昨年の総選挙の際に作成したマニフェストを掲載します。夏に向けて、「民間マニフェスト2006」を作成したいと考えています。目指すべき社会像は、「自由で公正で、規律と責任ある社会」です。中央省庁の再編や道州制なども含めながら、将来のわが国の中長期的なヴィジョンを示したいと思っています。
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私たちは、9月11日投票の選挙において、問題の本質をしっかりと見据え、わが国の将来、「この国のかたち」、それは私たち自身の問題としてではなく、私たちの子供たち、孫たちに、豊かな環境を引き継いでいくために、いま、私たちは何をするべきか、そして誰に任せるのか、ということを考え、投票をするべきであると考えます。
私たちが提案する約束は、次の6つの約束です。
大きくは、小さな政府・効率的な政府を目指し、自由な経済活動において、国民の皆様、そして私たちの子供たち、孫たちが、活き活きと安心して暮らせる国を作ることであります。そのためには、積極的に構造改革に取り組みます。そして、その構造改革の結果として、経済の活性化、地域の活性化、さらには租税負担等の国民負担の軽減化を実現します。
まず、郵政民営化。地域分割も含めた完全民営化を行ない、その上で、財政投融資制度の改革を行ないます。このとき、民営化によってなくなるかもしれない郵便局については、近隣郵便局との合併、もしくは代替的サービスの提供によって不安がないようにします。また、雇用の問題については、国家公務員の身分は失いますが、職業の安定化についての最大限の配慮を実施します。そして、全ての郵政会社の社員の人々が当事者意識、愛社意識を持って、日々の仕事をやりがいのあるものと感じてもらいたいと思います。そのことが、郵便サービスのさらなる向上につながります。
次に、政府系金融機関、特殊法人・独立行政法人改革です。政府系金融機関や特殊法人・独立行政法人の存在意義やこれまでの成果を評価し、民営化できるものは民営化をし、公的部門が引き続き行わなければいけないものは、合併及び縮小・合理化した上で効率的な機関とする見直しを全政府系金融機関、特殊法人・独立行政法人に対して行います。
政府系金融機関は機関合併を行った上で、地域分割を行い、地域のニーズに沿ったサービス提供を可能とします。
特殊法人については、全ての特殊法人に市場化テストを実施し、民営化できるものについては民営化をします。市場化テストの結果、市場に委ねることが難しいものについては、まず、一定期間後に民営化可能なものとそうでないものを峻別し、一定期間後に民営化可能なものについては、独立行政法人化し、中期計画実施後に改正独立行政法人通則法に基づいて、民営化いたします。そうでないものについては、効率化・合理化した上で、定期的な見直しを前提に存続させます。
独立行政法人については、法律によって、中期目標を作成し、評価を行うことになっておりますので、その根拠法である独立行政法人通則法を改正し、中期目標の評価期に市場化テストを実施し、民営化を前提に検討を行えるようにいたします。もし、民営化が可能という結果であれば、準備期間を置いた上で民営化を行う。もし、民営化できない場合は、政策的・社会的な要求を踏まえた上で、廃止もしくは見直しを行なう。これを経済財政諮問会議で最終決定を行うというものにします。
第3番目に、社会保障・年金改革です。社会保障・年金財政は、すでに破綻をしています。この事実をしっかりと認識し、国民負担率を増加させないように、民間のアイディアを入れながら、改革を進めていきます。医療制度については、インフォームドコンセント制度を徹底し、病院においては必要な薬を必要なだけ処方をすることを徹底させ、そのための監督を行います。また、ジェネリック医薬品の使用を弾力化し、安全な薬を適正に普及できるようにいたします。介護問題については、サービス産業として重点的に位置付けて、民間会社が担うような市場を作ることを目指します。
第4番目に、財政赤字の問題です。現在の財政赤字は、民間企業で言えば、極めて破産状態にあります。そこで、各省庁や各予算項目にプライスキャップ制を導入し、予算を税収に見合った分に縮小させます。具体的には経済財政諮問会議において、各プライスキャップを細目まで提示し、予算編成を行います。また、国有財産を売却します。国債については、一時的に永久国債に転換させ、財政状況が改善した際に、償還について検討をします。
第5番目に、地方分権です。現在、三位一体改革の検討がされておりますが、抜本的な改革の議論にまで発展していないのが問題です。そこで、地方分権の改革においては、地方交付税交付金と国庫補助金の廃止、課税自主権の適用、地方債発行の自由化を行います。
地方交付税と国庫補助金については、制度そのものを廃止する代わりに、地域格差の是正のために、地域ごとに財源調整基金を設置します。財源調整基金は、当初10年間は、経済格差等を基に自動的に交付することにしますが、その後は、基金からの資金拠出が必要な自治体(都道府県単位)が、その年度の支出計画を内閣府に提出し、経済財政諮問会議が検討し、あらゆる手段を用いても収入が不足する場合において、その差額を補充することにします。
課税自主権については、国税(所得税と消費税)の一部を住民税や地方消費税に移譲するとともに、その税率の決定権を都道府県に委任することにします。
地方債発行については、発行の許認可権を中央政府は放棄し、各自治体に委ねます。同時に、地方債市場を創設し、海外投資家も含めて、自治体は市場において、資金を調達することを基本ルールとします。その際に、自治体が破産する可能性も想定して、民間会社における破産法・倒産法のような地方自治体破綻処理法を立法化し、債権者の保護と適正な破綻処理を可能にすることで、信頼できる地方債市場を設計します。
さらに地方自治体に、必要な社会資本を委譲し、自由に財産運用ができるようにします。
第6番目に、税制改革です。税制改革において重要な論点には基幹税の歪みを解消することが挙げられます。基本的には、所得税と消費税の二つの税金をバスケット的に基幹税とします。所得税については、各種の控除等を見直し、公平で公正な税金に立て直します。また、国民の租税負担率を下げることを目指し、所得税そのものの累進税率を下げ、消費税を上げることで直間比率のバランスを保ちます。
消費税には、益税と逆進性の問題がありますが、益税については、益税を生む制度そのものを廃止します。逆進性の問題については、所得税で調整することによって、問題を解決することにします。
法人税については、企業活動の活性化をもたらすような税制を検討します。また、NPO等への寄付控除を早期に実現し、非営利活動等への支援を優遇します。
所得税の控除の見直しや課税対象の拡大により、発生する問題については、教育補助等のためのバウチャーを発行・給付することにより、税制改革が国民生活にもたらす影響を軽減化させます。また、女性の社会進出の進展を前提にした所得税体系の考え方として、家庭内労働についても、十分に配慮する税制度を目指します。
こうした6つの構造改革を軸に、最終的に中央省庁再編を実行することによって、行財政改革を完結させます。
この行財政改革の推進のために、第3次臨時行政調査会を内閣府に設置し、戦略的に行財政改革を遂行いたします。
政府の規模を小さく効率的にすることによって、民間の持つ潜在的な活力の発揮を促し、経済活性化を図ります。また、この構造改革の成果により、投資家からの信頼を得て、国内における、また国外からの投資の活性化を実現いたします。
以上が、私どもの考える約束です。
私たちが生を受け、そしてこの社会に存在する使命は、辛いことや悲しいことはあったとしても、それ以上の喜びや楽しみを得て、一人一人が幸福を追求することにあると思います。
いま、まさに「この国のかたち」を、今後50年、100年の後までのあり方について、どのような道を進むべきなのかの分かれ道に差し掛かっております。私たち自身、そして私たちの子どもや孫の世代までも、その幸福を手に入れ、また、夢や目標、自己実現を達成することができよう、この自然と文化が豊かなこの国を引き継いでいくことである、そしてそれを行っていくことが私たちの仕事であると考えております。
ぜひとも、その歩むべき道について、国民の皆様の信をお聞きするとともに、私たちの約束について国民の皆様からのご支持をいただきたいと考えております。
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