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「情報通信省」構想

 さて、本日の読売新聞に、菅大臣が、インドのチェンナイで、「情報通信省」の創設を検討することを発言したという記事が掲載された。この発言については、日本経済新聞でも取り上げられている。

 この情報通信省構想、これまでも何度か噂にはあがり、立ち消えているという構想だ。池田信夫氏は、「冬になると出てくるお化け」と言っている。この数年で、今回も含めて、すでに3度目に出てきた「冬のおばけ」である。

 そもそも、情報通信分野の省庁統合は、橋本行革時の省庁再編議論の発端になったと言われている。さまざまな綱引きの結果、旧郵政省が持っていた放送や通信免許の行政権限は、旧郵政省が旧自治省と旧総務庁とで統合された総務省が持つことになった。

 次に、この構想が出たのが、2004年1月の経済財政諮問会議で、小泉総理が発言したものであった。そして、2006年1月には、当時の竹中総務大臣がテレビ番組の中で、「情報通信省」構想を提案している。2005年の1月は、郵政民営化のプロジェクト展開中で、「それどころではなかった」と考えるのであれば、少なからず、2004年から、新春の恒例行事となっている。

 私も、昨年、上梓された『「小泉改革」とは何だったのか』の中で、情報通信省構想を提案しており、基本的にはこの構想は進めるべきであろうと考える。ただ、まず、大枠の段階で、検討をしなければいけない議論のポイントは、下記の2点がある。

 (1)「情報通信「省」」にすべきなのか「情報通信「庁」」なのか
 以前、私が「情報通信省」のアイディアは提案した時は、その下敷きに、中央省庁を、1府6省に再々編することを視野に構想を描いた。(1府6省については、本の中には書いていない) さらに、この1府6省庁の前提には、道州制の導入などによる完全な地方主権国家が下敷きになっている。つまり、中央省庁の所管事務の多く(特に、現業部分や「執行機能(exective function)」)を、各道州政府もしくは基礎自治体に移管。それに伴い、中央省庁の地方出先機関は廃止することを念頭に置いている。そこで、情報通信分野の政策企画、立案、ルール設計と監視を行う「省」ということで、「情報通信省」を、1府6省の中のひとつとして提案したものである。
 しかし、この段階まで行くには、道州制を実施しなければならないなど、多くのクリアすべき課題がある。この点で、現段階で議論するということであれば、「情報通信省」ではなく、「情報通信庁」なのではないか、と思われるのである。「省」と「庁」は、国家行政組織法の第3条によって、規定されている。

第3条  国の行政機関の組織は、この法律でこれを定めるものとする。
2  行政組織のため置かれる国の行政機関は、省、委員会及び庁とし、その設置及び廃止は、別に法律の定めるところによる。
3  省は、内閣の統轄の下に行政事務をつかさどる機関として置かれるものとし、委員会及び庁は、省に、その外局として置かれるものとする。
4  第二項の国の行政機関として置かれるものは、別表第一にこれを掲げる。

つまり、第3条の3の規定から、「省」と「庁」の権限は、大きく違うものであることがわかる。また、「省」の大臣と「庁」の長官の権限は、下記の第11条から第13条までの規定を見れば、明らかに異なる。

第11条  各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令の制定、改正又は廃止を必要と認めるときは、案をそなえて、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めなければならない。

第12条  各省大臣は、主任の行政事務について、法律若しくは政令を施行するため、又は法律若しくは政令の特別の委任に基づいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる。
2  各外局の長は、その機関の所掌事務について、それぞれ主任の各省大臣に対し、案をそなえて、省令を発することを求めることができる。
3  省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない。

第13条  各委員会及び各庁の長官は、別に法律の定めるところにより、政令及び省令以外の規則その他の特別の命令を自ら発することができる。
2  前条第三項の規定は、前項の命令に、これを準用する。

 つまり、「省」なのか「庁」なのか、ということは、大きな違いなのである。こうした「省」と「庁」の機能を、再度、整理した上で、「情報通信省」とするのが良いのか、「情報通信庁」とするのが良いのか、ということを検討するべきであると考えられる。また、「庁」にすべき場合は、内閣府の外局なのか、経済産業省の外局とするのか、など、どの省の下に置くべきなのか、ということを、政策上、最も効果的な配置になるように考える必要がある。

 (2)公正取引委員会の機能をどのようにするのか。
 菅大臣の発言を受けての各新聞記事の報道では、内閣府、経済産業省、総務省、文部科学省は挙げられていた。しかし、今後の産業政策で重要になってくるのは、むしろ、市場ルールの設計と監視に関する企画立案機能であるので、この点では、公正取引委員会の役割も重要になってくる。この点も鑑み、「情報通信省」もしくは「情報通信庁」の機能や役割、所管事務の範囲を検討し、どのように統合するのか、というグランドデザインが必要であると考えられる。

 個人的には、知的財産政策に関する政策の一元化を図るために、文化庁と特許庁の取り扱いに関しても、重要な議論のポイントになると考えられている。

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