夜空のさき(6)
窓の外を見ると、月が見えた。僕は、静かに月に手を伸ばそうとした。当然、届くわけがないのだが、必死に僕は月に手を伸ばそうとした。でも、僕は、いま、この悲しみを忘れるために、それも真面目で頭を使うことではなく、くだらないことに、何かに集中していたかった。「さき」と僕はつぶやいた。「さき」、「さき」、「さき」。手が届くことがない月に向かって、手を伸ばし、サキの名前を何度も読んだ。もう、遠くにいってしまったサキ、この先、ずっと会うことはないだろうサキ、僕はサキのことを思い、目に涙をためながら、その悲しみを乗り越えようとした。


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