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羊をめぐる冒険2006-羊男に会いに行く-

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羊をめぐる冒険」と言えば、村上春樹の名作なわけですが、舞台のほとんどは北海道でした。「ダンス・ダンス・ダンス」もスタートは札幌からです。

ということで、僕も羊男に会いに行ってきました。

北海道のことは、それこそ、村上春樹の小説でしか知らなくて、札幌という街のことも、あまり知らず、ただただドルフィンホテルを探す旅。うまく踊れない僕。何かの迷路に迷っているような不安を、僕は抱えながら、一日一日をそれこそ雪かきのようにムダに過ごしているような幻想の毎日。僕は、どこに行こうとしているのだろうか。君は、どこにいるのだろうか。その答えを得るために、僕はきっと羊男に会わなければいけないのだ。

そんな気持ちで、僕は朝の5時過ぎに家を出た。まだ、朝は明けておらず、朝の闇の中で、少しずつ一日が始まる確かな時間の流れを感じていた。

三田で、京急線の羽田行き急行に乗り換えた。空港行きのお客さんが多い。ふと、前に寝ている女の子が、どこかで見たような感じの女の子であった。誰だろうと思っていると、映画「NANA」の中島美嘉を思い出した。つまり、その女の子は、「私NANAだけど、何か?」みたいな服装と髪型をしているのだ。なかなか香具師な感じだった。

7時30分の飛行機に、5分前に飛び乗った。隣は、若い学生風の男の子だ。もし、女の子だったら、新たな恋愛ストーリーでも生まれるところだろうけど、そういうこととは、あまり縁はなさそうな機内だった。

北海道で、僕は、一人の女の子に出会った。その女の子とは雪祭りで出会った。
彼女とは、東京でも埼玉でも、ほとんどのところで、会ったことがある。でも、北海道での彼女は、いつものかわいらしさをより尊大にアピールしていた。胸を張って、がんばって背伸びして自己主張をしているようだった。

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昼食は、二条市場というとことに向かった。ドルフィンホテルを探しているとき、タクシーの運転手さんに、僕は尋ねてみた。「ねえ、運転手さん、ここらで、あまりこじゃれていなくて、安くておいしい店って、ないですかね」

僕は、ガイドブックに載っているようなお店には、あまり行かない。その街に住んでいる人が、日常に行く店が好きなのだ。すでに、この街に来ていることが、僕にとっては非日常であって、これ以上、それを踏み越えるわけにはいかない。僕は静かに、日常を楽しみたいのだ。

タクシーの運転手さんは、「それだったら」と、二条市場を勧めてくれた。僕は、「海鮮物」という条件を付け加えて、「それだったら」と紹介してくれたのだ。

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二条市場の中に、とても混んでいるお店があった。市場の中の卸売りの魚屋さんが直営している店だ。お店の名前は、どんぶり茶屋。会長のおじいさんは、なんだか、懐かしい気持ちにさせてくれる人だった。僕は、丸鮮セットを注文した。

昼食を食べた僕は、ドルフィンホテルと羊男を探しに、再び街を彷徨った。ふと、目の前には赤レンガの建物があった。旧道庁のビルだ。

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もしかすると、ここに羊男がいるかもしれない。僕はそう思って、その赤レンガの建物に入った。しかし、どこを探しても、羊男は、姿を表さなかった。

僕は、本当に、この旅で羊男に会えるのだろうか。ふと、そんなことを考え、少し感傷的に浸っていると、目の前に、昔の知事さんたちが使ったという年代物の机とイスがあった。

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僕は、ふと人の気配を感じた。周りは、暗くなり、静寂に包まれた。僕は、怖くなり、そこから逃げ出そうとしたとき、イスの上に、羊男が座っていた。羊男は、「僕に何か用かい?」と、僕に尋ねた。

僕は、「君を探していたんだ」と答えた。羊男は、黙っていた。

僕は、「君とは、暫く会っていなかった」と言うと、羊男は、「僕はいつでも君のそばにいた」と答えた。

「そんな気はしていたよ」と、僕は答えた。そして、「ねえ、教えて欲しいことがあるんだ」と羊男に話しかけた。

「君と最後に会ってから、いろいろなことがあった。新しい出会いもあり、別れもあった。楽しいこともあり、辛いこともあった。でもね、どうしても、ひとつだけ気になることがあるんだ。いま、あの羊はどこにいるんだろう」

すると、羊男は、「もっと踊るんだ。もっと踊れば、何かが見えてくるよ。君の友人の鼠も、きっとそれを待っている」と言った。僕は、「ありがとう」と言った。

気が付くと、僕は赤レンガの建物の前に立ち尽くしていた。少し呆然と立ち尽くした後、羊男の伝えたかったことを考えてみた。僕は、タクシーに乗り、サッポロビール園に行って、ビールを飲んだ。

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その晩、僕はドルフィンホテルにはたどり着けなかった。これから旭川の方に行こうとしたけど、ラジオでは道中が吹雪であることを告げていた。一度、東京に戻って、いろいろな整理をして、そしてもう一度、北海道に来よう。今度こそ、羊を見つけて、鼠と会う。羊男の伝えたかったことを知ろうと思った。

帰りの飛行機で、僕は、スパークリングワインを頼んだ。ワインを空けて、窓の外の夜景を見ながら、羊男と乾杯をした。

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