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看板の掛け替えに終わらせるな!社会保険庁改革

今国会で行われた政府組織の改革について、確認してみることにした。今国会では、株式会社日本政策投資銀行法案、株式会社商工組合中央金庫法案、地方公営企業等金融機構法案、株式会社日本政策金融公庫法案、日本年金機構法案などである。前者は、政府系金融機関の改革であり、後者は、社会保険庁改革のための法案である。

結果として、この5本の法律案は、成立し、今後、政府系金融機関と社会保険庁は、次のように組織改編する予定である。

                    現在       今後
株式会社日本政策投資銀行 特殊法人 → 完全民営化を前提とした特殊会社
株式会社商工組合中央金庫 特殊法人 → 完全民営化を前提とした特殊会社
地方公営企業等金融機構 特殊法人 → 現行の機関は廃止の上、新たに、地方公共団体による民間法人
株式会社日本政策金融公庫 特殊法人 → 特殊会社(政府が100%の株式を保有する)

さて、問題は、社会保険庁である。安倍総理は、国鉄民営化を事例に、年金徴収業務が改善されるという説明をするが、国鉄民営化の事例は正しくない。というのも、社会保険庁は、完全民営化するわけではないからである。JR三島会社のような特殊会社方式でもない。民間法人化でもない。そもそも、日本年金機構法で、民営化はできないのである。

ここで、民営化の3つの類型について、確認をしておこう。民営化の類型は、完全民営化、特殊会社方式による民営化、民間法人化である。完全民営化とは、根拠法律は存在せず、民法上の「法人」となり、会社法の適用を受ける。一般の民間会社と同じである。特殊会社方式による民営化とは、法人格を根拠法により定め、政府からの出資を受け、ある程度、主務官庁のガバナンスのコントロールを受ける。民間法人とは、農林中央金庫のように、法人格は根拠法により定められるが、政府からの出資を受けない。そのため、経営の自由度を得られる。

民営化とは、経営の自律性、自由度、当事者意識の付与を目的とした改革であるが、そのために、法律、出資、人事権行使によるコントロールについて、政府のコミットメントを減少させるということが重要である。

つまり、システムの変更が、政策意図と結びついているかどうかについては、根拠法、政府出資の有無、政府が人事権(役員の任命権)を有しているかどうかの3点について、確認する必要がある。

日本年金機構法を見ると、そもそも、すでに「根拠法」があるので、完全民営化ではないということがわかる。株式会社日本政策投資銀行、株式会社商工組合中央金庫にも根拠法はあるが、政府株式の売却の目途を法律内に書き込んでおり、完全民営化を前提にした特殊会社方式であることがわかる。
また、日本年金機構法には、政府出資があり、農林中央金庫のような民間法人でもない。それでは、特殊会社方式による民営化なのかと思えば、株式発行をしないので、株式会社でもない。業務費用については、費用分を交付金を出すということで、独立採算でもない。

それでは、独立行政法人なのかと言えば、そもそも独立行政法人を念頭に置いた根拠法でもないし、通則法は適用しない。ただ、3ヵ年の中期目標と計画を義務化し、評価を受けるという独立行政法人もどきなシステムである。

要は、ただの特殊法人を作っただけなのである。これで、競争による効率性、経営の自律性が、本当に生まれるのであろうか。

安倍総理が言っているように、本当に、職員のインセンティブを与えるのであれば、競争相手を作ることである。つまり、年金徴収業務の市場化テストを行い、業務を民間開放し、競争の圧力を受ける環境を整備するべきなのである。

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