[連載小説]いつか君にふたたび出逢うときまでに:「愛する」ということの意義について(11)
「山川さんは、なぜ、そう思うの?」と聞いた。すると、山川さんは、「弱い人間ってね、いつも愛情という名の付いた行為を欲してしまうものなのよ。その行為とは、性的な行為のことではないわよ。もちろん、性的な行為も含まれるかもしれないけど、それがすべてではなくて、見たり、聞いたりする、全ての行為。その行為からしか、愛情を確認できないのよ。だから、いつも、それを求めている。でも、それは間違っているわ。愛情とは、行為で確認をするものではなく、もっと奥底にある言葉では言い表せない温かな何かで感じ合うものなのよ」と言った。
僕は黙って、山川さんの話を聞いていた。山川さんは、続けて、「なぜ、愛情を行為で確認することしかできないのか。それはね、本質的に、自分に自信を持っていないからよ。何よりも強い自信があれば、自分の気持ちは揺るがないわ。自分の信じるものを信じ続けられる強さがあれば、耳元で、心の中の悪魔は囁かないわ。いつも、耳の傍には、心の中の天使と悪魔がいて囁くの。悪魔は、疑心を与え、情緒不安定な状態に導くの。天使は、それを必死に食い止めようとするの。でも、疑念とか疑心というのは、悪夢そのもので、なかなか振り払うことができない。ひとつの疑心から、多くの疑心を生み、心の中を支配する。それを振り払うためには、自分自身が自分に自信を持って、強くならなければならないのよ」と言った。
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