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イエメン戦について

 オシム監督日本代表の初公式戦のイエメン戦は、2-0で勝利。結果だけ見れば、十分な結果だろう。ホーム&アウェイ方式では、ホームの試合を勝っておくことは重要だ。ただ、内容は、かなり不満の残るものであった。しかし、不満な内容ではあったが、今後、戦っていく上で、いくつかのヒントは得られたと思う。

 まず、前半戦だが、誰の目から見ても、ボールが回っていなかった、人が動いていなかった。ボール支配率は、圧倒的に日本ではあったが、攻めあぐねていた。イエメンにとっては、アウェイなわけで、H&A方式で、アウェイでは守備重視にするのは常套策だ。まずは、「負けない」ことが重要になる。つまり、「勝つため」のリスクはできるだけ避けることが必要だ。たぶん、ホームもアウェイも関係なく、同じ戦い方をするのは、ブラジルぐらいだろう。
たぶん、バルセロナだって、アウェイでは危険な戦い方はしないはずだ。

 つまり、イエメンの戦い方は正攻法であり、日本は、それを前提に戦わなければいけない。イエメンは、ゴール前に、7人の選手を集めて、徹底的に守った。日本は、その周りをぐるぐるボールを回すだけ、というのが、象徴的であった。日本は攻めあぐねていたし、たぶん、守備意識が落ちていた。これは、下手をすると、一発のカウンターを仕掛けられる可能性がある。たとえば、同じ中東のバーレーンなどは、カウンターサッカーをしてくるので、守備のスキを突かれる可能性がある。

 ここで、重要なのは、リズムを変えることである。ひとつは、選手が走ること。ポジションチェンジをすること。サイドチェンジをすることなど、リズムにアグレッシブさを積極的に取り入れることが重要になってくる。選手が走れば、マーカーも引っ張れる。つまり、スペースを広く使うことで、ゴール前の数的有利を生み出すということが重要だ。そこで、選手がとにかく走り、ボールを速く回すことが必要なのだが、日本はそれができなかった。

 察するところ、イエメンペースのリズムで、日本の選手の良さを消されていたのではないかと思う。この点では、イエメン側は、「してやったり」というところだろう。

 そこで、オシム監督の選択は、駒野を下げ、中盤に羽生を入れるという選択だった。羽生の入った後半、羽生のランニングにより、スペースが徐々に広く使えるようになっていった。イエメンの仕掛けたリズムを崩していき、阿部が活きてくる。そこで、1点目のコーナーキックを生んだのは、羽生のプレイである。それを阿部が決めることで、イエメンの仕掛けたリズムを完全に崩したのである。オシム監督のやりたいことができた瞬間だ。

 次に、遠藤に代えて、佐藤勇人を投入し、徐々に阿部を起点にボールが回り始める。中盤が生き返ってきたのである。それによって、佐藤寿人のゴールが生まれる。これも、オシム監督の狙い通りだ。

 今日の試合から得たことは、走らなければいけない、ということだ。そして、クレバーにボールを回すことで、ゲームを支配するということが、オシム・サッカーの目指すところだということである。

 また、オシム監督の采配は、見事に当たった。絶妙な交代であったし、その交代は、それぞれ、オシムがやりたいことのメッセージがはっきりしていたものであった。つまり、日本の未来をオシムに託してもいいということが、実証されたということだ。

 そして、オシム・チルドレンである、巻、阿部、羽生、佐藤勇人を見ていて、オシムに任せれば、日本は強くなるということだ。これから、オシム・チルドレンである巻、阿部、羽生、佐藤勇人が日本代表の軸になるのは間違いない。ここに、水野、水本、坂本なども入ってくる可能性がある。ここに、田中達也、松井大輔などが加わったチームがオシム・ジャパンの原型になるだろう。

 楽観論は良くないが、次につながる試合であったと思う。

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