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Let Shumpei Be Shumpei

 前々から書いていると思うのですが、ぼくの性格はどちらかというと、石橋を叩いて渡るタイプだと思っています。いろいろなことを考えて、最終的には、中道路線を選択していたと思います。でも、それでは、「自分」の喜びが少ないことを感じ始めました。もっと、わがままでもいいのではないかと。もっと、言いたいことを言ってもいいのではないかと。自分の中で、どうしても人に嫌われたくない、良い子でいたいと思って、抑止力をかけていた部分があると思います。これは、ある人には「アダルト・チルドレン症候群」だと指摘されたことがあります。

 僕は、着飾った言葉でもなんでもないかもしれませんが、これからは「自分らしく」をテーマに素直に積極的に、自分を信じて前に進んでいきたいと思います。

 まず、当分の方針は、

 "Let Shumpei Be Shumpei"で、壁にぶつかるのであれば、積極的にその壁にぶち当たって行こう、高い壁が目の前にあるのであれば、アイルランド人がそうしたように、帽子を投げて、果敢に壁を乗り越えようと。なぜ、帽子を投げるのかって?帽子を取るために、壁を越えないといけないからです。

 ということで、まずは、最初の壁にぶつかっていきたいと思います!人間には困難を克服し、偉業を達成する能力を持っていることを信じ、必ず、困難な目標を達成したいと思います。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(4)

 僕は、ここからどこに行けばいいのだろうかと思った。波止場からは、一本の道が延びていて、その道の向こうには街のようであった。とりあえず、僕はその街に向かうことにした。

 とにかく、僕は思いつくままに、波止場から続く一本道を下っていった。西洋風の古い建築物と和風の木造建築が碁盤の目を覆うように混在をしていた。あるところは、エーゲ海沿岸の港町であるように思え、あるところは、明治時代の日本の港町であるような錯覚のようであった。

 僕は、無意識に、ある和風酒場の看板を目にした。特に、その酒場を探していたわけではなかったが、何か注意をひくというか、気にせずにはいられない場所であった。ふと、喉の渇きも覚え、その酒場で、軽く喉を潤そうと思った。

 酒場の入り口を入ると、中も和風で、囲炉裏がいくつか点在していた。僕は、靴を脱ぎ、畳の上に上がり、大黒柱の近くの囲炉裏に腰を下ろした。僕は、後ろに手をつき、少しリラックスして、冷酒を注文した。僕は冷酒を待っている間、店の周りを見回すと、はっきりとはわからない絵が飾ってあったり、写真が飾ってあった。後ろについていた手を、僕は少し横にやると、大きな巾着袋にぶつかった。僕は、その大きな巾着袋に興味を抱いた。僕のものではないのだが、無性に中身を空けてみたくなった。誰かの忘れ物だろうと思いつつ、僕は店主の目を盗んで、その巾着袋を開けてみた。そうすると、袋の中には、いくつかの写真や手紙が入っていった。写真のひとつを取り出して、写真を眺めると、僕はおぼろげながら、その写真の女性を知っているような気がした。その写真を見つめれば見つめるほど、その女性を知っていることに確信を持つようになった。「誰だっけ?」

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予告

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 そのとき、彼女は、海岸線の向こうを見て、小さな声でつぶやいた。

 「あの、半島の先には、何があるのかしら」

 僕は、「半島の先は海だろうね」と言った。波打つ音が小さく、時には激しく響いていた。

 「私が言いたいことは、そういうことじゃないのよ」と、彼女は言った。僕は、「じゃあ、どういうことなんだい?」と聞いた。すると、「きっと、あの半島の先には、私たちが知らない無限の可能性が広がっているのよ」と言う。僕は、「無限の可能性?」と尋ねた。

 彼女は、半島の先を見つめたまま、黙っていた。僕も、ただ黙って、半島の先を見つめていた。全ての哀しみや辛さを、その半島の先に捨てるように。

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現在、好評連載中の「今夜、夢の中で君に出逢う」に続く連載小説として、「半島のさき」の連載をスタートいたします。新たな「僕」の恋愛冒険が始まります。ご期待ください。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(30)

 僕がようやく光の糸を掴むと、糸が引っ張られた。そして、僕は引きずられるようになった。

 ようやく、光の出口が見えた。しかし、それはとてつもなく小さなもので、僕の身体の大きさに比べれば、どうやっても出ることができるものではなかった。しかし、光の糸はそんな事情に構うことなく、僕を引きずり続けて、僕は身体の一部がその出口にこすられながら、また圧縮されるような形で、思いっきり、出口の外から引っ張られた。

 勢い良く、僕はその出口から飛び出した。その瞬間、熊のストラップが切れ、熊が穴を塞ぐように落ちていった。そのとき、出口の外で待っていた蝋燭屋の店主は、「穴を閉めるぞ」と叫んだ。僕は、目で合図をして、そのまま上に吸い上げられていった。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(3)

 「わかりました」

 「気をつけてな」

 僕は、頷いて、穴に飛び込んだ。僕は、一面の緑と河と橋が見える景色に吸い込まれていった。

 僕は、景色に吸い込まれている間に、気を失ったようだった。雲の上から落ちていく感覚は途中まで感じていたが、その後、全く無感覚になったし、記憶も失われていた。

 僕が目覚めたとき、そこは波止場だった。大きな船がその波止場に止まっており、その船に団体客のような集団が寡黙に規律を守って、並んで、乗船していた。僕は、少し頭がぼやけていて、その風景を眺めていた。

 少し頭がはっきりしてくると、この波止場には音がないことに気が付いた。周りには多くの人がいる。しかし、話し声は全く聞こえてこないし、生活音も聞こえてない。音的なものが全く存在しないのであった。

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(2)

 雲の下の憧憬は、大きな森、きれいな緑色が隙間なく一面に広がっている。その真ん中には大きな河が流れている。この河の水は、ここから見ても、とても透き通った青であった。どこかでこのような写真を見たことがあった。アマゾンの写真だと思った。しかし、アマゾンのように深い色ではなく、僕がいま見ている景色はとても澄んだ明るい色であった。

 また、森の上には、大きな回廊があった。ところどころにデッキがあり、永遠に続く橋のような道であった。

 僕は、「ここはどこですか?」と聞いた。店主は、「名もなき土地だ」と言った。そして、「この雲の穴は、お前自身が空けたものだ。あとは、お前がこの穴から下に降りるか、このまま、戻るかだ」

 「僕は、もう決断したんです。行きますよ。でも、ここから降りていって、どこに行けばいいのですか?そして、僕はどこで何をすればいいのですか?」
 「それは、誰にも教わることなく、自然に展開する。お前は、誘惑に負けない強い信念と、「必ず帰るんだ」という気持ちだけを持っていればいい。お前の心が折れたとき、この雲の穴は再び閉じられてしまう」

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今夜、夢の中で君に出会う-再会、そして僕の欠落と忘れ物-(1)

 僕は、青や赤、黄色のもやもやの中に立っていた。所々、青と黄色が混ざって緑になっていたり、青と赤が混ざって紫になっていたり、赤と黄色が混ざってオレンジになっていたりした。僕は、重力を感じさせないこの空間で漂っていた。

 少し先に眩しい光が微かに見えた。僕は、その光に導かれるように、その方向に向かっていった。徐々に光は強くなり、やがて大きくなった。

 そこに蝋燭屋の店主がいた。僕は「こんにちは」と挨拶をした。

 蝋燭屋の店主は、「一人で来たのか」と言った。僕は、「これは僕自身の問題で、僕の問題は僕が責任を取らないと。レイコさんを巻き込むことはできませんから」と答えた。店主は、「そうだな」と言って、頷いた。

 僕は、「僕はこれからどこに行くのですか?」と聞いた。店主は、「ここからは一人だけの旅になる。私もこれ以上は進めない。足元を見てみろ」と言った。この無重力空間で、どちらが上なのか、どちらが下なのかはわからなかったが、足の先を見てみた。そうすると、ぽっかりと雲に穴が開いていて、その下の景色をのぞくことができた。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(33)

 これをレイコさんにFAXで送ってもらえば良い。緑のポストイットに、その旨を書いて、文書の上にくっつけた。

 4つの手紙をテーブルの上に並べて置いた。そして、僕は窓を閉め、火元を確認してから、ベッドの上に移り、ベッドのサイドテーブルに灰皿を置いた。その灰皿の上に黄色い蝋燭を乗せた。

 僕は、両手で顔を軽めに張って、気合を入れた。そして、周りを見渡し、もしかすると、もう二度と見ることができないかもしれない風景を目に焼き付けた。

 僕は、「行ってきます」と小さく言い、蝋燭に火を灯した。

 そして、ゆっくりと目を閉じて、僕は初めて自主的に夢の世界に落ちていった。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(32)

 でも、ナカノさんとコバヤシさん、マエハラさんにお別れの挨拶をすることは、それほど重要ではない。

 それよりも、別れの挨拶を済ませていない人は、仕事関係だけでもかなり多くいた。本当であれば、一人ずつに手紙を書くべきであろうけれども、僕は申し訳ないとは思いつつ、こんな手紙を書いた。

皆様

前略
いつもお世話になっております。このたび、大変不思議なことなのですが、私は死亡しました。つまり、肉体的な消滅をしてしまいました。

何、ふざけているんだとおっしゃるお方もいらっしゃると思います。僕も、科学的、論理的に、なぜこういうことになったのか、わかりません。しかし、事実として、私は、もう皆さんとお会いすることができなくなったのです。

詳しいことは、弊社の竹下にお尋ねください。連絡先は、弊社(03-××○△-○△□×)まで。

皆様のご健康とご発展をお祈り申し上げます。

今後の弊社のことは、竹下に全て任せておりますので、今後とも、弊社をよろしくお願い申し上げます。

草々

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(31)

 麻衣への手紙を書き終えて、僕はグラスの中のボーモアを飲み干した。そして、窓から流れ込んでくる夜風を受け止めて、僕は月を見上げた。夜空を見上げるなんて、いつ以来だろう。僕は、感慨深くなっていた。冬は東京でも夜空を見上げれば、オリオン座や北斗七星ぐらいの大きな星であれば、見ることができるが、夏は、あまり星が見えない。僕が星を見ようとしていないのか、そもそも見られないのか、それはわからないのだけれども。だから、秋口に、ふと夜空を見上げて、オリオン座が目に入ったときは、冬の訪れを知り、そして寂しい気持ちになる。冬は、やはり「滅び」の季節である。春は「誕生」もしくは「再生」、夏は「成長」、秋は「実り」、そして冬に「滅びる」。季節は人生のように循環する。だから、冬になると僕はとても悲しい気持ちになる。次の春がとても待ち遠しくなる。

 ふと、僕は、僕の家の近くにあるコンビニエンストアに勤めているナカノさんとコバヤシさんのことを思い出した。話をしたことすらないが、僕は少なからずナカノさんとコバヤシさんに好意を持っていた。そして、近くの本屋さんに勤めているマエハラさんのことも思い出した。3人は今日も元気でいるだろうか。帰り際に、コバヤシさんは、いつもと変わりなく、コンビニエンスストアのレジに立っていた。彼女に別れの言葉を伝えなかったことを、いまさら、後悔した。

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心に決めたこと

 昨晩、あることを決めました。いままで、いろいろなことを考えて、決心できなかったのですけど、行っても行かなくてもどうせだめなら、行ってみようと、前を向いて倒れようと思いました。
 ぼくは、最後の最後まで、判断に迷い、いろいろなリスクとか保険を考え、実は、ウジウジしているタイプなので、人には呆れられてしまうことが多いのですが、一度決めたら、最後までがんばりたいと思います。
 まあ、恋愛というのは、相手のいることだから、自分がどう思っても、どうにもならないわけですけどね。

 「行っても引いても同じなら、行けるところまで行ってみたい」

ということで、下記のようなスピーチを書いてみました。
 
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 私たちは、常に挑戦者であるべきです。挑戦を忘れたとき、私たちの存在理由は、夜が訪れるが如く、日が沈むが如く、その輝きの意味を失う。

 私たちが、いま求められていることは、社会のフロントランナーとして、広大なフロンティアを切り開くことであり、新たな発見を得ることであり、社会の様々な閉塞感に対応することであります。

 どんなに困難な状況であっても、それが自分自身にとって、大きな犠牲を支払わなければいけないものであったとしても、決して逃げることなく、私たちは戦わなければなりません。

 私たちが進もうとしている道は、決して、楽な道ではありません。険しく、さらには厳しい道が私たちの前には続いているのです。しかし、喜びは朝とともにやってくる。

 人間には、困難に挑戦し、それを達成可能にする限りない力があります。そうした挑戦の連続の中で、電気を生み出し、原子力を発明し、文明を飛躍的に発展させました。また、私たちは空を飛ぶ自由を得て、月に降り立ち、星にたどり着くという偉業を達成しました。

 いまこそ、希望を胸に、夜空に手を伸ばそう。
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ETC

 車にETCを搭載しました。ETC搭載の車には乗ったことはありましたが、自分で運転するのは初めて。

 いやー、便利ですね。そして、面白いです。なんか、スイッーという感じで、得した気分。なんか特別待遇みたいな感じで、「もしかすると、VIP?」みたいな感じ。

 車の運転は好きな方なので、ドライブ行きたいモチベーションが高まりました。最近は、イージーリスニング系を流しっぱなしにしているので、気分良く運転をしています。渋滞は、( ゜Д゜)ゴルァ!な感じですケド。

 

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(30)

 二人に手紙を書いて、さらにまだこの現実の世界に存在している麻衣にも手紙を書くことにした。

安嶋麻衣 様

前略
 久しぶりに手紙を書きます。いつ以来でしょうか。君には僕の話を信じてもらえないかもしれないだろうけど、これを君が読んでいるということは、僕は肉体的に消滅したということだと思います。ある人の話だと、僕は別の世界で不死を得て、意識は永遠に存在し続けるということです。
 
 詳しいことは、僕の会社の竹下礼子が説明できると思いますので、もし、まだ僕に興味があれば、連絡をしてみてください。事務所の電話番号は、03-××○△-○△□×です。

 最近、僕は君の夢を見たよ。君と最初に出会ったころ、付き合っていたころ、そして君を傷つけてしまったこと。僕は、本当に君を傷つけてしまったのだろうと思う。それについて、心から「ごめんなさい」が言えなかったことが、僕の心残りです。

 だから、肉体が消滅してしまった、今、手紙を通じて、僕の気持ちを残しておきたいと思ったのです。

 ごめんなさい。

 君の益々のご発展を祈っております。さようなら。

草々

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(29)

吉澤奈津子 様

前略
 さきほど、電話で話したばかりなのに、こうして手紙を書くなんて、なんだか不思議な感じです。ただ、僕の肉体が消滅してしまうのにあたって、僕は、この現実の世界に生きた証として、僕の気持ちを言葉として残しておきたいと思ったわけです。

 なぜ、僕が消滅したのか、それはなかなか上手に説明することができません。この手の説明は、僕よりもむしろレイコさんの方が得意かもしれません。なつこさんにとって、僕なりレイコさんの説明は、納得しがたい、非論理的な話に聞こえるかもしれません。僕も未だに何がなんだかわかりません。しかし、何かに巻き込まれていること自体は事実です。そして、なつこさんがこの手紙を読んでいるということは、僕の肉体が消滅したことも紛れもない事実なわけです。

 その事実を科学的に説明することは、いまの人間の文明力では、無理だということだけはわかっています。技術や科学が進歩すれば、論理的に説明ができるかもしれません。進歩というものは素晴らしいです。思ってもみなかったことができるようになったり、理解できるようになります。例えば、インターネットや携帯電話。10年前、僕たちが高校生だったころ、もしくは中学生だったころ、こんな情報社会がやってくるとは、僕に限って言えば、想像もできませんでした。確かに、21世紀になったら、車が空を飛び、宇宙ステーションで生活をするというような生活にはほど遠いわけですが、もしかすると、21世紀の世紀末には本当にそういうことになるかもしれませんね。

 この手紙では、そういうことを述べようとしているわけではないのです。だから、くだらないと思わないで、もう少し読んで欲しいと思います。

 僕は、なつこさんのことが好きでした。否、僕はなつこさんのことが好きです。電話の最後で会ったときに話したいという重要なこととは、この気持ちを伝えたかったということです。僕は、なつこさんと一緒に、時には笑い、時には泣き、喜びや悲しみを分かち合いたかったです。でも、それはもう叶わぬことになってしまって、それが僕の唯一の心残りです。

 もっと、僕はなつこさんと時間を共有したかった。もし、メビウスの輪のように、再び、あなたに出会えることを心から願っております。

 あなたには、素晴らしい才能があると思います。自信を持って、その才能を十分に発揮して、一人でも多くの方に幸せを感じさせてあげてください。 さようなら

草々

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(28)

竹下礼子 様

前略
 ごめんなさい。いろいろと考えた挙句、僕はやはりレイコさんを巻き込むべきではないと思い、一人で旅立ちます。僕はあなたに出会えて本当に良かった。そして、仕事が一緒にできて本当に嬉しかった。いつも一緒にいてくれて本当に楽しかった。
 
 今回、身の回りで生じたさまざまな非科学的な出来事は、僕の欠落が招いた結果だという、蝋燭屋の店主の指摘が正しいとするならば、全て僕の責任だ。
 僕が起こしてしまったことには、僕は責任を負わなければいけないし、その責任から逃げたり、人に押し付けたりすることはできない。世の中には、もしかすると世の中の大半はそうなのかもしれないけれど、責任を回避する人が多いような気がする。僕は、自分の責任には正直に真正面から引き受けることで、つまり僕の責任を他人に転嫁させたり、分担してしまったりしないで、きちんと責任を負うことだけはしたいと思う。いや、しなければいけないんだ。そうしないと、僕は、本当に生きている価値のない人間になってしまうんだと思うんだ。

 正直言うと、僕は怖い。今も強がっているけど、怖い。もしかすると、僕の肉体が消滅してしまうかもしれない、もうレイコさんに会うことができないかもしれない、日常の生活に戻れないかもしれないことに対して、恐怖と不安と、そして心細さを感じる。

 でも、僕は行かなければいけないんだ。もし行かなくて済むのであれば、僕は絶対に行かない。しかし、行かなければいけないし、もう一度、レイコさんに会うために、そして日常を取り戻すために、僕は「えいっ」と、気持ちを必要以上に押し上げて、いま、旅立とうとしているんだ。

 僕は消滅したくない。もっと、レイコさんと一緒にいたい。できることならば、レイコさんにもこの旅に付いてきて欲しい。でも、それは、単なる甘えでしかないんだと思う。

 君の事をいつも頼りにしていた。君の存在をいつも力強いものと感じていた。きっと、君がいなければ、僕は僕として存在し得ないだろう。

 ありがとう。また会える日が来るまで、さようなら。

 追伸:会社のことだけど、僕が死亡したり、消滅してしまったら、君に全てを任せます。清算するのもありだし、継続することもありです。君の能力であれば、問題なく、継続できると思います。

草々

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(27)

 そこまで考えて、ある結論が僕の中に出た。それは、やはりレイコさんを巻き込むべきではないということだ。これは僕自身の問題であって、レイコさんはむしろ巻き込まれるべきではない。僕の責任は僕自身しか負うことはできないのだ。

 そこで、僕は、一人で旅立つために、朝になる前にこっそりと旅に出ることにした。もしかすると、二度と、この空間には戻れないかもしれない。最後にするべきこととして、僕は手紙を残すことにした。レイコさんへとなつこさんへの手紙だ。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(26)

 そんなことを考えると、麻衣のことを、ふと思い出した。麻衣は、元気にしているだろうか。僕は彼女を裏切り、傷つけた。そして、彼女は、今、この瞬間、別の場所で、異なる時間の中で、この現実の世界の日常に存在する。彼女は、その僕と同じ空間の別な場所で、自分なりの幸せを手に入れようとしている。それが、彼女にはできる。

 そして、石和裕美のことを思った。僕は彼女のことも傷つけた。彼女は、既に、この現実の世界には存在せず、意識的にも肉体的にも消滅してしまった。もう僕と同じ空間には存在しない。だから、彼女は麻衣とは違って、もう自分なりの幸せを手にすることはできないのだ。

 そう考えていると、僕は、自分の過去の罪の重さについて、とてつもなく重たく、そして深いものだと感じた。僕は、自分では気が付かないうちに、人を傷つけている。否、僕は僕が関わってきた女性たちに対して、傷つけることしかしてきていないじゃないか。そのことが頭の中で明瞭に認識できた。僕は、なぜ、こんなにも人を傷つけるのであろうか。もちろん、人間関係の中で、知らない間に相手を傷つけてしまうことはあるだろう。しかし、僕は、そんな常識的なレベルではなく、非常に人を傷つけているのではないだろうか。それが、僕の欠落がもたらした、もしくは表出化した結果なのであろうか。その欠落の原因はどこにあるのか。その原因を見つけることこそが、僕の心の忘れ物を持ち帰ることであり、埋めることなのではないかと思った。自分の原罪のありかを僕は、これから探しに行く。

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Words of Love

せつない愛をいつまでも断ち切れずに
刹那的に夜の街をさまよう

傷ついた心 誰か癒してくれないか?
自分勝手に悲劇のヒーローになる

ただ静かにテープは回り続けている
どこかに捨ててくることもできなかった
壊れたレコードのように無意味な音を繰り返す

一緒に見上げた星空 いくつもの夢が散らばっていて
ひとつひとつに手を伸ばして 探そうとした
Words of Love

君がいない毎日にどんな意味があるの?
ただ空しく時間が過ぎていくだけ

もう何も届かない どんな魔法を使っても
君と見た未来は戻ってこない

ただ激しく君を想い求めた日々
秋風を感じるたびに僕は思い出す
季節は無情に過ぎ去りいつかはまた再びやってくる

一緒に感じた夜風 溢れ出るほどたくさんの僕の気持ち
ひとつひとつを袋につめて 伝えようとした
Words of Love

古ぼけた辞書を開いて その言葉に必死に意味を込めるけど
どうしても見つからないよ 君へのWords of Love

朝目覚めても同じ日常が続くのかな?
あの空を越えて 君に会いに行きたい

一緒に見上げた星空 いくつもの夢が散らばっていて
ひとつひとつに手を伸ばして 探そうとした
Words of Love

忘れることのできない day with you

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(25)

 僕は、なつこさんとの電話を終えてから、頭の中を空白にして、ソファーに寝転がった。僕の頭と心の中に、なつこさんの声がいつまでも響き、残った。その声が響くたびに、僕はなつこさんを愛しく思い、恋しく思った。そして、これが永遠の別れになるかもしれないと思ったとき、少し涙がこぼれた。僕は、消滅したくない。行かなければ行けないことは十分にわかっているのだけれども、もし行かなくて済むのであれば、行きたくない。そして、今から、すぐになつこさんに会いに行きたいと思った。しかし、行かなければ行けない旅なのである。僕には、「行かない」という選択肢はなかった。

 僕が僕であるための、確かに嫌なことも辛いこともあるけれども、平凡な幸福を得ることができるこの日常の空間を失いたくない。夢の世界では、そういう負荷はないのだとしても、不死を得ることができるとしても、僕はこの日常の空間で、肉体的にも意識的にも死を迎えるまで、そして、死によって、完全に肉体も意識も消滅するにしても、それが地球の歴史からすれば、わずか一瞬の時間であったとしても、この現実の世界で生きていたかった。願わくば、なつこさんやレイコさんに囲まれながら。

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スパ ラクーア

 今日は、次の予定まで4時間ほど時間が空いたので、ラクーアに行ってきました。土曜日だけあって、混んでいましたが、髪も切れたし、足つぼマッサージを受けられたので、満足でした。それに昼寝もできたし、温泉にも入れたし。

 足裏のつぼで、どのあたりが悪いのかがわかるようでして、ぼくの場合は、「坐骨神経」、「腰」、「胃」、「小腸」などに気をつけた方が良さそうなことがわかりました。あと、目のツボも痛くて痛くて、目も疲れていることが判明。また、ブルーベリーを食べなければ。

 目が疲れていると、頭も痛くなってくるので、考え事がなかなかできなくなります。こうした悪循環を防ぐために、いろいろと予防措置が必要なんだろうなぁと思います。

 ブルーベリー、適度な睡眠、規則正しい生活とかでしょうか。

 足のむくみは、かなりひどくて、もう10年ぐらい悩まされているのですが、その原因は、坐骨神経の影響のようですね。

 最近、ハリに行ってみようかとも思っています。血行が良くなるみたいですね。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(24)

 なつこさんは、「つまり、全て自分で背負い込まず、自分のスタッフを信じろということね」と言った。僕は、「うん。確かに山口さんの穴は大きいかもしれない。でも、その穴は、なつこさんのお店のスタッフが力を合わせれば絶対にフォローできる」と言った。

 「ありがとう。電話して、あなたとお話ができて良かったわ」と、少し元気が回復した声で言った。僕は、「どういたしまして」と言った。すると、彼女は、「あなたに会いたいわ」と言う。僕は、「僕も会いたい。なつこさんに会いたい。僕もなつこさんに話したい重要なことがあるんだ」と言った。彼女は、「私に話したい重要なこと?」と聞いた。僕は「電話で言うべきことではないから、今度、会ったときに話すよ。僕は仕事で旅に出る。旅に出ると言っても、長い期間ではなく、出張的な短さだけどね。場合によっては、2・3日の間は、連絡が付かないかもしれないけど、東京に戻ってきたら、また連絡する」と言った。

 なつこさんは、「わかったわ。旅行、お気をつけて。あなたが出張から戻ってきたら、予定を合わせましょう。ご連絡をお待ちしているわ」と言った。僕は、「きっと連絡する」と言った。なつこさんは、「今日はありがとう。おかげで、元気になれたわ。それでは、また」と言った。僕は、「電話をくれて嬉しいよ。さようなら」と電話を切った。

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矢尾板俊平、秋葉原で、ピアノを弾く

 秋葉原のヨドバシカメラに行ってきました。いやー、すごいですね。だいたいは、ヨドバシで用が済むのではないかと思ってしまいます。秋葉原の電気街さんにはがんばってもらいたいものです。元々、そうなんですが、量販店ではできない、専門店化をさらに進める方向性でしょうか。でも、大きな電気屋さんは、ほんとに困るでしょうね。ラオックスとか。

 そんなわけで、ヨドバシカメラのピアノのコーナーに行ってきましたよ。うちにあるシンセサイザーは、高校時代に買ったものだから、もう10年前ぐらいのものなんです。昔は、それで曲作ったりしましたけど、最近は書いていない。実は、そろそろクリスマス用のもの(だいたいクリスマス用のは11月までには仕上げておかないといけないのですケド)と秋もの(秋ものは遅いぐらいなのですケド)の最新作を書き下ろそうとしているわけですが、なかなかフレーズが思い浮かびません。なので、ブラブラと秋葉原に行って、チェルシーマーケットでニューヨーク風のハンバーガーとパフェを食べて、そのままヨドバシカメラで、電子ピアノを見ました。感動したのは、189万円の電子グランドピアノ。( ゚д゚)ホスィ…。 でも、高い・・・。いや、高いというより、ありえない金額。いいなぁー。

 他にも20万円台とか30万円台とかあったので、いろいろと見てみました。それで、世界でひとつだけの花を弾いてみました。なかなか良いです。ノリノリです。でも、新作のアイディアは出ません。

 CDとDVD売り場にも行ってみました。遅いぐらいなのですが、中島美嘉の"GLAMORUS SKY"を買いました。これ、映画「NANA」の主題歌です。矢沢あいさんのNANAは、元々、人気コミックなわけですが、映画の方も大好評のようですね。

 "GLAMORUS SKY"の作詞は矢沢あいさんで、作曲はHYDEですか。確かに、HYDE的な音楽ですね。でも、中島美嘉の声にはマッチしていて、なかなか良いですね。いままで、この系の曲がなかった気がするので、幅も広がっていいかも。

 CDのジャケットは、少々SMチックですね。レイザーラモンHGと並んだら、なかなかいいかも。

 映画のNANAは、宮崎あおいタンが萌え~な感じですね。
(・∀・)イイ!来年春からの朝の連続TV小説の主演らしいです。 

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(23)

 「嘘を付いても仕方がないよ。本当だよ。ねえ、なつこさん。僕は思うんだ。そういうときこそ、焦っちゃいけないって。全てをやろうとして、がんばりすぎちゃいけないって。そういうときこそ、自分ができる仕事を確実にやる。完璧な人間なんていないんだ。だから、人は支え合いながら生きている。社会というのは、人間と人間の関係性であり、その関係性とは支え合い、信頼なんだと思うよ」と、僕は言った。

 なつこさんは、「あなたの言うこと、なんとなくわかるわ」と言った。

 僕は、「今こそ、君のお店の持てる資源を最大活用するべきなんだと思う。僕は、あの店には素晴らしい可能性があると思っている。そして、その可能性を実現し得る資源もある。ねえ、なつこさん、君の役割は、自分で楽器を弾くことではない。オーケストラで言えば、指揮者なんだ。君は、最高の指揮者なんだ。今こそ、慌てず、ゆっくりと、自信を持って、指揮棒を振るべきだと思う」と言った。

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恋愛の仕方

 さいきん、恋愛のことがよくわかりません。誰か教えてください。

 好きな人に、どうやって気持ちを伝えればいいのでしょうか。

 ぼくは、恋愛については、どちらかというと臆病で不器用な方です。

 最近、the west wing 4th season の影響で、west wing 3rd seasonも見ているんですけど、ジョシュがエイミーに、「あなたの恋愛は当て逃げ恋愛よ」と言われていました。言い得て妙だなと思いました。

 恋愛って、難しいですね。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(22)

 なつこさんは、「ニュースで知っていると思うけど、うちの副支配人の山口が亡くなったの」と、言った。僕は「知っているよ。お気の毒に」と答えた。彼女は、「お店の実務、つまり帳簿のこととか仕入れの細かいこと、そういういろいろなことを彼にお願いしていたから、彼が突然いなくなって、お店が立ち行かなくなっている」と、少し疲れた声で言った。僕は、「わかるよ。山口さんが、お店の創造的な仕事はなつこさんで、事務的な仕事は山口さんという役割分担になっていると言っていた。僕は、それはとても絶妙で素晴らしい役割分担だと思っていた。君は、君の才能を発揮して、創造的な仕事に専念するべきだと思っていたからね」と、僕は答えた。

 「どうしたらいいのか、わからないの」と、彼女はつぶやいた。僕は、「うん」と答えた。彼女は、「不安なの。このお店を続けていけるのか、私はその負担に耐えられるのか」と言う。僕は、「わかるよ。その不安な気持ち。僕も何度かそういう気持ちになって、逃げ出したくなっちゃうこともある」と答えた。彼女は、「あなたでも、そういうときがあるの?」と小さな声で聞いた。僕は、「もちろん。不安じゃないときの方が少ないかもしれない」と言った。彼女は、「本当に?」と聞いた。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(21)

 枝豆をつまみながら、ビールを飲み、野球を見る。これもひとつの夏の醍醐味であり、贅沢であろう。しかし、僕は、一人で、これまで起きた不思議な出来事を静かに考えていた。

 スパゲッティとピザを食べ終わり、ウイスキーのボトルも大分空いたとき、電話が鳴った。電話を出てみると、相手はなつこさんだった。

 「突然、ごめんなさいね」となつこさんは言った。
 「いいよ」と、僕は言った。
 「いま、大丈夫かしら?」と、なつこさんは尋ねてきたので、僕は「キャベツとベーコンの緊張感溢れるスパゲッティと解凍ピザをつまみながら、ビールとワインを空けて、ウイスキーを飲みながら、日常空間の素晴らしさを堪能していたところだよ」と答えた。

 「つまり、夕食中だったということね。ごめんなさい」と、なつこさんは言った。
 「ちょうど、一人だったから、話し相手が欲しかった」と、僕は答えた。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(20)

 料理ができると、炭水化物に偏っている気がした。しかし、今から買い物に行くのも面倒であるし、せっかくの残り物の整理なので、新しく調達した食材が余ったら、元も子もないので、諦めることにした。僕は、まずビールを飲んだ。このビールは輸入物のベルギービールだ。小瓶を開け、僕は丁寧にビールグラスにビールを注いだ。僕は、あまりビールが得意ではない。基本的に炭酸水が飲めず、子どものころからコーラなども飲めなかった。ビールにいたっては、炭酸に加えて、その苦々しさがなんとも言えず、不得意であった。しかし、このベルギービールだけは、違っていて、ビールが得意ではない僕もすんなりと馴染むことができたのであった。

 僕は、ビールを飲み終えると、僕は、先日、レイコさんと開けたワイン-1955年物のシャルム・シャンベルタン!-の残りを飲み干した。そう、石和裕美が死んだ日に、僕とレイコさんが彼女を弔いながら開けたワインだ。ほとんどは、二人で飲んでしまっていたのだが、若干、ワイングラスに一杯程度残っていたので、それを僕は一気に飲んでしまった。

 そして、ピザをつまみ、スパゲッティを食べながら、CDにはシューベルトの「アヴェ・マリア」をかけながら、僕はボーモアの15年物をストレートで飲むことにした。窓を開け、外を通る車の音も心地よく聞こえてきた。夏の生暖かい風が吹き込んできて、僕がいつもと変わらない、日常的な空間の中に、確かに存在するのだということを実感した。

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ことば

 The West Wing 4を見ていて、勇気付けられた言葉をメモしておきます。

 "Every time we think we've measured our capacity to meet a challenge, we look up and we're reminded that that capacity may well be limitless. We will do what is hard, we will achieve what is great. This is a time for American heroes and we reach for the stars."

 「私たちは悲劇を乗り越える力を求められるたびに、毅然と顔を上げ、自分たちには無限の強さがあることを思い出す。今こそアメリカは英雄を求めている。困難に挑戦し、偉業を成し遂げる英雄を。私たちはアメリカの英雄を求めて、星に手を伸ばす」

 Samが、その後、Malloryに"Good Writers borrow from other good writers. Great writers steal from them outright."と言っているので、僕もスピーチ書くときは、お借りしようかな。

the west wing 4の第二話目より

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(19)

 冷蔵庫には、キャベツとベーコンが入っていた。また、開封したままになっていたスパゲッティの麺が一束残っていたので、キャベツとベーコンを炒め、スパゲッティを茹で、キャベツとベーコンのスパゲッティを作ることにした。また、冷蔵庫には冷凍用ピザが入っており、こちらも解凍することにした。もしかすると、これが最後の晩餐になるかもしれない。しかし、最後の晩餐というには、残り物の整理になってしまって、少し寂しい感じがした。料理を作りながら、もしかすると、僕はなつこさんのお店に食事に行き、最後になつこさんに会いに行った方が良かったかもしれない、と思った。いや、むしろ、そうするべきだったと後悔した。

 しかし、よくよく考えてみると、なつこさんは、山口さんが死んで、とっても忙しいだろうし、もし、なつこさんに会えば、僕自身も旅立ちの決心が揺らぐかもしれない。それならば、僕は、こうして冷蔵庫の残り物の整理をしていた方が良いのだろうと思った。

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愛の流刑地その6

 弁護士さんには理解された「愛」の形。愛の流刑地では、「愛のカタチ」とはなんだろうかということを、絶妙に描こうとされているように思える。

 本日の愛の流刑地での一コマ。
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冬香のことは、菊治にとっては平仮名の「ふゆか」であり、まして入江などという、姓と一緒に呼んだことはない。
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「あなたは、幸せな人ですね」
「幸せ?」
「愛する女を、そこまで快くしてあげて・・・」
そういう考えもあるのか。菊治が黙り込んでいると、弁護士が大きく溜息をつく。
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 こうした場面でしたが、なんだか感心をしてしまいました。これこそ、純愛なのではないか、と、そう思ったのです。

 いま、団塊の世代の家庭では、旦那さんが日経新聞で「愛の流刑地」を読み、奥さんがDVDで「冬のソナタ」を見る。そんな風景が広がっていることを勝手に思い浮かべてみる。

 本当の純愛とは何なのか、愛のカタチとは何か。こんな世の中だからこそ、意識的に考えてみることも重要なんだろうと思います。

 本日の日経新聞の書評欄に、村上春樹の「東京奇譚集」の書評が掲載されていました。
 そういう見方もあるんだなぁと思って、読んでみました。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(18)

 すると、店主は、黄色い蝋燭を二本取り出した。「これが夢の世界への切符だ」と言った。そして、突風が吹き、扉が強い音を発して閉まったかと思うと、黄色い蝋燭を二本を残して、店主は消え、蝋燭屋の風景が失われた。

 僕は、「レイコさん、旅立ちは明日の朝にしよう。君も念のため、済ませることは澄ませておいた方がいい」と言った。レイコさんは、「わかりました。それでは、明日の朝、この事務所から旅立ちましょう」と言った。僕は、「そうしよう」と言った。

 レイコさんを神谷町の駅まで見送ると、僕は虎ノ門の駅に戻り、銀座線に乗り、表参道で半蔵門線に乗り換えて、自宅に戻った。

 僕は、冷蔵庫の中から残りものの野菜を取り出した。もし、このまま何日間も旅に出るのであれば、それはもしかすると二度と戻ってくることができない旅なのかもしれないが、冷蔵庫の中身を整理しておく必要があった。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(17)

 「しかし、夢の世界は実に怖いところだ。お前さんを現実の世界に戻さないように、さまざまな妨害をしてくるだろう。それに負けないことが重要だ」と店主は言った。僕は、「もし負けてしまったら?」と尋ねた。すると、店主は、「先ほども言ったように、肉体は消滅し、意識だけが永遠に存在するだけだ。すなわち不死を得られる」と言った。僕は、「つまり、現実の世界では死ぬということですね」と尋ねた。店主は、「そうだ」と答えた。

 僕は、口を閉ざし、深刻な顔をした。そして、両手を頭に置き、少し上を見上げた。

 「まだ時間は少しだけ余裕がある。何があるかわからない。もし、この現実の世界に、まだ思い残すことがあるのであれば、それは済ませておいた方がいいだろう。肉体は消滅しても、永遠に意識は生き残ることになる。つまり、思い残すことがあれば、それも一生果たされないままになる」と、店主は言った。

 僕は、「わかりました。今夜のうちに全てを片付けておきます」と言った。すると、レイコさんは、「私も一緒に行くわ」と言った。僕は驚き、店主も驚いた。レイコさんは、「物理的だか技術的だかわからないけど、私が付いていくということはできないの?おじいさん?」と尋ねた。すると、店主は、「不可能ではない。しかし、夢の世界に行くというのは、並大抵のことではない。わざわざ危険を冒す必要もない」と言った。僕も、「これは僕自身の問題なんだ。君を巻き込むわけにはいかない」と言った。すると、レイコさんは、「社長は弱い人間だから、心配なんですよ。だから、私がアシスタントとして、ちゃんと付いていかないと」と言った。店主は、「素晴らしいお嬢さんだな。確かに、これだけ理知的で優秀な助手がいた方が旅は楽かもしれない」と言った。僕は、「後悔しないね」と尋ねた。「もし君の肉体が消滅することになるかもしれないとしても」と続けて言った。すると、レイコさんは、「誰かに強いられるのではなく、私自身の選択ですから、何があったとしても、それは自分の責任ですし、後悔なんてしません」と言った。僕は、「ありがとう」と言った。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(16)

 僕は、「オセロゲームのようなもの?」と尋ねた。そうすると、店主は、「まあ、それに近い」と答える。「つまり、夢の世界が現実の世界に取って変わろうとしている。つまり、夢の世界と現実の世界の間で、安定的なバランスが保たれていて、秩序が形成されていたわけだが、夢の世界が現実の世界を侵食することによって、そのバランスが崩れて不安定性が生じてきている。その不安定性の中で、ひずみが発生し、つまり、ふたつの世界の緩衝地帯と言ったら良いと思うが、それを、ここに空間的に作り上げることで、かろうじて秩序を保っているわけだ」と店主が説明をした。

 僕は、「僕は、その夢の世界に行き、何をすればいいのですか?」と尋ねた。すると、店主は、「簡単なことだ。お前さんの心の中にある忘れ物を見つけ、それを持ち帰り、自分の心に埋めることだ。もう、心の中、つまり夢の世界に行くための穴は掘った。そして、すでに超えるべき壁を越えている。あとは、お前さんの欠落を埋めるためのピースを埋めるだけだ。そうすれば、このふたつの世界は、再び、以前のバランスを取り戻し、安定性が保たれ、それによって秩序が形成される」と答えた。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(15)

 店主は、「君はなかなか物分りが良い。街という空間そのものが、不安定性の狭間に出来た自然発生的な秩序なのだよ。だから、街には、人間には目に見えないパワーが眠っていて、人を引き付けたり、引き離したりする」と言った。

 レイコさんは、「人が集まるところに街ができ、そこに目印になるような建物ができ、またその目印を目指して人が集まる。では、なぜ、そもそも、そこに人が集まるのか。それは、人間は第6感的なもので、空間のひずみから発生するパワーを感じ取って、導かれるということですか?」と尋ねた。

 店主は、「優秀だ。百点満点の回答だよ」と答えた。

 僕は、「すると、なぜ、そのひずみが、今、この僕の事務所に発生しているんですかね?」と尋ねた。店主は、「君はあまり出来が良くないようだな」と言う。僕は、少し腹を立てた顔をする。店主は、「夢の世界と現実の世界が、本当は表裏になっているはずなのに、夢の世界が現実の世界を侵食しようとしていて、その世界そのものをひっくり返そうとしているんだ」と言う。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(14)

 店主は、「気をつけなければならないよ。夢の世界は不死の世界だ。そして、全ての憎悪、苦痛、不快が存在しない。ただあるのは、欲望とその成就だけだ。その世界では意識は永遠に失われない。夢の世界では永遠の命を得られる。だから、その誘惑に負けてはいけないよ。もし誘惑に負けたならば、その結果として、君の肉体は完全に消滅する」と言った。

 僕は、「いま、僕の事務所と蝋燭屋が空間的に一体化している。蝋燭屋にはどういう意味があるんですか」と尋ねた。

 店主は、「蝋燭屋は、相対的概念の間のひずみ、つまり不安定性に存在する確立した秩序だ。ここでは欲望と愛が絶え間なく交換される。つまり、欲望と愛の市場だ。新宿という街は、間違いなく、そういう場所だよ。男は性欲や愛を満たすために金銭を提供する。女は金銭を得るために性や愛を提供する。市場的な交換、取引が成立しているんだ。こういう場所にこそ、この不安定性の中の秩序を形成しやすいんだ」

 レイコさんは、「街というものそのものが不安定性の中の秩序なのではないのですか?」と尋ねた。

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赤い羽根共同募金

10月1日から赤い羽根共同募金が始まりました。
本年のポスターモデルは、われ等が(メメプロ風に言えば)看板女優、さとみんこと石原さとみ先生なわけです。

ポスターは、こちらから見られます。あと、CMはこちらのようです。

うん。かわいいですね。これはもう募金に行くしかありません。

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愛とはなにか

なにかと話題の愛の流刑地ですが、日本経済新聞のHPで、作者の言葉を発見しました。

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いま、純愛ブームだという。肉体関係がない、精神的なつながりだけの愛が純粋だと思いこむ。だがそれは単に未熟な幼稚愛にすぎない。精神と肉体と両方がつながり密着し、心身ともに狂おしく燃えてこそ、愛は純化され、至上のものとなる。
 今度の小説は、その純愛のきわみのエクスタシーがテーマである。その頂点に昇りつめて感じた人と、いまだ知らぬ人との戦いである。最高の愉悦を感じるか否かは、知性や論理の問題ではなく、感性の問題である。

 はたして、この戦いはいずれが勝つのか、そして読者はいずれに軍配をあげるのか、ともに考えていただければ幸いである。
(http://www.nikkei.co.jp/honshi/20041206ta7c6000_06.html)
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ふむ。ヨン様ファンにある意味、素晴らしい挑戦ですね。

エクスタシーの果てに、菊治は殺人を犯すわけですが、純愛とはなんなんだろうと考えてしまいますね。
愛ルケもひとつの純愛の形なのではないか、と、毎日、読んでいるぼくなんかは思うわけですが。

そうすると、そもそも「愛」というものはなんだろうか。そんなことも考えてしまいます。

恋愛に悩むぼくでした。

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三浦海岸物語

 先週の火曜日から木曜日まで、2泊3日で仕事のために、三浦海岸に行ってきました。この夏は、富山のKeyfunさんのところに1泊2日しただけで、旅行という旅行ができませんでした。去年は、沖縄とかも仕事ながら行ったのに・・・

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 まあ、今年の場合、5月と6月に米国にいたわけで、夏休みがなくても、仕方がないわけで。。。2月に上海にも行きましたし。リニアモーターカー乗ったし。次は、米国はもちろん行きたいわけですが、欧州に行きたいと思います。ギリシャとか、南フランスとか。スイスもいいなぁ。オランダもいいなぁ。と思っております。ジュネーブは、この1年間のうちのどこかで、行きたいと考えております。

 話は戻りまして、三浦海岸なわけですが、便利ですね。火曜日に行ったのは、夜だったんですけど、品川発の京急ウイングに、200円追加料金を払って乗りましたもので、あっという間に上大岡。川崎、横浜を通過させるあたりが、京急らしい速さ。

 夜なわけで、真っ暗で、迷いました。携帯電話のGPS機能使っても、その地図に行き先が載っていないから、どうすればいいかわかりません。ここは、道を聞こうと、健康のために、ウォーキングしている女性二人に、「あの~」と声をかけてみる。こちらは、リュックに、手持ちカバン、肩からプロジェクタをかけているという、どこから見ても、怪しい敗残兵。でも、その女性の一人は、その宿泊先で働いているようで、丁寧に案内をしてくれました。案内というか、宿まで連れて行ってくれました。

 山を越え、岡を超え、みかん畑を超え、電灯のないあぜ道を通り、ようやく宿につきました。

 うーん、これで、小人とか出てきたら、まさに、村上春樹ワールドなのになぁ・・・

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 翌日は、10分だけ、海辺で休憩。なんか見覚えがあると思ったら、只野仁の歩いている海岸線?(エンディングロールのときの場面)かと思ってしまいました。なので、只野仁なみに、歩いてみました。バックミュージックは、ラブレター。

 海岸線でぼーっとしていて、「半島の先」という題名の新作を思いつきました。いま、書いているのに、「神々に捧げる詩」というのと「妖精を探す旅」というのがあります。それと、「君は僕のシンデレラ」というラブロマンスなども。現在連載中の「今夜、夢の中で君に出逢う」は、11月中には終わる予定なので、その後、どうするか、悩んでおります。短編をいくつか掲載するか、それとも長編で来年の春まで行くか。どうしましょうかね。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(13)

 僕は、「僕自身のため?それにしては、あまりにも犠牲が大きすぎる」と言った。店主は、「早くしなければ、この世界は夢の世界と現実の世界が一体化してしまう。夏は夏であるべきだし、冬は冬であるべきなのに、一体化してしまえば、夏と冬が一緒になってしまう。主客は常に確定して、それが安定的に確立していないといけないんだ。昼と夜の関係みたいに。主客が逆転したら、つまり、お前さんの影が、影が意志を持ったら、お前さんが意志を持たない影になる。この世界は、そうした相対的な存在が安定的になっているからこそ、成立するんだ。それが不安定になったら、この世界の秩序が全て壊れる。だからこそ、お前さんは夢の世界で、もう一度夢の世界をハンドリングして、自分自身のために、あるべき姿に戻さなければいけないんだ。そのひずみの限界が、すぐそこまで迫っている」と言う。

 レイコさんは、「あなたは一体誰なの?」と言った。店主は、「私はただの店主だよ」と答えた。気が付くと、僕の事務所は、新宿の蝋燭屋の風景となっていた。僕の事務所にあったはずのパソコン、テーブル、テレビは失われていて、蝋燭が僕たちの周りを囲っていた。つまり、僕の事務所と蝋燭屋が空間的に一体化してしまったのである。

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容疑者室井慎次

 昨夜、「容疑者室井慎次」を観てきました。最初は、観る予定ではなかったのですが、たまたま18時30分頃に新宿にいて、ぶらっと歌舞伎町へ。映画館の前に行くと、5分後に始まる感じで、ちょうど映画の日で1000円だった。これは、観るしかないと思って、すぐに切符を買ってみました。

 料理にたとえれば、「交渉人真下正義」が料理の腕や技で勝負というところ、「容疑者室井慎次」は、素材で勝負という感じでした。素材というのは、役者で、柳葉敏郎はじめ、みんないい味を出していました。

 特に、筧利夫と真矢みきが良かったと思います。真矢みきは、タカラヅカが抜け切っていないあたりが、ポイントで、面白いわけですが、今回もなかなかの味を出していました。内容については、まだ書きませんけど、観ていて、なかなか感動モノでした。田中麗奈と柄本明も良かったです。

 敵役の八嶋智人。八嶋も出世したなという感じでした。

 この映画は、室井さんの内面性が染み出ていて、さらに魅力に深みが出たと思います。

 「室井さんが警察組織に必要なのか」どうかには、答えはでないわけですが、役所という組織には必要だと思います。

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愛と欲望の絶え間ない交換-不安定的な秩序・市場-(12)

 「概念的にはそうかもしれないわね」と、彼女が言った。

 僕は、「その接点というか、世界Aと世界Bを結ぶものが、蝋燭屋であり、あの蝋燭だということかな。つまり、僕は、この世界をあるべき姿にするために、蝋燭を媒体に、エスの世界に旅立たなければいけない」と言った。

 彼女は、「おおまかなところで、そういうことだと思うわ」と言った。その瞬間、突然、事務所のドアは開き、突風が吹いた。僕とレイコさんは扉の方を一斉に向いた。そこには、蝋燭屋の店主が立っていた。

 「あなたは、蝋燭屋の店主さん」と、僕は言った。彼女は、「あの人がそうなの?」と確かめた。店主は、「それは、この世界のためではなく、お前自身のために必要なんだ」と言った。

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