財政再建にマジックはない
2009年度に基礎年金の国庫負担増加に伴い2.5兆円程度の財源が必要となる。直近の課題としては、この財源をどうするかである。そのためには、消費税の増税は避けられないだろう。
もちろん、歳出削減を徹底的に行うべきである。5年間で20兆円の削減は実現しなければならない。そのためには、政治のリーダーシップが必要だ。財政再建には、マジックは通じない。歳出と歳入の改革を着実に積み上げていくしかない。政府・与党一体となって財政再建のためのリーダーシップを発揮することが重要である。そこで、政府・与党による「財政再建・構造改革会議」を設置し、政治的なリーダーシップを持たせることが必要となる。「財政再建・構造改革会議」には、現職の全閣僚、自民党の4役、公明党の3役、総理経験者、大蔵・財務相経験者、各省事務次官、政府税制調査会会長経験者、財政制度等審議会会長経験者、を正委員とする。この他、各省OB、有識者を特別委員とする。また、「財政再建・構造会議」の下には、歳出、歳入それぞれの専門部会を置く。現在の参議院の状況を考えれば、民主党の3役も正委員として、責任あるステークホルダーとして、財政再建の議論に積極的に加わってもらうことも重要であろう。
また、行政改革に関しては、第3次臨時行政調査会を設置し、21世紀における行政システムの在り方について検討することも重要である。正メンバーは、有識者、学識者、そして役所のOBで5-6名程度とする。調査会の下に、部会を設置する。部会委員についても、それぞれ5-6名程度の有識者を委員とし、各省の課長級を主任調査員、課長補佐級を調査員とする。
民主党は、消費税5%を据え置きを提言している。さらに、歳出を増加させる提言をしている。まず、社会保障財源に入れるのは、地方消費税を加えた5%なのか、それとも国税部分のみの4%なのか。これを、民主党の長妻議員は国会の委員会の場で説明する義務があるだろう。また、歳出増加のための財源をどのように確保するのか。これも民主党は説明する義務がある。まさか、国債の発行ということは考えていないだろう。pay-as-you-goの原則からも、別の歳出を削減するか、増税をするかという選択である。そこまでの提言があって初めて、民主党の提案には説得力が出てくる。参議院で第1党となった責任のひとつは、説明責任である。批判だけではなく、建設的な提言をしっかりと説得力を持たせて行っていくことが重要になってくるだろう。
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