夜空のさき(9)
そのサキが、突然、僕の目の前から、そしてこの家からいなくなったのである。僕は、灯りも付けず、真っ暗な部屋の中、僕以外の何の生命も存在しない、この空間に、ただひとり佇み、そして、サキのことを考えていた。
僕は、目の前からいなくなったサキと精神的な同化を図ろうとした。
しかし、すでにサキとは精神的な同化が不可能なことを知った。僕は、全てを失ったことへの虚しさを感じることになった。ここには、サキがいない。そして、サキの精神も存在しないのであった。僕は、ただ単に雪かき的な作業をしただけに過ぎなかった。僕は、それを悟った瞬間、涙を流した。そして、そのままの形になって、暫くの間、泣いていた。


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