« [連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (8) | Main | [連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (9) »

[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(20)

1

「あなたは、一人っ子でしょう。もしかすると、あなたは愛されることに慣れ過ぎていて、自分のことも、他者のことも愛することに慣れていないのかもしれないわね」

僕は、一週間前の早朝の新宿で、山川さんと話したことを思い出していた。山川さんは、「私は、他者依存症なのよ」と言った。「いつも誰かに頼っていたいのよ」と言った。その言葉は、山川さんだけのことではなく、僕自身にも当てはまることなのではないかと、美友里の話を聞きながら思った。

「私は、自分自身のこと好きだし、愛しているわよ。だから、自分の価値とか哲学とか、感じたこととかを大切にしたいと思うし、それは誰にも邪魔はされたくない。その点については、私は、誰にも支配されたくない。」

「わかるよ」と、僕は言った。

「あなたにとって、重要なことは、自分を愛する指標を、自分以外の他者に求めないということなのではないかしら。他者からの評価、立場、さまざまな外見性、そうしたもので、自分への自信を推し量ろうとするから、あなたは、いつまで経っても、自分のことを愛せないのよ。あなたは、他者を好きになるときには、相手の内面性を、しっかりと見つめられるのに、自分のことは、自分の内面性を、うまく捉えられないのではないかしら」
美友里の話を聞きながら、僕は、山川さんと僕は似ているのではないかと思った。僕にとって、山川さんは、僕自身を映し出す鏡なのかもしれない。僕は、山川さんの中に、僕自身を見ようとしているのではないかと思った。

「ねえ、美友里。僕は、僕について君の言っていることは、たぶん、当たっていると思うよ。僕は、他者を愛するふりをして、実は、自分のことを愛そうとしていただけに過ぎないのかもしれない。だから、相手のことを、尊重して、信じて、本当に愛していなくて、ただ、自分勝手に、自分を愛そうという気持ちを、相手に押し付けようとしていただけなのかもしれない。」

「もちろん、僕は、君にもっと逢いたいと思うし、一緒に、いろいろなことを感じていきたいと思う。二人で共有する思い出を増やしていきたいと思っている。」

「それは、私も、そう思っているわよ」

「僕は、これまで、他者を信じられないのは、自分に自信がないからだと思った。でも、それは、多くの中のひとつの要因に過ぎなくて、自分に自信がないのは、他者を信じられないから、ということもあるのかもしれない」

「それは、にわとりが先か卵が先かという感じね」、と美友里は言った。

「だから、僕が、いま、できることはひとつだと思う。君のことを、心から信じたい。」

(登場人物紹介)ハジメを取り巻く人々

|

« [連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (8) | Main | [連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (9) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/27563/17463235

Listed below are links to weblogs that reference [連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(20):

« [連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (8) | Main | [連載小説:Pilot版] Team Policy Dragon: Advocacy 3 : 挫折の中の女神 (9) »