨うように。そして、夜は、お互いの傷を舐め合うように、お互いを求めた。そんな日々が長く続いた」

浜辺で、海を見ながら、福沢と麻衣は肩を寄せ合って、座っていた。

「ねえ、俊ちゃん。私、いま幸せよ。もちろん、東京にいたときも幸せだったけど、こうして一緒にいられるのであれば、どんなところでも幸せ」と、麻衣は言った。福沢は、「ごめんな」と謝った。麻衣は、その言葉を聞いて、少し、きょとん、とした感じになった。福沢は、「何、驚いているんだ?」と言うと、「俊ちゃんが謝るなんて、初めてだから、びっくりしちゃった」と答えた。福沢は、少し恥ずかしそうにしながら、「そうだっけ?」と言うと、「そうよ。女性と遊んだり、家に連れ込んで寝たり、いつも、私を悲しませていたのに、ごめんね、の一言もなかったわ」と笑った。福沢は、「本当にありがとうな」と言った。麻衣は、「いいの。いま、こうして一緒にいられるだけで、私は、それだけでいいの」と言って、福沢の腕に絡みついた。

「本当に、ひどい男ね」と、佑奈は言った。「はい。本当にひどい男ですよね」と、麻衣は笑った。「あのとき、彼は、誰かに助けて欲しかったんだと思う。誰かに甘えたかったんだと思う。だから、性欲とかそういうレベルではなく、人間のぬくもりを欲していた。そのためだけに、女性と寝ていた。あのときの、彼の「ごめん」の本当の意味は、今でもわからないのよ」

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(18)

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僕は、「わかるよ、山川さんの気持ち」と答えた。

山川さんは、「ありがとう」と言った。

「でもね、僕と山川さんの間には、お互いに知らない10年ほどの月日がある。僕は、中学生のときの山川さんは知っているけれども、今の山川さんは、ほとんど知らない。それは、山川さんも同じなんだと思う。ひとつ、僕が昔から、山川さんに対して、思っていたことがあるんだ。それは、山川さんは、きっとさみしがり屋で、誰かが側にいてくれることを、いつも求めているのではないかということなんだ」

「そのとおりよ」と山川さんは言った。「私は、他者依存症なのかもしれない。誰かに、いつも頼っていたいのよ」と、悲しそうに言った。

「僕は、それがいけないと言っているわけではないだよ。僕が言いたいことは、もう少し、お互いの現在を知ってから、選択をしても良いのではないかと思うんだ。だから、まずは、中学の同窓生として、良い友人になろうよ」と言った。山川さんは、「そうね。うれしいわ」と答えた。

一週間後、僕は、美友里とデートをしていた。美友里は、「ねえ、ハジメくん。私の他に、好きな人とかっていないわよね」と突然、訊ねてきた。僕は、戸惑った。美友里は、山川さんのことを知っているはずはないし、僕は、この前、山川さんと会って話したことを美友里は知るはずもないと思ったからだ。

「ねえ、なんで、そう思うの?」

「特に、確信があるわけではないけど、なんとなく、そう思うのよ」

そして、僕が「そうなんだ」と答えると、「すぐに否定しないところを見ると、やはり、他にも好きな人がいるみたいね」と意地悪そうに、美友里は言った。

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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連載小説人物相関図

連載小説「Team Policy Dragon」と「いつかふたたび君に出逢うときまでに」の人物相関図を作成しました。
もし、「今夜、夢の中で君に出逢う」と「半島のさき」の人物相関図をご希望の方がおられましたら、コメントください。

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別ウインドウでTeam Policy Dragon 人物相関図(Advocacy 4まで)を見る

Team Policy Dragon 登場人物

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別ウインドウで、いつか君に再び出逢うときまでに 相関図を見る

(登場人物紹介)僕(ハジメ)を取り巻く人々

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (6)

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「私が家に帰ると、女性の香水の匂いがしました」

麻衣は、薄暗い部屋の中で、ベッドに寝ている福沢を見ながら、呆れたように、「先生、また、女の人を連れ込んだでしょう」と言った。福沢は、麻衣の言葉を聞かないようにしていた。

「女の人と遊んだり、寝たりすることについては、私は何も言いませんけどね。でも、この家に連れ込むのはやめてもらえませんかね。一応、同居人がいるわけですし」と麻衣は、部屋に散らかった衣類を片付けながら言った。福沢は、寝ころびながら、とぼけた感じで、麻衣のことは見ずに、鼻で溜息を付いた。

「いま、あなたが辛いこともわかるし、悔しいこともわかる。その気持ちを、女の人と遊んだり、女の人と寝たりして紛らわせたい気持ちはわかります。あなたの気持ちを、一番、理解しているつもりなのは、私なのよ。私だって、悔しいし、辛いの。でも、私は、あなたの傍にいられれば、それだけでいいの。でもね、やっぱり、この目で、この感覚で、あなたが他の女性と寝ていたことを知ってしまうことは辛いのよ。私の気持ちを、あなたは考えたことはあるの?」と、麻衣は、涙を流しながら言った。

麻衣は、ベッドで寝ている福沢の近くに行き、福沢の姿を見ながら、「あなたが、どんな酷いことをしたって、私だけは、あなたのことを信じている。どんなことをしても、私はあなたが好きで、永遠に傍にいるから。そして、もう一度、あなたが日のあたる舞台で堂々と輝けることを信じている」と言った。

すると、福沢は麻衣を見上げて、麻衣の左手をつかみ、ベッドの上に引き込んだ。麻衣は、崩れるように、ベッドの上に倒れこむと、福沢は、麻衣の口唇に、自分の口唇を重ねた。麻衣は、涙をひとつ、ふたつ、溢しながら、「ねえ、自分のスタッフとは寝ないというのが、あなたのポリシーだったんじゃなかったの?」と言った。福沢は黙っていた。麻衣は、福沢が答えなくても、この行為が何を意味しているのかを、よく理解した。そして、もう一度、福沢は麻衣とキスを交わすと、麻衣の激しく身体を求めた。

登場人物

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決戦は3月

Team Poilicy Dragonも第3話(Advocacy 3)まで進みました。Advocacy 3では、主人公の福沢と麻衣の過去についてのお話です。"Team Japan Creation"で、上田と福沢との間に、何が起きたのか、という話は、もう少し先で明らかになってくると思います。また、個人的に気になるのは、佑奈と神崎の関係。Advocacy 2では、結婚を約束した恋人関係であったことが明らかになりましたが、なぜ、別れてしまったのか。神崎は、まだ佑奈に想いを寄せているようでもあり、それが、物語に、どのように影響を与えていくのか。バックグランドのストーリーにもご注目ください

さて、民主党の税調の2008年度税制改革大綱では、将来の消費税引き上げを示唆する一文が入りそうだとか。いよいよ、抜本的税制改革のデザインをめぐって、自民党と民主党のアイディアが競い合えるようになりそうです。

次期通常国会の決戦場は、道路特定財源に関する攻防になるでしょう。また、地域間格差の是正対策なども焦点になりそうです。

Team Policy Dragonでは、実際の政策議論に合わせた形で、物語が、来週から始まるAdvocacy 4から、いよいよ進行する予定です。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(17)

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山川さんは、「そうね」と言った。

「僕は、もしかすると、あのとき、大きな勘違いをしてしまったのかもしれない。そして、その勘違いは、少なくとも、僕と山川さんの人間関係において、将来的な可能性を、ひとつ、失わせてしまった」と言った。

山川さんは、「もしかすると、その勘違いがなければ、私たち、付き合っていたかもしれないわね。今頃は、結婚とかしていたりして」と笑った。

「幸せな結末は、そういうストーリーだろうね。でも、もしかすると、その勘違いがあって、付き合わなかったから良かったということもあるかもしれない。一度、付き合って、お互いに傷つけ合って、お互いに不幸になってしまった可能性も否定できないわけだし。そういう意味では、過去が重要なのではなくて、現実の、現在の状態を受容して、そこから、未来に向けて、次の選択を考えることの方が重要なのかもしれない」

すると、山川さんは、「ルックフォワードが重要ということね」と言った。僕は、「難しい言葉を知っているね」と言うと、「一応、経済学部を卒業したから」と笑った。

「ねえ、ハジメくん。私は、今でも、あなたのことが好きよ。もちろん、これまで、何人かの男性と付き合ってきて、いろいろな経験をしてきたわ。その瞬間では、「この人が最も愛すべき人だ」ということを思ったこともある。でもね、冷静に考えてみると、私は、あなたのことが、ずっと、ずうっと好きだったの。こうして、大人になって、偶然に会えたのも、きっと、偶然ではなく、運命なのではないかなとも思える。だから、もっとあなたのことを知って、そして、あなたのことを愛したいの」と、山川さんは言った。

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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独立行政法人整理合理化計画についての談話

昨日(12月24日)、「独立行政法人整理合理化計画」が閣議決定されました。本日の朝刊を見ると、予算の政府案については、大きく取り上げられていますが、「独立行政法人整理合理化計画」については、あまり取り上げられていませんでしたこれは、なぜでしょうか?

・「独立行政法人整理合理化計画
独立行政法人整理合理化計画のポイント
・「「独立行政法人整理合理化計画」策定に関する談話

私は、改革にあたっては、量的な改革より質的な改革が重要であると考えております。つまり、数減らし・数合わせが重要なのではなくていかに、独立行政法人制度をうまく活用し、問題点を修正するか、ということです。動学的に考えれば、制度は不完全なものですから、問題は常に発生するわけですから、それを、修正していくことが重要です。

今回の整理合理化計画は、質的な改革として、1.業務運営の効率化と、2.ガバナンスの強化が盛り込まれました。この点については、次期通常国会で、独立行政法人通則法の改正という作業が行われることでしょう。

独立行政法人には、独立行政法人の意義もあるし、役割がある。独立行政法人だからこそ、できることもあります。その点で、独立行政法人制度は重要だと思っておりますし、この制度を、もっと活用をしていくべきであると考えております。

しかし、マスコミや政治等々の関心は、どうしても量的な部分や感情論に目が行ってしまいがちで、どうしても本質的な改革から議論が外れがちになり、本当に必要なことが見えなくなってしまいます

独立行政法人の改革は、数減らし・数合わせをすることが重要なのではなく、大きな政策のグランドデザインの中で、独立行政法人という制度を、もっと有効に活用できるような仕組みづくりという意味での発展的・建設的な議論をすることが重要であり、それは、マスコミの責務であり、国民の責任であると思います。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (5)

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「突然、辞表を出した彼は、何も言わず、私たちの前から消えました。携帯電話に電話をしてもつながらず、もちろん、メールをしても返事はありませんでした。数日後、上田に呼び出されたチームメンバーは、”Team Japan Creation”の解散を告げられました。上田は、未来創造研究機構に残りたい者は残れ、と言いましたが、明らかに、自分に歯向わない人物を選んでいました。また、少しでも自分よりも優秀な人物だと思った人間は、率先して閉職に追い込まれました。私自身は、上田に、福沢との関係が近いということを知られていましたから、契約を解除されました。契約を解除された日、私は、福沢の家に行くと、家の中には、明らかに女性と寝た形跡がありました」

「福沢くんは、家にいたの?」と佑奈は言うと、「はい。不精ひげをはやし、ベッドに寝ていました」と麻衣は答えた。

「それから、彼と私は、ずっと一緒にいました。さまざまな地方に出かけ、さまざまな研究機関を訪ねた。しかし、どの研究機関も、上田からの連絡が来ていて、福沢は相手にもされなかった。そのうち、彼自身も政策に関わる道を諦めようとした」

「生活のお金はどうしていたの?」と佑奈が訊ねると、「その心配はありませんでした。それは不幸中の幸いと言うか、彼は、未来創造研究機構時代の年収は2000万円。しかも、忙しかったから、そのお金を使う時間はなかった。お金の余裕はあったんです。贅沢をしなければ、私の預金と合わせれば、何年も生きていくことができた。だからこそ、私たちは、夢を諦めずにいられたんです」と麻衣は言った。「しかし、彼は、ついに夢を諦めかけた。あれは、やはり雨が強く降る夜でした」

登場人物

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だんだんと太っていく・・・

先日、ぼくは、誰に似ているかということで、サッカー日本代表の岡田武史監督、という意見や、椎名桔平、小池徹平等々の意見が出されました。

あと、先日、友人が大学の卒業アルバムを持ってきてくれました。自分でもびっくりするぐらい、痩せております。当時の体重は、50kg台前半でしたからね。55kgまで行けば、少し太ったなぁ、という感じでした。

そこで、少し、体重の変遷を写真を通じて見てみることにしました。

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↑これ、2003年1月頃の写真です。ちょうど、このころ、RIETIのリサーチアシスントになりました。5年って、短いようで、長いですよね。写真は、タイの商務省で、撮影されたものです。タイ商務省の情報通信局長との記念写真から切り出しました。

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↑これ、2003年8月の写真ですね。関西大学で行われた政策分析ネットワークのサマーキャンプでパネリストをしている時の写真です。このころは、政策分析ネットワーク事務局長補佐という肩書でした。

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↑これ、2005年5月の写真です。米国ジョージメイスン大学公共選択研究センターに行った時の写真です。このとき、体重は、60kg~65kgぐらいだったと思います。このあたりから太りだしたんですね。

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↑これ、2007年2月の写真です。ブリュッセルで撮影しました。このときが体重がMAX状態で、70kgを超えていました。ダイエットしなければ、しなければ、という状態でした。

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↑そして、現在。68kg。太っているところも気になりますが、なんとなく、急激に老けた感じがするのは、ぼくだけでしょうか。まだ、28歳なのですが、老けてます。。。帽子がダメなのかな。もう少し、若さを出していかなければいけませんね。

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↑ちなみに、最近、mixiとかで使っている写真は、こちらです。

やっぱり、メガネと帽子と服装か。。。
ということで、ファッション・コーディネートのカウンセリング、よろしくお願い申し上げます。

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街を歩こう:白川郷をゆく

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さて、keyfunさんに、車で、岐阜県の白川郷に連れて行っていただきました。
富山から白川郷まで、約1時間30分ぐらいでした。東海北陸自動車道のおかげで、かなり、時間は短くなったようであります。まだ、全線開通はしておらず、富山からは白川郷までとなっており、そこから、スーパー林道を経て、再び、高速自動車道に乗れば、岐阜市まで行けます。たぶん富山からは、3時間ぐらいで行けるようになるのではないでしょうか。いまだと、金沢周りになるので、かなり、ショートカットできますね。北陸新幹線の動向とともに注目です。

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白川郷では、昨日、お伝えしたように、田んぼとは知らず、突然、田んぼに車が落ちてしまう事件がありました。
雪というのは、いろいろなものをかき消してしまうので、やはり怖いですね。小泉総理が、「人生には3つの坂がある。上り坂もあれば下り坂もある。そして、まさかという坂だ」と言ったのは、記憶に新しいわけですが、まさか、その坂に、白川郷で出逢うとは思いませんでした。

観光客の皆さんからは、かなり注目を集めてしまいました。たぶん、2007年12月23日の白川郷での注目度No.1になったのではないかと思われます。けっこう、指さされたりしました。それに、ざわざわとした感じでした。

お土産屋さんのおじさんが、除雪車を持ってきてくれて、ロープで引っ張ってくれました。除雪車って、すごいパワーがあるのですね。

そこで、助けてくれたお土産屋さんで、お土産を買って、五平餅を焼いてもらうことに。ひと口たべかけて、あっ、写真撮ろうと、撮影したので、先っぽが食べかけです。

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それと、やはり飛騨地方に来たからには、ということで、飛騨牛を食べようということに。
他のお土産屋さんで、飛騨牛肉の串焼きコロッケを買ってみました。

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飛騨牛のコロッケ、ギザオイシス(←「とてもおいしい」という意味。たぶん、中川翔子は、こういう使い方はしないと胸を張って言える自信がある

もともと、白川郷には、温泉に入りに来ていました。たまたま、「白川郷の湯」を発見したため、立ち寄ることにしました。露天風呂が、とっても気持ち良かったです。

そして、飛騨高山まで行って、高山ラーメンを食べるか、それとも、富山に戻り、富山ラーメンを食べるかという選択になり、飛騨高山まで、2時間30分ほど、ナビが弾いたので、富山に戻ることに。

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富山までは、一般の国道を下って行きました。途中で、何箇所か世界遺産の合掌造りを見ることができました。
そして、富山に戻り、富山ラーメン。「大喜」というお店です。本店だと、もっと黒っぽいらしいのですが、ここでは、それを薄めているようです。塩辛いラーメンでギザオイシス(←「とてもおいしい」という意味。だから、中川翔子は、そんな使い方しないって!

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(16)

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「「それだけではない」というのは、どういう意味なの」と、山川さんは訊ねた。僕は、「その日、僕は、山川さんとその男の子が、一緒にいて、付き合っている男女がするようなことをしているのを見てしまったんだ」と答えた。

「付き合っている男女がするようなことって、なあに?」

「それは、あまり、言いにくいんだけど」と、僕は言って、山川さんのことを見ると、山川さんは、上を見上げて、記憶を辿っているようであった。僕は、次の言葉を発するのを止めた。

暫く時間が経つと、山川さんは、コーヒーに口を付けた。そして、

「ねえ、ハジメくん。なんとなく、あなたが言ったこと、わかるわ。それについては、詳しく説明をしたくないのだけど、ただ、ひとつだけ言えることは、私は、ハジメくんが考えているようなことはしていないと思うの。私は、中学生や高校生のときに、そういう意味での付き合いをしていた人はいないわ」と言った。

僕は、「真実は、時にして、事実でないと思う。また、人間関係というのは、往々にして、お互いの勘違いや認識の違いによって悪くなるものだと思う。自分では、そういうつもりではなかったのに、ということが、相手には、大きな誤解を与えていて、それで愛すらも崩壊してしまうことがある。だからね、僕は、いま、恋愛において、最も重要なことは、コミュニケーションなんだと思う。そして、嘘だけは付かないということ。ひとつの嘘が嘘であることがわかってしまえば、嘘がひとつだけでも、全てが嘘なんじゃないかって思って、相手を信じられなくなる」

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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今日は何の日?(→12月24日)

12月24日は、実は、結構重要な閣議案件が出てくる日でもあります。特に、行革関係とかは、12月24日に閣議決定で出されてくることが多い。

今年の12月24日は、来年度予算の政府案と独立行政法人の整理合理化計画を閣議決定した。一般会計の歳出総額は83兆613億円と、若干の歳出増となった。個人的には、5年間で、15兆円程度の削減をしたいので、毎年、3.5兆円程度の削減になるように調整が必要だが、歳出増加。できれば、来年度予算は、80兆円は切りたかった。

この点で、来年度予算の評価については、かなり辛い点数を付けなければならないだろう。成績(A=優、B=良、C=可、D=不可)を採点すれば、極めて、「D(不可)」に近い「C(可)」というところ、つまり、60点というところだ

一方、税収見込みは、53兆5540億円。これも、今後、景気が悪化することを考えれば、税収の微増の予測はなかなか厳しいのではないか。下手すると、歳入欠陥が生じる可能性があり、鈴木善幸さんは、当時の歳入欠陥が明らかになり、総裁選を断念した一因にもなった。

日曜日の日経では、内閣府の見通しで、2011年度のプライマリーバランスの黒字化が達成できないという報道もあった。自然増収では、プライマリーバランスを改善できないため、増税か歳出削減かということになるが、増税は、政府税調の中期答申を待った方が良いと思うので、増税関連の法律が施行するのは、早くても2011年度と思っている。このため、2011年度までのプライマリーバランスの改善のためには、歳出削減を徹底するということが必要だ

ハーバード大学のアレシナ教授などによる研究では、社会保障費や人件費などの歳出削減がOECD諸国のデータによる実証分析では有効という結果になっている。これが、近年の公務員制度改革や行政改革の背景にもなっているわけだが、改革を数量的に捉えるだけではなく、質的にも考えていかなければならないと思う。

今後の政局だが、懸念材料は、たくさんある。予算案については、通ると思うが、予算関連法案は、タマによっては厳しいことも予測される。もし、民主党が、本気で、倒閣・政権交代を目指すのであれば、特例公債を発行するための法律の審議を拒否することになるだろう。そうすれば、新規公債は発行できなくなり、予算は決まれども、執行できなくなる兵糧攻めだ。

もうひとつは、租税特別措置に関する法案審議と、揮発油税の暫定税率に関する法案審議である。特に、後者は、かなりの修羅場となる。

原油高の現在、揮発油税の暫定税率の時限切れになれば、確かに、ガソリンの値段は、15円程度、安くなる。これは、以前に、スタグフレーションの可能性を指摘したが、過去に、スタグフレーションを克服したときは、原油価格の引き下げであったので、この論理からも、暫定税率の廃止する要求の声が高まるかもしれない。
この場合、道路特定財源がなくなることになり、新たな道路を作るということが困難になるという状態も生まれる。
ここで、選択の問題となる。

来年の通常国会は、3月が見どころだ。

来年の通常国会前での内閣改造の声が高まってきているが、内閣府特命担当大臣として、経済財政政策担当と行政改革担当の兼任には、興味があります

独立行政法人の整理合理化計画については、ぼく自身は、独立行政法人制度は好きなので、通則法をうまく活用していくことと独立行政法人の良さを引き出せるようなマネージメントが重要。特殊法人より、社会保険庁が鞍替えする公法人よりも、通則法があるだけ、かなり良いわけだから。

社会保険庁は、もう一度、改革をし直しだろうな。。。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (4)

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麻衣は、タオルで髪や身体を拭いた。そして、涙をもタオルで拭った。麻衣は、部屋の中をよく見まわすと、本や書類、そして、脱ぎ捨てられた衣類などで、部屋の中は乱雑な状態になっていた。

「ねえ、今までは、この部屋を片付けてくれる女性がいたんじゃないですか?」と麻衣が聞くと、福沢は、「忙しくて、相手をすることができなかったら、いつのまにか出て行ったようだな」と言った。そして、福沢と麻衣は、なんともなく笑った。

「ねえ、私と寝てよ。私は、あなたが必要なのよ」と麻衣は言った。福沢は、少し難しそうな顔をして、「それはできない。俺は、自分のスタッフと寝ない主義だ」と言った。麻衣は、「スタッフ?」と、少しキョトンとした感じでいると、「俺も、お前が必要だ。今、進めているプロジェクトに、お前の能力が必要だ。だから、チームのスタッフとして、お前を迎えに行こうと思っていた」と、福沢は言った。

麻衣は、「嬉しいわ。あなたと一緒にいられるだけで、嬉しい」と言って、再び、涙を流した。

「あなたにとっては、男性として福沢くんが必要だと思ったのに、福沢くんにとっては、女性としてではなく、スタッフとして必要だったというわけね。気持はすれ違っているけど、お互いに必要としているという事実では気持ちが通じたというわけね。嬉しくもあり、悲しくもありという感じがするわ」と佑奈は言った。

「私にとっては、どんな形であれ、お互いの気持ちがすれ違っていたとしても、一緒にいることができるということが重要だったんです。しかも、私のことを必要だと言ってくれた。それだけで、十分です」と、麻衣は言った。

「そして、数年間、私は彼と一緒に、”Team Japan Creation”で仕事をした。彼の評価も、徐々に高まり、未来創造研究機構のエースとして認識され、将来の研究部長や専務理事としても期待されるようになった。しかし、研究部長となった上田と徐々に意見が食い違うようになり、そして、チームは解散されてしまった。チームが解散するとともに、福沢は、未来創造研究機構の研究員としての職を追われた。表向きには、辞任という形になっているけれども、辞表を出させられたというのが真実。さらに、上田の根回しによって、福沢を受け入れる機関はなかった。そして、彼と私の二人だけの放浪の旅が始まるの」

登場人物

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自分のふるまいは、知らない間に、他者に影響を与えている

この前、友人に、基本的に「自分大好き人間」だよね、と指摘されました。
いろいろと考えてみれば、確かに、「自分大好き人間」かもしれません。それなので、周りから見れば、自分勝手なところがあったり、はたまた、他人から粗末な扱いを受けると、なんとなく、へそを曲げるのではないかと思います。とりあえず、典型的な一人っ子な感じがします。

さて、粗末な扱いと言えば、先日、友人と忘年会を企画したところ、ある男性は、幹事が誘うと、「メンバーは?」と尋ね、「そのメンバーだったら行かない」といった趣旨の発言で断ったらしいと聞いたとき、かなり「はぁ?」という感じでした。とにかく、かなり、感じが悪いのですが。ぼくの知人のタームを借りれば、「はぁ?っていうかさ、意味わかんないんだけど。で、何が言いたいの?」みたいな感じでしょうか。もうひとりの友人のタームを借りれば、「はぁ?空気読めよ!」という感じでしょうか。まあ、こういう人、めずらしいわけではないのですが、私としては、今後、たぶん、正常な人間関係が構築することは難しい、と判断し、ハードランディングな不良債権処理を実施対象先として認定された模様です。

もっと、「大人な断り方」って、あると思うのですがね。
ちなみに、とりあえず、その忘年会は、このやりとりの影響で、急激にモチベーションが低下し、中止になりました。すなわち、不良債権が発生したので、デッドオーバーハングによるdisorganization問題が起きてしまいました。

最近、けっこう、我慢強くなったと言われておりますが、この案件については、素早く、ドライに、決断をいたしました。

自分の行動なりふるまいが、外部性を有するということは、常に考えなければいけないという教訓を彼は教えてくれました

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三重・富山写真館

さて、詳細は、「街を歩こう」シリーズとして書くと思うのですが、三重県と富山県に行ってきました。

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@伊勢神宮
三重県伊勢市の伊勢神宮を参詣いたしました。

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@ミキモト真珠島
三重県鳥羽市にあるミキモトの真珠島に行きました。三重県のデートスポットらしいです。

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@白川郷
岐阜県の白川郷です。富山から北陸東海自動車道で白川郷まで行くことができます。自動車道が完成すれば、富山から名古屋まで、ぐっと近くなるようです。また、白川郷では、温泉施設もあり、まったりとできます。

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@岩瀬浜
富山県富山市の岩瀬浜です。前は海、横は、立山連峰、後ろに槍ヶ岳と、空気がおいしく癒しポイントです。

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CSDF忘年会

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先日、CSDFの忘年会が開催されました。
イベントは、夏のバーベキュー大会以来でしょうか。

研究チームのフルメンバーが揃うのは、久し振りです。
1年間、おつかれさまでした。
来年も、よろしくお願い申し上げます。

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倖田來未役オーディション:"まろザイル feat shumpei"

さて、このたび、"まろザイル feat shumpei"を結成することになりました。
そこで、"まろザイル feat shumpei"は、Won't Be Longのステージを一緒していただける倖田來未さん役をしていただける方を大募集です。お待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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世界遺産(白川郷)の中心でたんぼに突っ込む

「世界の中心で愛を叫ぶ」ならぬ、「世界遺産(白川郷)の中心で、たんぼに突っ込む」事件が発生しました。
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keyfunさんの運転で、岐阜県の白川郷に行ってまいりました。
白川郷で、飛騨牛料理でも食べようと、駐車場を探しておりまして、細い道に入ってしまい、Uターンをするため、空き地に入ろうとした瞬間、「ばしゃーん」。
前輪は空転し、泥をはねるだけで、フロントガラスが、泥まみれに。

近くのお土産屋さんのおじさんに救出していただきました。

ありがとうございました。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(15)

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山川さんは、僕の顔を眺めながら、僕の答えを待っていた。僕は、少し焦りながら、現時点でもっとも模範的な回答を頭の中で考えていた。

「難しい質問かしら。それとも、私に、何か言えないことでもあるのかしら」

「いや、難しい質問でも、山川さんに言えないことでもない」

「それならば、なぜ、そうやって、焦っているの?」と、山川さんは、僕を困らせるために、あたかも、いたずらをするように、僕に質問をした。

「山川さんは、中学2年生のとき、付き合っていた人はいたの?」と、聞くと、山川さんは、少し顔を上げて、思い出そうとした。そして、少し考えてから、「中学2年生のときは、付き合っていた人はいなかったわ」と答えた。

それならば、僕が目撃した憧憬は、何だったのであろうか。付き合っている相手でもない人と彼女は確かに、あの場所にいたのであろうか。

「僕は、山川さんには、付き合っている人がいると思ったんだ。それで、山川さんのことを諦めた」と、僕が言うと、山川さんは不思議そうに、「ハジメくんは、なぜ、そう思ったの?」と、訊ねた。

確かに、山川さんの疑問は当然である。僕が、山川さんを諦めるための根拠がない限り、僕は、山川さんを好きになり、そして、山川さんには、相手がいると、妄想をして、自分勝手に諦めたということになる。僕は、山川さんに、ちゃんとした形で告白はしていないのであって、山川さんに振られたという事実はないのである。

「ねえ、ハジメくん、なんで?」と、山川さんは意地悪く質問を繰り返した。

「中学2年生のとき、ある日の放課後、僕は、たまたま、山川さんが山川さんと同じクラスの男の子と教室で2人でいるところを見たんだ」と言うと、「そんなの、よくあることじゃない。その男の子が誰かは知らないけど、それだけで、その子と私が付き合っていると思ったわけなの?」と、山川さんは言った。僕は、意を決して、「いや、それだけではないんだ」と言った。

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (3)

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「私は、それから毎日のように、彼の研究室に押し掛けたわ。私にとって、彼の話は、とても新鮮で刺激的だった。彼の研究室で、お茶を飲みながら、彼の話を聞いたり、私の論文の構想を聞いてもらったり、それにコメントをしてもらったり。そして、彼の研究を手伝ったりすることがとても楽しかった。私の中には、彼に恋をしているというより、憧れる気持ちを持っていたわ」と麻衣は言った。

「私が修士論文を提出して、博士課程に進学すると同時に、彼の助手の任期が終わり、未来創造研究機構の研究員になり、大学を去った。当時の未来創造研究機構の研究部長だった山中幸樹さんがリーダーとなって、新しい政策研究・提言チームを作るプロジェクトが計画されていた。その分析とマネジメント担当として、彼がスカウトされたの」

「それが、”Team Japan Creation”の前身なのね」と、佑奈は言った。
「そう、初代”Team Japan Creation”のリーダーは、山中幸樹さん。そして、サブリーダーとして、上田玄三。上田は、当時は、研究推進課というバックオフィスの課長だった。福沢は、チームメンバーとして参加することになった。少しの間、私は、彼と離れ離れになった。今から考えれば、私が彼の傍にいなかったのは、あの1年間だけだった」

「福沢くんが、あなたのことを、チームに呼んだの?」と、佑奈は聞いた。すると、「それは違うわ」と麻衣は、答えた。

「私は、自分の研究がうまくいかずに、ある種のスランプのような状態になってしまったの。何をやってもうまくいかない、そういう悪循環に陥ってしまった。そのとき、彼の存在の大きさということを認識したの。彼は、私が行き詰まりそうになったとき、いつも、私が気が付かないうちに、ヒントを出してくれていた。私は、彼から自立をしなければいけないと思ったし、彼も、そうしなければいけないと思っていたと思うのだけど、どうしても、彼に会いたくなって、彼の家に行った」

福沢のアパートの部屋のドアを、何度も麻衣は叩いていた。外は、雨が強く降っており、麻衣の声をかき消していた。麻衣は、涙を流しながら、ドアに背中を押しつけて、「あなたがいないと、私はだめなのよ」と呟いた。そのとき、突然、部屋のドアが開いた。福沢と麻衣が初めて出会ったときと同じように、福沢は、麻衣の頭から足までを観察した。麻衣は、雨でずぶ濡れになっていた。福沢は、「風邪ひくぞ」、と言って、タオルを麻衣の頭の上にかけて、部屋の中に入れた。

登場人物

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矢尾板俊平動静

富山にて、「構造改革の推進のためには、これから、さまざまな対話をしていき、構造改革の意義、そして改革を行うことこそがオールジャパンで大きなメリットがあるということをご理解いただくという努力をしていかなければならない。説明ではなく、対話、すなわち、コミュニケーションをしながら、将来の日本のための議論をしていくということです。最も重要なことは、将来の明るい展望が開けるような政策論争をしなければならない。これは、政府の責任であり、野党の責任であり、国民の責任であると思います」と語る。

また、石破防衛大臣の発言については、「ゴジラやモスラについては、本当に災害出動なのか。ゴジラやモスラは、災害なのかインベーダーなのか、これを、どう法的に解釈し、定義するのかということも考える必要がある。私個人は、災害出動というより防衛出動ではないかと思う。時にして、遊び心を持って、夢のある話を議論してみるということもあってよいと思いますが、経済政策、年金問題等々、課題は山積していることを忘れてはいけない」と語った。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(14)

1

しかし、いま、山川さんを抱き締めることを、僕はしなかった。なぜならば、僕には、もっと大切なものがあるからである。美友里という僕の最も大切な宝物が。

僕は、高校時代に犯した過ち、すなわち、結衣を愛しながらも、結衣の姉である弥生さんを抱いたこと、それだけは繰り返してはいけないと思った。何も言い訳をすることはできないが、弥生さんを抱いたことは、直接的にも、間接的にも、結衣を裏切ったことに他ならなかった。結衣が、どこまで、僕と弥生さんの関係を知っていたかは、今となっては、知る術もないが、事実として、結衣を裏切ったということには変わりはない。

「ねえ、ハジメくん。あなたは、私を好きになった後、竹内さんのことを好きになったわよね。もし、答えにくければ答えなくてもいいのだけど、なぜ、私よりも竹内さんを選んだの?」と、山川さんは訊ねた。

僕は、あの日、目撃したことを言うべきか、言わざるべきかを悩んだ。単純に、「僕は、あの日、君が違う男の子とセックスをしていたところを目撃して、そして、君をあきらめることにしたんだ」ということを言うべきなのか。それを言うことで、山川さんをさらに傷つけることになってしまうのではないか。そう考えると、山川さんからの質問の答えは、かなり難しいものとなった。僕は、慎重に答えの言葉をひとつずつ選ぼうとした。

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (2)

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「彼に初めて会ったのは、私が学部を卒業して、大学院に入った年の春。米国帰りの新しい先生が助手として採用されたという話は聞いていたわ。大学院に入って、1週間が経った頃、桜の木の下で、桜が舞う中で、桜をじっと見ている男性が立っていたわ。私は、友人と一緒に、その男性の後姿を見ていた。その男性が、福沢俊明だったわ」

「なんで、そんなに桜が気になっていたのかしら。というより、彼に、そんな情緒的なところがあったなんてね」と佑奈は言った。「だって、マディソンの湖の夕焼けでさえ、あまり感動しないで、女の子をナンパすることしか考えていなかったのよ」と、佑奈が言うと、麻衣は、「彼の本当の姿は、心から情緒的な人間で、それを隠すために、変なことをするの。女の子を口説くというのも、それは、そういう「振り」をしているだけで、恥ずかしさの裏返しだわ」と言った。

「初めて、会話を交わしたのは、大学院のサブゼミだったわ。私と友人で、彼の研究室に論文の指導をお願いしに行ったの。私が興味を持っていた研究をしていたので、話を聞いてみようと思った。彼の研究室をノックすると、特に、返答がなかったの。何度もノックしたけど、返答がなかった。たぶん、留守なんだろうと思って、帰ろうとしたとき、眠そうな顔をした彼が、あくびをしながら扉を開けた」

「なに?」と怪訝そうな顔をしながら、福沢は片手で扉を押さえながら言った。

「あ、えーと、私は、博士前期課程の1年生なのですけど、先生に、論文の指導をお願いしたくて、それでお伺いしたのですけど、ご迷惑ですよね」と、麻衣は、焦りながら、そして緊張をしながら言った。

福沢は、少し、麻衣のことを、頭から足までを、じっくりと観察した。麻衣は、緊張を重ねていた。

「ごめんなさい。失礼しました」と、麻衣は、福沢から離れようとすると、福沢は、「まあ、入りなさい」と言った。麻衣は、「いいんですか」と言うと、福沢は、「時間は空いているから」と言った。福沢は、扉止めをドアの下に挟んで、麻衣と麻衣の友人を部屋に招き入れた。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(13)

1

「山川さん」

「なあに? ハジメくん」

「弱い人間でも、その弱さを認めれば、良いことができるんだと思う。それは、他人に優しくなれる。自分が弱いからこそ、他者の弱さを理解してあげることができると思うんだ。僕は、これまで、自分の弱さを認めることができるほど、強くはなかった。だから、他者の弱さを理解することができずに、多くの人々を傷つけてしまってきたと思う。でもね、最近、気が付いたんだ。弱いということは、恥ずかしいことでもなんでもないって。弱いからこそ、できることがあるんだって、思うようになってきたんだ」

「ハジメくんは、成長してきているのね。さまざまな経験を通じて、あなたは、他者の痛みを知り、自分は何ができるのかということを一生懸命に考えてようとしている。私は、子供のころから、少しも成長してきていない。今もこうして、私のハジメくんへの一方的な気持ちだけで、ハジメくんを、こうして引きとめて、迷惑をかけている」

「いいんだよ。誰でもそういう時があってもいいんだ。無理をすることはない。辛い時は辛いと言って、悲しい時は悲しいと言っていいんだ。寂しいときは、ぬくもりを欲しがっていいんだ。自分の気持ちに素直になることが重要なんだと思う。それと、僕は、何も迷惑には思っていない。こうして、久し振りに、山川さんに会って、初めて、こうして、ゆっくりと話すことができるということは、僕も嬉しいことなんだ」

「ありがとう。ハジメくん」と、山川さんは言って、涙をこぼした。僕は、山川さんが涙を拭う姿を、ただ、優しく見守っていた。そして、僕は、山川さんを、この腕で抱き締めてあげたいと思った。今は、ただ、何も考えず、山川さんを強く抱き締めてあげたいと感じたのであった。

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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ニュース速報:「基礎的財政収支の悪化が危惧」@伊勢神宮

本日、伊勢神宮を参拝中に、昨日に決定された平成20年度予算案について、「基礎的財政収支の悪化が懸念材料。歳出増加圧力が高まっているが、pay as you go原則の徹底が重要。歳出削減・歳出改革の旗は守らなければならない。歳出改革を歳入改革の絶対的な条件として位置づけるべきである」と述べる。

また、「日本経済は、いくつかの先行指標から景気後退局面を迎えることが予測される。ただし、物価はインフレ局面に入り、スタグフレーションが起きる可能性もある。心配なのは、金利を適正に上げておくことができなかったので、景気対策として金融政策のチャンネルがどこまで使えるか、ということだ。財政政策のチャンネルもなく、金融政策のチャンネルもなく、と、想定されうる政策対応が、どれも実行困難になる可能性もあるので、平時の間に、対応をあらかじめしておく必要がある。これが2008年第1四半期の基本的な経済政策の柱になるのではないか」と述べる。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (1)

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「ちょっと、ちょっと、待ってよ」と、佑奈は言った。明らかに、佑奈の頭の中は混乱をしているようであった。佑奈は、その頭の中の混乱を、ゆっくりと整理しようとした。

「なんだか、お笑いの「ざ・たっち」の持ちネタみたいですね。ちょっと、ちょっと、って」と、麻衣は笑いながら言った。

「ちょっと、馬鹿にしないでよ」と、佑奈は、少し怒りながら言った。

「あなたたちは、恋人関係にあるのよね」と、佑奈が聞くと、

「今は、恋人関係というより、上司と部下の関係ですね。もちろん、私は、福沢先生のことを愛していますし、これからも一緒にいたいと思っているし、いつまでも付いていきたいと思っています。でも、このチームが出来た時から、つまり、再び、私が福沢先生の助手になったときから、恋人としての関係は持っていないわ」
と、麻衣は答えた。

「ねえ、もし、差支えがないようであれば、あなたたちの関係、いや、あなたたちが歩んできた道を聞かせてもらえないかしら。私が知っている福沢俊明は、米国時代の福沢俊明でしかない。その後、彼が日本に帰国して、再び、京都で会うまでの、彼のことを、私は全く知らないの。その間を知っているのは、世界中で、あなただけだと思うの」

「私は、米国時代の彼のことを知らないわ。私が初めて、彼に会ったのは、彼が米国から帰国してすぐの頃」と麻衣は言った。

「米国時代の彼のことは、あまり知らない方がいいと思うわ。研究者として優秀であることは確かだったけど、研究への情熱と同じくらい女性を口説く情熱も高かったから」と佑奈が言うと、

「それは、私も、よく知っていますわよ」と、麻衣は、笑いながら言った。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(12)

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「自分に自信を持つことによって、あなたは強くなれる。そして、相手を幸せにすることができるのよ。愛とは、求めるものではなく、感じることなのよ。自分を信じることができて、初めて、他者を信じることができるのよ」と、山川さんは言った。

僕は、「山川さんの言っていること、わかるよ」と言った。「でも、なぜ、山川さんは、そう思うの?」と聞くと、山川さんは、「私が弱い人間だからよ。それゆえに、私は、多くの人を傷つけてきた」と言った。

僕と山川さんは、コーヒーに口を付けずに、少しの間、黙っていた。僕は、山川さんに、中学生時代のあの出来事の真相を聞いてみたいと思った。山川さんと男子学生がセックスをしていたところを、僕が目撃してしまったということだ。しかし、それを聞くには、大きな勇気が必要であった。

「ねえ、ハジメくん。私は、あなたのことがずっと好きだったのよ。いつも、あなたの愛情を欲していた。それに気が付いたのは、あなたが竹内さんのことを好きだって聞いたときだったの。それまでは、あなたのことを、からかったりして面白がっているだけだった。それは、好きだとか、そういう気持ちではないと思っていた。そして、あなたが、たびたび、私への気持ちを表現するようになり、それは、うざったく思ったこともあったわ。でも、あなたの気持ちを失ったとき、どうしようもない寂しさを感じたの。なぜだかわからないけど、私は、とても、悲しかったのよ」と、山川さんは言った。

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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2008年の日本経済の課題:スタグフレーションの備えは必要か?

昨日、マクロ経済関連の議論で、来年以降、日本経済は、スタグフレーションの状態になるのではないかという議論になった。

政府の平成20年度の経済見通し(平成19年12月19日閣議了解)では、GDPデフレーターの変化率が0.1と予測されており、いよいよデフレ脱却の期待がもてる。

一方、景気については、日本銀行の『短観』などの予測においては、企業レベルの判断で、業況D.I.の一部に低下をしているなど、景気後退局面に入る可能性も否定できない

この場合、景気後退局面において、物価はインフレ状態ということになり、スタグフレーションが起きる可能性がある。昨今の原油高も、大きな要因として、スタグフレーションの発生に寄与するであろう。

政府の経済見通しによれば、完全失業率は、0.1%の低下であり、失業が悪化するという予測ではないが、スタグフレーションが起きれば、失業が悪化する可能性がある。現在でも、雇用者報酬はマイナスになっており、それが、消費が伸びない要因のひとつとして考えられるが、失業が悪化すれば、さらに、消費を抑制する可能性がある。

インフレーションの中で失業が悪化し、貨幣価値や預貯金の価値が相対的に低下することで、国民生活は、特に、年金受給で生活をされている高齢者低所得層で厳しくなる可能性がある。

この対応としては、サプライサイドへの対応が重要になってこよう。ひとつは、原油高への対応であり、もうひとつは、サプライサイドの生産性の向上のための構造改革である。

また、現在の日本経済は、外需に大きく依存している点が指摘される。これは、国際的な経済状況の変化が日本経済に大きなリスク要因となるということにもつながる。このリスクを緩和させるためには、国内の需要を伸ばすということも重要になってくる。

とは言っても、たとえば、雇用者報酬の上昇を目指すため、企業に過剰な雇用の引き受けを求めることは、企業の業況を悪化させるので、簡単ではない。

今後は、消費税のあり方も含め、「消費」に政策的に注視していくことディマンドサイドの改革も、サプライサイドの改革と同様に重要になってくる。

これが2008年の日本経済の課題であろう。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (11)

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「そういえば、マディソンの湖で飲んだ後、お前と福沢は街の中のバーに出かけていったよな。女の子を絶対に口説くんだ、とか言って。あのとき、成果はあったのか?」と神崎が聞くと、安藤は、「それは内緒だ」と笑った。

「確か、クリーブランド経由の飛行機で、佑奈とはクリーブランドで別れた。俺たち3人はボストン行きの飛行機に乗り、佑奈は1人ニューヨーク行きの飛行機に乗った」と安藤が言うと、神崎は、「あのときが、一番、悲しかったな。俺は、彼女をボストンに連れて行きたかった」と言った。

「ところで」と神崎は前置きをして、「福沢と上田の関係、お前は何か聞いているか」と聞いた。

安藤は、「詳しいことは知らないが、あらかたの話は耳にしている」と言った。

「上田は、心の底からの嫌悪感を持っている。実は、俺が考えた俺のチームメンバーの候補の第一候補は、福沢だった。”Team Japan Creation”のリーダーであったということもあるが、それ以上に、福沢のフィラリストとしての能力が欲しかった。しかし、上田は検討する余地もなく、福沢だけを認めなかった。他は、俺のリストを認めたのに」と神崎は言った。

ー日本公共政策研究所
福沢は、自分の部屋を出ると、植村の後ろに立った。そして、「昨日の宿題、できたか?」と植村に尋ねた。すると、「非ケインズ効果を応用してみると答えが見つかるかもしれません」と言った。福沢は、喜んだ顔をして、「その考え方を、もう少し発展させてみろ」と言って、植村の傍を離れた。植村は、パソコンに向かい、自分の学会論文の作成作業を続けた。

奥のソファには、競馬新聞を顔の上にかけて寝そべっている星野がいた。星野は、植村と福沢の様子をちらっと見ていると、星野の携帯電話が振動した。星野が電話に出ると、「あー、なつきちゃん。どうしたのー」と言い、相手の返答を聞くと、「今日、同伴するの?どうしようかな。あー、でも、暇だから行っちゃおうかな」と言った。

その様子を福沢の部屋から、佑奈は見て、溜息をついた。麻衣は、「溜息ついちゃってどうしたんですか?」と聞くと、「いくら、常識はずれ、型破りなチームと言ってもね」と佑奈は答えた。

佑奈は続けて、「ねえ、麻衣さん。今日、家に帰ったら、福沢くんに伝えてくれる。あなたのこと信じているけど、やっぱり、星野だけはって」と言うと、麻衣は、「福沢先生とは、一緒に住んでいないですよ」と言った。

佑奈は驚いた顔をした。

麻衣は、「福沢先生は、自分のスタッフとは寝ない人ですから」と言った。

佑奈は、麻衣のことを見続けることしかできなかった。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(11)

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「山川さんは、なぜ、そう思うの?」と聞いた。すると、山川さんは、「弱い人間ってね、いつも愛情という名の付いた行為を欲してしまうものなのよ。その行為とは、性的な行為のことではないわよ。もちろん、性的な行為も含まれるかもしれないけど、それがすべてではなくて、見たり、聞いたりする、全ての行為。その行為からしか、愛情を確認できないのよ。だから、いつも、それを求めている。でも、それは間違っているわ。愛情とは、行為で確認をするものではなく、もっと奥底にある言葉では言い表せない温かな何かで感じ合うものなのよ」と言った。

僕は黙って、山川さんの話を聞いていた。山川さんは、続けて、「なぜ、愛情を行為で確認することしかできないのか。それはね、本質的に、自分に自信を持っていないからよ。何よりも強い自信があれば、自分の気持ちは揺るがないわ。自分の信じるものを信じ続けられる強さがあれば、耳元で、心の中の悪魔は囁かないわ。いつも、耳の傍には、心の中の天使と悪魔がいて囁くの。悪魔は、疑心を与え、情緒不安定な状態に導くの。天使は、それを必死に食い止めようとするの。でも、疑念とか疑心というのは、悪夢そのもので、なかなか振り払うことができない。ひとつの疑心から、多くの疑心を生み、心の中を支配する。それを振り払うためには、自分自身が自分に自信を持って、強くならなければならないのよ」と言った。

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (10)

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佑奈は、福沢の部屋に入るなり、「ねえ、なんで、ファンドレイズしなければいけないのよ」と愚痴を溢すように福沢に言った。福沢は、「独自財源を持っていないと、プロジェクトが安定しないからだ。今でも、このプロジェクトを潰したがっている連中、会社の中にもいるだろう。特に、研究常務理事が消極的だ。だから、独自財源を確保することで、少なくとも予算の執行面では、誰にも文句は言わせないようにすることが重要なんだ」

「でも、毎年毎年、数千万も集められないわよ」と言うと、「ファンドを作って、それをローリングすればいいんだよ。その運用益の一部を活動費に回せばいいんだ」と福沢は答えた。

佑奈は、「それでも、相当な額が必要よ」と言うと、福沢は、「もちろん、それは将来的な目標だ」と言った。「1万円からでもいい。5万円からでもいい。金額は問題ではない。ファンドレイズを通して、このプロジェクトの支持者を集めろ。それが徐々に、このプロジェクトの底力になってくる」と福沢は言った。

佑奈は、「わかったわ」と言って、福沢の机の上に目を移すと、1枚の写真が飾られていた。その写真は、湖が夕焼けで染まっている写真だった。

佑奈は、「その写真」と言うと、福沢は、「懐かしいだろ」と言った。「ウィスコンシンのマディソンに行ったときの写真ね」と、佑奈は、写真を手に持ちながら言った。

福沢は、「あの頃は、何もかもが新鮮で、そして、美しく感じることができたな」と言った。佑奈は、「全てを信じることができたわ。そして、永遠という言葉を信じていた」と言った。「あの頃に戻れるのであれば、戻りたいわ」と言った。

「あの頃に戻れるのであれば、戻りたい」と、神崎は言った。神崎と安藤は、バーで飲み続けていた。二人とも、だいぶ、酔いが回っていた。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(10)

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「山川さん。僕は、いま、かなり頭が混乱している」と僕は答えた。山川さんは、「わかるわ。驚くわよね」と言った。僕は、「僕は、確かに、驚いているし、混乱をしている。僕は、中学生の頃、山川さんのことを好きだった。中学生の限られた知識の中で、最大限の想像をして、山川さんのことを好きだと思い、抱きたいと思っていた。山川さんのぬくもりを感じたいと思っていた。でも、僕の気持ちは、山川さんに届かないということを理解して、悲しいけど、自分の気持ちを整理したんだ」と、落ち着いているようなふりをしながら言った。

「知っているわ。そして、竹内さんを好きになり、今井さんを好きになった。しかし、どの女の子とも、その気持ちが成就することはなかった。高校に入ってから、高校の同級生と初めて付き合うことができた」と、山川さんは言った。

僕は、「よく知っているね」と言うと、山川さんは、「ハジメくんのこと、好きだから、ずっと見ていたのよ」と言った。
「ねえ、ハジメくん。あなたって、弱い人間でしょ」と言った。僕は、少しムっとした。なぜ、数年振りに会った人に、そんなことを言われなければならないのだろうかと思った。山川さんは、僕の何を知っているというのだろうか。
しかし、ムっとしたのは、山川さんに言われたからという理由だけではなかった。同じ言葉を、大学の時に付き合っていた女の子にも言われたことがあり、おおまかには、的確な指摘であったからだ。

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きょうの出来事

Shumpei0712092今日は、健康診断に行ってきました。採血検査、尿検査、そして、胸部X線検査、心電図検査などです。心エコーは、やりませんでした。

昨年は、トレッドミル検査なども体験しました。トレッドミル検査とは、酸素吸入マスクを付けて、ランニングマシンの上を走りながら、心電図を見ながら、どれだけ心臓が運動に耐えられるかということを測る検査です。これは、検査をしてて、面白かったです。というのは、自分の運動耐用度がわかるので、どれだけ走り続けると、きつくなるかとか、どのぐらいを超えれば、一定に落ち着くのかというのがわかるので、スポーツをするときに、理論的に無理をしないような運動ができることになります。

さて、連載小説について、登場人物が多くて、混乱するという意見をいただきましたので、登場人物紹介ページを作りました。(ストーリーが進行するたびに更新しているので、見てくださいね

いつか君にふたたび出逢うときまでに
(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

Team Policy Dragon
登場人物紹介:Team Policy Dragon

あと、人物相関図なども作っていきたいと思います。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (9)

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「でも、世界は小さいよな。俺とお前は、大学時代からの同期生。お前と佑奈は、元婚約者同士で、俺と佑奈は、現在は上司と部下の関係だ。そして、福沢とお前と俺は、ハーバード時代の研究仲間。4人でウィスコンシン州のマディソンに言ったとき、一緒に湖で夕日を見たな。あれは、今でも心に残っている。4人で、波止場でビールを飲んだ。ウィスコンシン大学の施設で、学生たちに囲まれて、馬鹿騒ぎをした」と安藤が言うと、「お前と福沢は、ビールのピッチャーを持って、女の子を口説いていたな」と笑った。安藤は、「あれは、福沢が言いだしたんだ」と笑った。

※ウィスコンシン州マディソン
「安藤さん、あそこの女の子に声かけてみましょうよ」と福沢が言うと、安藤は、「それは、グッドアイディアだな」と言って、安藤と福沢は、波止場からテーブルが集まる広場に向かった。佑奈は、「あなたたち、いい加減にしなさいよ」と言うと、神崎は笑いながら見ていた。佑奈は、「きれいな夕日ね、いつまでもこうしていたいわ」、と言うと、神崎はビールが入ったグラスを置いて、佑奈の口唇に自分の口唇を重ねた。

すると、遠くから、「ヒュー、ヒュー」というよう冷やかしが聞こえた。佑奈が目を開けて、その声がする方を見ると、福沢と安藤が笑いながら、佑奈と神崎を見ていた。佑奈は、「冷やかさないでよ」と言うと、福沢は、「二人のお邪魔にならないようにしないとな」と言って、安藤と一緒に、テーブル席にいる女性二人組の方に向かって行った。神崎は、「佑奈、俺が、シカゴでPh.Dを取って、このままハーバードでテニア(永久就職権)を取ったら、結婚をして欲しい」と言った。佑奈は、「嬉しいわ」と言った。「でも、結婚をしても、当分は別居状態かもね。私もニューヨークでPh.Dを取るつもりだけど、論文を出すためには、もう少し時間がかかりそうなの」と、佑奈は言うと、神崎は、「もちろん、わかっているよ」と答えた。佑奈は、「ありがとう」と言って、もう一度、キスをした。

遠くでは、安藤と福沢は、何組もの女の子の二人組に断られていた。

登場人物

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100%の純愛小説を書くための準備運動

Yaoita20070915

-現在、「いつか君にふたたび出逢うときまでに」と「Team Policy Dragon」の2つの小説を同時に連載をしていますが、大変ですか?

矢尾板:大変ですよ(笑)。元々、筆が遅い方なので、けっこう、締切にぎりぎりになってしまったりしまいますね。でも、小説を書くということは、ぼくにとっては、とてもリフレッシュになるんです。だから、無理をしない程度にがんばりたいですね。

ー掲載される時間が、「いつか君にふたたび出逢うときまでに」は、毎日0時、「Team Policy Dragon」が毎日正午となっていますが。

矢尾板:最初は、2つとも、夜中の12時近くで、10分の間隔を置いて掲載していましたが、少しずつ掲載した方が、読んでくれている方にも読みやすいと思って、12時間ごとの掲載にしました。感覚的には、夜、寝る前に、恋愛小説を読んで頂いて、お昼休みに、別の種類の小説を読んでいただければという思いです。

ー「いつか君にふたたび出逢うときまでに」は、恋愛小説としては3作目になります。

矢尾板:「いつか君にふたたび出逢うときまでに」は、実は、準備体操のつもりで書いています。自分で言うのも何なのですが、また、評価はさまざま頂くと思うのですが、自分の中では、「今夜、夢の中で君に出逢う」が最高傑作なんですね。これを超える作品を書かなければいけないと思っています。読めば読むほど、「よく、この小説が僕に書けたよな」と思ってしまったりします(笑)。いま、考えているのは、100%の純愛小説を書きたいと思っています。そのために、まずは、準備運動をしています。やっぱり書きたいのは、村上春樹の「ノルウェイの森」のような作品ですね。

ー、「Team Policy Dragon」は?

矢尾板:、「Team Policy Dragon」は、以前から書きたかった小説のひとつ。僕が書きたいのは、恋愛小説、ピカレスク小説と、政治経済小説の3種類です。昔から、「サラリーマン金太郎の政治経済版」のようなものやThe West Wingのような物語を書きたかったんです。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(9)

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「うん。今なら、ちゃんと言えるけど、僕は、山川さんのこと好きだった」と、僕は言った。すると、「「好きだった」って、過去形なの?」と山川さんは、続けて、いじわるそうに言った。僕は、山川さんの意図を理解することができず、ただ黙っていた。山川さんは続けて、「今は、私のこと、好きではないのかしら」と言った。僕は、少し頭が混乱した。なぜ、山川さんは、僕にこのような問いかけをするのだろうか。

昔から、山川さんのことを理解することは難しかったことは確かだ。僕のことを「かわいい」と言って、からかったりして、いじわるをした。そして、僕が、そうした山川さんの行為を誤解して、僕の気持ちのベクトルを山川さんに向けると、山川さんは、プイと、その気持ちをかわして、別の方向を見ていた。僕は、いつも山川さんとすれ違うことしかできなかった。

「私は、ハジメくんのこと、ずっと好きよ」と言った。僕は、その言葉に対する答えを用意することはできなかった。

「中学生の頃、私はハジメくんに会って、その時から、ずっと好きだったのよ。その気持ちは、ずっと変わっていないのよ」と言った。

山川さんは、僕のことを、中学生の頃のように、からかっているだけなのだろうか。山川さんの言葉を本気にして、僕が山川さんに好意を見せたら、その瞬間に、山川さんは、いつものように、プイと、違う方向を向いてしまうのではないだろうか、と思った。

「ねえ、ハジメくん。私のこと、抱ける?」と、山川さんは、優しく、せつなく、そして甘く囁いた。僕の胸は、高ぶりを覚えるとともに、緊張感で一杯になった。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (8)

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安藤が、地下1階にあるバーに入ると、神崎がカウンターでウイスキーを飲んでいた。安藤は、神崎の隣に座り、バーテンダーに、「同じものを一杯」と言った。神崎は、「呼び出して悪いな」と言った。安藤は、「久しぶりだな」と答えた。「お前とは、大学時代から、けっこう長く一緒にいたよな」と言うと、神崎は、「お前は、親友だった」と言った。

神崎は、「お前のところの新しいプロジェクト、今井佑奈の仕掛けなんだって?」と聞くと、安藤は、「さすがに情報が早いな」と言った。「福沢が、わざわざ宣言しに来たよ。俺たちよりも、素晴らしいチームを作るとな」と、神崎が言うと、「それなりに、やる気にはなっているみたいだな」と安藤が言った。

「ところで」と、神崎は前置きをしながら、「佑奈は元気か」と尋ねた。安藤は、「相変わらずだよ」と答えると、「それならいい」と、神崎は言った。安藤は、「やはり気になるのか」と聞くと、「まあ、それなりにな」と神崎は答えた。安藤は、「それは、佑奈が健康でいるかとか仕事が順調かということか。それとも、佑奈と福沢の関係か」と言うと、神崎は笑いながら、「もちろん、そのどちらともだ。佑奈と福沢の関係は、どのような関係なんだ。男と女の関係なのか」と神崎は尋ねた。安藤は、「カカカ」と笑って、「それは、たぶん、ありえない」と言った。神崎は、「それは、少し安心した」と言って、ウイスキーを飲み干した。

安藤は、「お前は、まだ結婚していなかったよな」と聞くと、「ああ」と神崎は答えた。「笑われるかもしれないが、佑奈のことが忘れられないというのはあるな」と、神崎は続けた。

「お前たちは、結婚するものだと思っていたよ」と安藤が言うと、「俺もそうなると思っていた」と神崎は答えた。

「たまに、佑奈がニューヨークからボストンに遊びに来て、それで、レキシントンとか、いろいろと遊びに行ったよな」と、安藤が言うと、「車でいろいろと遊びに行ったな。懐かしい思い出だ」と神崎は言った。

登場人物

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同窓会とぺんぎん

今日は、久しぶりの休日。ずっと、休みなしだったので、疲れが抜けきらず、体調の不調が続いております。火曜日の健康診断までには回復しなければ。。(クリスマスプレゼントを買うためにも、仕事がんばろうっと!)

さて、今日は、大学のゼミの同期生の皆さんと同窓会(?)でした。全員集まれなかったのは残念でしたが、楽しいひとときでした。本日、同窓会が行われたのは、いろいろなお祝いや壮行会マターが重なったので、川崎市にお勤めの友人が企画をしてくれました。(どうも、ありがとうございました) お店で撮影した集合写真は、こっそりとメールでお送りさせていただきます。(ぺこり)

新宿のサザンテラスを通りかかると、JR東日本の本社ビル前で、スイカイルミネーションスイカのペンギン、ギザカワユス(?←使い方合ってますか?)

元々、ペンギンとか好きで、スイカペンギン好きなのと、子供のころは、JR東日本に就職希望があったわけで、ここは、撮影をするしかないと、パシャっと、緊急撮影会を開始しました。ちょうど、同窓会用にデジタルカメラ持ってたし

スイカのペンギン好きなレベルは、東京駅の新幹線改札近くにあるキヨスクで、スイカペンギンストラップなどのグッズが置いてあって、10分以上買うかどうかを迷うぐらい好きです。

だからといって、クリスマスプレゼント誕生日プレゼントでもらっても、「・・・。」です。(←念のため) クリスマスプレゼントは手作り系がいいなぁ・・・。

1月に、再び、同窓会が開催されることを楽しみにしております。アフガニスタンに送る会??
よろしくお願い申し上げます。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(8)

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山川さんは、なぜ、僕が幸せになった瞬間に、僕の前に現れるのであろうか。高校時代に結衣と付き合い始めたときにも、偶然に、僕の前に現れた。今回も、美友里と出会い、そして、これから美友里と一緒に歩きだそうという瞬間に、山川さんが、僕の目の前に現れたのであった。僕は、山川さんに語りかける言葉を探した。この早朝に、なぜ、山川さんが新宿駅にいるのであろうか。

「ねえ、ハジメくん。いま、幸せ?」と、山川さんは、僕に尋ねた。

僕は、「幸せだよ」と答えた。

「ねえ、ハジメくん。せっかく会えたのだから、少しお話をしない?」と、山川さんは言った。僕は、「僕はいいけど、山川さんの予定は大丈夫なの?」と尋ねた。すると、「私のことは、いいのよ」と答えた。

僕と山川さんは、花園神社の近くにある靖国通り沿いの喫茶店に向かった。この店は、24時間営業をしており、店の中には、一夜を過ごした恋人たちやグループが眠そうにコーヒーを飲んでいた。また、これから出勤をするであろうサラリーマンがトーストを頬張っていた。僕と山川さんは、奥のテーブル席に向かい合って座り、ホットコーヒーを注文した。

「ねえ、不思議ね。大人になってから、こうして偶然に出逢うなんて」と山川さんは言った。僕は、「僕も驚いているよ」と答えた。「ハジメくん。もしかすると、ハジメくんと、こうしてゆっくりお話をするのって、初めてじゃないかしら。中学生の頃も、一言二言交わすことはあったけど、ちゃんと、お話をしたことって記憶にないわ」と山川さんは言った。

僕は、「確かに、そうかもしれない。あの頃は、山川さんと話をすることが、とても恥ずかしくて、しっかりと話をしたことはなかったね」と言った。

「ねえ、ハジメくん。私のこと、好きだったでしょ」と、山川さんは、いじわるそうに言った。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (7)

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「そして、3人目。星野徹夫」と、福沢は言った。佑奈は、「ふざけるのも、いい加減にして。星野徹夫って言ったら、ただのグータラ社員じゃない。昼間は、ソファで寝ていて、夕方になったら、そそくさと帰る。噂では、夜は、毎日、競馬か風俗か、それとも、飲み屋に入り浸っているという話よ。飲む・打つ・買う・三拍子揃った人間よ」と言った。

「それじゃ、なんで、そういう社員がクビにならないんだ?」と、福沢は言うと、佑奈は、「私も知らないわよ」と言った。福沢は、「面白そうな人間じゃないか」と言った。

佑奈は、「神崎のチームは、あなたの”Team Japan Creation”の元メンバーを中心に、世界で最高級のスタッフとメンバーを揃えているのよ」というと、福沢は、「自分のスタッフを信じろよ。常識の中で一流のメンバーでは、ある程度、期待値はわかるけど、常識から捉えれば一流ではなくても、個性溢れる非常識なメンバーの方が、期待値は測れずに、可能性は無限大だぜ」と言った。佑奈は、溜息をついた。

「それと、今井、お前は、当分は渉外担当をやれ。永田町と霞が関は、吉沢が担当するとして、特に、ファンドレイズの担当は、しばらくお前だ」と、福沢が言うと、佑奈は、「わかったわ。でも、ひとつだけいいかしら。一応、私はあなたより年上なんだから、呼び付けはやめてもらえるかしら」と言った。すると、福沢は、「考えておく」と答えた。

安藤の部屋で、佑奈は、さきほど、福沢の部屋での話を報告すると、安藤は、「カカカ」と言って、大きく笑った。「面白いじゃないか。型破りなチーム、面白い、面白い」と安藤は言った。「まあ、相手が超エリートの常勝集団だとすると、こちらは、それに挑戦する弱小チームと言ったところかな。「がんばれベアーズ」みたいで興奮するな」と言うと、佑奈は、「笑い事じゃありませんよ。遊びじゃないんですから」と言った。安藤は、「まあ、この件は、福沢に任せたんだ。私たちができる最大の支援をしていこう」と言うと、佑奈は、「わかりました」と答えた。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(7)

1

かなりの時間が過ぎた。ベンチに座ったのは、すでに、夜の12時を回っていたが、それから数時間が経っていて、徐々に、空が明るみ始めていた。僕と美友里は、このデッキのベンチで一晩を、あまり言葉も交わさずに過ごしたのであった。

突然、「そうね」と、美友里は言った。僕は、美友里が発する言葉の続きを待った。「とにかく、始めてみなければ、何も始まらないわね」と、美友里は続けて言った。僕は、「うん」と答えた。

僕たちは、そのまま浜松町の駅まで歩き、始発から何本目からの電車に乗った。電車の中では、遊び疲れたような人、これから会社に出勤しようとする人、これから旅に出るであろう人が入り交ざっていた。僕たちは、眠そうにしながら、肩を寄せ合いながら、シートに座った。電車の窓から差し込む朝日の影響もあり、中央線のお堀沿いの景色は、とても鮮やかに、僕には、新しい希望を映し出しているように目の中に飛び込んできていた。

僕は、新宿で電車を降り、美友里と別れた。美友里は、そのまま中央線に乗って行った。新宿駅のホームの階段を降りると、電車の中と同じように、一晩、歌舞伎町で飲んだり、遊んだりしていたであろう人々、一晩、一緒に過ごしたであろうカップル、そして、これから出勤するであろう人々で、すでにいっぱいになっていた。僕は、駅の改札の方向に向かって歩いていると、目の前に、面影に見覚えのある女性が、向こうから歩いてきていた。その女性は、パンツスーツ姿で、ブラブラと、何かに疲れたような感じで歩いていた。

僕は、これまで会った女性の顔を思い出そうとした。しかし、向こうから歩いてくる女性の顔は、思い出す前に、僕の記憶の中から、自動的に見つけ出され、それが誰であるかということがすぐにわかった。その女性も、僕のことを認識した。少し、不思議そうに、僕のことを見ていて、そのうち、僕が誰であるかということを、自分の記憶と照合させることができたようであった。

僕は、「久しぶりだね、山川さん」と言った。山川さんも、「久しぶりね、ハジメくん」と言ったのであった。

その女性は、僕の初恋の相手である山川容子であった。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (6)

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「一人は、吉沢晴信という男だ。今は、永田町で政策秘書をしている」と言った。麻衣は、「吉沢さんね」と言った。

佑奈は、「知っている人?」と麻衣に聞くと、「俊ちゃんの精神安定剤的な人」と麻衣は言った。「精神安定剤?」と佑奈は言うと、麻衣は、「俊ちゃんが最も信頼をしているということですよ。”Team Japan Creation”のときは、サブリーダーとして、チームの兄貴分、取りまとめ役だったわ」と言った。

佑奈は、「その役割は、この人がするんじゃないの?」と、福沢を指さすと、麻衣は、「この人、ほら、コミュニケーション能力はあまり無いから」と笑いながら言った。佑奈は、「確かに、自分勝手そうだからね」と言った。

「もう一人は、助手の植村竜太郎だ」と福沢は言った。佑奈は、「はあ?」と言った。

「あの子は、まだ博士課程の3年間が終わったばかりよ。まだ、早いわ」と言った。すると、「いや、早くない。米国では、20代で教授になることだってある。ライム国務長官だって、20代でスタンフォードの教授になった。一本でも多く論文をアウトプットしていくことが、成長につながる。さらに、ポリシーウォッチャーに育てるなら、現場の経験をひとつでも多く積むことが、最大の糧になる。政策のプロとして技術を磨くなら、その方法しかない。あいつが組織人間として染まりきってしまう前に、俺に預けろ。」

それを聞いて、佑奈は、黙っていた。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(6)

1

暫くの時間が経過すると、美友里は、溜息をついた。そして、「私は、あなたのこと、好きなんだと思うのだけど、その気持ちに自信はないのよ」と言った。僕は、「それは、なぜ?」と聞くと、「理由なんかはわからないわ。感情の問題なんだから、論理的に説明なんかできない」と答えた。僕は、「それは、その通りだ」と言った。

「私は、いま、私の気持ちがわからないのよ」と美友里は言った。僕は、「わかるよ」と言った。すると、美友里は、「だから、言っちゃった、という気持ちなのよ。まだ、自分の中で、決めることができないのに、決めなければならなくなっちゃった」と言った。僕は、「これからお互いのことを知っていくうちに、自分の気持ちがわかるかもしれない。だから、まずは、付き合いながら、お互いのことを知るということから始めるというのは、どうなのかな」と言った。
美友里は、再び、黙って、考え始めた。僕は、胸の鼓動の高まりを制御しながら、不安な気持ちで、美友里の返事を待った。僕は、「ひとつだけ、僕が言えること、それは、僕は君のことが好きだということだ」と言うと、美友里は、「ありがとう。嬉しいわ」と答えた。そして、再び、美友里は黙った。

周りを見渡すと、カップルが仲良さそうに手をつなぎながら歩いていたり、デッキの上でキスをしているカップルがいたりした。美友里は、その光景をどのように見ているのだろうか。僕は、美友里と、周りのカップルと同じように、一緒にのんびりと歩いたり、キスをしたりしたいと、心から願っていた。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (5)

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日本公共政策研究所の大部屋で、植村竜太郎は、パソコンに向かっていた。その後ろを福沢が通りかかったとき、福沢は植村の頭を引っ叩いた。

植村は、無気になって、「何をするんですか」と言って怒った。「何をやっているんだ。おー、エクセルに数字がたくさん打ち込まれているな」と、福沢は言った。

「こんどの学会で発表するための論文作成ですよ」と怒りながら、植村は言った。福沢は、「ふーん」、と少し冷やかな目で見ながら、「財政再建が経済成長に正の影響を与えるという説明を明日までにまとめてきてくれる」と福沢は言った。

植村は、「そんなの無理ですよ。普通、有効需要の原理から考えれば、歳出削減と増税をすれば、有効需要にマイナスの影響でしょう」と言った。福沢は、「そんなケインズ経済学のセオリーを聞きたいわけじゃないんだって。常識を疑え、なんちゃってね。明日までによろしく」と言って、福沢は、自分の部屋に向かって行った。植村は、「無理ですよ。学会報告用の論文があるんですから」と言った。

翌朝、佑奈が福沢の部屋に行くと、麻衣だけが部屋の中にいた。「福沢くんは、まだ来ていないの?」と聞くと、麻衣は、「そろそろ来ると思いますよ」と言った。

佑奈は、「何をしているのよ。神崎のチームは、すでに動き始めているのよ」と言うと、麻衣は、「まあ、そんなに焦らなくても大丈夫じゃないですか」と言った。

すると、福沢が、ようやく出勤してきた。佑奈は、「遅いじゃない」と言うと、福沢は、「朝食会があったからな」と言った。佑奈は、「朝食会?」と聞くと、「永田町の先生を中心に、財界や霞が関のメンバーとの朝食会がホテルの会議室で行われているんだよ。それに出席してきたの。」と言った。

「あー、そうだ。今井、俺のチームに三人欲しい人間がいる。手配してくれるか」と福沢は言った。佑奈は、「いよいよ、チームが始動ね」と言うと、福沢は、「始動するかどうかはわからない」と言った。佑奈は、「何よ、それ」と言うと、麻衣が笑った。佑奈は、少し不機嫌な表情で、「それで、誰が欲しいの」と言った。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(5)

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「あーあ、言っちゃった」と美友里は言った。僕は、「えっ?」と、美友里が言った言葉を確認した。美友里は、「「言っちゃった」と言ったのよ」と言った。「言ってはだめだったの?」と、僕が聞くと、美友里は、少し困った顔を見せながら、「決めないといけないでしょ」と言った。

僕は、「決めないといけない、というのは、どういうことなの?」と尋ねると、「あなたと付き合うのか、それとも、あなたとの関係を終わりにするべきなのか、それを決めなければいけないでしょ」と、美友里は答えた。

僕は、「そういうものなの?」と聞くと、美友里は、「少なくとも、私は、これまで、そうしてきたわ」と答えた。

美友里は、「あなたとは、もう少しの間、良い友人でいたかったのよ」と言った。僕は、「でも、この前、小さな声で、「はっきり言えばいいのに」とつぶやいたから」と言うと、美友里は、少し笑って、「それは、あなたが、もじもじとして、なんだか、悶々とした態度をしているからで、別に告白をして欲しいとは言っていないわよ」と言った。
僕たちは、潮風が吹き込むデッキの近くのベンチに座った。美友里は、「生暖かい風ね」と言った。季節は、夏の初めになっていた。目の前には、日の出埠頭に入る船が近づいてきていた。

この季節になると、毎年、僕は、弥生さんのことをかすかに思い出すのであった。弥生さんが亡くなって、かなりの時間が経過していた。日常の生活の中で、弥生さんのことを思い出すということは少なくなった。少なくなったというより、むしろ、ほとんど無かった。しかし、弥生さんが亡くなった頃の冬の冷たい風よりも、弥生さんと出会い、初めて、弥生さんを抱いた頃に感じた夏の生暖かい風を感じると、ふと、弥生さんのことを思い出してしまうことがあった。

僕と美友里は、黙ってベンチに座っていた。どちらかからも話し始めることもなく、僕は、ただ目の前の客船を眺めて、美友里は、もっと遠くの方を見ていた。

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心臓移植と生体肝移植同時手術:医龍2

Shumpei1210心臓移植生体肝移植同時手術ですか。。。最後の最後で、来ましたね、「医龍2」。だから、今回は、麻酔医2人になって、消火器外科が加わったわけですか。全ては、この手術のために。

予告を見ていると、来週は、霧島軍司も登場のようですね。野口先生のパーティーに来ているのかな?
あと、鬼頭もメスを握っているようで、もしかすると、鬼頭もチーム朝田入りですか?
確かに、伊集院が手術に入るのが時間的に厳しければ、第1助手が空いているわけで、そこに鬼頭笙子が入れば、最強・最高のチームになる。

ということで、来週は、再び、オールスター勢ぞろいという感じですね。
でも、やっぱり、稲森いずみ演じる加藤晶は出てこない感じ。やはり、大人の事情というやつでしょうか。
朝田も鬼頭も、「敵は朝田ではない」、「敵は鬼頭ではない」と。チームは、患者の命を救うためにある、ということを言っていました。だから、最終回は、鬼頭は朝田に協力をするんだと思う。

そういえば、この前、医龍の話をしていたら、「最後は、きっと、野口が痛い目に遭うんだよ」と言っていた人がいました。

今回のチームでは、政治的な役割を担う人がいないのが大変ですね。いままでは、なんだかんだと言って、問題が起きても加藤晶が対応していたけど、今回は、誰が問題を解決するのだろう。少なくとも、チーム朝田のメンバーの医師免許が危ないわけで。

ということで、来週は最終回。

次は、映画化に期待です!

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浦和レッズ惜敗(FCWC)

Shumpei0712091浦和レッズ‐ACミラン戦、浦和レッズは惜しくも敗れました。しかし、かなり良いゲームでした。得点できなかったのは残念ですが、欧州王者を困らせたということは確かだと思います。

セードルフの得点は、カカの左サイドからの展開ですが、あれは仕方がないと思います。相手がうまかったというしかありません。(若干、攻勢で前がかりになっていた隙を突かれた感じはありましたが)

試合を通じて、集中して、しっかりとディフェンスして、そこから、攻撃をビルドできていたと思います
課題は、得点力でしたね。ワシントン以外で、セカンドストライカーがいれば、得点できていたかもしれません。
この点では、山田が後半から出てきてがんばっていましたが、ポンテの穴は、やはり大きかったということでしょうか。

ゲームの最大の見どころは、後半22分、ワシントンが反転してのシュートを、ジダがキャッチングしたシーンでしょうか。あれは、ワシントンもジダもすごかった

ディフェンス面では、カカに仕事をさせなかったというのは、上出来だったと思います。

浦和レッズは、日曜日に、3位決定戦で、エトワール・サヘルと対戦。

さて、UEFA CLの方では、ジーコ監督率いるフェネルバフチェ決勝トーナメントに進出。フェネルバフチェは、昨年、トルコリーグを優勝するなど、ジーコ監督就任以来、乗ってますね。ジーコスタイルがはまっている感じです。

今日、試合を見ていて、やはり、監督をやるならば、クラブチームの監督も興味深いなと思いました。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (4)

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未来創造研究所のロビー。神崎は、自分のチームメンバーを引き連れて歩いていると、目の前に、ある男の姿を見つけた。その男は、壁に寄り掛かって、手を挙げた。

「よう、鳳雛、ドクター神崎。いや、今ではプロフェッサー神崎に鳳雛は失礼か」と言った。神崎は、「ご無沙汰だったな」と、少し笑顔を見せながら言った。

その男は、福沢だった。神崎は、「福沢、俺のチームに参加してくれるのか」と言った。福沢は、「そうじゃないんだ」と言った。神崎は、「俺のチームには、お前が必要だ。上田が何と言おうとも、お前には、このチームに入ってもらわなければ困るんだ」と言った。

福沢は、「それは、2つの理由で不可能だ。ひとつは、俺は上田と仕事をするつもりはない。上田も同じだろう」と言うと、神崎は、「上田は、俺が必ず説得をする」と言った。

福沢は、「その気持ちは大変嬉しいけれど、俺は、本日付で、日本公共政策研究所の研究員になった。俺の仕事は、日本公共政策研究所で、新しいチームを作り、神崎、お前のチームと闘うことだ」と言った。

神崎は、「福沢・・・」と、言葉が続かなかった。「望月、清水、阿部、お前たちが、しっかりと神崎のことを支えてやってくれ」と言った。望月、清水、阿部は申し訳なさそうな顔をした。

「神崎、お前は顔には出さないが、アカデミックには非常にドライで、そして、極めて優秀だ。しかし、人間関係で、お前はドライに徹しきれない。人間に情をかけてしまうタイプだ。そして、潔癖なところがある。それがお前の弱点だと思う。自分の中に矛盾を抱えて悩まないようにな」と言って、手を挙げて、福沢は出口に向かって歩き出した。

神崎は、「福沢、それはそのまま自分のことなのではないのか。お前ほど、優しすぎる人間はいない」と言うと、福沢は、「俺の手はすでに、血生臭ささで汚れきっているさ」と言った。「福沢、俺はお前を諦めない。お前のチームを叩き潰して、俺の下に入れる」と言った。

福沢は、「楽しみにしているよ」と言うと、神崎は、「日本公共政策研究所でのコーディネーターは誰だ」と聞いた。福沢は、「今井佑奈という女性だよ」と言って、福沢は出口を出て行った。神崎は、「今井佑奈」と言って、その場に呆然と立っていた。

登場人物

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ミステル Jose Mourinho

Shumpei0712091ジョゼ・モウリーニョ監督が、World Soccer Digest Extraで、EURO展望について語っている。その中で、彼自身の代表監督の就任については、あまり意欲の持てない仕事だと言っている。

「巷では私がイングランド代表監督になりたがっているという噂もあるようだが、私自身はそんなことはひと言も言っていない。「自分は代表監督を引き受けるにはまだ若すぎる」と、ずっと言い続けている。ただ、55歳になったときに母国であるポルトガルを指揮してみたいという希望はある。それまでは、またクラブサッカーに関わりたいと考えている。代表監督という仕事は、与えられる時間が非常に短く、私にはあまり意欲の持てない仕事だ。ポルトガル代表監督にはあこがれているが、いずれにせよ、それはもっと先の話になる。とりあえず、1年後くらいに新たなクラブで仕事を見つけられたらいい」

これは、モウリーニョ監督のこれまでの監督としての信念や行動を見ていると、本音だろうと思う。モウリーニョ監督は、戦術家というより、名マネージャー・名コーチであり、自身の哲学を、チームにトレーニングを通じて埋め込んでいくことで、チームを作ることが重要であると考えていると思う。その点で、代表チームでは、それができない。すなわち、クラブチームの監督の方が適任であると思う。(代表監督は、どちらかというと、大雑把な感じの性格の人の方が適任だろう。)

ぼく自身は、1年間で良いので、浦和レッズの監督に就任してもらい、福田正博をコーチとして育成してほしいと思っているが、次のモウリーニョ監督の就職先は、やっぱり、欧州だろう。こんなニュースが出ている。

バレンシアがモリーニョに関心か
リバプールの新監督にモリーニョ就任か
モリーニョはミラン行きを希望、と英メディア

さて、イングランド代表監督については、カッペロ監督が就任するようだ。イングランド代表の再建という点では、ふさわしい人選だと思う。

イングランド代表について、モウリーニョ監督が言っていたコメントが面白い。

「これだけのタレントを擁しながら予選敗退したのは、ほとんど犯罪と言っていい

カッペロは、昨年のレアル・マドリードでの指揮から推測すれば、同じ犯罪は起こさないだろう。
レアルファンにとっては、スペクタルなサッカーをしなかったことが犯罪行為であり、優勝したのに解任されてしまったが。

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FCWC:浦和レッズ‐ACミラン戦

Shumpei0712091さて、いよいよ浦和レッズが欧州王者ACミランに挑戦をします。本日、19時30分キックオフ。解説は、私、矢尾板俊平でお送りいたします。

オジェック監督(浦和レッズ) 準決勝前日会見
アンチェロッティ監督&ネスタ(ミラン) 準決勝前日会見要旨

アンチェロッティ監督への質問ですが、ACミランの次期監督にジョゼ・モウリーニョの名前が新聞に出たとか、岡田監督のことをどう思うかとか、試合以外のことを聞いていますが、これって、どうなんでしょうか?これから試合をするチームの監督に、その監督が辞任表明をしているわけでもないので、あなたの次の監督云々の話って、失礼な気がしますが。だって、それって、「あなたはクビなんですか?」と聞いているのと同じことですよね。

ACミランは、確かに調子を落としているように見えます。セリエAで、10位と低迷中ですし。とは言っても、UEFA CLでは、無難に予選リーグ通過を決めていたりと、底力がある。調子を落としているからと言って、それはレベルの高い欧州でのこと、格段に強いということには変わりはありません。そして、選手個々の能力からしても、一人で展開を変える能力を持った選手ばかり。

だからこそ、やりがい、戦いがいがあるというものです。浦和レッズは、挑戦者として果敢に挑んでいくということが重要でしょう。

戦い方の選択ですが、「勝つ」ことを目標にするのであれば、ゲームの面白さを消すということも、ひとつの選択肢です。徹底的に守って、カウンターという戦術があります。浦和レッズの基本的な戦術は、守備を固めて、そこからビルドをしていくという戦術なので、いつも通りサッカーをするということが重要だと思います。

そのためには、まずは、先制点を与えないということが重要です。なるべくであれば、先制点を前半のうちに取りたいというところです。そうすれば、否が応でも、ミランは2点以上、取りに行くので、さらに隙が生まれるという悪循環を起こさせて、混乱をさせるということが必要になってきます。ワシントンは、かなりマークされると思うので、セカンドストライカーの役割が重要になってきます。

このあたり、やはり小野の経験が生きてくるのではないかとも思います。復帰明けですが、欧州との戦いという経験値を考えても、小野の起用が有効なのではないかと思います。

そして、キーポイントは、ベンチワーク。オジェック監督の手腕に期待しましょう。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(4)

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美友里は、『羊をめぐる冒険』と『ダンス・ダンス・ダンス』が好きだと言った。僕は、『国境の南、太陽の西』と『ノルウェイの森』に基づき、村上春樹の世界観について語った。そして、意外にも意気投合し、僕は美友里に親しみを感じ、楽しい時間を過ごすことができた。それから、僕と美友里は、たびたび会うようになり、仕事を作って、日帰りで一緒に九州に行ったりした。

僕が、自分の気持ちを伝えることができずにいて、食事をした帰りに、なんとなく遠まわしな感じで、あれこれと自分の気持ちを伝えようとしながら、食事をした帰りに歩いていると、「はっきり言えばいいのに」とつぶやいた。しかし、僕は、そのとき、やはり自分の気持ちを伝える勇気を持つことができなかった。

僕にとって、自分の気持ちを伝えるということは、かなり勇気が必要なことである。特に、いくつも恋愛の失敗を積み重ねてきたため、どうしてもプラス志向では考えられないのである。そのため、自分の気持ちを伝えることによって、今の人間関係が壊れたらどうしようとか、もし壊れるとするならば、全く人間関係が途切れてしまうよりは、今のままの関係でいた方が良いのではないかとか、さまざまなことが頭の中に浮かび上がる。そのため、勇気を持てず、自分の気持ちを正しく伝えられないことの繰り返しであった。

しかし、僕にとって美友里の存在は、とてもかけがえのない存在であり、中途半端なままで失いたくはないと思い、勇気を振り絞り、自分の気持ちを伝えることにした。そして、僕は、緊張をしながら、美友里に、自分の気持ちを打ち明けた。

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総合政策演習:日本経済のリスクと構造改革

Shumpei0712093本日の3時限目の「総合政策演習(学部1年次配当)」で、「日本経済のリスクと構造改革」というテーマでお話をしてきました。

今後、経済の持続可能性の点で、さまざまなリスクを日本経済は内包しているということを中心にお話をしました。そして、福田内閣の経済政策としては、「消費」を重視した経済政策を実施すべきということを指摘いたしました。

さすがに、大教室(300名ぐらい収容できる?)の授業だと、広々として、気持ちが良いですね。

4時限目は「財政学(学部3年次配当)」で、抜本的税制改革のゆくえということで、今後の税制改革の焦点などについてお話をいたしました。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (3)

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「俺は、ちょっと出かけてくる。麻衣、この研究所のスタッフが書いたレポートをすべて集めておいてくれ」と言うと、麻衣は「わかりました」と答えた。福沢は、上着を着て、足早に部屋を出て行った。佑奈は、「なぜ、レポートを?」と麻衣に聞くと、「セレクションをするつもりだと思います。研究者だけではなくて、スタッフも含めて、全員の何かしらの文章を読んで、このチームに必要な人材をセレクトするつもりだと思います。いや、すでに、彼のことだから、目星は付いていると思いますけど」と言った。

佑奈は、「すでに、目星って、そんなことができるの?」と聞くと、麻衣は、「彼は、最高のフィラリストですから」と言った。

佑奈は、「フィラリスト?」と言うと、「つまり、「感じる人」という意味です。感性で、自然に情報を集めて、分析し、正確な結論を出せるという能力です。彼は、無意識のうちに、360度全ての情報を瞬時に自分の脳にインプットし、論理的に分析し、それによって、推論を作り、その推論・仮説を、さらに論理的に検証し、答えを出すということができるの。だから、彼には嘘は付けないし、少しでも論証ができないと、仮説を棄却できずに、頭が回り続けてしまうの。想像以上にセンシティブで、本人もそのコントロールができないの。誰かが近くでコントロールしてあげなければ、彼の脳の中は、情報で氾濫し、頭の回転が止まらずに、オーバーヒートして、彼自身の身を滅ぼしかねないの。たまに、精神的に不安定になったりするんだけど、それは、能力が肉体的な限界を超えてしまって、歯止めがきかなくなってしまうからなのよ。そのコントロールというのも、私の役目だったりして」と言うと、佑奈は、「つまり、天才ということね」と、呆れた感じで言った。

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財政学講義:抜本的税制改革のゆくえ

Shumpei0712093明日の『財政学』の講義では、「抜本的税制改革のゆくえ」というテーマでお話をいたします。
増税感が先行してしまうイメージですが、抜本的税制改革のポイントは、社会構造の変化に伴う制度改正にあると思います。ひとつは、経済成長モデルの変化、人口減少・少子化・高齢化という変化、家族や就業形態の変化、グローバル化などです。
社会の持続可能性を維持するためには、どのような税制改革が必要なのかについて論じたいと考えております。

また、3時限には、「総合政策演習」という講義で、「日本経済のリスクと構造改革」というテーマでお話をいたします。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(3)

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美友里は、「ニューヨークグリル」に向かうためのエレベーターの中で、「無理をしているんじゃない?」と心配した。僕は、「そんなことはないよ」と言うと、「無理はしないでね」と言った。僕は、「ありがとう」と答えた。

「ニューヨークグリル」に向かうためには、エレベーターを乗り換える必要があった。途中で、エレベーターを降り、書棚が並ぶエントランスを歩いていると、照明の影響もあり、少しずつ、これまで自分の手が届かなかった世界に旅をしているような感覚になった。そして、「ニューヨークグリル」に辿りつくと、ジャズの生演奏の音が僕たちを出迎え、そして、異空間に招待した。

美友里と僕は、コース料理を注文し、村上春樹の小説の話で盛り上がった。僕は、それまで、村上春樹の小説を、あまり読んだことはなかった。というのも、小学生か中学生のころに、『ノルウェイの森』がベストセラーになったとき、なぜか、ベストセラーというものにアンチ精神を持ち、「あえて読まない」ということをしているうちに、この年齢になってしまっていたのであった。

しかし、以前に付き合っていたユミという女性に、「あなたって、村上春樹の小説に出てくるような主人公みたいね」と言われ、『国境の南、太陽の西』という小説を渡された。暫くしてから、ユミとの恋愛関係が、いよいよ崩壊したとき、僕は、1日がかりで、この本を読んだ。すると、ユミが、当時、何を言いたかったのか、ということが、なんとなく理解することができた。そして、ユミに、他に村上春樹の小説でお薦めの作品があるか、というメールを送ると、冷たく、「『ノルウェイの森』でも読んでみれば」という返事であった。そこで、『ノルウェイの森』を初めて読んだ。

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モウリーニョ辞退とFCWC

Shumpei0712091ジョゼ・モウリーニョ監督イングランド代表監督への就任を辞退する声明を出したとのこと。つまり、FAは、水面下で交渉をしていたということですね。国民的には、次期監督として、人気があったために、またもや残念というところでしょうか。タイプ的には、代表というよりは、クラブ向きだと思うから、賢明な選択であると言えるかもしれませんACミランのオファーの方が断然、魅力的ですね。
これで候補は、ファビオ・カッペロ監督に絞られたという感じですね。

FCWCについては、昨日、浦和が勝利
ミランといよいよ13日に決戦です。
オジェックは、やはり短期決戦・トーナメントには強いのかな??
それなら、代表監督向きですね。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (2)

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佑奈が、福沢の部屋に入ると、部屋には福沢と麻衣がいた。佑奈は、「あなたの言うとおり、彼女も助手として採用したわ」と言った。福沢は、「それで結構」と言った。そして、「今後の全ての情報分析及び渉外戦略は、彼女が担当する。彼女がチームの全てのスケジュールを管理することになる」と言った。麻衣は、「わかりました」と言った。

佑奈は、「さてと、それでは、”Team Japan Creation”のメンバーも集めてもらえるかしら。すぐに手続きをするわ」と言うと、福沢は、「それは無理だと、前に言ったはずだ」と言った。福沢は、「分析担当だった市川は、米国のシンクタンクにいる。渉外担当の堀内は、D.C.で最高のロビイストの一人として大活躍中だ。あと、望月と清水、そして阿部は、未来創造研究所に残っているから手を出せない」と言った。佑奈は、「ということは」と言うと、福沢は、「上田のチームに入るだろうな」と答えた。

佑奈は、「それじゃあ、本当に”Team Japan Creation”のメンバーは、あなただけなの?」と聞くと、福沢は、「それは違う。ここにいる石川麻衣もメンバーだった」と言った。佑奈は、「どうするのよ。敵は、すでに動き始めているのよ」と言うと、福沢は、「それも最高のメンバーを集めてな」と言った。

「上田が神崎のチームを使って、何を企んでいるか知らないが、次期総選挙までは、まだ時間があるだろう。別に焦る必要はない」と福沢は言った。佑奈は、「その前に、プロモーションをしなければいけないのよ」と言うと、「まあ、上田が考えそうなことだが、あいつは、神崎チームを野党の民政党に売り込もうとしているんだろう。それなら、俺たちは、その逆をすればいい。与党の民自党から求められればいい」と福沢が言った。「こちらから自分から売り込むのと、求められるのでは、天と地との差がある。俺たちは、果報は寝て待てだよ」と続けていった。佑奈は、信じられないという感じで、首を横に何度も振った。

登場人物

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ドラマのような出来事

今日は、エレベーターに乗っていたら、ドラマ(→トレンディドラマのような浮かれたシチュエーションではなく、どちらかと言えば、シリアスドラマで、その週の回のクライマックスシーン、→ 来週に続く!みたいな。)のような出来事がありました(笑)。

びっくりしたどころではありませんでした。
まさに、先週の「医龍」のラストシーンのような感じでした。

さて、Team Policy Dragonなんですが、これは、言うまでもなく、「医龍-Team Medical Dragon-」に触発された小説です。ストーリー的には、永田町、霞が関、そして大学・シンクタンクという政策業界のお話です。米国では、D.C.を中心に、一大産業になっているわけです。(通りの向こうは、Government Sectorで、こちら側は、シンクタンク・ストリートというような感じで。常に、リボルディング・ドアのシステムによって、人材が(物理的ではなく)行き来しているわけです。大統領が替われば、民族大移動的なことが起きます。あとは、ロビイストも事務所を構えていて、Political Actionをしていたりします。街全体が、政治のダイナミクスの中にあるという感じです。

シンクタンクで、次期政権での政策プラン作りをして、大統領選挙で勝つことによって、そのメンバーが政府に入り政策を実行していく、選挙で負けたならば、政府の職も奪われ大学やシンクタンクで、次期選挙を目指しながら、次の政策アイディアを作るというような循環です。最近では、「ネオコン」と言われるグループが注目されました。

こうした点は、日本でも、立法は永田町行政は、霞が関シンクタンクは、虎ノ門、溜池山王エリアと、国会議事堂の丘を中心に展開はされていると思うのですが、まだまだ、シンクタンクについては、発展途上というところでしょうか。

日本の政策研究・提言の発展のためには、Goverment Sector, Private Sector問わず能力の高いシンクタンクがたくさん作られ、競争をしていくことが重要だと思います。ライバルがたくさんいるということが、刺激になって、研究や政策プランの質的向上につながると思います。

パイロット版として、当分、連載を続けていこうと考えております。かなり人間関係が入り組んでいく予定です。パイロット版の見どころは、新しいチーム福沢が本当に誕生するのか、というところです。というのは、以前のチーム福沢は、物理的に再結成することは難しく、新しいメンバーをセレクションする必要があるわけです。しかし、当然ながら、敵や味方からも妨害を受けて、何度もチームは、危機を迎えるに違いありません。

その中で、チームの成長、チームメンバーの人間としての成長を描いていきたいと考えています。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(2)

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僕は、その日、「ニューヨークグリル」で、ある女性を待っていた。僕の前には、もう一人用のお皿とグラスが用意されていた。しかし、目の前の席には、誰も座っていなかった。

僕は美友里という女性と出会った。美友里は、3歳年下で、僕が出入りをしていた出版社で編集のアシスタントをしていた。何度か、仕事の関係で顔を合わせ、一緒に仕事をすることが続き、そのたびに、丁寧に対応し、きめ細かい手伝いをしてくれたこともあり、お礼の意味も込めて、食事に誘ったのであった。食事に誘ったとき、僕は少なからず、この美友里という女性に好意を持っていた。僕が食事に誘うと、美友里は、快諾してくれた。

僕は、美友里とパークハイアット新宿の「ニューヨークグリル」に行った。当時、僕の収入は微々たる金額であり、不安定的であり、大変な冒険であった。高級ホテルのレストランで食事をするということだけで、僕にとっては、夢のような世界であり、興奮をしたものであった。

この頃のことを思い出してみれば、例えば、高層ビルの上層階にあるイタリアンのお店に、イタリアンのフルコースを食べに行くということが、とても新鮮に感じ、かなり緊張し、興奮する行為であった。一人8000円から1万円程度のコースを電話で予約することに緊張感を得て、当日、お洒落をして出かけるということを楽しみに、辛い仕事を乗り越えることができた。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 2 : 常識を疑え (1)

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未来創造研究機構の専務理事室。上田は、大きな革張りのチェアに腰をかけて、目の前に立つ神崎と神崎に手渡された書類を交互に見ている。

「専務理事、それが私のチームのメンバー候補です」と神崎が言うと、「一人だけ、だめだよ」と上田は言った。「これは、だめだよ。この男だけは、入れちゃだめだ」と続けて言った。

「しかし、その男は、私のチームには、無くてはならない存在です。彼は、天性のフィラリストです」と神崎は強く主張した。

上田は、「知っているよ。その才能が諸刃の剣なんだよ。切れすぎる刀は、自分の手まで切っちゃうよ~」と、冷やかしながら、上田は言った。そして、上田は手に持っていた書類を置いた。その書類は、福沢の写真が貼り付けられている経歴書であった。

日本公共政策研究所研究常務理事室。研究常務理事の細川は、渋々とした感じで、福沢を見ていた。「ドクター福沢俊明。あなたを日本公共政策研究所研究員として採用します」と言って、辞令書を福沢に渡した。安藤と佑奈は、その姿を見ていた。常務理事室を福沢が出て行った後、細川は安藤と佑奈を呼びとめた。

「安藤ちゃん、今井ちゃん、本当に大丈夫なの?」と言った。佑奈は、「大丈夫かと申しますと?」と聞くと、「何も問題は起きないよね。政策提言チームだなんて。永田町や霞が関から睨まれることだけは嫌だよ」と言うと、佑奈は、「政治的には中立的な立場で提言をしてまいりますので」と答えた。

細川は、「何かあったとき、責任は安藤ちゃんと今井ちゃんの2人が取るということでいいのかな」と言うと、佑奈は、「構いません」と答えた。細川は、「安藤ちゃんは?」と念を押すと、安藤は、「すべて、彼女を信頼して任せていますので、大丈夫だと思います。問題が起きた時は、彼女を信頼した上司である私の責任です。」と言った。細川は、革張りの上級のイスに腰を下ろし、「それならいいけどね」と言った。

登場人物

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国際会議、無事に閉幕しました

Shumpei0712091今年も無事に国際会議が終了しました。会場が18時に自動でシャッターが閉まるということで、最後は、タイムリミット・アクションなみのドキドキ感でしたが、無事に脱出することができました。(全てシャッターが閉まると、朝まで明かないらしいです。)

中央大学→名古屋大学→明治大学→神戸大学(淡路島)→青山学院大学→法政大学で、来年は、同志社大学で開催です。世界各国から報告者が集まり、常連の報告者の方もおられます。第1回目からお手伝いをしておりますが、会議が継続して発展していくということは、大変嬉しいことですね。

さて、僕は、大学卒業後、7年目なわけですが、この7年間、さまざまな大学にお邪魔して、シンポジウムや会議の運営をお手伝いしてきました。そこで、振り返ってみたところ、中央大学で4回法政大学で2回明治大学で2回関西学院大学で2回関西大学で1回千葉商科大学で1回という感じですね。それに、7年間の以前に、慶応義塾大学でのシンポジウムもお手伝いしているので、六大学だと機材を使用したことがないのは、東京大学と早稲田大学、立教大学の3つですね。

一時期は、会議企画運営のノウハウを使って、コンベンション会社をベンチャーで立ち上げてみてはというお誘いもありました。これまで蓄積してきたノウハウと新たに開発した方式などを商品になるかも。でも、そのようなノウハウをマニュアル化するのは苦手なのです。というのは、なんとなく、現場での最終判断は、feelingでしているので、ケースバイケースな感じです。だから、商品化は難しいかな。そうすると、やるとしたら、全体の企画、当日の運営、事前の広報活動、事後の分析なども含めた総合コンサルティングみたいな感じですかね。会社でなくても、そういうチームを、もう一度、作りたいですね。これまでも素晴らしいチームの中で仕事ができて、とても面白かったです。(特に、2002年度の政策メッセから2004年度の政策サマーキャンプまで、政策分析ネットワークでは、そうしたチームのチーフとして仕事ができて楽しかったです。)

最も好きな作業としては、当日の人員配置シフト作りです。当日の流れをすべてイメージして、どこに何が必要かということをシミュレートして、さらに、スタッフの相性などの人間関係も加えて、作り上げるのは、もはや芸術的な面白さですね。

あとは、だいたい、朝は30分から45分ぐらいで、受付を立ち上げて、各会場のセッティング(同時に4-5個ぐらい走らせる場合は、各会場全てを同時立ち上げ)をしなければいけないのですが、その朝の30分で作業内容を共有するところから立ち上げまでというタイムリミット・アクションのドキドキ感は、大変だけど、充実しますね。

2002年には、7月に千葉商科大学で政策サマーキャンプ11月に中央大学で国際会議1月に明治大学で政策メッセ、と、修士論文を書きながらフル回転していたのが、とても懐かしいです。

1月末の関東部会もがんばりたいと思います。

今週は、水曜日に、大学の「総合政策演習」と「財政学」の講義でお話をします。それが終わると、本年の主たる業務が落ち着く予定です。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(1)

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僕は、パークハイアット新宿の最上階にある「ニューヨークグリル」という店にいた。この店は、僕にとっては、「特別な場所」であった。

たぶん、どの男性にもこのような「特別な場所」、「特別な店」というものが、少なくとも1つや2つはあると思う。このお店は、友人と気軽に行く店であるとか、このお店は、本当に好きな人としか行かない店であるとか、ひとつひとつのお店に、それなりの意味があり、一緒に出かける相手やシチュエーションによって、お店選びをする。

大学を出てから、僕は、文章を書く仕事をしていた。大学3年生のときに、ある小さな文芸賞を受賞し、文章を書く仕事を選択した。しかし、好きな小説を書いているだけというわけにはいかず、出版社から依頼があれば、さまざまな種類の仕事を引き受けた。時には、グルメ雑誌の記者として、時には、旅雑誌の記者として、文章を書いた。自分が最も書きたいと思う小説を書く時間は、徐々に少なくなり、ただ、生活をしていくために文章を書くという行為を絶え間なく続ける日々であった。

この間、僕は、いくつかの恋愛をして、そして失恋を経験した。大学受験の時期に、高校時代に付き合っていた吉田結衣と別れた。その理由を挙げれば、さまざまな理由付けが可能であると思うが、最も大きな理由は、結衣の姉である弥生さんの死に起因するものと思う。弥生さんの死は、結衣だけではなく、僕にとっても大きな衝撃となったし、大きな心の変化をもたらした。弥生さんは、僕の初めての異性であったということだけではなく、弥生さんのお腹の中の新しい生命のこと、そして、弥生さんにとって、きっと最後に接した人間が僕であったことに違いないという事実が、僕に大きなギルティを課していた。このギルティが、結衣に対する結衣を裏切り続けたことのギルティと合わさり、相乗効果を発揮し、僕を苦しめた。こうしたギルティは、いつしか、僕に、結衣と意識的に距離を置かせるようにし、そして、大学受験という物理的な理由も組み合わさり、僕と結衣の関係は修復できないものとなったのであった。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 1 : 臥竜 (6)

京都では、福沢と麻衣がベッドの中で抱き合っていた。福沢が果てると、麻衣は、福沢の腕の中で余韻に包まれていた。麻衣は、「愛しているわよ」と言った。福沢は、黙っていた。麻衣は、「何を考えているの?いつもは、愛しているよと言ってくれるのに」と言った。福沢は、黙って、天井を見つめていた。

「ねえ、もしかすると、あの今井という女の人が言っていたことを考えているの?」と麻衣が言うと、福沢は、「ああ」と言った。麻衣は、「ねえ、俊ちゃん。私は、俊ちゃんが、どんな選択をしても、それを信じるよ。そして、ずっと俊ちゃんに付いて行くわ。今までもそうだったように、これからも、ずっと一緒よ」と言った。

福沢は、「ありがとう」と言った。麻衣は、「私はね、2つの気持ちが混在しているよ。やっぱり、俊ちゃんには、「臥竜」ではなくて、光のあたる表舞台で活躍してほしいと思う気持ち。もうひとつは、二度と、あんな悔しく辛い想いをして欲しくないという気持ち。」

「ねえ、俊ちゃん。あなたは、日常の生活の中で小さな幸せを感じて満足するタイプではないわ。スポットライトを浴びて、表舞台で、何かを成し遂げていくことに幸福を感じるタイプ。いつも闘っていることしかできないかわいそうな人。いつも、満足しないで、幸せを渇望している。でも、私は、そんなあなたが好きよ」と麻衣は言った。
福沢は、「ごめん」と言った。麻衣は、「私は、あなたと一緒にいられるだけで幸せなの。ねえ、俊ちゃん。もう心は決まっているんでしょう。私のことは気にせず、素直になりなさい。私は、いつも側にいるから」と言うと、福沢は、もう一度、佑奈が置いて行った新聞記事を眺めた。

その数日後、東京にある日本公共政策研究所の受付に福沢と麻衣が現れた。福沢は、「主任研究員の今井に会いに来た」と言った。受付の女性は、今井の部屋の場所を福沢に教えた。研究所内の人間たちは、福沢を目で追った。福沢は、ジョルジオ・アルマーニのスーツを着て、髪を整髪剤できちんと上げ、鋭い眼光であたりを見回した。京都で佑奈が見た福沢とは別人のようであった。大学院を出たばかりで、研究者としては、まだ見習い段階の植村竜太郎は、ただ、福沢の歩く姿を眺めていた。スタッフの星野徹夫は、応接室のソファの上で昼寝をしていた。

佑奈は、部屋のドアを開けて待っており、福沢の姿を見つけると、「遅かったわね。待ちくたびれたわ」と言った。福沢は、「主人公は遅れてやってくるというのが定説だろ」と言った。佑奈は、「敵はすでに動き始めているわ」と言うと、「わかっている。早速、仕事を始めよう」と言った。「あ、それと、京都の「季節」のツケ、この研究所に回しておいたから、よろしくな」と福沢が言った。佑奈は、「はぁ?信じらんない」と顔をしかめた。
その姿を見ていた安藤は、ズボンのポケットに手を突っ込み、「カカカ」と笑っていた。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:遠い過去の記憶(65)

3_2
※本作品は、フィクションで、登場人物、団体、背景は架空のものです。もちろん、主人公の「僕」は、著者と同一人物ではなく、フィクションです。

弥生さんのお葬式が終わり、遺品を片付けていたとき、一通の手紙が見つかったと、結衣は、僕に語った。そこには、弥生さんの深い絶望が記されていたという。結衣は、弥生さんのその深い絶望が何であったのか、ということは何も語らなかった。結衣が僕に言ったのは、一つの事実であった。そのひとつは、弥生さんのお腹の中には、赤ちゃんができていたということであった。確かに、最後に、僕が弥生さんを抱いたとき、弥生さんのお腹は少し大きくなっていたような感覚があった。むしろ、僕はそれを、あえて気が付かないふりをしていたとも言えるが、確かに、弥生さんの身体は変化していた。

僕は、結衣に、「弥生さんの相手はわかっているの?」と聞いた。結衣は、「わからないわ」と言った。「神本さんとも、そういう関係は、暫く持っていなかったみたいだし、新しい彼氏ができていたわけでもないみたいだしね」と言った。僕は、「もしかすると、そのことが原因で、弥生さんは自ら命を絶ってしまったの?」と聞くと、結衣は、「それは違うと思う」と言った。弥生さんが妊娠をしていた事実は、家族の誰にも明かされていなかったし、その手紙にも書かれていなかった。浜辺で発見された後の監察での解剖で明らかになったということであった。
結衣は、僕に、「お姉ちゃんに、もし、愛している人がいれば、もしかすると、その人が救うことができたのかもしれないわ。愛するということは、愛する相手が存在することだけで、勇気づけられて、そして、生きたいと思うもの」と言った。

僕は、「結衣にとって、僕はそういう存在でいられているのかな」と言うと、結衣は、目に涙を溜めながらの小さな笑顔で、「私は、あなたのことを信じているわ」と言った。

弥生さんにとって、僕は、どのような存在であったのだろうか。弥生さんは、確かに、僕と結衣の関係を壊すつもりはない、と言った。そして、弥生さんは、結衣を悲しませるようなことはしない、とも言った。ただ、その瞬間だけ、自分を抱き締めてくれればいい、と言っていた。

もう一度、僕の心の中は、僕は弥生さんに与えてもらうだけで、僕は弥生さんのために、何もできなかった、という罪悪感で一杯となった。

そのとき、弥生さんの声が聞こえてきたような気がした。

「いいえ、違うわ。ハジメくんは、私に新しい命という希望を与えてくれたのだもの。しかし、私の絶望は、その希望よりも深かったというだけ」

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 1 : 臥竜 (5)

数日後、赤坂のホテルニューオータニのパーティー会場では、数千名規模のゲストが集まっていた。壇上には、歴代の日本経団連の会長、経済同友会の代表幹事など経済界の重鎮たちが上がっていた。その中央のスタンドマイクの前には、一人の男が立っていた。その男の名前は、上田玄三と言った。上田は、経済団体が出資して設立されたシンクタンク未来創造研究機構の専務理事として、そのシンクタンクの事実上のトップであった。

「今日は、皆様、お集りいただきまして、ありがとうございます。未来創造研究機構の専務理事をしております上田玄三でございます。本日、国内外の経済界・実業界の皆様からの多大なるご支援により、産官学が連携して政策研究・提言を行う新たなプロジェクト ”Japan Innovation”を立ち上げることができました。未来創造研究機構の現在の基金は、約100億円。これを5年で500億円の基金に拡大させ、このチームを中核に、益々の発展を目指すものであります。」

会場は、100億という数字や500億という数字に、大きくざわついた。

「そして、このプロジェクトのリーダーとして、将来のノーベル経済学賞候補として世界から期待される米国Harvard大学の神崎嘉彦教授をお迎えしました」

と、上田が言うと、会場は最高潮の高まりとなった。

その会場には、佑奈と佑奈の上司である安藤も来場していた。安藤は、「さすがに、派手に勝負をかけてきたな」と言った。佑奈は、「予算もスタッフも一流というところですか」と答えた。安藤は、「上田の次なる野望はどのあたりにあるんだ。今のポジションには、満足をしていないだろう」と言うと、佑奈は、「自分の手で総理大臣を作り上げること」と言った。安藤は、「そのためのチームか」と言った。佑奈は、「彼の立場は、与党よりも野党より。次の選挙で政権交代を実現させることが目標なんでしょう」と言った。安藤は、「君も政権交代論者じゃなかったっけ?」と言うと、「私は、政権交代そのものを目指しているわけではなくて、そうしたことがきっかけで、政策競争が起きることが重要だと思っているんです。上田とは、考え方は違うわ」と佑奈は言った。安藤は、「確かにそうだったな」と小さく笑いながら言った。

「ところで、福沢の反応はどうだった。その気になったか」と安藤が言うと、佑奈は、「彼は、必ず、もう一度チームを作ることになるわ。その目的は何でもいい。日本のためであっても、自分のためであっても。自分の尊厳を守るためでも、自分が出世するためであっても、そして、上田と闘うためであっても。彼は、結局、この世界でしか生きられないのよ。そして、彼を満足させるのは、この闘いから得られる快感しかない」と言った。すると、安藤は、「君と同じ人間だということだな。君は男と寝るよりも、もっと強い快感を、この闘いに見出しているんだろう。君は、日常の生活の中で、小さな幸せなんか求めていない。戦いで得られる大きな幸せに、いつも渇望している」と言った。佑奈は、「そうよ」と言った。安藤は、「あいつも大変な相手と付き合っていたわけだ。カカカ。」と言って苦笑した。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:遠い過去の記憶(64)

3_2
※本作品は、フィクションで、登場人物、団体、背景は架空のものです。もちろん、主人公の「僕」は、著者と同一人物ではなく、フィクションです。

僕は、弥生さんを抱き締め、そしてキスをした。「ねぇ、ハジメくん、来て」という言葉を弥生さんは、甘く切ない吐息とともにこぼした。僕は、弥生さんを抱いている瞬間には、結衣のことを忘れ、そして、全てのことを忘れ、ただ、弥生さんを抱くことだけを考えた。弥生さんは、これまでの2度とは異なり、激しく、僕のことを求め、導いた。僕は、弥生さんに従った。

「いいわ。ハジメくん」、弥生さんが発した言葉を聞いたとき、僕は弥生さんの顔を見ると、弥生さんは、確かに泣いていた。僕は、その涙の理由を想像すらできなかった。ただ、僕は一途に弥生さんに喜んでもらうことだけを考えていた。

そして、僕は初めて弥生さんと同じ瞬間に辿り着くことができた。これまでの2度は、いつも僕が先に到達してしまい、弥生さんのことを置き去りにしてしまった罪悪感を覚えた。弥生さんは、僕が気にしている素振りを見せると、「いいのよ。気にしないで。私は、あなたと、こうすることができるだけで幸せなんだから」と言って、キスをしてくれた。

弥生さんは、「幸せよ、ハジメくん」と言って、僕の身体に絡みつき、そして、長い時間、そのままの時間でいた。その弥生さんの到達は、弥生さんの短い人生の中での最後の到達であった。その一週間後、弥生さんは、浜辺で静かに、冷たい状態になって発見された。全ての潮が引いたように、ひっそりと、弥生さんは亡くなった。

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明真に戻ってきたTeam Medical Dragon

今日の医龍のラストシーン、かなりワクワクしました。チーム鬼頭とTeam Medical Dragonが激突という感じでした。
ところで、チーム鬼頭には、外国人医師が多数含まれているようですが、日本の医師免許は取得済み??
そのあたりのツメは、どのようになっているのでしょうか。

Team Medical Dragonは、ヴァージョンアップ。並び方は、朝田、藤吉、伊集院、荒瀬、ミキのオリジナルメンバーに、外山、小高、松平が加わる感じになってます。加藤晶がいなくなっているので、その第一助手のところに、外山が入って、新たに消化器科医師として松平が加わったところまでは良いのですが、麻酔医が荒瀬と小高の二人というのは、どのような両立をはかるのでしょうか。ところで、荒瀬とミキがチーム鬼頭から抜けたことで、かなりの戦力ダウンですよね。

また、野口の「喉元過ぎれば熱さ忘れるという言葉あるよね。僕の喉は短いみたい」というセリフ、最高ですね。

いよいよ、クライマックスな感じですが、さて、どうなることやら。

なんとなく、医龍は、映画化されるのではないかと思う今日このごろです。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 1 : 臥竜 (4)

「俊ちゃん、ただいま」と、その女性は言った。福沢は、その女性の方を見ずに、ただ手を挙げた。「あの、どちらさまでしょうか」と、その女性は言った。佑奈は、「ごめんなさい。私は、今井佑奈。日本公共政策研究所から来ました」と自己紹介をした。「東京からお越しになったのですか。失礼しました、私は、石川麻衣と言います。今は、大学で助手をしているんです」と、その女性は言った。福沢は、「別に挨拶なんかしなくてもいいよ」と言った。麻衣は、「お客さんがお越しになっているのに、何もおかまいもしないで。どうぞ、お座りください」と言うと、福沢は、あいかわらず、佑奈や麻衣の方を向かずに、「すぐに帰るんだから、おかまいも何もしないでいいんだよ」と言った。すると、麻衣は、「俊ちゃん、失礼なことを言わないの」と言った。

「そのままでいいから、聞いてもらえるかしら」と佑奈は言った。麻衣は、「俊ちゃん!」と言ったが、福沢は振り返ることはなかった。

「端的に言うわ。私は、あなたの”Team Japan Creation”が欲しいのよ。私は、政権交代の受け皿を作るために、新しい政策研究チームを作るつもりなの」と佑奈は言った。
麻衣は、「”Team Japan Creation”」と言った。佑奈は、「そうよ。未来創造研究機構で挫折したあなたのプロジェクトをもう一度立ち上げるの。あなたがリーダーとなって、もう一度、あなたの夢にチャレンジできるのよ」と言った。
福沢は、何も言わずに、目を瞑っていた。麻衣は、「しかし、元のメンバーを集めることは無理よ。ある人は、すでに職を得てしまっているし、ある人は、日本にいない。そして、さらには、現在も未来創造研究機構に残っている人もいる。チームを集めることは不可能よ」と言った。

佑奈は、「あなたがいれば、それがあなたのチームなのよ。何も同じメンバーでなくても、あなたがいればチームはできるの。もう一度、チームを作ることができるのは、あなたしかいないの」と言うと、

福沢は振り向かずに、そのままで、「あんたの野望はなんだい?」と言った。

麻衣は、「俊ちゃん!」と言うと、佑奈は、「いいのよ」と言った。

福沢は、「いま、”Team Japan Creation”を、もう一度立ち上げたとして、あんたには、どんな役得があると言うんだ?日本初の女性首相でも目指してみるか?」と言った。麻衣は、「俊ちゃん、失礼よ!」と言った。
佑奈は、「いいのよ」と言った。福沢は、「あんたの算盤勘定が、どのように合うのか、それを聞かせてほしいね。人間を信じられなくなっていてね。人々の行動の背景には、必ず合理的な目的、算盤勘定があるだろうって思ってしまう。そのチームを利用して、あんたは何が欲しいんだ。」と言った。

佑奈は、笑いながら、「自分の考えたプランが現実になることから得られるオーガニズムかしらね」と言った。福沢は、「あんたも、その快感に取り憑かれた悪魔ってところか」と笑いながら言った。佑奈は、「あなたも同類でしょ。」と言うと、福沢は笑った。

佑奈は、「まあ、そういうことだから、私はあなたとあなたのチームが欲しいの。より高いオーガニズムを得るためにね。返答は、今でなくても良いわ。その気になったら、東京に来てもらえたら嬉しいわ。もし、あなたが私と同じタイプの人間ならば、あなたは、東京で、チームをもう一度立ち上げ、戦うことになるわ。あなたは、戦うことのできる能力を持っていて、そして、そこからオーガニズムを得るタイプだから」

福沢は、「勝手に、分析をして欲しくないな」と言った。

佑奈は、「そうそう。この記事を参考までに差し上げるわ」と言って、紙を福沢の寝そべっている頭の上の方に置いた。「これを読んだら、あなたは闘うしかなくなる」と言って、佑奈は、部屋から出て行った。
麻衣は、佑奈が置いて行った記事を手にすると、「俊ちゃん!」と言った。福沢はしぶしぶ起き上がり、麻衣から記事を受け取ると、その記事には、「未来創造研究機構専務理事 上田玄三氏 産官学共同の政策提言チームを立ち上げへ」という見出しが書いてあった。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:遠い過去の記憶(63)

3_2
※本作品は、フィクションで、登場人物、団体、背景は架空のものです。もちろん、主人公の「僕」は、著者と同一人物ではなく、フィクションです。

すき焼きを食べた後、僕と弥生さんは、弥生さんの部屋の中で、FMラジオを聞いていた。ラジオからは、ジャズの曲が流れてきていた。弥生さんは、「ねぇ、ハジメくん。今日は、来てくれて、本当にありがとう。嬉しいわ」と言って、僕の肩に寄り添った。僕は、「結衣には内緒だよ」と言うと、弥生さんは、「もちろんよ」と甘く囁いた。

「ねぇ、ハジメくん。人生って、儚いものよね」と弥生さんは言った。僕は、「何かあったの?」と聞くと、「ううん。いいの」と弥生さんは言った。僕は、「人生には、楽しいことも嬉しいことも、苦しいことも悲しいこともある。だから、嬉しい時はたくさん笑えばいいし、辛い時はたくさん泣けばいいと思う。どの瞬間も、どれも人生の一部なんだ。だから、無理をしないで、自分の気持ちに正直になればいいと思うよ。だから、どんなときも、僕は「がんばれ」っていう言葉は言わないようにしているんだ」と言った。

弥生さんは、「ねぇ、ハジメくん。私、いまとても幸せよ。嬉しいのよ。そして、いま、とてもあなたのことが欲しいの」と言った。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 1 : 臥竜 (3)

福沢が店を出ると、少し酔った感じで道を歩き、その後を佑奈が追った。福沢は、佑奈のことを、完全に気にしないそぶりで、ふらふらと歩き、そのうち、あるアパートの一室に入った。佑奈も福沢の後に、そのアパートに入った。

福沢は、「しつこいな」と言うと、佑奈は、「どうしても、あなたの力が必要なのよ」と言った。福沢は、「君の役に立つほどの力を、俺は持っているとは思わないけどな」と言った。「政策研究・提言集団を作るためには、あなたの力が必要なの」と佑奈は言った。福沢は、「興味ないね」と答えた。佑奈は、「いえ、あなたは興味を持っているはず。いや、興味なんかじゃないわ。使命として、再挑戦したいと思っている。あなたが、なぜ臥竜先生と呼ばれているのか。それは、政策教育をこの街でしているからよ」と言った。「政策教育なんて、大したことはしていない」と福沢は言った。「あなたは、現在の日本や地域の問題を的確に分析し、街の人々に解説をしている。若い人から老人までわかりやすく話をしている。世の中で起きていることを明確に説明することで、人々を少しでも考えるような努力をしているじゃないの」と佑奈は言った。

「ただの酔っ払いの戯言だよ」と、福沢は、佑奈とは反対の方向を向いて、寝そべってしまった。その時、そのアパートのドアが静かに開いた。福沢と佑奈は、ドアが開いたことに気が付かなかった。佑奈は、「いつまで大石内蔵助を演じているつもりなのよ。そんなに、上田玄三が怖いの!?」と言うと、ドアの前に立っていた女性が、「上田玄三」とつぶやいた。その声を聞き、佑奈は、ドアの前に立っていた女性を見た。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:遠い過去の記憶(62)

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※本作品は、フィクションで、登場人物、団体、背景は架空のものです。もちろん、主人公の「僕」は、著者と同一人物ではなく、フィクションです。

僕が東京に移り住み、20歳を超えると、神本さんは、僕をたびたび、飲みに連れ出した。神本さん自身も弥生さんのことを別れた後も愛しており、特に、弥生さんが亡くなった後、その心の隙間を埋めることに苦労した。そこで、神本さんは、夜の街に出かけ、女の子を誘い、一夜限りの関係を持つ、ということを繰り返していた。そのうち、僕を飲みに誘い、お互いに、弥生さんの空白を埋め合うように、朝まで飲み明かすようになった。

弥生さんが自ら死を選んだのは、僕と3度目に寝た一週間後であった。季節は、すでに冬になっており、街の中はクリスマスのイルミネーションで埋め尽くされていた。

突然、弥生さんから「逢いたい」という連絡があった。僕は、土日を利用して、東京に向かった。土曜日の午前中に高校の授業が終わった後、そのまま駅に向かい、特急列車に乗ったのであった。そして、その足で、弥生さんの下宿先の部屋に向かった。

僕が弥生さんの部屋に到着すると、弥生さんは笑顔で迎えてくれた。僕のために、弥生さんは、すき焼きを準備してくれていた。弥生さんは、「来てくれて、ありがとう」と言った。

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 1 : 臥竜 (2)

福沢は、「君は誰?」と不思議そうな感じで、佑奈に尋ねた。佑奈は、名刺を差し出すと、福沢は、「日本公共政策研究所 主任研究員 今井佑奈、さん」と声に出して、名刺を読んだ。「その日本公共政策研究所主任研究員の今井佑奈さんが何のようなの?」と福沢が訊ねると、佑奈は、「あなたをスカウトしに来たんです」と言った。

福沢は、鼻で溜息をついて、そして、座敷に胡坐をかいて座った。「風流がないね。人がせっかく楽しんでいる時に、それを邪魔する権利が君にはあるのかね」と言った。隣にいた舞妓さんが、「この人、誰どすか?」と聞くと、福沢は舞妓さんの膝に頭を乗せて、寝そべって、「東京のシンクタンクの研究員の偉い先生だとさ」と言った。

佑奈は、「嫌味を言わないでください」と言った。福沢は、「嫌味の一つも言いたくなるさ。人がせっかく遊んでいるというのに、水を差しやがって」と言うと、舞妓の膝に頭を乗せたまま、天を向いた。「臥竜先生のおへそが曲がってしまったみたいどすな」と芸妓さんが言った。

福沢の頭を膝に乗せている舞妓は、福沢の頭を撫でて、「よしよし」と言った。福沢は、「今日は、お開きにしようか」と言って、立ち上がり、上着を着て、1階に降りて行った。佑奈も、その後を追った。福沢は、女将に、「今日も付けておいてくれ」というと、女将は、「臥竜先生には、かないまへんわ」と言って苦笑いをした。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:遠い過去の記憶(61)

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※本作品は、フィクションで、登場人物、団体、背景は架空のものです。もちろん、主人公の「僕」は、著者と同一人物ではなく、フィクションです。

その男性の名前は、神本さんと言った。神本さんは、さわやかな青年という感じであった。僕は、その日会ったばかりの男の人の家に泊まることになったのである。

神本さんの家で、僕は正座をして、緊張して、静かに座っていると、神本さんが麦茶を持ってきてくれた。神本さんは、「さすがに、ビールというわけにはいかないだろう」と言った。僕は、「さすがに、そういうわけにはいきませんね」と答えると、神本さんは、笑いながら、「弥生から聞いていたけど、本当に面白いな、お前」と言った。

僕は、この神本さんが弥生さんと付き合っていたということを、結衣から聞いていた。結衣の家にも遊びに来たことがあったそうである。そのため、僕は、少しの嫉妬を神本さんに感じていた。このとき、僕は、結衣のことを愛していたが、同時に、2度だけ、弥生さんを抱いていて、少なからず、弥生さんへの感情が芽生えていた。だから、その弥生さんと付き合っていたことがあり、たぶん、何度も寝たであろう神本さんには、少しの対抗心が心の中に存在していたのであった。その気持ちは、月日が経過するうちに、親しみに変わり、そして、僕が大学に進学して、東京に移り住んだ後、付き合いを重ねていくうちに、最も気の許せる友人になっていた。

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【速報】紅白出場者決定

今年の紅白出場者が発表されました

Gacktは、やはり、上杉謙信(上杉政虎)の衣装で出場でしょうか。
それならば、やはり、山本勘助(内野聖陽)武田信玄(市川亀治郎)とのセットで、ぜひ登場してほしいですね。

個人的には、沢尻エリカも出場をして欲しかった。
応援コーナーで、亀田興毅朝青龍の登場も期待です。
もし、視聴率狙いなら、小島よしおを投入して、「これじゃ、去年のOZMAと一緒じゃん。下手こいた~。」とやって、DJ OZMAが出てきて、一緒に「NHKでは、裸になっちゃだめみたいだけど~、そんなの関係ねぇ」をやると面白いのではないかと思う。そして、鶴瓶も脱いで、「生放送だけど、そんなの関係ねぇ」というひとコマ。

出場回数ですが、大塚愛はすでに4回目の出場なんですね。歌うのは、やはり、「ポケット」なんでしょうね。個人的には、「PEACH」の方が良いのですが。倖田來未は、まだ3回目。大塚愛よりも少ないんですね。倖田來未は、やはり「愛のうた」でしょうか。それよりも、ハロプロはいよいよセット売りですか。そして、その影響か、松浦亜弥は出場ならず。なぜか、リア・ディゾンが入っているし。AKB48は、アイドル枠なんでしょうけど、「・・・。」という感じ。

サプライズゲストとして、ヨン様の投入を検討しているに違いない!
(太王四神記をNHKで放映するらしいし。)

ところで、紅組の司会は、中居正広なわけですが、紅組のキャプテンをしつつ、歌うときは、SMAPとして白組で歌うわけですか。それは、利益相反行為なのでは??

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[連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 1 : 臥竜 (1)

その女性は、ピッチリとしたパンツスーツに身を包み、ツカツカと、早足で、祇園の街を歩いていた。その女性の髪は、肩にかかるぐらいで、ブランド物のカバンを肩にかけ、手にはメモ紙を持っていた。少し不機嫌そうに、ある店を探していた。不機嫌な理由については、わからない。ただただ、彼女は不機嫌であったのだ。何時間も、彼女が探している店が見つからなかった。

ようやく、その女性は、自分の探している店を見つけた。その店の名前は、「季節」という老舗の店だった。女性は門戸を勢いよく開けた。周りの人々は、その音に驚き、もう少し風流な開け方もあるだろうにという顔でその女性を見ていた。

店の中に入ると、その女性は、女将に自分の名刺を差し出した。その名刺には、「日本公共政策研究所 主任研究員 今井佑奈」と書かれていた。女将は、「東京からお越しどすか」と言うと、佑奈は、「ここに臥竜先生と呼ばれる福沢俊明という方がおられると聞いたのですが」と答えた。
女将は、「臥竜先生に、何の御用件であらっしゃいますか」と尋ねると、佑奈は、「仕事の話です。何度も何度もご自宅に連絡してもつながらない。最近は、毎日のように、この店に来ていると聞いて押しかけて来たんです」と言うと、女将を押しのけて、2階にツカツカと登って行った。

2階では、ある男が舞妓さんや芸妓さんに囲まれながら、御座敷遊びをしていた。じゃんけんのようなルールで、お囃子に合わせて、襖越しに加藤清正、虎、おばあさんの真似をする。清正は、虎に強くて、虎はおばあさんに強くて、おばあさんは清正に強いというルールだ。負けた方は、御猪口一杯のお酒を飲み干すというルールであった。

佑奈は、福沢の姿を確認すると、大きな声で「福沢さん」と言った。その声で、お囃子は止まり、福沢も舞妓さんも芸妓さんも、唖然と、驚いたような顔で佑奈を眺めていた。

登場人物

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:遠い過去の記憶(60)

3_2
※本作品は、フィクションで、登場人物、団体、背景は架空のものです。もちろん、主人公の「僕」は、著者と同一人物ではなく、フィクションです。

それから、僕は、弥生さんを2度だけ抱いた。2度目は、隣の街で弥生さんと待ち合わせをした。3度目は、東京の弥生さんの下宿先の部屋であった。

夏休みの終わりころ、僕は結衣と一緒に、東京に遊びに行くことになった。結衣は、これから少しずつ受験勉強が始まるから、ゆっくりと遠くに出掛けられるうちに、東京に行こうと僕を誘った。弥生さんは、その頃には東京に戻っていた。東京で、僕と結衣と弥生さんは、3人で、新宿や渋谷、銀座などに遊びに行き、食事をした。弥生さんが東京の名所を案内してくれた。当時、開発が進められていたお台場も連れて行ってくれた。僕は、このとき、数年後に、お台場から日の出埠頭まで、レインボーブリッジを歩いて渡ることになるとは、少しも想像することができなかった。

結衣は、弥生さんの下宿先に泊まった。僕は、その下宿先の近くにある男性の弥生さんの友人の下宿先に泊まった。弥生さんは、自分の家に泊まればいいのに、と言ってくれたのであるが、結衣が、それを拒否した。弥生さんは、「仕方がないわね」と言って、男性の友人に頼んでくれた。その男性は、弥生さんが以前に付き合っていた男性で、一緒の大学に通っていた。

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クリスマスプレゼント

gooで、「男性からクリスマスに欲しいプレゼントランキング」というランキングが出ていました。

========================================
第1位. アクセサリー
第2位. 普段行かない高級料理店で食事
第3位. 財布などの服飾小物
第4位. 花
第5位. バッグ
第6位. 時計
第7位. 高級ホテルに宿泊
第8位. 服
第9位. 家電/デジタル家電
第10位. 手紙
=======================================

ちなみに、「女性からクリスマスに欲しいプレゼントランキング」は、

=======================================
第1位. 手作り料理・スイーツ
第2位. 財布などの服飾小物
第3位. 時計
第4位. アクセサリー
第5位. 服
第6位. 手紙
第7位. 家電/デジタル家電
第8位. 普段行かない高級料理店で食事
第9位. 高級ホテルに宿泊
第10位. お酒/ワイン類
======================================

とのこと。

昔、ぼくは、詞を送ったことがあるかな。もちろん、詩だけではなく、一緒に、ちゃんとしたプレゼントもあげたけど。
たぶん、要望をされて書いた記憶が。。。

ぼくは、彼女が欲しいと思うものをあげたいですね。欲しいと思うものの方が喜んでもらえると思うし。

ぼくが欲しいクリスマスプレゼントは、あまり思い浮かばないですね。食べ物よりは、身近に持ったり、身に付ける小物とかの方が良いかも。でも、クリスマス・イブに彼女と一緒にいられるだけでいいな。一緒に、M-1とか見て、ご飯食べて、ケーキを食べるということで嬉しい。

昨年は、一人でM-1見ながら、原稿書き。、コンビニのケーキで一人寂しくメリークリスマスな感じでした。M-1見ながら、原稿書いている間、きっとサプライズで来てくれるに違いないと密かな期待はしていたのですが、現実は小説のようには行きません。そして、22時過ぎぐらいから文京区春日のバーミヤンで、まろまろ堂さんと中華を食べました。バーミヤンでまろまろ堂さんと格差と教育の問題についてディスカッション

(いま、昨年の記事を見つけていたら、12月22日に、「安倍政権のゆくえ」という記事を発見。「小泉総理は、9回裏まで投げきり、完投勝利を収めたが、安倍総理は、まずバッターが一巡する3回裏を乗り越えられるか?」と書いており、そのとおりになった。)

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いよいよ「いつか君にふたたび出逢うときまでに」の序章がクライマックスに

ーいよいよ序章のクライマックスということですが。

矢尾板:そうですね。ある程度、本章の下地は作れたのではないかと思います。まだ、物語は始まっていないですからね。序章で、だいたいの舞台設定ができて、そして本章に移っていきたいと考えています。

ー序章の舞台設定とは。

矢尾板:ひとつは、主人公の僕(ハジメ)に、ある種の心の闇の部分コンプレックスやトラウマを持たせようとしてきました。こうした陰の部分が、大人になって、思わぬ方向に暴走を始めていくわけです。自分では、制御したいわけですが、無意識のうちに、統制が難しくなり、そして、他人を傷つけてしまう。そして、そのことにより、闇はどんどんと深くなっていく

ーハジメのダークサイドには、何があるんですか?

矢尾板:それは、たぶん、ハジメが気が付くことになるのではないかと思いますが、そのヒントがこの序章でセッティングされているわけです。ハジメは、これから、さまざまな恋愛経験をしていきます。その中で、相手を傷つけたり、自分が傷つけられたりすることで、少しずつ考えていくんです。さまざまな要因を考えて理由づけをしようとするんですね。でも、わからない。そのうち、本当の愛に気が付くんだと思います。そのとき、初めて、相手を心の底から信頼できるようになる。同時に、自分に対して、尊厳というか自信を確立することができるのだと思います。心理学的に考えれば、ハジメの承認欲求が自己完結で満たされるかどうかということがポイントなのだろうと思います。自分を承認できないから、他者を承認できない。つまり、自分を信じられないから、他者を信じられないということにつながってくるのだろうと思います。

ー「今夜、夢の中で君に出逢う」や「半島のさき」とは、また違った作風になるのでしょうか。

矢尾板:「今夜、夢の中で君に出逢う」は、どちらかというと、自分の心の中を掘っていく作業ですね。現実社会から、どんどんとデタッチメントしていって、自分の欠落を探すという話です。上から下に行くような感じです。完全なものの中に不完全性を見出していく作業。「半島のさき」は、その掘り下げたものを埋めていく作業。不完全性の原因を見極めた上で、もういちどビルドしようという作業なわけです。
いつか君にふたたび出逢う時までに」は、何もないところから、ビルドしていくわけです。だから、完全も不完全もなく、ひとつずつ、「自己」というものを作っていく作業であると言えます。

ー本章のポイントは

矢尾板:序章でセッティングされたものが、どのように、ハジメのダークサイドになっているのか、という点を頭に置いて読んでいただけるとわかりやすいのではないかと思います。たぶん、ハジメは本当に救いようのないほどの暴走をしていくと思います。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:遠い過去の記憶(59)

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※本作品は、フィクションで、登場人物、団体、背景は架空のものです。もちろん、主人公の「僕」は、著者と同一人物ではなく、フィクションです。

僕は、その日、弥生さんを抱いた。僕にとっては、初めての異性の経験であった。このとき、どうして弥生さんを抱いたのか、冷静に考えれば、説明が付く理由は一切なかった。その瞬間、僕は、弥生さんのことを心から愛おしく思い、そして、弥生さんが求めていることの全てを僕は叶えてあげたいと、ただ、そう感じただけなのだ。だから、結衣への罪悪感もその瞬間は失われ、そのとき、僕は、ただ、弥生さんを抱くことだけに集中した。何も考えず、ただ、やみくもに、弥生さんを抱き、そして、無我夢中で果てたのであった。

弥生さんを抱いた後、僕と弥生さんはいつまでも抱きしめ合っていた。弥生さんは、これまでの苦悩を全て振り払ったように、安らかな顔をしていた。僕は、その弥生さんの顔を、いつまでも見つめて、そして、何度も口唇を重ねた。

帰り際に、玄関で弥生さんは、僕に後ろから抱きつき、そして、耳元で「ありがとう」と囁いた。僕は振り返り、再び、キスをして、「ありがとう」と言った。僕は、その日は結衣には会わないように、結衣が帰宅する直前に、結衣の家を出た。

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Team Policy Dragon

医龍2のサウンドトラックを聞きながら、こんなストーリーを書いてみたいと思いました。

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シンクタンク研究員である今井佑奈は、日本の政策過程の改革のために、シンクタンク内に特別プロジェクトを立ち上げようとする。そのプロジェクトとは、政策研究の質的に向上させ、「ポリシーウォッチ」を積極的に実施し、提言をしていくとともに、永田町、霞が関、自治体、大学・研究機関、NPO団体などを有機的なネットワークとして結ぶ「ポリシープラットフォーム」を設計し、政策提言を実現するという、研究・分析から立法までの過程の中で、政府と政策競争を行っていくという構想であった。そして、その先には、政権交代の受け皿が具体的に存在し、Well Informed Democracyを実現しようというものであった。

今井は、このプロジェクトの主力として、福沢という研究者にコンタクトを取ろうとする。福沢は、かつて、民間団体において、今井の考える構想と同じ構想を目指すプロジェクトの主力メンバーであった。しかし、そのプロジェクトは挫折し、現在は、どの機関にも所属していなかった。

ちょうど同じころ、上田という男が、かつて福沢が所属していた民間団体において、今井と同じような構想をもとに、プロジェクトを再び立ち上げようとしていた。

今井は、福沢の説得に成功し、今井のプロジェクトのエースとして福沢を迎えた。福沢は、優秀で志が高く、そして信頼のできるメンバーを集め、チーム作りを始める。福沢の周りには、かつて、民間団体において福沢のアシスタントを務めていた石川麻衣、外資系銀行に勤める桂谷壮二郎、弁護士の松本和也、キャリア官僚の小野寺宏二、そしてシンクタンクの新人研究者植村竜太郎、シンクタンクスタッフの星野徹夫がいた。

一方、上田は、経済界に根回しを行い、潤沢な資金を背景に、チーム作りを始める。将来、ノーベル経済学賞の受賞も可能であると言われ、30代で米国の大学で教授職を得た神崎嘉彦をプロジェクトのリーダーとし、その他のメンバーも国内外から各界のエース級をそろえていた。

さまざまに入り組んだ複雑な人間関係や過去を背景に、いま、日本の政策過程を大きく揺るがす競争が始まろうとしていた。

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[連載小説] Team Policy Dragon 登場人物

●Advocacy 6 から現在の人物相関図
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別ウインドウでTeam Policy Dragon 人物相関図(Advocacy 6から現在まで)を見る

○Advocacy 5までの人物相関図
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別ウインドウでTeam Policy Dragon 人物相関図(Advocacy 5まで)を見る

福沢俊明FUKUZAWA, Toshiaki):
日本公共政策研究所研究員。Ph.D in Economics.
以前は、経済団体のシンクタンク、未来創造研究機構の研究員として、政策研究・提言チーム”Team Japan Creation”のリーダーであった。プロジェクト解散後は、「臥竜先生」と呼ばれながら、全国を放浪し、京都で祇園遊び三昧の日々を送っていた。今井佑奈に誘われ、新たな政策研究・提言チームを立ち上げることを決意する。「フィラリスト」としての能力は天性の能力であると言われ、チームのエースとなる。
米国時代に、神崎、今井佑奈、安藤と親しい関係にあった。

今井佑奈 (IMAI, Yuna):
日本公共政策研究所主任研究員。Ph.D in Economics.
日本の政策過程・立法過程を変革し、政権交代の受け皿作りをするために、福沢をエースに迎え、新たな政策研究・提言チームの構想の実現を目指している。また、自らの提言が現実の政策に反映されることに、大きなオーガニズムを感じると自ら述べている。
神崎は、元婚約者。

石川麻衣 (ISHIKAWA, Mai):
日本公共政策研究所助手。Ph.D Candidate in Economics.
以前は、未来創造研究機構の助手として、福沢の”Team Japan Creation”に参加していた。チーム解散後は、福沢と共に全国を放浪し、京都では、大学の助手を務めながら、福沢を支えていた。新しいチームの最初のメンバーとして、チームのマネジメントのアシスタント業務を中心に担当している。ロジックの設計と客観的な視点の提供を行うことで、福沢の能力をコントロールしている。

植村竜太郎 (UEMURA, Ryutaro):
日本公共政策研究所助手。 Ph.D Candidate in Economics.
大学院博士後期課程を満期退学したばかりの新人研究職員。

吉沢晴信 (YOSHIZAWA, Harunobu):
政策秘書。政策秘書試験合格(衆議院・参議院)。
以前は、未来創造研究機構の研究員として、福沢の”Team Japan Creation”に参加していた。チームでは、サブリーダーとして、チームの兄貴分、取りまとめ役であった。福沢の精神安定剤的存在。

星野徹夫 (HOSHINO, Tetsuo):
日本公共政策研究所職員。
飲む・打つ・買う・三拍子揃ったグータラ人間として評判。昼間は、ソファで昼寝をしており、夕方になると夜の街を彷徨う。その原因には、家庭よりも仕事を優先してことで、子供を亡くし、妻に離婚されるという喪失経験があった。しかし、福沢と徐々に行動をともにすることで、福沢を信頼し、Team Policy Dragonのロジスティックス担当として参加する。

上田玄三 (UEDA, Genzo):
未来創造研究機構専務理事。国内外の経済界より資金を集め、産官学連携の政策研究・提言チーム"Team Japan Innovation"を作った。研究部長時代には、”Team Japan Creation”のコーディネーターを務めていた。そして、”Team Japan Creation”の功績により、専務理事選挙に当選した。しかし、福沢と対立し、チームを解散させてしまう。

神崎嘉彦 (KANZAKI, Yoshihiko):
ハーバード大学教授、未来創造研究機構特命研究員、"Japan Innovation"プロジェクトリーダー。 Ph.D in Economics.
20代でハーバード大学のテニアー(永久就職権)を取得。米国の学会では、将来のノーベル経済学賞候補と目されている。
今井佑奈は、元婚約者だった。また、安藤泰とは、大学時代からの親友。

安藤泰 (ANDO, Yutaka):
日本公共政策研究所主席研究員。Ph.D in Economics.
人格も能力も優れているが、権力欲はない。佑奈の上司であり、良きアドバイザー。
神崎とは、大学時代からの親友。米国時代には、今井佑奈や福沢とも親しく付き合っていた。
細川の追放後、新しい研究常務担当理事となる。

細川昭次HOSOKAWA, Akitsugu):
前日本公共政策研究所研究常務理事。
新しい政策研究・提言チームを作ることに消極的。自己保身を第一とし、責任は、安藤と今井にあると宣言している。一時は、上田とともに、福沢の追放を計画するが、逆に、公共政策研究所を追われてしまう。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:遠い過去の記憶(58)

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※本作品は、フィクションで、登場人物、団体、背景は架空のものです。もちろん、主人公の「僕」は、著者と同一人物ではなく、フィクションです。

弥生さんは、僕の胸に頭を押しつけながら泣き続けた。僕は、黙って、弥生さんの背中に腕を回し、弥生さんを抱きしめた。このときは、性的な欲望や恋愛感情という気持ちではなく、ただ単純に弥生さんのことを愛おしく思ったのであった。そして、「この女性をなんとかして助けてあげたい」と思った。しかし、高校生であった僕は、弥生さんを助ける力なんて、微塵もなかった。当時の僕にできることは、ただ、彼女の姉である弥生さんという女性が求めるままに抱き締めることであった。

弥生さんは、泣き止むと、顔を上げて、僕の目を見つめて、「ありがとう。ごめんね。」と言った。僕は、「いいよ」と言った。弥生さんは、「もう少し、あなたの温もりを感じていていいかしら」と言った。僕は、「もちろんだ」と答えた。弥生さんは、わずかな笑顔を作って、横を向いた形で僕の胸に顔を沈めた。僕は、今までよりも少し強く弥生さんを抱き締めた。弥生さんは、「こうしていると、なんだか落ち着くわ」と言った。僕は、「結衣がいつ帰ってくるかわからないと思うと、少しドキドキするけどね」と答えた。すると、「結衣は、20時までは帰ってこないわ。塾の補習があると言っていたから。あの子ね、この前の模擬試験で成績が悪かったから、補習を義務付けられてしまったんだって」と、泣いた後のかすり声で、鼻をすすりながら、少し笑いながら言った。僕は、「じゃあ、さっきのは、何から何まで嘘だったんですね」と言った。すると、弥生さんは、「そうよ。あなたと、こうなるために付いた嘘」と言って、弥生さんは、再び、僕の口唇に自分の口唇を合わせようと近付けた。

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グローバル競争の中の政策シンクタンクの設計図

昨夜は、友人と新宿のすき焼き屋さん及びデニーズにて、すき焼きを食べ、お茶をしていたところ、最後の方はシンクタンクの発展には何が必要なのかを考えるような話になりました。

ぼくが作ってみたいと常々考えているシンクタンクのイメージは、グローバルな競争の中でも戦っていくことのできるシンクタンクです。(数年前に、ある団体で事務局やある学生団体のアドバイザーをしているときに、何度か、ぼくの構想を出してみたことがあるのですが、いつもうまくいかないので、この1-2年は封印していました。)

ぼくが、2年前に、George Mason UniversityのCenter for Study of Public Choiceに行ったとき、研究者として、常に、グローバルな競争を意識して、研究を行っていかなければならないということを、肌身をもって感じました。

また、米国では日本研究よりも中国研究や東アジア研究などの方が関心をもたれるのではないでしょうか。国益上の観点からも、日本の政策研究を国際会議や英文ジャーナルの場を通じて、対外的に発信していくことが、日本に関心を持ってもらうことが重要なのではないかと思っています。

そのためにも、シンクタンクにも国際的な戦略性が必要になってくると思いますし、研究者スタッフも、一体となって、一緒にグローバルな競争の中で戦っていくというような高い意識を持って、日々の研究活動を行っていけるようなシンクタンクを作っていくことが日本のために必要と思っています。

ぼく自身は、皆様からのご指導とご厚情により、おかげさまで、博士論文を提出し、来年度より大学教員としての生活のスタートが決まりました。ひとりの研究者として、次の目標は、国際学会や英文ジャーナルへの投稿という高い目標を設定して努力をしていきたいと考えております。

(ぼくの作りたいシンクタンクのイメージ)
・研究者は、政策研究と実務の両方を学び、理解する「ポリシープロフェッショナル」を目指す。常に、ポリシーウォッチのトレーニング機会が提供されるようにする。スタッフにも政策研究の素養の習得やスキルアップなどの機会を提供するプログラムの充実を通じて、自身の仕事の重要性その社会的な意義を再認識してもらうことで、仕事へのモチベーションを向上してもらう。
・看板となりうる研究者2-3名、中堅・気鋭の研究者2-3名、さらに、ポスドクレベルの若手研究者5名を軸に研究体制を設計。
・ポスドクレベルの若手研究者については、積極的に、海外の若手研究者も招へい。テニアトラック的な意味合いとして、任期は2年間で、再任は1回。再任後の任期満了時に、正式な雇用をするかどうかを判断。もちろん、その間に、大学の職が見つかれば、自由に割愛を認める。研究費は、基礎研究費として年間300万円を支給し、それ以外は、科研費などに積極的に応募して外部研究費を獲得することとする。
・研究員のオブリゲーションは、年1回は国際学会で報告英文のレフリードジャーナルに積極的に投稿国内の学術誌には最低1本は掲載させる。研究費は、基礎研究費を設定し、その他には、科研費などに積極的に応募して外部研究費を獲得することとする。
・寄付研究プロジェクトを設ける。たとえば、トヨタから寄付を受けた場合、その研究プロジェクトのリーダーは、「トヨタ研究員」などの職名になる。
年1度の国際コンファレンスを開催する。世界中にCall for Papersを送り、世界各国からの研究報告者を募集する。また、ノーベル賞級の研究者を毎年1名招へいし、キーノートスピーチをセッティングする。国際コンファレンスの成果を、プロシーディングスにまとめ、Oxford University PressHarvard University Pressから出版。
・年1回、英文のレフリードジャーナルエルゼビア社から発行。編集委員会は、ノーベル賞受賞者を含む、国内外の第1線で活躍する研究者で構成する。
・年1回、和文のレフリードジャーナルを発行する。編集委員会は、国内の第1線で活躍する研究者で構成する。
・これらのジャーナルへの投稿については、国内外から広く集める。

たぶん、準備の段階で、3-5名のスタッフをチームとして、とりあえず、5000万円から1億円程度あれば、ある程度、実現可能ではないかと思います。この金額に、研究者の人件費が比例的に積み上がって、約2億円程度あれば、かなり素晴らしいシンクタンクになると思います。

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研究報告:2000年代の景気拡張の要因と日本経済のリスク

本日、中央大学経済研究所経済政策研究会の研究会で、「2000年代の景気拡張の要因と日本経済のリスク」というテーマにて研究報告の機会を頂戴し、報告いたしました。

研究のmotivationは、下記の2点です。
・デフレ下において、大幅な財政支出を伴わない今回の景気拡張の特性とその要因は、どのようなものなのか。
・景気拡張の持続性を考慮した場合、日本経済のリスクは、どのような点にあるのか。

今回の研究では、次のような分析を行いました。
・GDPへの寄与度を比較し、今回の景気拡張の特性を分析。
・日本銀行『短観』のD.I.データに基づき、企業のミクロ要因が、景気動向にいかなる影響を与えたのか、について分析。
・近年の信用乗数(マネーサプライとマネタリーベースの関係)について分析。

結論は、次のようになりました。
・今回の景気拡張の特性
 (1)安定・低成長型。
 (2)企業設備と財貨・サービスの輸出が安定的にGDPに寄与。
 (3)最終消費支出が不安定的であり、伸び悩んでいる。
 (4)大企業中心に業況は上昇しているが、中小企業の業況は、未だ悪い。
 つまり、景気拡張の恩恵が、日本経済の全体に行き渡っていないということが言える。これは、市中における相場観や実感とも大いに通ずる。

・今回の景気拡張の要因
 企業のミクロレベルにおける分析で捉えれば、主に、過剰な雇用人員の整理と企業の資金繰りの改善である。

・日本経済のリスク
 1.最終消費支出の動向
 2.中小企業の業況の動向
 3.格差問題の政治化に伴い、
  (1)過剰な雇用人員の発生(適切ではない雇用者報酬の上昇)
  (2)地域間格差是正のためのバラマキ型の財政措置の増加。
 現在の日本経済の可能性とリスクは、同じ要因に複雑に重なり合っている。
 重要となるのは、可能性をリスクに転換させないように適切な政策を実施することである。

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[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:遠い過去の記憶(57)

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※本作品は、フィクションで、登場人物、団体、背景は架空のものです。もちろん、主人公の「僕」は、著者と同一人物ではなく、フィクションです。

僕は、きっと弥生さんは、東京の生活で辛いことがあったに違いがないと思った。それが何なのか、僕は想像することすら不可能であったが、確かに、弥生さんは、東京の生活に疲れ、そして、夏休みに実家に戻ってきたのであった。アルバイトを全てやめて、弥生さんが抱える全ての荷物を東京の街に残して、この生まれ育った街に戻ってきたのであった。弥生さんには、何よりも回復することが重要であった。

弥生さんの状態は、精神的には負のスパイラルに陥っていた。この状態では、何を努力するにしてもマイナスにしかならず、そして、それが自分のことをもっと追い込んでしまう。そして、場合によっては、自らを傷つけ、そして、自らを死に追い詰めてしまうかもしれない。このようなとき、唯一できる治療は、「何もしない」ということだ。とにかく、「何もしない」せず、「がんばらない」ことが重要だった。それだけ、弥生さんは精神的に不安定な状態であったのだ。僕のことをからかうということも、そのひとつだった。また、いま、僕のことを求めている行為も、また、そのひとつである。

しかし、当時の僕に、このように考えることはできなかった。ただ、弥生さんのエキセントリックな行動に驚き、そして戸惑うことしかできなかったのである。それゆえに、当時の僕は弥生さんが生き続けていくことに何も役に立つことができなかった。弥生さんを救うことができず、僕は、ただ川の流れに身を任せるように、受動的に、弥生さんという存在を受け入れるしかなかった。

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