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エピローグ(1)

 僕が目を覚ますと、そこにはレイコさんが心配するように、僕の肩を揺すっていた。僕は目を開けながら、その様子をぼんやりと眺めていた。暫く、言葉を発することさえもできなかった。

 レイコさんは、僕のおでこを平手で叩いた。これはさすがに痛かった。でも、「痛い」という言葉は、出せなかった。

 次に、レイコさんは、僕の頬を何度も平手で叩いた。これもさすがに痛かった。なすがままの状態で叩かれているのは、嫌なものだが、抵抗しようが、言葉を発しようとしようが、それが全くできなかったのである。

 しかし、痛みは強く感じられた。僕は、確かに生きていることを感じている。肉体は消滅していれば、痛みを感じることさえもない。僕の意識と肉体は確かにここに存在するのだ。

 レイコさんは、瞳に涙を溜めながら、キスをした。柔らかくて、優しいキスだった。僕は、ようやく言葉を発することができるようになり、「感激だ」と、小さな声で呟いた。

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A Proportional Response

the west wingのfirst season第2話のタイトルです。
この話で、心に残るのは、フィッツウォレス議長が大統領に、大統領が望む相当な報復攻撃に対し、「50ドルの犯罪に5000ドルの罰金を科すようなものだ」と諭すシーンは見ごたえがあります。

憎しみからは、憎しみが生まれたとしても、その他には何も生まれません。憎しみの悪循環が繰り返されるだけです。

憎しみや悲しみを乗り越えて、そこにどんな新しい価値を生み出すのか、そのことをしっかりと考えなければいけないなと思いました。人間の過ちを、いかに許すことができるのか、できるだけ、そうした慈悲の心を持ち続けたいと、こう思います。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(29)

 僕は、泣いた。でも、泣き声は音にはならず、当然、周囲には響かない。無声映画のワンシーンのように、僕は泣いた。身体が上下左右に吸引されるような感触を受けた。確実に僕は何かに押しつぶされそうになっている。むしろ、この世界、世界という概念さえ、通じるかわからないけれど、この空間に変動が起きようとしていた。世界の消滅、空間の消滅。全てが無に帰ろうとしている。そんなことが脳裏に浮かんだ。僕は、その世界の動きに身を任せるしかなかった。僕は目をつぶり、身を委ね、宇宙遊泳のような浮遊感を得て、漂った。そのとき、僕の胸ポケットに入っていた携帯電話のストラップの鈴が無情に鳴り響いた。最初は静かに弱く、そして段々と強く。レイコさんにもらった鈴付の熊のストラップであった。僕は、目を開けた。そして、一度は諦めた気持ちを再び奮い立たせて、もう一度、現実の世界に戻ることを強く願った。「僕は戻りたい。そして、レイコさんに、なつこさんに会いたいんだ」と、叫んだ。僕の身体が縦横無尽に伸ばされたり縮まされたり、圧力を受けたり、膨らまされたり、浮かんだり、沈みそうになったりした。それでも、気持ちは、「必ず現実の世界に戻るんだ」ということだけは変えなかった。

 少しずつ、小さな声が聞こえてきた。徐々にはっきりと、「社長!」という声だった。レイコさんの声だった。僕は、声のする方に、平泳ぎのような形で、少しずつ向かっていった。目の前には、ユキコさん、ユミ、山口さんの顔が浮かんでは消えた。また、麻衣やレイコさん、なつこさんの顔も浮かんだ。漆黒の暗闇の中、レイコさんの声のする方向に一筋の光が見えた。僕は全身の力を思いっきり使って、光を掴むように、手を伸ばした。何度も失敗したが、諦めないで、僕は手を伸ばした。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(28)

 僕は、「なつこさん」と、なつこさんらしい影に声をかけた。なつこさんは、にこっと笑った。僕は、「ねえ、なつこさん、僕は、今夜、夢の中で君に出逢えて嬉しいよ」と言った。

 なつこさんは、「私もよ」と答えた。

 「なつこさん、大事な話があるんだ。なつこさんには迷惑な話かもしれないけど、僕は君のことが好きなんだ。君と一緒に、日常の生活の中の小さな幸せをひとつずつ感じて、過ごしていきたい。僕は小さな人間だけど、もしかすると、君に負担をかけてしまうこともあるかもしれないけど、支え合って生きていきたいんだ。僕には、君が必要なんだ」と言った。

 その瞬間、僕の周りを、闇が支配した。自分の存在すらかき消させられるような深い闇だった。僕は身動きが取れず、そしてどの方向に向かえばいいのか、全く理解ができなかった。その闇は、音さえも失わせた。静寂と暗闇。僕は、自分の肉体が消滅すること、さらには意思さえも消滅することを覚悟した。それだけの闇だった。

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歌ばか

平井堅のシングルコレクション"歌バカ"を聞いています。最新のPOP STARがお気に入りです。

来月は、中島美嘉のベストも出るようです。

ベスト版は、当たり前だけど、ヒット曲を流しっぱなしにしておくということには便利ですね。アルバムにはシングルにはない味がある曲が入っているわけで、それもいのですが、ベスト版もその時々の思い出も蘇り、別な味わいがあります。

いま、情熱大陸を見ていますが、すごいですね。死への恐怖よりも知的好奇心を上回っているというところがびしびし伝わってきます。「エボラってすごいですよ。人が死ぬんですよ。」という言葉を、好奇心一杯で語っていた河岡さんは、根っからの研究者だなぁと思います。そして、地位も名声よりも、なにしろ、人生を楽しんで、面白く生きているところがいいなぁと思います。
でも、解剖されたこうもりはかわいそうだった。僕は、解剖とか、情が移るので無理なんです。

僕も楽しみながら、研究をしようという気持ちになりますね。研究対象は、ウイルスではなくて、世の中の仕組みについてですけど。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(27)

 ユミは、笑った。そして、ユミの姿は徐々に消えていった。僕は、「大事なことを教えてくれてありがとう」と言った。そして、僕は、いつのまにか現れていた白い家の鍵を開けた。

 「ねえ、ユキコさん。ユキコさんのことは今でも好きだよ。僕は、ユキコさんとの思い出やこの気持ちを、今までは思い出そうとすれば辛かったから、なるべく避けてきた。そして、同じような想いをしたくないという気持ちを持ったまま、僕はいろいろな人と恋愛をしてきた。でも、それは、いつまでも自分の殻に、自分の世界に留まったまま、自分勝手な恋愛だったんだ。僕は、ユキコさんとの思い出やこの気持ちを、もう逃げることなく、正直に、真正面から受け止めて、自分の殻や世界から飛び出すことにするよ」

 ユキコさんは、泣いていた。「ユキコさん、ありがとう」と、僕は笑顔で言った。すると、ユキコさんの姿は徐々に薄くなり、消えていった。

 僕は視線を遠くに移した。すると、遠くの方に、なつこさんの姿が見えた。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(26)

 「そう、君は白い家から出ようとしなかった。誰かが無理矢理、鍵をこじ開けようとすると、君は一生懸命に、鍵を閉めなおして、ドアを必死に開かないように努力する」

 「そうだね。そんな夢を何度も見るよ。ユミ、君もここにいたんだね」と、僕は言った。

 その声は、ユミのものだった。

 「僕は、何度も夢の中で、君にもういちど逢って、君に謝ろうとしていた。でも、それは違うんだ。君は、白い家の外の海に向かって、旅立っていった。僕は、それを追いかければ、ただ未練がましいと思って、君をあきらめることが美徳だと思った。もちろん、君を追いかけても、君をもう一度、取り戻すことはできないだろう。でも、重要なのは、その白い家から出ることだったんだ。君は、それを僕に教えようとしれくれたんだ」

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(25)

 「私は死んだんじゃない。肉体を消滅させることで、永遠の命を手に入れたの。全ての不幸から解放されて、喜びと楽しみ、幸せしかないこの世界で永遠に生きるために」

 「ねえ、ユキコさん。それを死と呼ぶんだよ。それに、もしあなたが幸せになることが、その死の目的であったとするならば、その代償はとてつもなく大きかったんだ。あなたからの手紙には、不倫のこと、僕と寝ていた理由、全てが書かれていた。そして、僕のことを愛してくれていたということも。真知子は、頭で理解しても、感情では理解できなかった。だから、僕を責め、自分を責めたんだ」

 「僕は、この場所で、あなたに出逢って、初めて気が付いた。僕の欠落は誰のせいでもない。いろいろなことを理由にして、僕が自分の殻の中で、閉じこもっていたこと自体なんだ。それを心の底のどこかで、あなたのせいにして、ユミのせいにして、麻衣のせいにしていただけなんだ。僕は、その殻を打ち破って、何も着飾ることなく、素のままの自分で外に出なければいけないんだ。ずっと、僕はそれができていなかった。それが僕の欠落なんだ」

 ユキコさんは、泣き崩れたていた。そのとき、隣から声が聞こえた。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(24)

 「真知子があの後、どうなったのか知っているよね?」と、僕は聞いた。

 ユキコは、「知らないわ」と言った。僕は、「真知子は、あの手紙を読んだ後、錯乱して、自殺未遂をした。そして、あなたの残した家族は、僕の街から消えた。僕が大学を卒業する頃、真知子が毎晩新宿で働いているという噂を耳にした。彼女は、彼女なりにあなたを失った重みを無意識のうちに抱えて生きている。あなたが真知子に与えた理不尽な罪を彼女は必死に償おうとしているんではないか、彼女は彼女なりの方法で、自分の欠落を埋めようとしているのではないかと思うんだ」

 「私は、あなたと一緒に、ここにいたいの」とユキコさんは言った。

 「ねえ、ユキコさん。それは無理だよ。だって、僕は生きている。あなたは、すでに死んでいるんだ。あなたの肉体は消滅し、意思だけが存在している。あなたは、自分でもよく理解していると思うけど、あの日、あの夜、自分で自分を殺したんだ。あの手紙を残して、あなたは湖に身を投げた」

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(23)

 僕は頷いた。「僕は、長い間、あなたのことを忘れようとして、そして、あなたとの恋愛にけじめをつけないで、新しい恋愛に逃げこむことだけを考えていたようだ。どこか、いつもあなたの影を追っかけていたようだ。僕は、あなたのことが好きだよ」

 ユキコさんは、「嬉しいわ」

 「でも、僕は戻らなければいけないんだ。ここは僕が住む場所ではない。僕は、この欠落を埋めて、この穴の入り口を閉じ、僕は本来生きるべき場所でユキコさんの分も、ユミの分も、そして山口さんの分も生きなければいけないんだ。それが、僕がユキコさん、あなたに対する償いであり、そんな個人的な問題に巻き込んでしまったユミや山口さん、そして僕が傷つけてしまった麻衣への責任なんだ。この責任は僕でしか果たせないんだ」と僕は言った。

 「そして、真知子も解放してあげなくちゃいけない」と僕は言った。

 「真知子?」と、ユキコさんは言った。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(22)

 「それで、奪おうとしたんだね」と僕は言った。

 「最初、君と寝たのは、当てつけよ。真知子と彼に対する当てつけ。でも、私が君のこと好きだというのは嘘じゃないのよ。好きでもない男といくら当てつけだって言っても寝ないわよ」とユキコさんは言った。

 「ねえ、ユキコさん。僕はあなたに裏切られたこと、傷つけられたこと、そんなのどうでもいいんだ。僕が、当時、あなたに利用されていたとしても、僕はあなたのことが好きだったし、愛していた。世界で一番あなたのことを愛していた。あなたがいなくなり、あの手紙を読んで、全てを知った後でさえ、僕は悲しみこそすれ、あなたを憎む気持ちはなかった」

 「今でも、その気持ちには変わらない?」と、ユキコさんは言った。

 「ねえ、ユキコさん。僕はね、あのとき、あなたを失ったこと、今でも後悔している。自分の無力さがつくづく嫌になった。あのとき、僕は高校生で、あなたは大学生。今なら、あなたを守ることができるけど、あのとき、どうやってもそれは無理だった。だからこそ、僕は自分に言い訳ができないんだ。「がんばった」とか「努力した」とか。絶対的な絶望と後悔だけが残ったんだ。それを、この十年間、僕は心のどこかで一生懸命に忘れようとした。そして、その穴を埋めようとしていたんだ。でも、どうしても埋まらなかった。その僕の欠落が、多くの人々を傷つけた。僕は、もう人を傷つけるのはこりごりだ」

 ユキコさんは、「私のこと、まだ愛しているの?」と聞いた。

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大阪の夜

 コラムを書こうとして、一週間を思い出してみる。そんな時間も時には必要なんだろうと思うのですが、書けることが少なくて、どうしようかと悩みます。

 先週は、日曜日に大阪、木曜日に京都ということで新幹線に二度乗りました。そうそう、大阪には土曜日の23時30分に到着したのでした。ホテルを予約していなかったので、大阪に到着してからホテルを探したのですけど、大阪市内のホテルはほとんど満室でした。午前1時頃まで、さまよって、「大阪で死す」かという状態でした。

 その日の夜は、とても寒かったので、朝までホテルが見つからなければ、凍死していたことでしょう。

 結局は、なんとかホテルは見つかったので、なんとか生きています。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(21)

 「最初、あなたを誘ったのは、寂しかったからよ。彼と会えなくて、寂しかった。なぜ、私がこんな想いをしなければいけないのか、世の中が憎かったわ。不倫って、辛いのよ。クリスマス、お盆休み、お正月、恋人なら本来一緒にいられる瞬間、彼は家庭に帰るの。私は一人ぼっちなのよ」と、ユキコさんは言った。

 「確かに、クリスマスとお正月は、僕と一緒にいたね。あなたの誕生日には、なぜか会えなかった」と、僕は少し笑いながら言った。

 「真知子は、いろいろな男の子から言い寄られても、友達以上の関係の子はいなかった。そこに、真知子が好きなんだろうと確信できる男の子が現れた」とユキコさんは言った。

 「それが、おこがましいけど、僕だったわけだね」

 「真知子は幸せなのに、私はなんでこんなに不幸なの?不平等じゃない。同じ両親から生まれて、同じように成長してきたのに、真知子はいつも褒められて、私はいつも「お姉ちゃんなんだから」って、怒られて。恋愛もうまくいかないなんて。ひとつだけでも、真知子よりも幸せになることがあってもいいじゃない」

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(20)

 「比較される辛さを知らないからよ」とユキコさんは言った。「いつも比較されるの。真知子が生まれてきてから、何は真知子がうまいとか、ユキコは何ができないとか。君には、お兄さんも弟もいないから、兄弟で比較される辛さはわからないでしょうね」

 「そうだね。僕には、兄弟がいないから、兄弟で比較されることはわからない」と僕は言った。「ユキコさんは、真知子に一泡吹かせたいと思って、あのとき、真知子が好きだった僕と寝たの?」と僕は聞いた。「それとも、例の不倫相手との関係がぎくしゃくしていたから?」

 ユキコさんは、「どっちもよ」と答えた。

 ユキコさんは、当時、ある銀行でアルバイトをしていた。そして、その銀行の部長と一年近く不倫関係にあった。最初に、僕がユキコさんと寝た日、ユキコさんはその部長とデートする予定だったのだが、子どもが急に熱を出したということで、ドタキャンになって、帰ってきたところに、僕と会ったのであった。それを知るのは、だいぶ先のことで、ユキコさんからの手紙であった。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(19)

 僕は、「ねえ、残される者の気持ちは考えなかったの?あのとき。例えば、僕の気持ちとか。あなたにとって、僕との関係は恋人とかじゃなくて、ただあなたの気持ちを慰めるものでしかなかったのかもしれないけど、僕はあなたのことを好きだった。でも、僕がもっと辛かったのは、あなたは真知子を心から傷つけたんだ」

 ユキコさんは、「手紙のこと?」と聞いた。僕は、「うん」と答えた。

 「真知子は、君のこと好きだったのよ」とユキコさんは言った。「真知子は、何でも出来た。勉強もスポーツも。顔もきれいだし、みんなから可愛がられた。望むものは何でも手に入れることができた」

 僕は、「ねえ、ユキコさん。僕は、あなたもとっても美しいと思うよ。テレビドラマや映画で主役をしたって不思議じゃない。小西姉妹は美人で器量が良くて、僕たちの街では本当に有名な姉妹だったんだ。僕の友達はみんながユキコさんに憧れ、真知子を好きだった」

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(18)

 僕は、目の前のユキコさんに、「やあ、ユキコさん、久しぶり」と言った。目の前のユキコさんは、昔のままのユキコさんだった。「私は、いつも君のこと見ていたのよ」とユキコさんは言った。僕は、「それは光栄だ」と言った。

 ユキコさんと僕は、冬の半ばまで、度々会っては、セックスをした。「付き合っている」という状態なのかわからないけれど、僕は確かにユキコさんを愛していたし、ユキコさんは僕をいつも受け入れてくれた。

 ユキコさんは、「懐かしいわね。もう何年前かしら」と聞いてきた。僕は、「もう10年前ぐらいになるんじゃないかな」と聞いた。ユキコさんは、「そうね。こちらの世界にいると、時間の感覚なんて全く感じないから、わからなくなるわね」と言った。僕は、「ねえ、ユキコさん、あなたは、あなた自身の状況を理解しているの?」と聞いた。ユキコさんは、「もちろんよ。私は私自身の選択で、自らこちらの世界に来たの」と言った。僕は、「それで、何人もの人が傷ついたことも知っている?」と、僕は聞いた。ユキコさんは、「それも知っているわ。でも、私がこのようになって、本当に悲しむ人なんかいるのかしら」と言った。僕は、「少なくとも僕はとても悲しかったし、あなたを失うことに堪えられなかった。真知子も傷ついた。きっと、あなたの両親もとても悲しんだ」と言った。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(17)

 翌日、学校に行くと、真知子はいつもと同じように、僕に話しかけてきた。「昨日は、届けてくれてありがとう。とっても良かったよ」と言うと、僕は、少し驚きながら、「えっ?」と聞きなおした。「例の文章よ。とても良い出来映えだったわよ。ありがとう」と言った。僕は、「ああ、そのことか。どういたしまして」と言った。真知子は、「他になんかあったっけ」と、不思議そうな感じで尋ねた。僕は、「いや、何でもない。お姉さんは元気?」と聞いた。ユキコさんが真知子に、どこまで話しているのかがわからなかったので、用心深く聞いてみた。

 「元気よ。もしかして、お姉ちゃんのこと、好きなの?」と、少し苦々しく聞いてきた。僕は、「いや、そんなことないよ。昨日、届けたら、お姉さんと会ったからさ」と答えた。真知子は、「変なの」と言った。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(16)

 長い時間が経った。長い時間と言っても、きっと、5分とか日常的には短い時間であったに違いない。しかし、僕には、そのとき、その5分でさえも、何時間にも感じたのだった。

 ユキコさんは、僕に覆いかぶさったまま、小さな声で「気持ち良かった?」と聞いてきた。僕は、「言葉にならないぐらい」と答えた。彼女は、「初めての感想は?」と続けて質問するので、僕は「生まれてきて良かった」と答えた。ユキコさんは、くすっと笑い、「嬉しいわ」と言った。そして、ユキコさんは、僕の両方の腕を自分の背中に回して、「少しの間、抱きしめていて」と言った。僕は不器用に彼女を抱きしめた。「こんな感じでいいのかな」と言うと、彼女は「いいわ」と言った。

 僕は、その日は、真知子が帰宅する前に、帰った。僕はもっとユキコさんの温もりを感じていたかったし、ユキコさんもそれを望んでいたのだが、なぜか、真知子に顔を合わせたくなかった。僕はユキコさんに、そのことを言うと、ユキコさんは、「わかるわ」と言った。そして、「また、二人で会いましょう」と言って、ユキコさんはポケベルの番号を教えてくれた。

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原稿落ちる??

 久しぶりに原稿が落ちる可能性が高まってきました。

 →いま、TBSの世界遺産を見ていたら、ナレーションがオダギリジョーでびっくり。なにかと、いろいろなお仕事をしているのですね。

 →「愛の流刑地」は、いよいよ裁判が始まるようです。菊治の本は、売れまくりのようで。結局、「愛の流刑地」とは、どこにあるのだろうか。映画化については、ふゆか役は、鈴木京香か石田ゆり子と言われていますが、実は菊治役の適任者はいるのでしょうか。役所広司?ここは、小林稔持とかどうでしょうか?でも、例えば、舘ひろしもいいかも。

 舘ひろしと鈴木京香の組み合わせって、(・∀・)イイ!ですねぇ。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(15)

 僕は、「ユキコさんは、本当に魅力的な女性だと思います」と言うと、彼女は「ありがとう」と小さく囁き、僕の口唇に彼女の口唇を重ねた。僕は、思いっきり目を見開いた。僕は、自分に起きている出来事を理解することが、とてもではないが不可能だった。そのうち、彼女は自分の舌を僕の口の中に入れて、僕の舌に絡ませた。僕は、目をつぶって、不器用に僕の舌で彼女の舌をなぞった。そして、彼女は口唇を離し、「ねえ。私としよう」と言った。

 僕は、そのまま後ろに倒れて、彼女が上になった。彼女は、僕の着ているものを少しずつ剥いでいき、自分の着ているものを脱いだ。僕は彼女に誘導されるがままに、彼女の身体を撫でた。彼女は、手で僕のペニスを持ち、自分の中に導いた。そして、彼女と僕はひとつとなった。彼女は僕の上に乗ったまま、ゆっくりと腰を動かし、僕は今まで雑誌などで得た僅かな知識を頭の中でいろいろと思い出そうとしたが、その前に、僕は彼女の中で果ててしまった。僕が果てると、彼女はそれを全て受け止めて、そして、受け止めた後、彼女は力が抜けたように僕に覆いかぶさってきた。僕も全ての力が脱力して、呆然と天井を見つめていた。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(14)

 「ねえ、私、君のこと好きよ」と、ユキコさんは言った。僕は、何かの聞き間違いではないかと思って、「えっ?」と聞きなおした。

 「まだ、会って間もないけど、なんだか、君のことが気にかかるというか、とっても可愛く思えるの」
 
 僕はしどろもどろにたじろいで、どうしたら良いかわからなくなった。

 ユキコさんは、僕の隣に座って、耳元で囁いた。

 「ねえ、君、初めて?」

 僕は、声も出せず、ただ頷いた。ユキコさんは、少し笑みを浮かべながら、

 「君は、私のこと嫌い?」と聞いてきた。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(13)

 「僕は、歴史の勉強をしてみたいです」

 「歴史というと、日本史?世界史?」と彼女が聞くと、僕は「四大文明とか。文明の起源とか、そういうのを勉強したいです」と答えた。

 「考古学ね。それって、素晴らしいわ」と、ユキコさんは言った。

 僕は、少し心が躍るような感じで「素晴らしいですか?」と聞いた。

 「しっかりと、自分のやりたいことを持っているって、素晴らしいじゃない」と彼女は言った。僕は少し照れながら、「ありがとうございます」とお礼を言った。

 「君って、かわいいわね」と彼女が言うと、僕は本当に恥ずかしくなり、身体が小さくコンパクトにまとまりそうな感じになった。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(12)

 真知子の家に着くと、ユキコさんは、僕をリビングに通した。そして、僕をソファに座るように言い、彼女はお湯を沸かして、紅茶を入れてくれた。そして、少しおしゃれな洋菓子をすすめてくれた。僕は、緊張しながら、紅茶の煙をただ見つめていた。

 ユキコさんは、クラシックのCDをかけた。「君、クラシックは嫌い?」と聞いた。曲は、ヴィヴァルディの楽曲だった。僕は、「ヴィヴァルディは好きです」と答えた。彼女は、顔に笑顔を浮かべた。

 僕は、「お姉さんは、大学生なんですよね」と尋ねると、彼女は「そうよ」と答えた。

 「大学って、どういうところなんですか?あまり実感がわかなくて。楽しいところですか」

 「うーん。総じて楽しいところだと思うわよ。高校のときに比べると、歴然と活動範囲は広がるし、いろいろな人がいる。講義もいろいろな講義がある。サークルとかもあるけど、やっぱり興味のあることを専門的に勉強できるということが良いと思うわ。君は、将来の夢とかあるの?」

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(11)

 「マチコに用事があるの?」と彼女は聞いた。「はい。この前、頼まれた仕事が出来上がったので届けに来たんです」と答えると、ユキコさんは、少し困った顔をして、「あら、どうしようかしら。マチコは今日、両親と出掛けているのよ。帰ってくるのは、遅い時間になると思うわ」と言った。「それじゃあ、明日、学校で渡すことにします」と、僕は帰ろうとすると、「せっかく、来てくれたんだから、お茶でも飲んでいかない?マチコはいないけど、私も少し誰かとお話をしたい気分なの」と、ユキコさんは僕を呼び止めた。僕は、ユキコさんに背中を向けたまま立ち止まってた。そして、頭の中や心の中が、いろいろなもので溢れかえって、ごちゃまぜになって、何がなんだかわかならなくなっていた。

 「もし、何か他に用事とかがあるなら、無理には引き止めないけど」とユキコさんは言った。僕は、恥ずかしがりながら振り向いて、「もし宜しければ、お邪魔させてください」と言った。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(10)

 バスの窓からは、小さな子どもは黄色い雨合羽を着ていて、母親と一緒に歩いている姿が見えた。僕は、その姿を微笑ましく眺めていた。

 真知子の家の近くの停留所にバスが着いたとき、ちょうど、反対側の停留所にもバスが着いた。そのバスから、真知子のお姉さんのユキコさんが降りてきた。彼女は、バスを降りたあと、道路を渡ろうと、信号が変わるのを待ち始めた。僕は、ユキコさんの姿を見て、なんだか嬉しくなるというか心がドキドキして心拍数が高まった。そして、少し呆然とユキコさんのことを眺めていた。すると、ユキコさんは、僕に気が付いたらしく、僕に向かって手を振った。僕は恥ずかしがりながら、頭を下げて、会釈した。

 信号が変わると、ユキコさんは、こちらに渡ってきた。僕の心拍数は最高潮になった。ユキコさんは、「こんにちは」と言った。僕も「こんにちは」と言った。

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いま、そこにいない、君の姿を追いかけて

 いま、そこにいない君の姿を追いかけて
 僕は、いつまでもそこから出ることができず
 誰かがドアをノックしてくれることを待っている

 もう、そこには存在しない君の笑顔
 それは誰か違う人に向けられたもの
 筋違いに腹を立て嫉妬したりなんかして

 自分らしさってなんだろうと悩む
 自分のこともよくわからず
 君にもうまく伝えられず行ったり来たり

 僕が考えている僕の姿と
 君に伝わっている僕の姿

 大きなギャップがあるような気がするんだ
 
 君を意識しすぎて、間違った風にメッセージを出して
 不器用だから、うまく伝えられず
 それにさらにやきもきしてしまって
 悪循環に陥ってしまう

 僕は、あるがままの自分の姿を
 君に知ってもらいたいだけなんだ

 自分のこと伝えることがとても苦手で
 もっと深みにはまって、何がなんだかわからなくなる

 でも、僕が君のことが好きなことは事実で
 大切なものがあるとすれば、それは君
 それは、嘘でもなく、唯一の真実

 ただ、そこにあるその気持ちを
 いつかもっと自然な形で表現できればいい

 悩んだり、落ち込んだり、喜んだり、嬉しかったり、
 いろいろ繰り返しながら人は成長していく
 僕はまだその旅の途中なんだ きっと 

 だけど
 いまは、そこにいない、君の姿を追いかけて
 僕は、まだここにたたずんでいる
 静かに僕の素直な愛を君に捧げる

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(9)

 「お姉ちゃん、お帰りなさい。この人は、高校の同級生。いま、生徒会の手伝いをしてもらっているの」と、真知子はユキコさんに、僕を紹介した。ユキコさんは、優しく僕に「こんにちは」と言って微笑んだ。僕は、「こんにちは」と恥ずかしがりながら、挨拶をした。
21時30分ぐらいになって、僕は真知子の家を辞すことにした。文章は僕が自宅で作ることになったので、宿題として持ち帰ることにした。

 僕は、真知子の母親に夕食のお礼を言い、ユキコさんにも挨拶をして、真知子の家を出た。僕は、なんだかよくわからない心のモヤモヤを感じた。

 日曜日、僕は、真知子に課された宿題が終わったので、真知子の家に届けようとした。雨が降っていたので、僕はバスに乗った。夏の雨。僕は意外と好きだった。冬の雨は、とても冷たく、寒い冬空の下では気分も鬱っぽくなる。夏の雨は、確かに傘は面倒だけども、夏の暑さを和らげてくれるし、気分のいいものではないけど、水不足の心配もしなくて良いし、何かと助かるものだった。

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恋愛について

 いつも「今夜、夢の中で君に出逢う」をお読みいただきまして、ありがとうございます。この作品は、人間の内面性を描こうと鋭意連載中です。いよいよ、最終章に入りまして、「僕」の抱える欠落の原因が何なのか、夢の中で出逢う「君」は誰なのかがわかると思います。お楽しみください。

 さて、次回作品として、「半島のさき」を準備中との予告をいたしましたが、「半島のさき」では、愛について語りたいと思います。こんどは、「僕」は「愛とは何か」「純愛とは何か」というものを探す冒険に出ます。

 最近、純愛ブームということで、韓流ブームやセカチューブームが起きています。また、渡辺淳一氏は、「愛の流刑地」で渡辺流の愛の形を模索しようとしています。11月3日朝刊では、「愛だけは、いかなる国家権力も介入することはできない。いいかえると、自慰こそ、身柄を拘束された男の、唯一の反抗の手段でもある」と述べています。
 
 本来、愛や恋というのは、「一人勝手な思い」であって、それが結びつくかどうかは別なのです。

 でも、最近は、この恋愛というものは、何か臆病な存在になっていると思います。世の中、セクハラとか、そういうことで、男性が自分の気持ちを伝えたりとか、そういうことが、もちろん男性が精神的に弱くなってきたこともあるのでしょうけど、社会としてもそういうことがしづらい環境ができてきたのではないかと思います。

 ぼくは、誰かを愛するということ、好きになると言うことは、本当に「素晴らしい」ことだと思います。セックスとかそういうことだけもひとつの愛の形なのかもしれませんが、僕は愛とは、まず相手を「尊敬すること」から始まるものだと思います。もっと、ぼくたちは、恋愛をして、人間として成長するべきだと思うのです。

 そこで、ぼくはぼくなりの「恋愛」論を、この小説でぶつけてみようと思います。そして、恋愛の素晴らしさと、もう一度、世の中に問いたいと思うわけであります。

 いま、書いている一部を例示したいと思います。
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  僕は少し涙を目に貯めながら、つぶやいた。君は、これから、僕よりも君に相応しい、君がそうと思う男性に出会い、恋に落ち、二人は結ばれ、幸せを手にするだろう。僕は、その光景を思い浮かべてみた。そして、僕は、その顔もわからない男性に嫉妬をし、君を愛しく思った。
 
 「なぜ、僕ではいけないの?」、僕は夜空を見上げながら、つぶやいた。「君は、僕の事をまだ、何も知らないじゃないか。なぜ、君は、僕の事を知ろうとせず、すぐに結論を出すことができるの?」、と僕はつぶやいた。

 「僕は、確かに、君との付き合いの中で、知らない間に、何か致命的な過ちを犯していたかもしれない。知らない間に、君を傷つけ、そして、君に迷惑をかけていたかもしれない。僕は、恋愛については、不器用な方で、自分のアピールの仕方とか、全く上手くできないんだ。もっと器用ならば、僕の人生はもっともっと違ったものになっているかもしれない。でも、僕は、ただ一生懸命、君の事を愛しているんだ。それは嘘じゃない。適等な言葉でもない。僕は純粋に君と幸せを手に入れたいんだ」
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 ぼくなりの純愛の形を、世に問い、社会の人々に判断してもらいたいと思っています。がんばります。

 「半島のさき」は12月中旬より連載開始予定です。お楽しみに。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(8)

 「今度の文化祭に向けて、パンフレットを作るの。あなた文章を書くのうまいでしょ。だから、いろいろと文章のアイディアを書いて欲しいのよ」と、真知子は言った。

 「うーん。なんだか面倒だな」

 「つべこべ言わないの。どうせ暇なんだから。手伝ってくれたら、ドルチェ・ドルチェのケーキをご馳走するからさ」

 ドルチェ・ドルチェのケーキは、近所ではおいしくて有名で、特に、ここのチョコムースケーキは絶品だった。僕は、ドルチェ・ドルチェのケーキの誘惑に負けて、なし崩し的に乗り気になった。

 「ケーキのために、がんばりますか」と僕が言うと、真知子はくすっと笑った。

 夜の21時を回る頃、真知子の姉のユキコさんが帰宅してきた。彼女は、大学に通う女子大学生だった。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(7)

 「ねえ、あなたも何か部活動とかしなさいよ」と、真知子は僕に言った。「スポーツは苦手なんだよ」と僕が言うと、真知子は、「スポーツじゃなくても、文化系の部活があるじゃない」と言ったので、僕は「あんまり、好きじゃないな」と答えた。すると、「もうどうしようもない人ね、じゃあ、生徒会の活動を手伝いなさい」と言った。僕は生まれて初めて「どうしようもない人」と言われたことに対して、いささかの不満を持つと同時に心が傷ついた。「どうしようもない人だなんて。こんな未来ある少年にどうしようもない人だって、言った!」と、幼児が駄々をこねるように抗議をした。

 すると、真知子は、「あなたって子どもみたいね」と、呆れながら笑った。「これから私の家に来てよ。手伝ってもらいたいの」と言うと、僕は少し顔を赤らめて、「女性の家になんて行けないよ」と断った。「何を期待したのか知らないけど、私の家に来たところで、あなたが今想像しているようなエッチなことは、絶対に起きないから安心しなさい」と真知子はほとほと呆れたように言った。

 僕は、渋々、真知子の自宅に行った。玄関を入ると、真知子の母親が出てきて、まずは食事でもしなさいと夕食を勧めてくれた。夕食を真知子と一緒に食べた後、リビングで罫線の入ったメモ用紙を広げた。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(6)

 小西由希子。彼女は、僕にとって初めての女性だ。

 僕が高校生のとき、隣の席の女の子は、小西真知子と言った。彼女は、勉強もでき、スポーツも万能で、生徒会活動なんかにも積極的に参加する絵に描いた優等生だった。将来は、ノーベル賞級の科学者か金メダリストかと言われていた。僕は、あんまり勉強ができないし、スポーツもそんなに得意ではない。まず、天才科学者になることはないだろうし、プロの野球選手やサッカー選手になることもないだろうと話題にもならなかった。
クラスの中では、席が隣同士ということもあり、「月とすっぽん」とか言われて、比較された。特に数学の先生から、「ピンキリコンビ」と揶揄されたときは、少なからず腹が立ったものだ。

 そんな、出来の違う二人であったが、なぜか真知子は僕に興味を持った。自宅も近かったせいか、時々、帰りの電車が一緒になったりした。もちろん、彼女は部活動なり生徒会活動が終わった後であったが、僕は友達とゲームセンターで遊んだ帰りだった。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(5)

 僕は、写真から目を天井に移して、ぼんやりとその女性の名前を思い出そうとした。少し目を閉じたり、開けたりしながら、一生懸命に。

 すると、突然、「ユキコ」という単語が脳裏に浮かんだ。「ユキコ」と、僕は少し呟いてみた。「ユキコ、ユキコ、ユキコ・・・」、僕は何度もその単語を呟いた。「ユキコ、コニシユキコ、小西由希子!」、僕は少し大きな声でその名前を呼んだ。そうすると、僕の横から、

 「やっと、思い出したのね」という声が聞こえた。僕は、驚いて、慌てて、横を見ると、小西由希子が笑って座っていた。

 「やあ、ユキコさん」と、僕は少し引きつった笑いをしながら、ユキコさんに声をかけた。ユキコさんは、「お久しぶり」と言った。

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You Can Do It !

 不可能を不可能だと諦めたとき、私たちの成長は止まる。不可能を可能にしようとする努力と挑戦をしたとき、私たちは、新しい何かを得ることができる。

 私たちは、常に進化を続けてきた。火を使い、電気を発見し、原子力を生み出した。私たちは、困難に直面するたびに、人間には限界がないことを知る。人間には、困難を克服し、不可能を可能にする限りない可能性を持っている。私たちは、その可能性を信じて、常に前を向き、そして進むべきなのである。

 アイルランド人の寓話に、アイルランド人の若者が旅の途中で高い壁に行く手を阻まれるというものがある。そこで、その若者たちは、自分の帽子を壁の向こうに投げ入れる。なぜ、自分の帽子を高い壁の向こうに投げ入れるのか。それは、壁を越えて、必ず、帽子を拾わなければいけないからだ。

 私は、いま、ここで、帽子を、高い壁の向こうに放り投げる。この壁を乗り越えることは不可能に近いかもしれないが、私は諦めずに、自分の可能性を信じ、その壁を乗り越えることを達成することに努力する。

 この世の中で、不可能だということは絶対にない。ここで諦めず、私は前に進み、月に手を伸ばし、必ずやあの星に到達する。

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