« February 2006 | Main | April 2006 »

海のさき(12)

 目を閉じていると、ナツコさんの姿が浮かんできた。僕は、ナツコさんのことを考えた。仲の良かった頃のこと、一緒に食事をしたこと、お酒を飲んだこと、将来のことや夢のことについて話したこと、ナツコさんの笑顔や少し困った顔。楽しかった頃の思い出が僕の目の前に蘇ってきた。そして、二度と、その暗闇の先に、僕がたどり着くことができないことを考えると、絶望的に悲しい気持ちになった。そして、ナツコさんが電話で言っていた「あなたに対して何の気持ちもありませんから。それは、これからもずっと変わることはありません」という言葉が何度も何度も頭の中に響いた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(11)

 海岸の近くに着くと、僕はエンジンを止めて、ヘッドライトも消した。僕たちは、車の外の暗闇と同化した。

 「静かね」と、サキは言った。
 「周りには誰もいない」と、僕が言うと、「少し休みましょう」と言い、サキは目を閉じた。僕も目を閉じると、さらに深く夜の暗闇に吸い込まれ、そして同化するようであった。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

on the west wing

 毎日の楽しみは、一日の終わりに、the west wing(邦題:ザホワイトハウス)のDVDを見ること。

 感じることは、やはり2nd Seasonが最高傑作なのではないかと思うほど、出来が良いです。もちろん1st Seasonも良いのだけど、最初観たときから、2nd Seasonは、パワーアップしている感じがしているのです。

 その後、3rd Seasonは少しパワーダウンして、(というか、お話が、なんだか小難しいというか、複雑になった)、そして、4th Seasonで、3rd Seasonで感じたパワーダウンを、なんとか挽回した、そんな感じです。

 もちろん、サム・シーボン(ロブ・ロウ)好きなので、3rd Seasonから、サムがややポジションが悪くなったこともあるのだけど、(ロブ・ロウが降板した理由は、これだと思う)、たぶん、レギュラー陣が増えて、話がややこしくなったということではないか。

 2nd Seasonの良さは、このあたりの交通整理をきっちりした上で、物語を進められているということだろう。その意味で、4th Seasonも、ロブ・ロウの降板も含め、整理ができたのではないかと思う。

 ロブ・ロウだと、やはり主役級のポジショングで脚本を書かなければいけないが、ジョシュア・マリーナは、途中参加なので、そのあたりはうまく調整できるという感じかな。

 ジョシュア・マリーナも良い味を出しているのでOKなのだけど、もういちど、サムに出てきて欲しいなぁと思います。

 ということで、コツコツとthe west wingの1話ずつの感想も、ここでお送りできればと思います。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(10)

 ベイブリッジを渡り、そのまま横浜横須賀道路に入った。徐々に車の数も少なくなっていった。

サキは、「真っ暗ね」と言った。僕は、「でも星がきれいだよ」と答えた。時計は、2時30分を過ぎていて、もう少しで3時になろうとしていた。
 「日の出まで、あと3時間はないわね」と、サキは言った。「たぶん、5時過ぎには、徐々に明るくなってくると思う」と、僕は答えた。そして、「あと、30分ぐらいで、海岸に出るはずだから、このまま海岸まで行こう」と言うと、彼女は、「任せるわ」と答えた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(9)

 そのまま鶴見の橋を渡ると、横浜のベイブリッジが見えた。その先には、みなとみらいの夜景が美しく輝いていた。僕は、「この辺りに、最高の夜景を見ることが出来る埠頭があるんだ」と言った。サキは興味深く、僕の話を聞いていた。「でも、22時までしか、車では行けないんだ。その夜景を見るのは、次回への宿題としようと思うんだけど、どうかな」と、僕は聞いた。サキは、「宿題は多ければ多いほど、楽しみが増えるわ」と言って、僕の提案に賛同した。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(8)

 僕は、汐留の入り口から首都高に入った。そして、すぐにレインボーブリッジを渡った。サキは、「私は冬のレインボーブリッジが好き」と言った。僕は、「夜は空気が澄んでいて、最も映える感じがする」と答えると、「そう。だから、好きなの」と、サキは言った。レインボーブリッジを渡り終わり、羽田方面に向かった。13号地付近は、トラックの数が多かった。ここから大井辺りまでは、トラックの数が多くなる。東京湾トンネルを抜けて、再び地上に出た。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

街を歩こう:谷根千物語

 今回は、まろまろ堂さんと谷根千を歩いてみました。

 幼少のころ、10年ほど、根津と谷中に住んでいました。そんなわけで、15年の歳月を感じつつ、「温故知新」をテーマに、なつかしの冒険に旅立ちました。今回の宝物は、「思い出」と言ったところでしょうか。

 まろまろ堂さんとは、本郷3丁目で待ち合わせ。この日は、花粉症の薬を飲んでいたため、少しボッーとした感じで、一日がスタートしていました。眠くならないはずの薬なのですが、少しぼんやりしてしまうのです。

 東京大学では、大学院の修了式だったようで、羽織袴の女子学生のみなさんが多かった。なんだか、大正ロマンス、「はいからさんが通る」な感じでした。本郷通り沿いに歩いていって、東京大学の農学部のあたりで、細道へ。本当は、団子坂まで歩いて、そのまま、谷中銀座に行こうと思ったのだけど、本郷通りをこのまま歩いても、見慣れた景色でつまらないので、右折することにしました。ちょうど。地震研究所の周りを歩いて、坂を歩くと、根津神社。

 DSC01310

 根津神社は、「つつじ祭り」で有名。ちょうど、ゴールデンウィークあたりが見所なのです。子どものころ、よく遊んだなぁと思いながら、境内の方へ。神社を参拝しました。去年は、連休明けぐらいに、やっぱり参拝してきました。

 ちょうど、米国旅行に出る前だったので、一生懸命、おみくじを引いていました。ほかのところでは、末吉とか小吉とかばっかりだったので、だんだん、不安になっていたところ、根津神社で大吉をひきました。旅立つ3日前で、ぎりぎりセーフという感じでした。このころ、大吉がでないことを、真面目に悩み、杉本さんに「くじ運がないんですよ~」みたいなことをメールで送っていたりしました。

 そのまま、まろまろ堂さんが芋甚で、「もなか」を食されたいとのご希望だったので、不忍通り沿いに出て、芋甚へ。幼少のころ、このあたりのマンションに住んでいたので、芋甚は近所でした。芋甚のもなかについては、まろまろ堂さんの日記を見てください。ぼくは、小倉あんみつを注文。

DSC01311

 あんみつを食べながら、なつかしい味を思い出す。ぼくは、けっこう、あんみつとかみつまめとか好きなので、かって食べているのだけど、なかなか満足できなかった。でも、この日、あんみつを食べて、満足した。もしかすると、ぼくが探していたあんみつの味は、芋甚のあんみつだったのではないかと思いました。子供のころの憧憬を思い浮かべながら、あんみつを食べました。

 芋甚を出た後、裏道を通って、谷中銀座へ。このあたり、昔は、結構、水が出ていて大変でした。たぶん、地形が谷の底になっているので、大雨が降ると、たまってしまうんでしょう。徐々に、下水道整備が進んで、良くなってきていたけど、洪水の記憶が、頭の記憶の片隅にあります。洪水といえば、山中湖でも水が溢れてしまって、大変だった記憶があります。

 DSC01313

 谷中銀座を通ると、やはり子供のころとでは、視点が違うのか、狭くて、小さいイメージにギャップを感じました。子供のころは、もっと長くて広いイメージだったのだけど。なんかこじんまりしている感じがした。でも、武藤書店はあいかわらずあったので、嬉しかった。子供のころ、神輿に乗ったり、祭りとか楽しかったなぁ。

 谷中銀座を通り過ぎた後、日暮里の駄菓子問屋に行こうと思いました。昔、よく駄菓子問屋街に行って、駄菓子をまとめ買いしてもらったりしていました。たとえば、きなこがかかったあんこの駄菓子とか。あと、野球とかサッカーボールの包みに入ったボール型のチョコとか。いまでは、まとめ買いしても数千円なはずだから、大して、高い買い物ではないのだけど、昔は、一日のお小遣いが100円だったはずだから、とってもとっても高い品物だったのデス。

 日暮里の陸橋を歩いていると、駄菓子問屋周辺が再開発の工事中だった。噂では聞いていたけど、あの問屋街はなくなってしまったんだ。寂しさを覚える。またひとつ、なつかしい思い出が消えてしまった。。。

DSC01314

 谷中墓地を抜けて、お墓参りをして、小学生のころ住んでいたあたりを歩きました。昔は、お寺の入り口の灯篭をサッカーゴールにして、毎日のようにサッカーをしていました。あと、墓地の中でドロ刑とか。よく、このあたりのことは、夢で見るので、きっと、ぼくの心象風景で最も刻まされているのが、このころの記憶なんだなぁと思いました。

 昔の通学路を歩いて、再び根津へ。あんぱち屋のところを左折して、赤札堂の方向へ。途中で、大正時代の建物である「あけぼのハウス」が取り壊されていました。また、小学生のころのお友達のユミコちゃんの家も建て替えていました。徐々に、街が変わっていきますね。

 赤札堂から、さらに池之端方面へ。昔、よく買い物をした本屋さんと駄菓子屋さんが合わさったいざわやも閉まっておりました。

 そのまま歩いて、水月ホテル鴎外荘に到着。ここは、天然温泉が出るそうで、温泉につかることに。

 先に入浴されていた人に聞いてみると、このあたりは、都内ででる温泉とはちょっと違った温泉のよう。昔は、このホテルも外湯はやってなかった、高級旅館だったのだが、最近は、外湯がOKになったようでした。あまり、お客さんはいなくて、ゆっくりと湯治する。

060323_175901

 実は、ここは森鴎外が、昔、住んでいた家の跡地のようです。鴎外荘もあって、いまはレストランになっています。なんと、不覚にも、ここでデジカメの電池ギレ。うーん、残念。ということで、ここから携帯電話のカメラでの撮影になります。

 感じとしては、お食事だけする人もいるみたいですね。懐石料理を食べさせてくれるみたいで、お風呂にも入れるから、なかなか良いかも。特別コースでは、ヴァイオリンや琴などもひいてくれるみたい。同窓会など、少し贅沢にやってみるときには、良いかも。

 まろまろ堂さんのオススメで、うどんを食べに行くことになりました。根津の商店街を通り、不忍通りに出ました。幼稚園から小学校まで同じだったミホちゃんのパン屋さんは、カフェ付きのお店になっていました。また、クミコちゃんの家のお茶屋さんは、マンションになっていて、その一階にお茶屋さんがある感じにと、やっぱり街並みは変わるものなのですね。

 根津神社近くの「根の津」で、うどんを食べました。なかなかおいしかったので、また来たいお店になりました。

 うどんを食べた後、根津小学校の脇を通り、言問通りへ。そういえば、ミナコちゃんは元気かな?

 弥生土器発見の地を確認して、そのまま東京大学の構内へ。なんだか、ホテルみたいな建物が多くて、すごいですね。医学部棟の上にあるイタリアンレストランは良いみたいですヨ。

 そのあと、まろまろ堂さんが入っている、mixiコミュのオフに突然参加しました。立ち飲み屋の後に、オフ会に参加していたひとりがアルバイトしている"You Me"という店へ。

 こちらは、同窓会などのパーティーなどで使えそうなので、後楽園・水道橋付近での新発見でした。

 そして、次回は、浅草探検ということを決めて、幕を閉じました。もし、ご一緒いただける人がいましたら、ぜひどうぞ。ディープな浅草に挑戦します。

 今回の旅は、思い出を探しに行くこと。だいぶ、子どものころに感じた街と、街そのものが変わっていることもあるけど、とても異なった感触がした。これが大人になるということなのだろうか。

 あのころは、もっと純粋な瞳で眺めていた。「三丁目の夕日」ではないけど、日本人が、いや、ぼくが忘れていた何かに、ぼくはタイムスリップして出会ったような感じがした。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ディープスロート

 あまり、政治的なことにコメントはしたくないのだけれど、これだけは言っておきたいと思います。

 ナガタくん、民主党の傷を、これ以上、深くしないでください!ってことです。

 今日の衆議院懲罰委員会で、永田寿康議員が、情報源の実名を見事に白状してしまいました。コレって、インテリジェンスの世界では、絶対的なタブーだと思います。

 インテリジェンスの世界では、真偽のさまざまな情報が飛び交うのは当たり前のこと。その中で、情報を分析して、戦略的に用いることが重要なわけです。その中で、情報提供者、つまりディープスロートが明かされることは、最も避けなければならないタブー。そのディープスロートの命にもかかわることなのだから。

 心配しているのは、これで、民主党にインテリジェンスを流してくれる本当に信頼できる「ディープスロート」がいなくなってしまうのではないかということ。心配です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(7)

 「そうだね」と僕が答えると、サキは「海が見たいわ。それも東京の海ではなくて、どこか足を伸ばして」と言った。僕は、「明日仕事は?」と聞くと、「あら、思ったよりデリカシーがあるのね。明日は仕事はお休みだから、大丈夫よ」と、サキは答えた。「それだったら、三浦半島に行こうか」と、僕が提案すると、サキは「いいわね。日の出を海岸で眺めるのも素敵ね」と言った。僕は、「それは素敵だ」と言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

Dining Bar & Cafe "You Me"(東京都文京区本郷)

まろまろ堂さんと谷中・根津・千駄木の探索をしてきました。
 (この模様は、「街を歩こう」シリーズで後日、アップデートします)

 探索の後に、まろまろ堂さんのmixiコミュつながりの「突然オフ会」に電撃参戦してみました。最初は、本郷にある立ち飲みのお店だったのですが、なぜか、カレーの話題が出て、カレーが食べたくなり、さらに、なんの脈絡もなく、カラオケという話になり、オフ会に来ていた人のアルバイト先、Dining Bar & Cafe "You Me"に行くことになりました。

 マスターも、なかなか気さくなで大変フレンドリーな方でした。今回は、うどんを食べてきたりしていたので、お料理やお酒を味わえなかったので、残念でした。ただ、お料理やお酒もなかなかイケルのではないかと直感しています。

 雰囲気も良いので、2次会とかで、まったりと語らったりするのも良いかもしれませんね。

 4月からVIPルームも新規オープンするらしいので、パーティーなどにも使えそう。

 ちなみに、カラオケは、平井堅の「瞳をとじて」「POP STAR」、松山千春の「長い夜」を歌ってきました。

060323_220401


 Dining Bar & Cafe "You Me"
東京都文京区本郷1-27-8
03-5842-4765

【営業時間】
月~金 夕方17時~深夜1時
  土  夕方17時~深夜12時
日曜日定休日

| | Comments (0) | TrackBack (0)

讃岐うどん屋「根の津」(東京都文京区根津)

 まろまろ堂さんと谷中・根津・千駄木の探索をしてきました。
 (その模様は、「街を歩こう」シリーズで後日、アップデートします)

 夕食は、根津にある「根の津」という讃岐うどん屋さんに行ってみました。
 久しぶりに、おいしいうどんを食べられて満足でした。他にも、いろいろなおつまみなどもおいしい。

 今回、食べたのは、

 ・葉わさびのおひたし(安曇野産)
 ・イカのくち(伊東産)
 ・もち豚のおろしポン酢
 ・根の津流キツネ焼き(納豆、豆腐、ベーコン)
 ・かけたまうどん

 でした。

 うどんは、もちもちしていて、歯ごたえはバツグン。味も良い。
 お店の雰囲気は、店は少し狭いので、すぐに満席になってしまいそうですが、照明はおとなしめで、なかなか良い雰囲気。長くいる店ではないのですが、うどんを軽く一杯、ビールを一杯という感じで、デートや夜散歩の途中で寄ってみるというのがオツなのではないかと思います。

060323_184201

讃岐饂飩 根の津
東京都文京区根津1-23-16
03-3822-9015

【営業時間】
11時30分~14時30分(土・日・祝祭日は15時まで)
17時30分~21時(ラストオーダーは20時20分)
(日曜日は昼のみ営業)

【定休日】
毎週月曜日
(祝祭日の時は火曜日)


| | Comments (0) | TrackBack (0)

ウルトラ・ダラー

 今回、読み終えたのは、手嶋龍一『ウルトラ・ダラー』。

 実は、昨日にも「読んでいます」と紹介をしたのだが、やはりすぐに読み終わった。それだけ、読んでいるときは、集中できるし、読んでいないときは、読まずにはいられない、という、最近では、久しぶりに世界にハマりこむ作品だった。こんなにハマったのは、村上春樹以来かなと思う。

 内容について書いてしまうと、後ろから石を投げられそうな感じもするので、それは避けておくことにしよう。
 簡単に言えば、東アジアの某国が、「ウルトラ・ダラー」という精巧な偽ドル札を作ったことから始まるインテリジェンス戦争についてのお話である。

 内容は、たぶん真実にかなり近いものだと思われるので、リアリズムから来るダイナミックスさというのが、本書の最大の魅力なのではないかと思う。

 瀧澤勲のモデルは言うまでも無く、半分以上は、実際の人物がモデルになっている。これも、かなり憧憬が思い浮かべやすくて本自体が面白くなっている理由のひとつだ。

 さらに、内容にやや触れるので、あまり書かないが、国際政治・国際関係における各国の意思というものが、こういうことなのか!ということが、なんとなく理解できてしまう、というところに、NHK記者出身の作者の魂が込められているのではないかと思う。

 NHKの元ワシントン支局長であった手嶋氏のことなので、意図的に、現実とのギャップを作り出していると考えられることがある。それは、内閣官房副長官の高遠氏のことである。
 内閣官房副長官は、3名であり、小泉内閣では、衆議院議員、参議院議員から1名ずつ、事務次官経験者1名という布陣である。基本的に、内閣官房副長官は事務方のトップであり、事務次官経験者など、すでに一度、省を退職している者が就任をしている。この点で、前職が、外務省条約局の審議官であったとされている高遠氏が官房副長官であることに違和感を覚える。総理大臣秘書官もしくは、外交問題担当の補佐官、官房副長官補であれば納得はできるが、官房副長官というのは、いささかポストとしては高すぎるのではないかと思う。このあたりは、あまりにもリアル過ぎるよりも、小説としてのいわば緩衝材として、あえてその高いポストに設定していると見るべきであろう。

 主人公は、スティーブンという、表はBBC記者で、裏は英国のインテリジェンス機関の諜報員という設定で、特命係長的なフレーバーもし、面白いのだが、ここは日本人であったら、なお親近感がもてたと思う。

 さらに、最後の瞬間まで、その2つの顔がうまくバランスが取れていて、クレバーだったものが、最後の場面で、バランスが崩れてしまったところは、小説家としての欲望が抑えられなかったのではないかと推察する。

 ストーリーの展開も、場面の展開も、なかなか難しい部分もあり、このあたりの再構築は必要かもしれない。ちょっと、早急すぎる部分もあった。

 ただ、面白いことは事実なので、ぜひ、読んでみてください。

 評価:★★★★☆(星4つ)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(6)

 僕は、サキに「かわいそうな人ね」、「面白い人ね」、「かわいいわね」という3つの言葉を一日の中でもらったのであった。

 「せっかくだから、どこかドライブに連れて行ってよ」とサキは言った。僕は、「30分と言ったのに」と、つぶやくと、彼女は笑いながら、「本当に子どもみたいね。よしよし」と、頭を撫でた。僕はまんざらではなかった。「ごめんね。いろいろと準備もあるのよ。あなたが想像している以上に、いろいろなことをしないといけないの」と、サキが言った。「あなたは、きっと、とても頭が良くて、センスがあって、センシティブなんでしょうね。だから、あらかたのことは、想像が当る。でもね、世の中は、あなたが思っていること、知っていることだけではないの。いろいろあるのよ。それはわかって」と続けて言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

『ウルトラダラー』を読んでます

 前NHKワシントン支局長だった手嶋龍一氏の『ウルトラダラー』が大ヒットのようですね。

 ぼくも、読もう読もうと思っていたところ、DQN++氏が、月曜日の食事会のときに、「大変面白い」とおっしゃっていたので、それは優先的に読まねばと、早速、昨日、amazonで注文して、今朝届きました。

 通勤電車の中で、読みましたが、流れるように話が進んでいき、本当に面白い。いまは、まだ3分の1程度までですが、一気読みしてしまいそうです。感想は、また読み終わったらにしますが、榊東行の『三本の矢』以来の面白さです。(当時、三本の矢も一晩で一気読みしてしまいました)

 実は、最近、インテリジェンス(諜報戦略とか情報戦略とか)に興味を持って、研究をしていました。そういう意味でも、本当に良いタイミングで飛び込んできた本です。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(5)

 10分後、サキは僕の車の助手席の窓をノックした。僕は、ロックを外した。彼女は、ドアを開け、車に乗り込んだ。僕が少しムっとしていると、彼女は子どもをあやすように、「いい子ね」と、頭を撫でた。そして、「よく我慢できたわね。よく立ち止まって、がんばれたわね」と言った。僕は、なぜか腹が立ちながらも、その反面で嬉しさが溢れてきた。サキは、「ゆっくりと、慌てずに歩いていきましょう」と言った。僕が無言のままでいると、「あなたって、本当にかわいいわね」とサキは言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

永遠の野球少年たちへ:WBC優勝おめでとう

 王ジャパンの皆さん、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)優勝をおめでとうございます。

 一度は、地獄の底に突き落とされ、「王さんでもダメか」と、どうしても諦めきれないけれども、現実を直視しなければいけない、そうした辛い瞬間を乗り越え、偉業を達成してくれたことに、心から感動しました。

 ぼくたちの中に、アジアでは負けないだろうという、どちらかというと甘い考えがあったと思う。勝負は、第2次リーグの米国戦。準決勝の米国戦。そして、決勝のキューバもしくはドミニカ。こんな過信があったような気がする。
マスコミも、1位通過は、当然で、それを前提にローテーションを考えていたはずだ。

 しかし、現実は、韓国が強かったということだ。どの種目でも、世界への壁は韓国だ。隣国は、常にライバルなのだ。サッカーのFIFAワールドカップの日韓大会では、ぼくたちも韓国の人々も、お互いに「韓国よりも良い成績を」、「日本よりも良い成績を」ということを、心のどこかで持っていたはずだ。

 ライバル同士が切磋琢磨していくこと自体、素晴らしいと思う。一生懸命に努力しているからこそ、ライバルには負けたくない、そう思うのだ。そして、ライバルの活躍に、祝福する気持ちを持つ反面、悔しさも感じる。それが正当なライバル関係だろう。

 イチローは、その感情を包み隠さず、正直に、気持ちを前面に押し出していた。だから、アメリカで韓国に負けたとき、あれだけ悔しがったし、韓国との再戦が決まったとき、「2度負けた相手に、3度目の負けは許されない」という言葉が出た。

 そして、準決勝の韓国戦。彼らは、野球少年に戻ったと思う。ひたむきに勝つことだけを考えた。泥臭くても、点を取り、守る。その姿に、ぼくたちは幾度も感動を与えられた。

 「王さんを男にしたい」、こういう男気もあったかもしれない。

 プロは、人々に、そして子供たちに夢を与えることが仕事なのだ。その点で、新庄選手は素晴らしいプロだと思う。自分の記録だけではなく、自分のプレイで、人々に勇気を与え、元気にさせる。それがプロなのだ。イチローは、その両方ができるのだから、本当に素晴らしいプロ野球選手だと思う。

 もちろん、エンターテイメントだから、素晴らしいファインプレーも見てみたい。でも、もっと見たいのは、ひたむきに戦う姿勢だ。

 今日の試合、川崎がホームに滑り込んだとき、あの技術は素晴らしいが、それ以上に、点を取ることへの執念を感じた。イチローもはいつくばって、点を取った。松中も2度犠牲フライでタッチアップした。松阪の投球を見ていて、甲子園のマウンドで、松阪が投げていた夏を思い出した人も多いはずだ。

 いま、永遠の野球少年たちは、世界一という栄誉を得た。ぼくたちは、もっともっと誇りに思うべきだ。

 シドニーに、アテネに忘れてきたものを、彼らはようやく手にすることができたのだ。日本野球界の夢を実現してくれたのだ。

 王ジャパンは、最高のチームだった。彼らは、元の所属チームに戻り、王監督もソフトバンクに戻る。しかし、この世界一をさらに確かなものにするために、永遠の野球少年の挑戦は終わらない。アメリカに預けてきているものがある。それは、アメリカからの勝利だ。今年のシーズンオフに、東京でもニューヨークでも、アメリカ代表と再戦をするべきだ。それに勝利したとき、日本野球界の新たな歴史がスタートするはずだ。

 次は、FIFAワールドカップのドイツ大会。

 日本人が世界で活躍すること、それが日本にとって、最高の活性剤だ!

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(4)

 さらに、20分が過ぎた。これは、もう、僕の予想通りで、きっとからかわれているんだと思った。それなら、文句の一言でも言わなければ収まらないと思い、電話を手にした。でも、その気持ちも押し込めた。サキが、電話で言っていた「あなたは、いつも歩くのが早い。徐々に距離が開く。その女性があなたに追いつかないままなのに、あなたは次の段階に進もうとする。彼女は当然混乱するわよ。そして、その混乱からあなたへの不信が始まる」という言葉を思い出したのだ。僕は、もっと立ち止まって、勝手に想像し、勝手に不信感を持つ、この悪循環を断ち切らなければいけない、そう思ったのだ。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

BEST~second session~

 倖田來未のベスト2枚目です。 最近、実は倖田來未にハマッております。

 こちらのベストは、昨年から12週連続リリースしているシングルを集めたもの(でいいんですよネ?)

 このアルバムの中では、No Regretが、最も倖田來未の良さが出ているかなと思います。

 これまでも、倖田來未の作品では、real EmotionやButterflyが、個性を出していたので、No Regretも、その流れかなと思います。

 倖田來未は、「エロかわいい」と言われていますが、それは、歌以外の部分。もちろん、キューティーハニーなど、PVを見ていると、敢えてそのセンを狙っているところはあるわけですが、実は、彼女の魅力は、プロデューサー的視点で言えば、パンチだと思うんです。つまり、歌の中に、パンチを効かせると、かなりパンチが効く。誰もができるわけではないので、ここが彼女の個性だと思うわけです。

 そういう意味で、パンチがかなり効くのが、real Emotionであり、Butterflyであり、No Regretなわけです。

 さて、倖田來未は、いまやAvexを支える歌姫(ディーバ)となったようです。いまや、大塚愛と二枚看板というところでしょうか。昨年は、レコード大賞も受賞しましたしね。

 そういえば、12週連続リリース前に、ぼくが大阪でバスに乗っていると、女子高生が、「倖田來未が12枚連続リリースするんだって!」みたいな話をしていたのを、ぼくは寝たふりをしながら聞いていました。

 ☆☆☆☆(星5つ中4つ)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(3)

 30分間が経過した。サキが現れる気配はない。僕は、本当に朝まで待たなければいけないのではないかと心配をし出した。実は、サキは僕のことをからかっていて、「私もあなたのこと好きよ」というのも冗談で、楽しんでいるだけなのかもしれない。それで、もう、サキは寝てしまっていて、僕は朝になって、自分の馬鹿らしさを知るのかもしれない。そう考えていると、もう一度、サキに電話をしてみようと思った。思ったというより、怒りも合わさって、サキに電話しなければといけないと思った。しかし、僕はその感情を押し込めた。もっと、サキのことを信じてみよう、そう思ったのである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(2)

 「本当に来たの?」と、サキは半分信じられないように、また少し呆れた口調で言った。僕は、「会いたいという気持ちに嘘は付けない」と答えた。彼女は、「本当に面白い人ね」と少し苦笑いをしながら言った。「いま、本郷郵便局の前にいるんだ」と、僕が言うと、「それじゃあ、30分ぐらい、そこで待っていてくれる?」とサキが尋ねた。僕は、「もちろん、君に会えるのであれば、朝までだって待っている」と答えると、サキは意地悪そうに「じゃあ、朝まで待っていて」と、笑い声で言って、電話をそのまま切った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

新コラムシリーズ

 shumpei@blogも、来月より3年目に入ります。特に、昨年の春以降は、リニューアルをして、on line 雑誌のような形で、お送りしております。

 たしか、7月以降は、ほぼ毎日(8月からは確実に毎日)、更新をしております。月から土は、連載小説を中心に、日曜日はコラム・エッセイをという形にしております。

 さらに、http://www.shumpei.jpのドメインも取得し、yahooの検索では、常に上位に表示をいただいております。

 みなさまのご声援を励みにがんばっています。 いつもありがとうございます。

 3年目に入るということで、新しい企画を立ち上げます。いずれも不定期な掲載になると思いますが、音楽と本と料理についての批評というか感想文を書こうと思います。

 音楽は、「俊平的音楽塾」
 本は、「俊平のいる図書館」
 料理は、「矢尾板俊平のちょっと行ってみたいレストラン」

 となります。

 この曲を、この本を、この店を、ぜひ、ぼくに体験させたいというものがありましたら、ぜひ、教えてください。

 こんごとも、よろしくお願い申し上げます。(ぺこり)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

恋のダウンロード

 仲間由紀恵 with ダウンズローズの「恋のダウンロード」を聴いています。

 ぼくは、なかなかのお気に入りになりました。というのも、古き良きアイドルJ-POPの匂いがプンプンするからです。曲は筒美京平で、王道ですね。そして、作詞は、あまり意味に凝り過ぎていないで、勢いで行っているところが良い。

 この歌は、メッセージ性というより、仲間由紀恵が歌っていることが重要な歌なのだ。そう、1980年代や90年代前半に、ぼくたちが一生懸命に追いかけたアイドルたちの歌のように、歌の内容に意味があるわけではなく、もちろん音楽に意味があるわけではなく、そのアイドル(男性も女性も)が歌っていることが重要なのだ。

 この数年、ぼくたちが忘れていた何かを、思い出すことができるのだ。

 このジャンクさ、というか、手軽さが、たまらない。たまに、ぼくたちがファーストフード店のフライドポテトが食べたくなるように、ぼくたちは音楽にも、たまに、求めるのだ。 熱々の揚げたてのフライドポテト。でも、その多くは、しなびて、冷めたポテトなのだが、たまに、熱々のポテトにめぐり合う。そんな感じなのだ。

 音楽を作るとき、小説を書くときも同じだけれども、凝りすぎると、それはただの自己満足の世界で、悦に浸っているに過ぎないという現象に陥っていることも多い。だから、第3者の評価が重要になってくる。

 そうしたマスターベーション的作品の大半は、全く受け入れられないか、一部のマニアにしか受け入れられない。

 ぼくたちは芸術家なので、自分で納得すること、さらに、自己満足や自己陶酔との微妙な間のところで、トランスな状態になることも時には必要なことである。作品を創造するということは、そういうことである。時に、神の言葉を聞き、神の奏でる音に耳を傾ける。そして、それを盗むのだ。無意識のうちに、こうした意志の交換の連続が行われる。

 そんなとき、素朴なメッセージや音が、実は人々に認められることもある。

 そんなことを思い出させてくれる一曲である。

 ☆☆☆☆(星5つ中4つ)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ぼくにとっての大町久美子:つまり心の中の永遠のマドンナということ

 ぼくの小説、「今夜、夢の中で君に出逢う」や「半島のさき」を読んでくれた方から、これはやおいたさんの実体験ですか?とか、モデルはいるんですか?とか、そういうことを聞かれることがある。

 この質問に対して、ぼくは、少し弱めにNOと答える。

 小説の内容が、ぼくの実体験そのものではないが、これまで、ぼくが生きていて経験したり、感じたりしたことは、含まれているから、はっきりとNOというようには自信がない。YESではないが、NOでもないのだ。

 じゃあ、モデルはいるのか、ということなのだが、「僕」は決してぼくではない。つまり、I am not I なのだ。でも、near イコールな感じでもある。つまり、I am not somebody なのだ。なかなか難しい。

 例えば、ユキコさん、これも特定の誰かではない。もちろん、ユミもナツコさんも。

 前に書いたかもしれないが、名前とは、それ自身にはあまり意味を持たない。どちらかというと、標識のようなものだ。他者と自分を区別するシグナル、それが名前の最も原始的な役割だと思う。だから、ユキコさんは、ナツコさんだったかもしれないし、ユミはサキだったかもしれない。そこに、あまり重要性はない。

 しかし、ユキコさんたる何かしらの感情や肉体は、ユミでもサキでもない。ましては、ナツコさんでもない。ユキコさんはユキコさんなのだ。つまり、重要なのは、目に見える、ひとつの現象の表現ではなく、現象そのものなのだ。

 だから、ぼくのなかで、構築されたある種の人格(?)、もしくは現象は、特定の誰かのものではなくて、これも、ぼくの中で自発的に生じた全くオリジナルな存在なのだ。

 その中で、ぼくは、小説を書くことを通じて、自分の中にある壁に挑戦をしている。

 ぼくの恋愛の中で、村上春樹の作品は、ある一定以上の意味を持つ。昔の彼女に、「国境の南、太陽の西」の主人公は、きっとぼくのことだと言われ、「ノルウェイの森」も進められた。

 「羊をめぐる冒険」と「ダンス・ダンス・ダンス」は、やはり好きな人から進められ、早速、次の日、米国に旅立つときの空港の書店で慌てて買い求め、米国旅行の間に、半ば、彼女のことを思い出しながら読んだ。

 そのあと、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」も「ねじまき鳥クロニクル」も、その彼女に会うことのできない寂しさを抱えながら、彼女を思い出しながら、読んだ。

 村上春樹作品には、少なからず、ぼくの恋愛と微妙に関係しあっているのだ。

 だから、ぼくは、文章を書くことで、新しい世界観への刷新を図らなければならないのだ。

 今日、僕は、「心の中の永遠の恋人」というものが本当に存在することを知った。島耕作にとっては、大町久美子であり、僕にとっては、僕に村上作品を勧めてくれたあの女性である。

 何度も、叶わぬ恋だと知りつつ、諦めようとした。もちろん、手を伸ばしても、彼女の指に触れることさえもかなわない。手を伸ばし過ぎて、全くの反作用を起こし、彼女をたぶん、何度も怒らせているし、困らせているし、不快にさせている。でも、「ダンスダンスダンス」のユミヨシさんのように、僕の心から、彼女の幻影を消し去ることができない。なんども消せども、消せども、その肖像は消えないのだ。

 そう、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の図書館のアシスタントの女の子のように、「ノルウェイの森」の直子のように、「ダンスダンスダンス」のキキのように、「国境の南、太陽の西」の島本さんのように、「ねじまき鳥クロニクル」のクミコ、そして「海辺のカフカ」の佐伯さんのように、「喪失」や「死」そのものの象徴であり、また、、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の博士の孫娘のように、「ノルウェイの森」の緑のように、「ダンスダンスダンス」のユミヨシさんのように、「国境の南、太陽の西」の由希子のように、「生」の象徴、そして、「ダンスダンスダンス」のユキや「海辺のカフカ」のさくらのように、ふたつの世界を結ぶものの象徴として、彼女は、僕の前にいたのだ。

 僕は、彼女を喪失したけれど、僕は、いまのところ、まだ彼女のことを必要としている。

 実際に、彼女に会えば、僕は言葉を失う。そして、緊張するし、とても切ない気持ちになる。そして、自分を責める。自分の弱さが嫌になる。自己嫌悪の悪循環。

 永遠のマドンナとは、手が届きそうもない、はるか彼方の人。僕は、君のことが好き。もっと側に居て欲しい。そして、強く抱きしめたい。でも、そんな幻想が儚くも崩れ去る。

 夢から覚めたとき、僕は、夢の空しさに打ちひしがれる。そして、後頭部をハンマーで、ボカっと、強く殴られたような感じになる。

 そんな存在が、また僕をひとつ成長させるのだ。

 ヤオイタ的恋愛とは、ハードボイルドで、切なくて、ちょっと涙味のする、そんな恋愛でありたいと思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

海のさき(1)

 僕は、電話を切って、慌てて外出する準備を始めた。食器やグラスをキッチンの流しに戻し、シャワーを浴びた。クリーニング屋から戻ってきたばかりの黒いシャツを着て、紺のスラックスを穿き、紺の革のジャケットを羽織った。そして、何枚かのCDを持ち、車に乗り込んだ。僕の車のご機嫌も良いようで、すぐにエンジンがかかった。時間は23時になっていた。都会の喧騒も、渋谷の街では相変わらずであったが、住宅街は静寂に包まれていた。僕は、高速道路は使わず、246号線を直進し日比谷に抜け、日比谷の交差点で左折してそのまま御茶ノ水を通って本郷に出た。僕は、本郷郵便局の前で、車を止めて、サキの携帯に電話した。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

27歳になりました&大統領の継承順位について

 060317_083203
 
 こんにちは、矢尾板俊平です。

 きょうは、27回目の誕生日ということで、自分におめでとうと言ってみたりします。

 まずは、Greeでメッセージをいただきましたみなさま、ありがとうございます。
 のちほど、個別にお礼のメールをお送りいたします。

 きょうは、大同生命ビルの20階にいるのですが、天気も晴れて、レインボーブリッジの先には千葉の山だと思われる山も見えます。


実は、東京タワーも目の前に見えていたりします。ここで仕事したら、仕事もはかどるでしょうね。
「半島のさき」も早く仕上げなければいけないですし。

060317_083301

 こんな日は、好きな人と一緒にいられたら最高なのですが、まあ、憧れは憧れのままのほうが良いのかもしれませんね。

 タリーズで、モカのグランデを注文し、ホイップクリームをトッピング。The West Wingでは、トビー(リチャード・シフ)が、毎朝、新聞とコーヒーを持って出勤しています。

 いま、朝の時間を利用して、アメリカ合衆国憲法を読んでいて思ったことを。

 The West Wing 4th Seasonの話の続きなのですが、大統領の地位の継承については、修正第25条の規定に従うわけですが、継承順位についての規定は、何条が根拠となるのでしょうか。修正第25条には副大統領への継承については書いてあるのですが、具体的にそれ以降の継承順位については書いていないように思えます。

 ただ、継承順位については、確か、副大統領→下院議長→国務長官→国防長官の順位になっているとは思うのですが、これは憲法上の規定でよいのでしょうか、それとも連邦法や他の法律に書いてあるのでしょうか。

 (誰かご存知であれば、教えてください)

 一晩たっても、ドラマの中とはいえ、あの下院議長に大統領代行になっていただくのは、嫌な感じなので、このあたりをもう少し考えていきたいと思っています。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(21)

 「私は、あなたのこと好きよ」と、サキは言った。そして、「自分の弱さに正直に立ち向かえる人、そういう人が本当に強い人だと思うの。表面上だけ見て、あなたのことを弱い人というのは、きっと間違っている。確かに、あなたは精神的に脆い部分があると思うし、器用ではない部分があると思うの。でも、それも含めて、あなた自身であり、あなたの魅力なんだと思う」と続けた。僕は、「うれしいよ」と答えた。そして、「これから会いたい」と言うと、サキは「私も会いたいわ」と答えた。「これから、会いに行く」と僕が言うと、「やっぱり、あなたって歩くスピードが早いのね」と呆れたように笑った。「嘘を言っても仕方がないだろ」と僕は言うと、「そうね。気持ちに嘘ついても仕方ないわね」と答えた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

The West Wing 4th Season

 昨夜で、The West Wing 4th Seasonも終了。しかも、いつも通り、気になる終わり方で、終わりました。

 1st Seasonのときは、確かイラク戦争のときでした。4th Seasonの米国での放映は、2002-2003だったので、ちょうど、日本で1st Seasonを放映していたときだったわけだ。4th Seasonのラストでも、軍事行動が始まろうとしている。

 バートレット大統領(マーティン・シーン)が下院議長に大統領権限を一時的に委ねるところで、終わってしまいました。大統領が執務室から去るシーンは、とても寂しかった。レオ(ジョン・スペンサー)には、「お疲れ様」ではなく、「やはり、この国のリーダーはあなたです」と言って欲しかった。そして、委任するかどうかを決めるシーンで終わって欲しかった。

 なんか、下院議長は、嫌な感じだし。。。 これから大統領代行は共和党で、スタッフが民主党というので、うまく行くのでしょうか。こんなときに、ホインズが居てくれればと思うわけです。ホインズさえ、スキャンダルがなく、居てくれれば、「ジェド、ここは私に任せてくれ」と言ってくれただろう。

 まあ、辞任ではなく、休養なので、再び、バートレット大統領は戻ってくるはずなので、早く戻ってきてもらいたいと心から願うばかりです。

 4th Seasonは、サム(ロブ・ロウ)がホワイトハウスから去りました。これも寂しい。でも、3rd Seasonぐらいから、サムの位置付けが軽くなってきていたので、これも致し方がないかなとも思う。

 ウィル・ベリー(ジョシュア・マリーナ)も面白い。でも、4th Seasonでは、やはり、ジョシュ(ブラッドリー・ウィットフォード)が最高だった。昨年、米国に滞在していたときも、ブラッドが普通のテレビショーに出ていたときは、心が躍った。

 たぶん、The West Wing 5th Seasonは、今年の秋から。ぜひ、再び地上波で放映して欲しいものです。

 The West Wingの世界では、2006年が選挙の年。米国で放映中の7th Seasonでは大変なことになっているみたい。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

究而愈々遠

 「究めて、愈々遠し」という言葉です。

 加藤寛先生に、昨年の5月、ぼくが米国のジョージメイスン大学の公共選択研究センターに出掛ける前に、ご挨拶に行き、書いていただいた言葉です。

 この言葉を胸に刻み、日々努力をしていきたいと思っております。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(20)

 「そう。前にも言ったように、光の届かない暗い闇の中でも、もがいて、そして光を掴もうと必死に手を伸ばせば、必ず、あなたはその暗闇の中から出られると思うの」と、サキは言った。僕は、「いま、もしかすると、その光が少し見つかったかもしれない」と言った。「そう。それは良かったわ」と、サキが言った。「その光とは」と、僕が言い掛けると、サキは、「わかっているわよ。あなたが言いたいこと。でも、それ以上、言わないで」と言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(19)

 「予想通り。少しずつ、惹かれ始めている」と僕が答えると、「やっぱりね」と彼女は意地悪く言った。僕は、「それで、僕は、なんで「かわいそう」なの?」と聞いた。サキは、「自分の歩くスピードがわかっていない。周りが見えていない。そうね。例えて言うなら、井戸の中に落っこちて、暗闇の中で、一生懸命にもがいている状態ね」と言った。「そうかもしれない」と、僕が答えると、「だから、光が必要なの。あなたには、あなたの周りを照らしてくれる光が必要なのよ」と、サキは言った。「光の届かない暗い闇の中でも、もがいて、そして光を掴もうと必死に手を伸ばせば」、僕とサキは、同時に同じ言葉を口にした。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(18)

 「だから、あなたは、その女性に惚れた。でも、あなたとその女性の歩くスピードが違ったの。あなたは、いつも歩くのが早い。徐々に距離が開く。その女性があなたに追いつかないままなのに、あなたは次の段階に進もうとする。彼女は当然混乱するわよ。そして、その混乱からあなたへの不信が始まる。こういうことなのではないかしら」と、サキが言った。僕は、「素晴らしい」と言うと、「ねえ、もしかすると、私のことも好きになりそうになっているでしょ?」と、サキは意地悪そうに尋ねた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

国民の義務:確定申告は15日まで


 きょう、ぼくは、国民の「義務」を果たしてきました。確定申告は、15日までです。
 申告が、まだの方は、お早めに。

 毎年、確定申告書を作るときに思うのは、やはり控除がいろいろあって、なんだかわかりにくい。
 それと、所得税体系が複雑で、それで、ぼろぼろになっているのではないか、ということ。

 もう少し、フラット・タックスにした方がいいと思う。納税者の立場から言えば、もっと申告しやすいシステムの方が良いのではないかと思う。

 あとは、確定申告のマニュアルとともに、政府はどのようにお金を使っているのか、歳出削減をしているのか、とか、そういうインフォメーションもチラシやHPで出したらいいと思う。

 そんなことを思う確定申告でした。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(17)

 「それは、この前、歩いているときも言われたね」と僕は言った。サキは、「そういうのが好きという女性もいると思うのよ」と前置きをして、「でも、普通は徐々に重くなっていって、息ができないくらいになってしまうのよ」と言った。僕は、「そうだろうね」と答えた。「あなたのことをふったその女性も、最初は、あなたに好意を持っていたかもしれないのよ。それは、恋愛の対象であったかどうかは別として。きっと、あなたは惚れやすいタイプなんだと思う。あなたは、人間の良いところを見極めることが自然にできて、しかも、それが得意なんだと思う。だから、あなたは人間の素晴らしい部分に簡単に惚れてしまう。そうでしょ?」と、サキが尋ねた。僕は、「多分、合っている」と答えた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ぼくの仕事:Well-Informed Publicのこと

 このテーマについて、書くためには、たぶん、おととし、昨年のぼくの周りで起きた(そしてぼくが巻き込まれた)出来事についても、触れなければいけないだろう。
 でも、その話を書くと、生々しい話を書かなければいけないし、もっとも、当事者は全て生きているので、後々、面倒なことにもなるかもしれない。そういう意味で、日経ビジネスの「敗軍の将 兵を語る」という記事は、なかなか生々しいし、勇気があることだと思う。

 そういうことで、今回は、そういう生々しい話は置いておこうと思います。語るべき時が来たら、語ろうと思います。いや、むしろ、ぼくが、そのことについて、語らなければいけない時が、必ずやってくるはず。

 いま、Well-Informed PublicとかWell-Informed Democracyについて、語れることは、もっと、ぼくたち国民が政策の立案、決定、選択に、もっと「建設的」に意見を言って、もっとコミットメントするべきだ、ということだ。

 「建設的」にと、括弧つきで言ったのは、その発言は無責任なものではいけないし、利己的なものではなく、もっと、社会のための意見ではなければいけないと考えているからだ。いわゆる、「Public Mind」というものだ。

 まず、重要なのは、社会の問題は、自分の問題なのだという認識を持ってもらうべきだと思う。そして、その問題に対して、自分がどのようなことができるのか、ということについて考えてほしいと思う。社会とは、誰かのものではなくて、ぼくたち全員のものなのだ。ぼくたち全員のものということは、その分、その社会に対する責任というものもひとりひとりが有しているのだ。

 「自由」を履き違えてはいけないと思う。「自由」と「責任」、「義務」と「権利」(これらの言葉の対称が的確かどうかはわからないけれど)は、常に裏表にあるものだと思う。だから、フリーライダーというのは、もっての他だ。あと、公平性や公正性という問題も、受益と負担ではないけれど、努力した人にはその努力の分だけという基準が重要なんだと思う。

 話は、少しずれてしまったのだけど、社会的責任なりPublic Mindということを、それは公的な機関だけではなく、誰でも持たなければいけないと思う。

 次に、議論をするときには、共通する言語なり考え方が、理解できていることが重要だ。その意味で、法律や経済学の知識が理解されている必要がある。

 あとは、やはり情報公開だろう。もちろん、プライバシーに関わることには慎重さが必要だけど、公開議論のためには、その前提となる情報も公開されているべきだと思う。
  そして、国民サイドから、もっともっと政策のアイディアが出していくことも重要。そのために、シンクタンクが必要なのだ。

 Well-Informed PublicやDemocracyというのは、民主主義というソフトパワーのインフラなのだ。具体的には、
 ・情報公開制度
 ・シンクタンク
 ・教育機関や教育制度 などなど。
 
 さらに、Well-Informedされたmediaも重要だろう。

 ぼくの仕事は、こうした民主主義のインフラ作りなのだと思う。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

本の出版

 政策創見ネット21【旧政策評論ネット21】で執筆をいたしました出版書籍の編集が、本日というか、さきほど終わりまして、出版社の方に原稿をお送りいたしました。 詳細は、発売日が近づいたら、また、お知らせいたします。

 最初に企画の提案がなされたのが、9月末で、その後、10月ぐらいから、本格的に企画が動き出し、約4ヵ月ほどで、出版社に原稿を引き渡すということは、とても早いスピードだと思います。

 編者の先生方、執筆者の先生方、ありがとうございました。とくに、編者のおふたりの先生には、本日、夜遅くまで、編集作業、本当にお疲れ様でした。

 編集作業をお手伝いしておりまして、とても面白い本だと思っております。読み応え抜群だと思いますので、ぜひ、手に取っていただければと思います。

 引き続き、Well-Informed DemocracyやWell-Informed Publicの実現に向けて、努力していきたいと思っておりますので、みなさま、ご指導のほど、なにとぞ、よろしくお願い申し上げます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(16)

 「同情ではないとすると、なんで「かわいそう」なの?」と、今度は僕が尋ねた。さきは、少し黙った。頭の中の考えをゆっくりと言葉に変換している様子が電話を通じて伝わってきた。「もしかすると、何も考えていなかったけど、とりあえず、「かわいそう」と言っただけ?」と、僕が続けて質問をすると、彼女は不機嫌に「違うわよ」と言った。

 「そういうところが、ダメなんじゃないの?」と、サキは言った。僕は、「そういうところ?」と聞きなおした。「そういうふうに、相手にすぐに答えを求めること。それが相手を追い詰めるのよ。あなたの気持ちは純粋で、相手のことを本当に大切に思っているんだと思う。でもね、あなたは気持ちが相手に入り過ぎて、自分でも気が付かないうちに、いつのまにか相手と同化してしまうのよ。それが、相手にとってはとっても重いの」と、サキは話し始めた。「前にも言ったけど、あなたの気持ちが重いの。だから、あなたを受け入れることが簡単にはできないのよ。もっと、恋愛は軽やかに入るべきだわ」

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(15)

 さきは、「なんだか、声が暗いわね。何かあったの?」と聞いてきた。僕は、「うん」と言った。さきは、「もしかすると、最近悩んでいる恋愛のこと?」と聞くので、僕は、「そうだよ」と答えた。

 「ふーん、何か進展があったのかしら?」と、さきは尋ねた。電話の向こうの先は、僕の表情が見えない分、より慎重に尋ねてきた。「完全否定されて、それで徹底的にふられた。もう抵抗することも馬鹿らしくなるほど、圧倒的にね」と、僕は答えた。さきは、僕の話を聞くと、「かわいそう」と言った。僕は、「同情してくれるの?」と聞くと、「同情はしないわ」と言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(14)

 「女性に興味があると言われたのは初めてだよ」と、僕が言うと、「別に異性として恋愛感情があるとか、そういうことではなくて、人間観察の対象として興味があるということよ」と、さきが答えた。僕は、「そう」と言った。

 「ねえ、光は見つかったの?」と、さきが聞いてきた。僕は、「そんなに、すぐには見つからないよ」と答えた。さきは、「見つけようと思わなければ、見つからないわよ」と言った。僕は、「それはわかるよ」と言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(13)

 「光?」と僕が尋ねると、さきは、「この前言ったじゃない、「光の届かない暗い闇の中でも、もがいて、そして光を掴もうと必死に手を伸ばせば、必ず、あなたはその暗闇の中から出られると思うわよって」と言うと、僕は「覚えているよ」と言った。

 「その光は見つかったのかしら?」と、さきは聞いた。「なんで、僕にそんなことは聞くの?」と、僕が聞くと、「あなたに興味があるからよ」と、さきは言った。僕は、「それはうれしいね」と言うと、「あなたって、なんだか面白そうな人だから。興味があるのよ」と言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(12)

 「それは、僕の恥ずかしさの裏返しだよ」と言うと、「別に恥ずかしいことなんてないじゃない。もっと素直に、私と話したかったと言っていいのよ」と、少し笑いをこめながら言った。「ねえ、さき。僕は、ずっと君と話したかった。今も、君から電話が来ないか、君の事だけを考えていたんだ」と言うと、「わざとらしいわね。悪いけど、信用できないわ」と、また笑いながら言った。「ねえ、さき。君と話をしたかったのは本当だよ」と言うと、「それは光栄だわ」とさきが答えた。そして、「ねえ、光は見つかった?」と、さきは僕に聞いた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(11)

 少しの間、僕はベランダで夜空を眺めていた。気が付くと、部屋の中のテーブルの上で、怪しく響き渡る音がしていた。携帯のバイブレーションが木のテーブルを激しく打っていたのである。

 「もしもし」、僕が電話に出ると、「こんな夜更けにご迷惑かしら」というさきの声が聞こえてきた。「いいよ」と僕は答えた。「それは良かったわ」とさきが言った。僕は、「うれしいよ。今、誰かと話したい気分だったんだ」と言うと、さきは、「それはタイミングが良かったわね。でも、誰でも良かったというのは、なんだか腹が立つわ」と言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

shumpei.jp:ドメイン変更のお知らせ

 皆さんこんにちは。矢尾板俊平です。
 このたび、"shumpei.jp"のドメインを取得いたしました。そこで、"shumpei@blog"のURLは、下記のようになります。

 新URL (http://www.shumpei.jp)です。

 よろしくお願い申し上げます。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(10)

 僕は、暫く呆然としていた。胸が引き締められ、そして心が引き裂かれた。何も考えることができなかった。とても悲しく、そして冷たい別れであった。もう、僕はナツコさんと会うこともないだろう。どこかの交差点であったとしても、見知らぬ他人のように通り過ぎるだけ。それがとてつもなく悲しかった。そして、そのとき、「別れ」の意味を人生で初めて強く理解できたのである。僕は、グラスの中のボーモアを飲み干し、ベランダに出て、秋空に輝く星を眺めて、「ナツコさん、さようなら。お元気で」と言って、新たに入れたボーモアを乾杯のように掲げた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

The West Wing 2nd Season

 ザホワイトハウス(原題 the west wing)のセカンドシーズンのDVDが届きました。僕は、これまでの日本放映分シーズン(現在、BS2で4thシーズンを放映中)では、この2ndシーズンが好きです。

 いろいろと考えさせられるテーマばかりですね。

中でも、下記の3つが好きです。
"NOEL", "SOMEBODY'S GOING TO EMERGENCY, SOMEBODY'S GOING TO JAIL", "THE STACKHOUSE FILBUSTER"

この中で、1番を選ぶなら、"NOEL"ですかね。カウンセラーとのやり取りで、ジョシュ(ブラッドリー・ウィットフォード)のトラウマを見つけるのは、話としても、かなり高度な展開。

もちろん2ndシーズンスタートの2話も、もちろん好きですよ。とくに、トビー以外がクビになるシーン。

これに比べて、若干、3rdシーズンでは、大統領(マーティン・シーン)のスキャンダルに焦点をあわせすぎたせいか、話全体として冗長してしまっています。4thでは、なんとか、それは戻ってきた感はありますケド。ウィル・ベリー(ジョシュア・マリーナ)がお気に入りというのもありますが。

サム(ロブ・ロウ)も、もう一度、戻ってきて欲しいです。

ということで、これから見ます。

ちなみに、一緒に、映画"NANA"も届きました。こちらも見たら、感想を書こうと思います。

@しゅんぺい

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(9)

 ナツコさんは、「そう」と答えた。そして、「私はそんな弱い人、それこそ嫌だわ。申し訳ないけど、私はあなたの願いを受け入れられない」と言った。僕は、「そうだね」と言った。ナツコさんは、「言いたいことはそれだけ。もう、偶然、顔を合わせることはあるかもしれないけど、でも、それもできるだけ避けるようにするけど。会うことも話すことも、それこそこれからの人生で接点すらないだろうけど、あなたはあなたのために、あなた自身のために元気でがんばってください。さようなら」と言った。僕は、「ナツコさんも元気で」と言い掛けたとき、すでに電話は切れていた。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

大町久美子

 島耕作の永遠マドンナ・大町久美子がいよいよ、常務島耕作に登場。待っておりましたよ。大町さん。
 やはり、大町久美子が出てこないと、島耕作ではないですよね。

 本当は、結婚していてもおかしくない二人であるが、「結婚」という形にとらわれず、自由な恋愛をするということで、確か、くっついたり、離れたりしてきたはず。これが大町久美子のポリシーであり、島耕作のポリシーでもあるはず。

 でも、本当にそうなのか?この前、ある女性は、「それは違う」と言っていた。その女性とは、なぜか「島耕作」論を戦わせることになったのだが、それから一週間も経たず、大町久美子が出てくるとは。

 その女性によると、大町久美子は、島耕作のことを愛しているし、島耕作のことを待っているという。それなのに、他の男性とくっつくというのは、それは島耕作が大町久美子のことを良かれと思って空けている距離感が、たまらず不満なのだという。

 島耕作も、最近はおなしくなってきている。とくに部長になってからは、派手には遊んでいない。それも、きっと大町久美子のことを想っているからではないだろうか。ヤング島耕作の頃は、謳歌しているし、課長時代もテーマは、仕事と女性だった(ような気がする)。課長時代から、大町久美子とくっついたり離れたり、タイミングとして、最も二人が良かった時代は、課長から部長に昇進して、ワイン事業に飛ばされるまでだろう。

 そのときに、二人は結婚という愛の形を選ばなかった。それは、なぜだろう。

 そして、いよいよ、インド編。大町久美子がやってきた。島耕作もいる。
 "May I come with you?"

 インドに役者が揃ってきた。いよいよ「常務島耕作」も最高潮か!?

 次は、「専務島耕作」で、いつかは「社長島耕作」が見てみたい。

 (ヤング島耕作は、主任編が始まったし。)

 でも、島耕作といい加治隆介といい、永遠の恋人が必ずいるんですよね(笑)

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(8)

 ナツコさんは、「そう」と言った。そして、少し不機嫌そうな声で答えた。僕は、「ごめん」と言った。ナツコさんは、冷たく「いいのよ」と答えた。僕は、「あなたは僕よりも遥かに優秀で、頭がいい。仕事もできる。僕なんか、あなたに及ぶことさえもできない。僕はあなたに勝てないことはわかっている。だから、僕にはあなたの力がどのような形であっても必要なんだと思った」と言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

電話のさき(7)

 「それだけ言いたかったの」と、ナツコさんが言った。僕は、「わかった。全てあなたが思う通りにしてもらっていい」と答えた。ナツコさんは、冷たく「そう」と言った。「あなたをまた怒らせることになるかもしれないけど、僕も一言だけ感想をいいかな」と言うと、ナツコさんは、「いいわよ」と答えた。僕は、「僕はね、まだ立ち直っていないんだよ。正直なことを言うと、今も、ただ、無理して強がっているだけなんだ。どちらかというと、僕は精神的に弱い方でね。本当であれば、あなたと顔を合わせるだけでも苦しいんだ。それに加えて、あなたと顔を合わせることをとっても恐れている。そのときに、自分の気持ちを抑えることができるのか、それが怖いんだ。いつ、感情が溢れ出してしまうか、それが許されない状況で、僕は、いま必死に、自分の感情を制御しようとしている。だから、あなたの提案は、僕にとっても歓迎だ」と言った。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« February 2006 | Main | April 2006 »