今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(26)
「そう、君は白い家から出ようとしなかった。誰かが無理矢理、鍵をこじ開けようとすると、君は一生懸命に、鍵を閉めなおして、ドアを必死に開かないように努力する」
「そうだね。そんな夢を何度も見るよ。ユミ、君もここにいたんだね」と、僕は言った。
その声は、ユミのものだった。
「僕は、何度も夢の中で、君にもういちど逢って、君に謝ろうとしていた。でも、それは違うんだ。君は、白い家の外の海に向かって、旅立っていった。僕は、それを追いかければ、ただ未練がましいと思って、君をあきらめることが美徳だと思った。もちろん、君を追いかけても、君をもう一度、取り戻すことはできないだろう。でも、重要なのは、その白い家から出ることだったんだ。君は、それを僕に教えようとしれくれたんだ」
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