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エピローグ(1)

 僕が目を覚ますと、そこにはレイコさんが心配するように、僕の肩を揺すっていた。僕は目を開けながら、その様子をぼんやりと眺めていた。暫く、言葉を発することさえもできなかった。

 レイコさんは、僕のおでこを平手で叩いた。これはさすがに痛かった。でも、「痛い」という言葉は、出せなかった。

 次に、レイコさんは、僕の頬を何度も平手で叩いた。これもさすがに痛かった。なすがままの状態で叩かれているのは、嫌なものだが、抵抗しようが、言葉を発しようとしようが、それが全くできなかったのである。

 しかし、痛みは強く感じられた。僕は、確かに生きていることを感じている。肉体は消滅していれば、痛みを感じることさえもない。僕の意識と肉体は確かにここに存在するのだ。

 レイコさんは、瞳に涙を溜めながら、キスをした。柔らかくて、優しいキスだった。僕は、ようやく言葉を発することができるようになり、「感激だ」と、小さな声で呟いた。

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