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タクシン首相のこと

 3年前、2003年の2月にタイに訪問したとき、タクシン首相は、経済改革と経済発展を達成した偉大なタイのリーダーであった。実は、タイ政府には、日本人のアドバイザーも多く入っており、日本の優れた政策を取り込んでいた。例えば、「一村一品運動」 これは、元々、日本の大分県で、平松前知事が行った施策である。タイは、特に農村部に、この「一村一品」を取り込み、農村部の発展に貢献した。今回の総選挙で、タクシン首相がタイ北部の農村部で依然、強い支持を集めたのは、こうした政策の効果があったからだと思う。

 2003年の訪問時、ぼくはタイの首相官邸で、タクシン首相のコーポレートガバナンス的政権運営、省庁再編、政治改革の話を聞いた。もちろん、タクシン首相本人には会えなかったが、高官から話を聞くことができた。

 そのタイの訪問時に聞いた話なので、記憶が確かではないのだが、その前にも、タクシン首相に関する疑惑が取りざたされたことがあったようだ。しかし、そのときは、タイ国民は、「タクシンは国を豊かにする、タイに必要なリーダー」として、圧倒的な支持を得ていたという。その圧倒的な支持を背景に、経済構造改革、行政改革、政治改革を進めてきたのである。

 今回、タイの政治混乱を収拾したのは、やはりプミポン国王であった。どこかの場面で、国王が仲介に乗り出すというシナリオは予測されてはいた。それだけ、タイの政治混乱は深刻であったということだ。

 ポスト・タクシンは、異常な総選挙の後始末と今後の経済発展に向けて、非常に難しい政権運営を求められるのではないかと思う。一方で、タイの民主政治が成熟化してきたことの象徴であるかもしれない。村上泰亮的に考えれば、「開発主義段階」においては、むしろタクシン的な手法が有効である。しかし、「ポスト開発主義段階」に入れば、それは異なってくる。それは、レント・シーキングの問題があったりするので、経済的に効率的ではないからだ。

 民主主義とは、多元性を認めることである。しかし、アローの不可能性の定理で証明されるように、意思決定は困難となる。民主主義に与えられた次なる課題は、多元性と効率性のバランスを保てるようなルールに関するアイディアを生み出すことであり、それを達成するための知識が、社会には求められているのだと思う。

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