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インタビュー:新作「いつか君にふたたび出逢うときまでに」の意気込み

Shumpei1019

-shumpei@blogでは、「今夜、夢の中で君に出逢う」、「半島のさき」に続く、連載小説の3作品目になります。他の作品との違いは、どのようなところなのでしょうか。

矢尾板:たぶん、最も大きな違いは、主人公の「僕」に名前が付いたことではないでしょうか。これは、大きな意味があると思います。

-どのような意味ですか?

矢尾板:あまり、自分の作品のことを、解説するのは嫌いなので、ご判断はお任せしますが、客観的に考えれば、今まで作品の視点が「僕」のひとつであったのが、名前を持つことによって、「僕」を客観的に見る視点というのが増えると思います。つまり、世界観が全く異なるということですね。僕自身は、ストーリーテーリングから、若干、別なところへの移行に挑戦したいと思ったのです。

-このお話のテーマはなんですか?

矢尾板:やはり、喪失感でしょうか。失うものの辛さみたいなこと、ある種のメランコリーをテーマとしているのは、前の2つと同じですね。この話の展開がどうなるのか、ぼくにもわからないわけですが、そろそろ、主人公が何かを得てもいいのではないかとも思います。「今夜、夢の中で君に出逢う」では、失い続けて、最後に何かを得ようとするところまでは行けたわけです。「半島のさき」は、最初から失い続けて、出口すら無くなってしまう。人間は、失うことで、成長する、ということを、よく思うわけですが、そろそろ、ひとつぐらい、何かを得ることがあっても良いのではないかと思います。ただ、得ることとは失うことであり、失うこととは得ることで、結局は、表裏一体、双対なわけですね。つまり、失った時に初めて気づくから遅いわけで、得た時に、もっと気がつかなければいけないと思います。

-確かに、何かを得ていないと失えないですね。

矢尾板:これまでも、主人公は、得ることができているんです。自分では認識をしていないだけで。たとえば、山川さんにも好かれているし、竹内さんにも好意を持たれている。他者からの好意に素直に答えられれば、ハジメは、大切なものを得ることがでているのです。でも、それに気が付いていないから、失ってしまう。

-主人公の「ハジメ」は、それに気がつくのでしょうか。

矢尾板:どうでしょうか。なかなか自分で理解するということって、難しいと思いますよ。

-このお話のモデルとかはあるのでしょうか。

矢尾板:一応、おぼろげなモデルとか、設定とかはあります。たとえば、中学校2年生の林間学校で骨折したというのは、実話です。なぜ、骨折したのかという理由も実話です。恥ずかしいことなのですが、当時は、なんか恰好を付けようとして、よせばいいのに、コースから外れて駆け降りてしまったんですよね。そしたら、ポキっと、きれいに折れました(笑)。小学生のときに、右腕を骨折したことがあって、瞬間的に、やっちゃったな、と思いました。レントゲンを見たら、本当にきれいに折れていました。子どものとき、けっこう怪我したり、扁桃腺が弱かったので、よく熱が出ていたりしたので、だいたい、怪我とか病気については、自分で、「これはまずいなー」とか、「これは、とりあえず、様子見てみよう」とかはわかりますね。
病院には、夕方運ばれて、夜に宿舎に戻ったんですね。場所は、志賀高原でした。5年前くらいに、真夜中に車で、志賀高原の付近を通ったら、道がそのままでね。そのとき、「あー、中学生のとき、宿舎のワンボックスカーで、このあたりを通ったなー」って思ったら、懐かしかったですね。

-デタッチメント的な作風が続いていますが。

矢尾板:ぼくにとって小説を書くということは、バランスなんですね。いつも、論文を書いたり、政策の勉強をしたりしていて、かなり、現実社会にコミットメントする方向性のベクトルが強いわけです。そのベクトルが強ければ強いほど、自分の中の欲求として、反対の方向のベクトル、つまり、デタッチメント的なベクトルへの欲求が高まってくるのです。仕事と趣味の両立という意味での「ワークライフバランス」というのも重要だと思うのですよね。仕事と趣味の両立って、かなり重要だと思います。また、そうすることで、視野が広がるということもあります。

-コミットメントの方向性の作品は書かないということですか?

矢尾板:全く可能性がないということは言いませんよ。将来的には、それはあるかもしれない。でも、いまは、コミットメントの方向性のベクトルでは、小説を書くよりも、論文を書いたり、さまざまなエッセイを書いた方が生産的ですね。ただ、やはり、作家としては、最終的には、「総合小説」を書きたいと思うのです。そのためには、どんな書き方が必要なのか、それをひとつずつ試していきたいとは思います。だから、新作を書くときは、常に「挑戦」ということがテーマですね。

-この作品は、日本で書く予定ですか?

矢尾板:今のところは、日本国内で書く予定です。「今夜、夢の中で君に出逢う」の一部は、米国で書いた。「半島のさき」は、東京で書きました。環境というのは、作品に大きな影響を持ちます。この作品については、執筆前に、欧州に行って来たわけで、米国とはまた違う空気を吸って来た影響が、どの程度出てくるか、というところですね。

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