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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(22)

 「それで、奪おうとしたんだね」と僕は言った。

 「最初、君と寝たのは、当てつけよ。真知子と彼に対する当てつけ。でも、私が君のこと好きだというのは嘘じゃないのよ。好きでもない男といくら当てつけだって言っても寝ないわよ」とユキコさんは言った。

 「ねえ、ユキコさん。僕はあなたに裏切られたこと、傷つけられたこと、そんなのどうでもいいんだ。僕が、当時、あなたに利用されていたとしても、僕はあなたのことが好きだったし、愛していた。世界で一番あなたのことを愛していた。あなたがいなくなり、あの手紙を読んで、全てを知った後でさえ、僕は悲しみこそすれ、あなたを憎む気持ちはなかった」

 「今でも、その気持ちには変わらない?」と、ユキコさんは言った。

 「ねえ、ユキコさん。僕はね、あのとき、あなたを失ったこと、今でも後悔している。自分の無力さがつくづく嫌になった。あのとき、僕は高校生で、あなたは大学生。今なら、あなたを守ることができるけど、あのとき、どうやってもそれは無理だった。だからこそ、僕は自分に言い訳ができないんだ。「がんばった」とか「努力した」とか。絶対的な絶望と後悔だけが残ったんだ。それを、この十年間、僕は心のどこかで一生懸命に忘れようとした。そして、その穴を埋めようとしていたんだ。でも、どうしても埋まらなかった。その僕の欠落が、多くの人々を傷つけた。僕は、もう人を傷つけるのはこりごりだ」

 ユキコさんは、「私のこと、まだ愛しているの?」と聞いた。

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