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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(28)

竹下礼子 様

前略
 ごめんなさい。いろいろと考えた挙句、僕はやはりレイコさんを巻き込むべきではないと思い、一人で旅立ちます。僕はあなたに出会えて本当に良かった。そして、仕事が一緒にできて本当に嬉しかった。いつも一緒にいてくれて本当に楽しかった。
 
 今回、身の回りで生じたさまざまな非科学的な出来事は、僕の欠落が招いた結果だという、蝋燭屋の店主の指摘が正しいとするならば、全て僕の責任だ。
 僕が起こしてしまったことには、僕は責任を負わなければいけないし、その責任から逃げたり、人に押し付けたりすることはできない。世の中には、もしかすると世の中の大半はそうなのかもしれないけれど、責任を回避する人が多いような気がする。僕は、自分の責任には正直に真正面から引き受けることで、つまり僕の責任を他人に転嫁させたり、分担してしまったりしないで、きちんと責任を負うことだけはしたいと思う。いや、しなければいけないんだ。そうしないと、僕は、本当に生きている価値のない人間になってしまうんだと思うんだ。

 正直言うと、僕は怖い。今も強がっているけど、怖い。もしかすると、僕の肉体が消滅してしまうかもしれない、もうレイコさんに会うことができないかもしれない、日常の生活に戻れないかもしれないことに対して、恐怖と不安と、そして心細さを感じる。

 でも、僕は行かなければいけないんだ。もし行かなくて済むのであれば、僕は絶対に行かない。しかし、行かなければいけないし、もう一度、レイコさんに会うために、そして日常を取り戻すために、僕は「えいっ」と、気持ちを必要以上に押し上げて、いま、旅立とうとしているんだ。

 僕は消滅したくない。もっと、レイコさんと一緒にいたい。できることならば、レイコさんにもこの旅に付いてきて欲しい。でも、それは、単なる甘えでしかないんだと思う。

 君の事をいつも頼りにしていた。君の存在をいつも力強いものと感じていた。きっと、君がいなければ、僕は僕として存在し得ないだろう。

 ありがとう。また会える日が来るまで、さようなら。

 追伸:会社のことだけど、僕が死亡したり、消滅してしまったら、君に全てを任せます。清算するのもありだし、継続することもありです。君の能力であれば、問題なく、継続できると思います。

草々

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