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財政再建を先送りするな

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 日本が赤字財政の体質から、どれだけ脱することが出来るのか、その瀬戸際にある。

 ケインジアン的なフィスカルポリシーは、端的に言えば、不景気の時に、減税や国債を財源とした財政出動を行い、景気を刺激する。そして、好景気のときに、財政支出を抑制し、増税をする、というものだ。しかし、これは、いくつかの論点より、現実的ではない、ということがわかる。

 ひとつは、Buchanan and Wagnerの議論である。公共選択論では、政治家は得票最大化を目指す行動を行うことが暗黙のうちに、前提とされている。選挙の洗礼が待ち受ける政治家にとって、増税や歳出削減という投票者にとって痛みを与えるような政策は実行しない、と考えられるのである。すなわち、不況期における減税や歳出の増加は実行しやすいが、好況期における増税や歳出削減は実行できない、というものである。

 もうひとつは、国債の中立命題の問題である。この中立命題(等価定理)、すなわち、現在の国債の価値と将来の国債の価値が等価であるのかどうか、ということが問われるのである。

 いま、財政再建の話を眺めてみると、Buchanan and Wagnerが想定しているような世界が目の前に現実的な憧憬として広がっている。日本においても1990年前後のバブル好況期において、国債発行を抑制することができた。これは、景気による影響、インフレという特効薬のおかげであった。このときに、真の財政構造の改革はできていなかった。その後の不況期には、財政状態が、どのようになっていたのかについては言うまでもない。

 この好況の局面こそが、財政再建、財政構造改革、そして税制再建、税制改革の絶好のポイントである。このときを逃せば、再び、不況の局面に突入し、その機会を逸することになる。このタイミングが、日本の財政にとって、最後の改革の時であろう。いま、改革ができなければ、将来、さらなる財政悪化、それに伴う国民負担の増加が待ち受けている。

 財政再建においては、大前提として、歳出削減を先行させなければならない。(政策創見ネット21の提案では、増税の条件として、歳出削減を上げ、増税を1として歳出削減を4とする、1:4ルールを提案している)。そして、歳出構造の見直し、キャップ制の導入、pay-as-you-go原則の徹底といった財政構造改革をしなければならない。

 それと同時に、増税・減税という安易な二極論ではなく、税制そのものの「歪み」を解消させるような改革が必要なのである。痛んだ「公平・中立・簡素」という租税原則を修復し、社会の少子化・高齢化・国際化、成熟化といった21世紀型社会に見合った新しい税制の設計をするべきである。

 いま、求められているのは、シャウプ税制以来の抜本的な税制改革なのである。

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