« 夜空のさき(8) | Main | 夜空のさき(10) »

夜空のさき(9)

 そのサキが、突然、僕の目の前から、そしてこの家からいなくなったのである。僕は、灯りも付けず、真っ暗な部屋の中、僕以外の何の生命も存在しない、この空間に、ただひとり佇み、そして、サキのことを考えていた。

 僕は、目の前からいなくなったサキと精神的な同化を図ろうとした。

 しかし、すでにサキとは精神的な同化が不可能なことを知った。僕は、全てを失ったことへの虚しさを感じることになった。ここには、サキがいない。そして、サキの精神も存在しないのであった。僕は、ただ単に雪かき的な作業をしただけに過ぎなかった。僕は、それを悟った瞬間、涙を流した。そして、そのままの形になって、暫くの間、泣いていた。

|

« 夜空のさき(8) | Main | 夜空のさき(10) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/27563/10179991

Listed below are links to weblogs that reference 夜空のさき(9):

« 夜空のさき(8) | Main | 夜空のさき(10) »