海のさき(1)
僕は、電話を切って、慌てて外出する準備を始めた。食器やグラスをキッチンの流しに戻し、シャワーを浴びた。クリーニング屋から戻ってきたばかりの黒いシャツを着て、紺のスラックスを穿き、紺の革のジャケットを羽織った。そして、何枚かのCDを持ち、車に乗り込んだ。僕の車のご機嫌も良いようで、すぐにエンジンがかかった。時間は23時になっていた。都会の喧騒も、渋谷の街では相変わらずであったが、住宅街は静寂に包まれていた。僕は、高速道路は使わず、246号線を直進し日比谷に抜け、日比谷の交差点で左折してそのまま御茶ノ水を通って本郷に出た。僕は、本郷郵便局の前で、車を止めて、サキの携帯に電話した。


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